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第90話 脱出開始
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『あははははは! まさか自分の未来を見ないなんて、本当に大馬鹿なんだね。 小娘!!』
黒くなったティナが小さなを前に差し出すと温い風が吹き、距離を放した筈のマリを襲った。
「ティナ! 何で……がっ?」
見えない手に首を掴まれたマリは宙に浮き、必死にもがいた。
『あ~あ……怪しまれない様に他の奴等を殺してからお前を殺そうと思ってたのに。 台無しだけど仕方ないよね……死ね』
黒いティナが差し出した手に力を込めると、更にマリの首が締め付けられる。
「がっ! ……ぐっ!!」
首の骨が軋み、折れる瞬間……マリは解放された。
「がはっ……はぁー! はぁー! 空気が美味しいー!!」
マリがティナを見ると、頭を抱えて苦しんでいた。
『がぁぁぁ! 貴様! まだ意識が……がっ?!』
頭を掻きむしるティナの髪が黒一色から、半分だけ元の金色に戻った。
「ティナ? 大丈夫?!」
状況がまだ理解出来ないマリは思わず苦しむティナに近付こうとする。
『来ないで! マリ、時間が無いの。 帝国から脱出出来たら、はるか北の荒れ果てた大地で闇の精霊を探しなさい!』
正気と思しきティナが叫ぶ。
『ごめんね、あたいが全部悪いの。 だからあたいはもう良い……お願い、エナの願いを叶えて』
ティナが涙を流しながらマリを元の世界へと戻そうとする。
「待ってティナ! 全部って何が!! ティナ!」
意識が遠くに運ばれる感覚に襲われたマリは必死にティナに向かって手を伸ばした。
『頼んだわよ、マリ』
しかし、遂にはマリは真っ白な部屋から消えティナだけが残された。
その直後、金髪の部分はどす黒い色に覆われ可愛らしい顔を憎々しげに歪める。
『がぁぁぁぁぁあ!! クソがぁぁぁ! 逃げられたじゃないの! まさか、アイツが此処まで力を隠してたなんてね。 ちっ……しかも結界で直ぐには出られなくしてやがる』
マリを追おうとすると弾かれた事に黒いティナは苛立ちを見せた。
『まぁ良いわ……どうせ最後には皆死ぬんだから。 あはははははははははははは!』
真っ白な部屋には黒いティナの笑い声が木霊した。
◆◇◆
「……はっ?! メリーさん! セヴンス!」
意識が戻ったマリは直ぐ様2人を呼ぶ。
「どうされました!」 「ここにいるぜ!」
部屋にメリーが駆け込み、監視の隠し部屋からセヴンスが急ぎ姿を現す。
「詳しくはバレてないけど、ファーストがクロモトを監視してるのが既に知られてる。 さっき見た未来では、ファーストは殺されてた。 今すぐにゴルメディア帝国を脱出します!」
「ファーストが!? ですが、誰がファーストを」
セヴンスの質問にマリはメリーを一瞥してから答えた。
「説明してる時間は無いわ。 とにかく、黒い妖精ティナがクロモトとブラックを従えてる」
メリーは目を見開き、信じたくないと云う表情をしたが直ぐに平常心を取り戻す。
「……分かりました。 では、陛下は私と地下に」
「ダメ! メリーさんは、ファーストの救出に向かって! 黒いティナも未来と違って直ぐに動くと思う。 セヴンスは私とアマンダを連れてドワーフ工房に向かう。 地下で合流しましょう!」
「いけません! 危険過ぎます!!」
反対するメリーの手をマリは掴んだ。
「メリー! 貴女が自慢してくれた部下が危険なの! これは命令です。 必ずファーストを連れて地下に来なさい! 私は誰の死も許さない!! これ以上は死んで欲しくないの」
懇願する様に手を掴むマリを見て、メリーはため息を吐いた。
「分かりました。 セヴンス、必ず陛下をお守りしなさい。 他の皆には連絡しておきます。 ドワーフ達を連れたら直ぐに地下へ向かいなさい。 ドワーフ達の逃走経路は頭に入れてますね?」
「了解です隊長! スィクススが作った逃走経路ならちゃんと頭の中でさぁ! マリ女王陛下、側から絶対に離れるなよ~?」
「よろしくねセヴンス。 アマンダ! 脱出するわよ!」
扉から顔を出したアマンダが慌てる。
「今からですか!? まだお土産にって言われてたカステラ準備できてないですよ?! あ! 少し時間頂けたら買ってきますよ?」
アマンダの気の抜ける質問にメリーは頭を抱え、セヴンスは大笑いした。 かなり緊迫した空気が霧散するのを感じたマリは苦笑いを浮かべるのであった。
黒くなったティナが小さなを前に差し出すと温い風が吹き、距離を放した筈のマリを襲った。
「ティナ! 何で……がっ?」
見えない手に首を掴まれたマリは宙に浮き、必死にもがいた。
『あ~あ……怪しまれない様に他の奴等を殺してからお前を殺そうと思ってたのに。 台無しだけど仕方ないよね……死ね』
黒いティナが差し出した手に力を込めると、更にマリの首が締め付けられる。
「がっ! ……ぐっ!!」
首の骨が軋み、折れる瞬間……マリは解放された。
「がはっ……はぁー! はぁー! 空気が美味しいー!!」
マリがティナを見ると、頭を抱えて苦しんでいた。
『がぁぁぁ! 貴様! まだ意識が……がっ?!』
頭を掻きむしるティナの髪が黒一色から、半分だけ元の金色に戻った。
「ティナ? 大丈夫?!」
状況がまだ理解出来ないマリは思わず苦しむティナに近付こうとする。
『来ないで! マリ、時間が無いの。 帝国から脱出出来たら、はるか北の荒れ果てた大地で闇の精霊を探しなさい!』
正気と思しきティナが叫ぶ。
『ごめんね、あたいが全部悪いの。 だからあたいはもう良い……お願い、エナの願いを叶えて』
ティナが涙を流しながらマリを元の世界へと戻そうとする。
「待ってティナ! 全部って何が!! ティナ!」
意識が遠くに運ばれる感覚に襲われたマリは必死にティナに向かって手を伸ばした。
『頼んだわよ、マリ』
しかし、遂にはマリは真っ白な部屋から消えティナだけが残された。
その直後、金髪の部分はどす黒い色に覆われ可愛らしい顔を憎々しげに歪める。
『がぁぁぁぁぁあ!! クソがぁぁぁ! 逃げられたじゃないの! まさか、アイツが此処まで力を隠してたなんてね。 ちっ……しかも結界で直ぐには出られなくしてやがる』
マリを追おうとすると弾かれた事に黒いティナは苛立ちを見せた。
『まぁ良いわ……どうせ最後には皆死ぬんだから。 あはははははははははははは!』
真っ白な部屋には黒いティナの笑い声が木霊した。
◆◇◆
「……はっ?! メリーさん! セヴンス!」
意識が戻ったマリは直ぐ様2人を呼ぶ。
「どうされました!」 「ここにいるぜ!」
部屋にメリーが駆け込み、監視の隠し部屋からセヴンスが急ぎ姿を現す。
「詳しくはバレてないけど、ファーストがクロモトを監視してるのが既に知られてる。 さっき見た未来では、ファーストは殺されてた。 今すぐにゴルメディア帝国を脱出します!」
「ファーストが!? ですが、誰がファーストを」
セヴンスの質問にマリはメリーを一瞥してから答えた。
「説明してる時間は無いわ。 とにかく、黒い妖精ティナがクロモトとブラックを従えてる」
メリーは目を見開き、信じたくないと云う表情をしたが直ぐに平常心を取り戻す。
「……分かりました。 では、陛下は私と地下に」
「ダメ! メリーさんは、ファーストの救出に向かって! 黒いティナも未来と違って直ぐに動くと思う。 セヴンスは私とアマンダを連れてドワーフ工房に向かう。 地下で合流しましょう!」
「いけません! 危険過ぎます!!」
反対するメリーの手をマリは掴んだ。
「メリー! 貴女が自慢してくれた部下が危険なの! これは命令です。 必ずファーストを連れて地下に来なさい! 私は誰の死も許さない!! これ以上は死んで欲しくないの」
懇願する様に手を掴むマリを見て、メリーはため息を吐いた。
「分かりました。 セヴンス、必ず陛下をお守りしなさい。 他の皆には連絡しておきます。 ドワーフ達を連れたら直ぐに地下へ向かいなさい。 ドワーフ達の逃走経路は頭に入れてますね?」
「了解です隊長! スィクススが作った逃走経路ならちゃんと頭の中でさぁ! マリ女王陛下、側から絶対に離れるなよ~?」
「よろしくねセヴンス。 アマンダ! 脱出するわよ!」
扉から顔を出したアマンダが慌てる。
「今からですか!? まだお土産にって言われてたカステラ準備できてないですよ?! あ! 少し時間頂けたら買ってきますよ?」
アマンダの気の抜ける質問にメリーは頭を抱え、セヴンスは大笑いした。 かなり緊迫した空気が霧散するのを感じたマリは苦笑いを浮かべるのであった。
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