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第81話 ルカのため息
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「あーはっはっはっはっ! 良い見世物見せてもらったよ。 なぁ、エントン王国の代理国王さんよぉ。 私は正直、アンタが何人と結婚しようがどうしようが構わねぇ。 で? この羊皮紙を見せて私等にどうしろってんだ? まさか、本題が僕は2人の女性を妻として嫁がせる初めての男です~って言いたかった訳じゃないんだろうなぁ!?」
ひとしきり笑ったレオン王国の女王は、ルーデウスを睨みつけ恫喝する。 あからさまな誘いにルカがため息を吐いて答えた。
「はぁ……レオン王国の女王陛下、幾ら煽られても母が貴女と殺し合い等はしませんよ?」
そう、レオン王国の女王と云えば殺し合いが好きな戦闘狂で有名だ。 己に嫁がせた夫も多く、産んだ子供も多い。 そして、夫も子供達も皆戦士だった。
そんなレオン王国の女王が母である赤い死神ルニア侯爵と出会えばどうなるか、神童のルカじゃなくても容易に想像できる。
「……ダメなのか? ルカ」
しかし、エントン王国の赤い死神も戦闘狂だった。
レオン王国の女王の誘いにノリノリで殺り合う気満々の姿を見て、ルカは更に深いため息を吐く。
「はぁぁぁぁ………隣の空き部屋でどうぞ。 ただし、怪我は無し死人はもってのほかですよ?」
「やった! よし、殺ろうぜ!」
「ふふ、中々骨のある相手になりそうだ!」
まるで子供が遊べる事に喜ぶ様に2人は獰猛な笑みで隣の空き部屋に走っていった。
「すみません……皆さん」
項垂れるルカをルーデウス達は苦笑いで見ていた。
◆◇◆
暫く隣の空き部屋から轟音が響いた後、レオン王国の女王とルニアが汗だくで戻って来た。
喧嘩したら友になるの精神なのか、肩を組合い長年の親友のようだ。
「すまねぇ! 待たせたな!!」
「申し訳ない、楽しすぎて少し長くなった」
朗らかな笑顔の2人に文句を言う者は居らず、ようやく話し合いが進むとルカは安堵した。
「では、本題を……私は現在のゴルメディア帝国の暴挙を脅威と見ています。 かのキャベル女皇帝は周辺国の小国に手を出さないと考えられていましたが、裏ではキャット王国とドック王国を実質的に隷属させていました」
ルカの説明を渋い顔で女王達は2人の新女王を見る。
「んご! すみませんどす。 質問してもよろしいどすか?」
身体の大きなピッグ共和国の女王が初めて口を開いた。
ピンクの髪にピンクのドレス。 全身ピンク一色だが、それ以前に体格の大きさに目を奪われるだろう。
しかし、その体格は決して脂肪ではない。
ピッグ共和国とは、小国ですら無い国々が寄り添い集まった王国だ。 それゆえに、多くの元女王がピッグ共和国には存在する。 しかし、ピッグ共和国で女王を名乗るには1つの方法しか無かった。 それは、闘技場による勝ち抜きだ。
この女王も元々はピッグの姓では無い。
集落に近い小規模な国の出身であり、素手での格闘術に秀でている一族の族長だった。
そして、各小国闘技会に出場しそのまま圧倒的勝利を収めピッグ共和国の女王を名乗る事となったのだ。
無口だと情報を得ていたルカは一瞬驚くが、直ぐに平常心を取り戻す。
「勿論です、ピッグ共和国の女王陛下」
「んご! 本題とは少し違うどすが、どうしても先に聞かねばならない事があるどす。 公で無いことは承知でエントン王国の代理国王殿とドック王国の女王殿にお聞きするどすが、エントン王国とドック王国は秘密同盟をしておったどすよね? その際に、ドック王国の女王に婿として嫁いだのはエントン王国の代理国王殿の叔父エントン フォル スマスの筈……つまりお二人は親戚どす。 婚姻するのは一族に対する不義で無いどすか?」
ルーデウスとドーラは痛いところをつかれ、知らなかったキャミは驚いた顔で2人を見た。
レオン王国の女王はルニアと見つめあい、ウッド王国の女王は頭を抱え、隣のウルフ王国の代理国王は唸る。
そして、ルカは今日何度目かの深いため息を吐くのであった。
ひとしきり笑ったレオン王国の女王は、ルーデウスを睨みつけ恫喝する。 あからさまな誘いにルカがため息を吐いて答えた。
「はぁ……レオン王国の女王陛下、幾ら煽られても母が貴女と殺し合い等はしませんよ?」
そう、レオン王国の女王と云えば殺し合いが好きな戦闘狂で有名だ。 己に嫁がせた夫も多く、産んだ子供も多い。 そして、夫も子供達も皆戦士だった。
そんなレオン王国の女王が母である赤い死神ルニア侯爵と出会えばどうなるか、神童のルカじゃなくても容易に想像できる。
「……ダメなのか? ルカ」
しかし、エントン王国の赤い死神も戦闘狂だった。
レオン王国の女王の誘いにノリノリで殺り合う気満々の姿を見て、ルカは更に深いため息を吐く。
「はぁぁぁぁ………隣の空き部屋でどうぞ。 ただし、怪我は無し死人はもってのほかですよ?」
「やった! よし、殺ろうぜ!」
「ふふ、中々骨のある相手になりそうだ!」
まるで子供が遊べる事に喜ぶ様に2人は獰猛な笑みで隣の空き部屋に走っていった。
「すみません……皆さん」
項垂れるルカをルーデウス達は苦笑いで見ていた。
◆◇◆
暫く隣の空き部屋から轟音が響いた後、レオン王国の女王とルニアが汗だくで戻って来た。
喧嘩したら友になるの精神なのか、肩を組合い長年の親友のようだ。
「すまねぇ! 待たせたな!!」
「申し訳ない、楽しすぎて少し長くなった」
朗らかな笑顔の2人に文句を言う者は居らず、ようやく話し合いが進むとルカは安堵した。
「では、本題を……私は現在のゴルメディア帝国の暴挙を脅威と見ています。 かのキャベル女皇帝は周辺国の小国に手を出さないと考えられていましたが、裏ではキャット王国とドック王国を実質的に隷属させていました」
ルカの説明を渋い顔で女王達は2人の新女王を見る。
「んご! すみませんどす。 質問してもよろしいどすか?」
身体の大きなピッグ共和国の女王が初めて口を開いた。
ピンクの髪にピンクのドレス。 全身ピンク一色だが、それ以前に体格の大きさに目を奪われるだろう。
しかし、その体格は決して脂肪ではない。
ピッグ共和国とは、小国ですら無い国々が寄り添い集まった王国だ。 それゆえに、多くの元女王がピッグ共和国には存在する。 しかし、ピッグ共和国で女王を名乗るには1つの方法しか無かった。 それは、闘技場による勝ち抜きだ。
この女王も元々はピッグの姓では無い。
集落に近い小規模な国の出身であり、素手での格闘術に秀でている一族の族長だった。
そして、各小国闘技会に出場しそのまま圧倒的勝利を収めピッグ共和国の女王を名乗る事となったのだ。
無口だと情報を得ていたルカは一瞬驚くが、直ぐに平常心を取り戻す。
「勿論です、ピッグ共和国の女王陛下」
「んご! 本題とは少し違うどすが、どうしても先に聞かねばならない事があるどす。 公で無いことは承知でエントン王国の代理国王殿とドック王国の女王殿にお聞きするどすが、エントン王国とドック王国は秘密同盟をしておったどすよね? その際に、ドック王国の女王に婿として嫁いだのはエントン王国の代理国王殿の叔父エントン フォル スマスの筈……つまりお二人は親戚どす。 婚姻するのは一族に対する不義で無いどすか?」
ルーデウスとドーラは痛いところをつかれ、知らなかったキャミは驚いた顔で2人を見た。
レオン王国の女王はルニアと見つめあい、ウッド王国の女王は頭を抱え、隣のウルフ王国の代理国王は唸る。
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