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第80話 ルーデウスの首が跳びかける
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ウルフ王国の代理国王がブチギレ、席を乱暴に立ち上がった。
「ウルフ代理国王、落ち着いて下さい。 此処は話し合いの場です。 貴方は一途な国王として有名でしたから……お怒りの気持ちは分かりますわ」
隣のウッド王国の女王がウルフ代理国王を止めようとするが、ウルフ代理国王の怒りは収まらない。
「男として! 生涯、1人の女性を愛する事が当然だ! 私は先立たれた妻を愛し、妻が愛していた王国を守る為に代理国王となったのだ! だが、貴様は違うだろう? 女王である姉が居なくなった席に座っただけの若造だ! 代理国王を名乗るのもおこがましい! それに、其処の2人の小娘もだ! 2人で男の下に嫁ぐだと?! 恥を知れ恥を!!」
ウルフ代理国王がルーデウスと新女王の2人に向かって罵詈雑言を飛ばし、腰にある剣に手を掛けようとした瞬間。
部屋に居なかった筈の赤い死神、ルニア侯爵が現れ冷たい剣をウルフ代理国王の喉元にあてた。
「動かれませんよう。 もし、動けばこのまま引きます」
ルニア侯爵の目は怒りに満ちている。
会議室の隠し部屋で待機していたルニアは、本気の殺気を感じ瞬時にウルフ代理国王を殺せる様に動いた。
もし止めていなければ、ルーデウスや守ると約束した2人の女王をみすみす死なせる所だったかもしれない。
「母上、落ち着かれよ」
息子のルカに言われ、ルニアは渋々剣を収める。
ルカは騒然とする会議室の中で、唯一平常心であった。 直ぐ側の隠し部屋に人類最強と信じている母が居たのだ。 もしこの場に暗殺者が押し寄せてもルカは優雅に紅茶を飲むだろう。
そんなルカとルニアをレオン王国の女王は獰猛な笑みで見つめていた。
「赤い死神か。 ぬぐ……失礼した。 非礼を詫びよう、エントン王国の代理国王よ」
「私からもお詫びします。 ウルフ代理国王は婚姻の倫理観が凄まじく強い人だと知っていたにも関わらず、止めきれませんでした」
ウルフ代理国王が頭を下げ、ウッド王国の女王も責任があるとし頭を下げた。 ウルフ代理国王は席に座ったが、何時でもルーデウスの首を跳ねられる様に僅かに腰を上げている。
「お二人共、どうか頭をお上げ下さい。 ウルフ代理国王殿、私は確かに貴方がおっしゃるように若造です。 ですが、姉であるマリ女王とエントン王国を救う為なら命すら捨てる覚悟です。 それに、キャミ女王とドーラ女王との婚姻も話が決まってからまだ日が浅く気持ちが追い付いてないのが現実ですが、3国の未来を真剣に悩みこの結論に至りました」
ルーデウスは真摯にウルフ代理国王を見つめ、正直に気持ちを吐露した。
ルーデウスの話を聞いているキャミとドーラは少し不安げだが、黙って隣に座っている。 それが、未来の妻としての矜持だからだ。
「元来……国同士の婚姻に、愛は生まれにくいものだ。 しかし、私は妻を本気で愛し支え続けた。 だからこそ、聞きたい。 本当に、2人の女性を妻とした時。 君は、2人共を幸せにできるのか?」
「分かりません。 ですが、私と共に生きて良かったと思えるよう努力し続けます」
ルーデウスの真っ直ぐな瞳にウルフ代理国王は微かに笑った。
「そちらのキャミ女王殿、ドーラ女王殿。 先程の失言、申し訳なかった。 一応聞かせてくれ、ルーデウス代理国王殿と婚姻を結ぶのは君達の意思かね? それとも、無理矢理か?」
「「本心からなのじゃ」です」
2人の返答を聞いて、僅かに上げた腰を今度こそウルフ代理国王は下ろした。
ルーデウスは顔を赤くし過ぎて左右の2人が心配する程だ。
「ふぅ……やれやれ、時代は変わってるのかもしれんな」
しみじみと呟くウルフ代理国王にウッド王国の女王が小言を発した。
「やれやれじゃないですよ。 話し合いをする場で剣を抜こうとして! もし、この光景を奥様が草葉の陰から見てらしたら離縁ものですわよ?」
泣きそうな顔をするウルフ代理国王を見て、レオン王国の女王はまた腹を抱えて笑い出した。
「ウルフ代理国王、落ち着いて下さい。 此処は話し合いの場です。 貴方は一途な国王として有名でしたから……お怒りの気持ちは分かりますわ」
隣のウッド王国の女王がウルフ代理国王を止めようとするが、ウルフ代理国王の怒りは収まらない。
「男として! 生涯、1人の女性を愛する事が当然だ! 私は先立たれた妻を愛し、妻が愛していた王国を守る為に代理国王となったのだ! だが、貴様は違うだろう? 女王である姉が居なくなった席に座っただけの若造だ! 代理国王を名乗るのもおこがましい! それに、其処の2人の小娘もだ! 2人で男の下に嫁ぐだと?! 恥を知れ恥を!!」
ウルフ代理国王がルーデウスと新女王の2人に向かって罵詈雑言を飛ばし、腰にある剣に手を掛けようとした瞬間。
部屋に居なかった筈の赤い死神、ルニア侯爵が現れ冷たい剣をウルフ代理国王の喉元にあてた。
「動かれませんよう。 もし、動けばこのまま引きます」
ルニア侯爵の目は怒りに満ちている。
会議室の隠し部屋で待機していたルニアは、本気の殺気を感じ瞬時にウルフ代理国王を殺せる様に動いた。
もし止めていなければ、ルーデウスや守ると約束した2人の女王をみすみす死なせる所だったかもしれない。
「母上、落ち着かれよ」
息子のルカに言われ、ルニアは渋々剣を収める。
ルカは騒然とする会議室の中で、唯一平常心であった。 直ぐ側の隠し部屋に人類最強と信じている母が居たのだ。 もしこの場に暗殺者が押し寄せてもルカは優雅に紅茶を飲むだろう。
そんなルカとルニアをレオン王国の女王は獰猛な笑みで見つめていた。
「赤い死神か。 ぬぐ……失礼した。 非礼を詫びよう、エントン王国の代理国王よ」
「私からもお詫びします。 ウルフ代理国王は婚姻の倫理観が凄まじく強い人だと知っていたにも関わらず、止めきれませんでした」
ウルフ代理国王が頭を下げ、ウッド王国の女王も責任があるとし頭を下げた。 ウルフ代理国王は席に座ったが、何時でもルーデウスの首を跳ねられる様に僅かに腰を上げている。
「お二人共、どうか頭をお上げ下さい。 ウルフ代理国王殿、私は確かに貴方がおっしゃるように若造です。 ですが、姉であるマリ女王とエントン王国を救う為なら命すら捨てる覚悟です。 それに、キャミ女王とドーラ女王との婚姻も話が決まってからまだ日が浅く気持ちが追い付いてないのが現実ですが、3国の未来を真剣に悩みこの結論に至りました」
ルーデウスは真摯にウルフ代理国王を見つめ、正直に気持ちを吐露した。
ルーデウスの話を聞いているキャミとドーラは少し不安げだが、黙って隣に座っている。 それが、未来の妻としての矜持だからだ。
「元来……国同士の婚姻に、愛は生まれにくいものだ。 しかし、私は妻を本気で愛し支え続けた。 だからこそ、聞きたい。 本当に、2人の女性を妻とした時。 君は、2人共を幸せにできるのか?」
「分かりません。 ですが、私と共に生きて良かったと思えるよう努力し続けます」
ルーデウスの真っ直ぐな瞳にウルフ代理国王は微かに笑った。
「そちらのキャミ女王殿、ドーラ女王殿。 先程の失言、申し訳なかった。 一応聞かせてくれ、ルーデウス代理国王殿と婚姻を結ぶのは君達の意思かね? それとも、無理矢理か?」
「「本心からなのじゃ」です」
2人の返答を聞いて、僅かに上げた腰を今度こそウルフ代理国王は下ろした。
ルーデウスは顔を赤くし過ぎて左右の2人が心配する程だ。
「ふぅ……やれやれ、時代は変わってるのかもしれんな」
しみじみと呟くウルフ代理国王にウッド王国の女王が小言を発した。
「やれやれじゃないですよ。 話し合いをする場で剣を抜こうとして! もし、この光景を奥様が草葉の陰から見てらしたら離縁ものですわよ?」
泣きそうな顔をするウルフ代理国王を見て、レオン王国の女王はまた腹を抱えて笑い出した。
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