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第55話 冷酷な女王
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メリーの案を聞いたマリが豪華なテーブルで頭を抱えていると、アマンダが帰宅した。
「あ、ありがとうございます。終わりましたので、交代します」
敬礼したアマンダに対し、代わりに見張りをしていた兵士は睨みつける。
「おい、アマンダ技師! てめぇ、先輩である俺を待たせ……ナンデモアリマセン」
アマンダに悪態を付きはじめたが、直ぐに格子にしがみついて鬼の形相をするマリに気付きそそくさと立ち去っていった。
「ふふ……あ、ありがとうございます。陛下」
普段の美少女とはかけ離れた形相のマリを見て、アマンダは思わず笑う。
「アマンダさんは私の部下になったんだから、腹を立てる権利ありますから!」
笑われた事にマリは頬を膨らませ抗議するが、内心では今度こそ守れた事に安堵していた。
「あらあら、陛下の頬がリスになってしまいましたね。 木の実を召し上がりますか?」
「もう!メリーさん!?」
2人のやり取りを見てアマンダはクスクスと笑っていた。 牢屋とは思えない和やかな様子を、姿を隠した妖精ティナが黙って観察しているとも知らずに。
◆◇◆
あれから3人で夕食を食べ、ひと息付いた所でマリがアマンダに話を切り出した。
「ねぇ、アマンダさん。 お願いがあるの」
「な、何なりと陛下。 どんな事でも精一杯やります!」
アマンダの返答を聞いて、マリはメリーの案を進める。
「ドワーフ達の事、どう思ってる?」
マリの問にアマンダは不思議そうに返答した。
「ド、ドワーフさん達ですか? そ、そうですね、凄く頑固で真面目で良い人達だと思います」
「メリーさんから、アマンダさんはドワーフ達と仲良くなったからドワーフ工房の見張りを左遷されたって聞いたんだけど……本当かな?」
「は、はい! 作っていた兵器とかに改善点を見付けて口出しをしてたら……仲良くなりまして」
件の兵器が話題に出た事でマリがメリーに視線を向けると、そのまま話を聞く様に小さく頷いた。
「うんうん、雑談の時にも物作りが好きって言ってたもんね。 それで?」
「は、はい……その改善点をドワーフさん達は凄く喜んで既存の作り方を変えようとした所に工房の責任者に見つかって……左遷されました」
マリはアマンダの考えた改善点とやらが気になったが、それよりも聞くべき事が出来た。
「その責任者って……天才技師?」
「よ、よくご存知ですね。 帝国の出身者でも知る人は少ないのに……流石です。 その天才技師クロモト フォル ナオトがドワーフ工房の責任者であり、各兵器の発明者です」
アマンダの返答にマリは眉をひそめた。
自分と同じ転生者だと思っていた相手が転移者の可能性が出てきたからだ。
「そのクロモトって……黒髪?」
「は、はい」
マリは内心で確信した。
どうやら、この乙女小説で好き勝手している人物は同郷の日本人だろうと。 それも、この世界を知っている筈だ。 そうで無いと、精霊を中世の兵器に詰め込んで動力にするなど幾ら現代知識チートでも不可能だろう。
「メリーさん、アマンダさんにドワーフ達を助ける計画を話して。 状況が変わった……必ずこの帝国から生きて連れ出すよ」
クロモトが何を考えているか不明だが、マリの目標とは絶対に一致しないだろう。
「かしこまりました……陛下」
メリーはマリの瞳を見て身震いをした。
「後、この帝国から脱出する前に各兵器の破壊と図面の焼却。 それと……天才技師クロモトの暗殺も予定しといて」
さらりと言ってのけたマリの瞳は、エントン王国の腐敗女貴族達を処刑させた時と同じ酷く冷たい瞳をしていたから。
「仰せのままに」
「あ、ありがとうございます。終わりましたので、交代します」
敬礼したアマンダに対し、代わりに見張りをしていた兵士は睨みつける。
「おい、アマンダ技師! てめぇ、先輩である俺を待たせ……ナンデモアリマセン」
アマンダに悪態を付きはじめたが、直ぐに格子にしがみついて鬼の形相をするマリに気付きそそくさと立ち去っていった。
「ふふ……あ、ありがとうございます。陛下」
普段の美少女とはかけ離れた形相のマリを見て、アマンダは思わず笑う。
「アマンダさんは私の部下になったんだから、腹を立てる権利ありますから!」
笑われた事にマリは頬を膨らませ抗議するが、内心では今度こそ守れた事に安堵していた。
「あらあら、陛下の頬がリスになってしまいましたね。 木の実を召し上がりますか?」
「もう!メリーさん!?」
2人のやり取りを見てアマンダはクスクスと笑っていた。 牢屋とは思えない和やかな様子を、姿を隠した妖精ティナが黙って観察しているとも知らずに。
◆◇◆
あれから3人で夕食を食べ、ひと息付いた所でマリがアマンダに話を切り出した。
「ねぇ、アマンダさん。 お願いがあるの」
「な、何なりと陛下。 どんな事でも精一杯やります!」
アマンダの返答を聞いて、マリはメリーの案を進める。
「ドワーフ達の事、どう思ってる?」
マリの問にアマンダは不思議そうに返答した。
「ド、ドワーフさん達ですか? そ、そうですね、凄く頑固で真面目で良い人達だと思います」
「メリーさんから、アマンダさんはドワーフ達と仲良くなったからドワーフ工房の見張りを左遷されたって聞いたんだけど……本当かな?」
「は、はい! 作っていた兵器とかに改善点を見付けて口出しをしてたら……仲良くなりまして」
件の兵器が話題に出た事でマリがメリーに視線を向けると、そのまま話を聞く様に小さく頷いた。
「うんうん、雑談の時にも物作りが好きって言ってたもんね。 それで?」
「は、はい……その改善点をドワーフさん達は凄く喜んで既存の作り方を変えようとした所に工房の責任者に見つかって……左遷されました」
マリはアマンダの考えた改善点とやらが気になったが、それよりも聞くべき事が出来た。
「その責任者って……天才技師?」
「よ、よくご存知ですね。 帝国の出身者でも知る人は少ないのに……流石です。 その天才技師クロモト フォル ナオトがドワーフ工房の責任者であり、各兵器の発明者です」
アマンダの返答にマリは眉をひそめた。
自分と同じ転生者だと思っていた相手が転移者の可能性が出てきたからだ。
「そのクロモトって……黒髪?」
「は、はい」
マリは内心で確信した。
どうやら、この乙女小説で好き勝手している人物は同郷の日本人だろうと。 それも、この世界を知っている筈だ。 そうで無いと、精霊を中世の兵器に詰め込んで動力にするなど幾ら現代知識チートでも不可能だろう。
「メリーさん、アマンダさんにドワーフ達を助ける計画を話して。 状況が変わった……必ずこの帝国から生きて連れ出すよ」
クロモトが何を考えているか不明だが、マリの目標とは絶対に一致しないだろう。
「かしこまりました……陛下」
メリーはマリの瞳を見て身震いをした。
「後、この帝国から脱出する前に各兵器の破壊と図面の焼却。 それと……天才技師クロモトの暗殺も予定しといて」
さらりと言ってのけたマリの瞳は、エントン王国の腐敗女貴族達を処刑させた時と同じ酷く冷たい瞳をしていたから。
「仰せのままに」
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