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第19話 亜人解放作戦終了
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「ぷはぁぁーー! アテスさん、このお酒最高! 前にも飲んだけど、一番美味しいよ!」
2杯目の酒を飲み干したマリは顔を赤くし、完全に出来上がっていた。
「ふはは! 人間の女王に褒めて貰えるなんて光栄だよ~マリ女王」
マリの飲みっぷりにアテスやドワーフ達は上機嫌だが、他の亜人達やメリー達は開いた口が塞がらない程に驚いていた。
ヨハネはマリが美味しそうに鬼殺しをクピクピと飲んでいるのを楽しそうに見つめている。
「はっ! マ……マリ陛下! 大丈夫なのですか!?」
ジャックが驚愕から再起動し、メリーはマリの持つ酒を借り匂いを嗅ぐ。
「すんすん……こ、これは……あの晩にキサラギが持ってきたお酒!?」
鬼殺しの匂いにメリーは覚えがあった。
「ふふ……ね? ひくっ……キサラギさんは敵じゃないでしょ? 先を見越して……だよね? ひくっ、キサラギさん」
マリが側に立つ恋人に笑い掛ける。
「ふふ、流石は我が主だ。 魔法の眼鏡を掛けずに私だと認識するとは」
マリの笑顔に照れたヨハネは誤魔化すように懐をまさぐる。
ヨハネが懐から出した眼鏡を掛けると、髪が金髪に変化し雰囲気もいつものキサラギへと戻った。
「「なっ!? キサラギ!」税務管殿!」
驚く2人を見て、マリは不思議に思う。
「いやいや、髪色と眼鏡掛けてないだけじゃん。 ひくっ、普通に見たら分かるでしょ」
「いえ、陛下。 私は先程まで、ヨハネと名乗るエルフをキサラギとは認識出来ませんでしたよ? 」
「ええ……私もです。 税務管殿……説明して頂けますよね?」
ジャックがキサラギに凄むのをマリが慌てて止めに入る。
「ひくっ! 待って待って! ジャック、メリーさん……多分、キサラギさんは私が亜人から何かしら罰を受けるだろうと予測して先回りしたんだと思うから……ひくっ……この場は……ね?」
「……御意」
「分かりました。 とりあえずは……今は不問と致します」
「ありがとう、2人とも。ひくっ、じゃあ、ルルさん……これで、私の罰は終了で良いかな……? ひくっ」
メリーとジャックを嗜め、キサラギやルルの方を見やるとルルがニヤニヤしながらキサラギを肘で小突いていた。
「なんじゃなんじゃ、ヨハネ。 ちっとも帰って来んと思ったら……まさかお前がなぁ。 いやいや、お姉ちゃんは嬉しいんじゃよ?」
「ちょっ! 姉上、勘弁して下さいよ!本当に止めて下さい!」
「あははは、キサラギさんルルさんに弱いんだー! ひくっ!」
マリが困るキサラギを見て爆笑していると、ルルがニヤニヤしながら今度はマリの元へと小走りでやって来た。
「むひひ、のう女王よ。 弟とは何処まですすんだんじゃ? ほれ、言うてみぃ言うてみぃ」
メリーやジャックには聞こえない様に、小声で詰め寄ってくる。
「ぴっ!? メリーさん、ジャック大丈夫だから其処に居て! え、その……なんのお話しでしょうか……?」
マリは誤魔化そうとするが、ルルには通用しなかった。
「ん~? 隠すな隠すな。 誰にも言わんぞ? あの眼鏡はな、儂が作った魔法の眼鏡じゃ。 掛けている時に出会った者は、外している時には本人と認識できんようになっとる。 じゃが……例外があるのじゃ 」
「あまり良い予感はしないのですが……?」
「むふ……両想いの恋仲には効果が出んのじゃよ。 むふふ……あれか? 儂の義妹になるって事じゃから……マリって呼んでええかの? ほれ、可愛い義妹マリよ。義姉に言うてみぃ、何処までいったんじゃ?」
「ちょっ、え?! つまり……その、ひくっ……きゅ~~」 バターンッ!
マリは顔を更に赤くし、そのまま気絶してしまった。
「マリっ?! 姉上、いい加減にして下さい!!」
地面に倒れる寸前にキサラギが受け止める。 メリーとジャックは受け止めに行こうとした途中で何故か硬直する。
「むひひひ、いやぁ~今日は何と良い日か。 そこの従者2人、マリが起きたら伝えて欲しい。 お前の王国がした罪は赦された……今後は良き関係を築ける事を願う。 以上じゃ、さぁ皆のもの里に帰るぞー! 」
「「……必ず、お伝え致します」」
メリーとジャックは気絶させたルルに思うところがあるが、それはマリの望みではないとして飲み込む。
「ふはははは! おい、嬢ちゃんが起きたら伝えてくれ! 今度、鬼人の里に来たら一緒に飲もうとな! 」
ロキはマリの飲みっぷりが余程気に入ったのか、ルル同様に上機嫌で帰って行った。
「ヨハネ兄……マリの事頼む。 これ、酔い冷ましの木の実だ。 もし、マリがしんどそうだったら口に含ませてやってくれ」
ラガンがキサラギに木の実を渡し、獣人達を連れて帰って行く。
「キサラギさん、お世話になりました。 メリーさん、ジャックさん、本当にありがとう。 マリ陛下にもよろしくお伝え下さい」
「マリ様……ありがとう。 またね」
鬼人ルキが丁寧にお辞儀をし、獣人ミケルが気絶しているマリを優しく撫で別れを告げる。
「「2人共、これからはどうか平和に。 元気でね」でな」
メリーとジャックは2人には優しく微笑む。 メリーも既にルキが行った所業を許すぐらいには亜人の2人が気に入っていたのだ。
「ルキ、ミケルちゃん。 旅の途中に話してた事……考えておいてくれ。 気を付けて」
ミケルとルキが仲良く手を繋いで亜人の国に帰って行くのを見送ったキサラギは深くため息を付く。
「はぁ~……2人とも、姉がすまない。 早く我が主を辺境伯の長砦に運びましょう」
キサラギがマリを優しく抱き上げ、2人を帰路に促す。
其処にドワーフのアテスが陽気にやって来た。
「あ、ヨハネ兄さん。 マリ女王が起きたら伝えて~。 帰って来ていない奴隷の多くはドワーフみたいだ。 ……だから、残りの同胞が帰ってくるまでドワーフ達は王国を赦せない。 まぁ、マリ女王の事は皆好きになったみたいなんだけどな~こればっかりは仕方ないかな」
「分かった、助け出せる様に尽力する。 手助けありがとうアテス……助かった」
「なはは~、いいよ~。 ヨハネ兄さんに頼まれたら断れないさ。 じゃあ、またまた~」
アテスはキサラギに手を振りながら帰って行った。
キサラギが腕の中で眠るマリを優しい瞳で見つめた後、辺境伯が待つ長砦へと向かうのであった。
その姿を後ろで見つめるメリーとジャックの表情は暗い。
「ねぇ、ジャック。 さっき陛下を受け止める時の聞いた?」
「あぁ、勿論だ。 確かに税務管殿は敵では無いだろう。 だが……陛下に接する態度。 先程の呼び方……1度しっかりと問いただす必要が有るな」
「えぇ……そうね。 陛下をベットに休ませたら捕らえましょう」
キサラギは知らない。
愛しい恋人をベットに下ろした直後に尋問を受ける事を。
2杯目の酒を飲み干したマリは顔を赤くし、完全に出来上がっていた。
「ふはは! 人間の女王に褒めて貰えるなんて光栄だよ~マリ女王」
マリの飲みっぷりにアテスやドワーフ達は上機嫌だが、他の亜人達やメリー達は開いた口が塞がらない程に驚いていた。
ヨハネはマリが美味しそうに鬼殺しをクピクピと飲んでいるのを楽しそうに見つめている。
「はっ! マ……マリ陛下! 大丈夫なのですか!?」
ジャックが驚愕から再起動し、メリーはマリの持つ酒を借り匂いを嗅ぐ。
「すんすん……こ、これは……あの晩にキサラギが持ってきたお酒!?」
鬼殺しの匂いにメリーは覚えがあった。
「ふふ……ね? ひくっ……キサラギさんは敵じゃないでしょ? 先を見越して……だよね? ひくっ、キサラギさん」
マリが側に立つ恋人に笑い掛ける。
「ふふ、流石は我が主だ。 魔法の眼鏡を掛けずに私だと認識するとは」
マリの笑顔に照れたヨハネは誤魔化すように懐をまさぐる。
ヨハネが懐から出した眼鏡を掛けると、髪が金髪に変化し雰囲気もいつものキサラギへと戻った。
「「なっ!? キサラギ!」税務管殿!」
驚く2人を見て、マリは不思議に思う。
「いやいや、髪色と眼鏡掛けてないだけじゃん。 ひくっ、普通に見たら分かるでしょ」
「いえ、陛下。 私は先程まで、ヨハネと名乗るエルフをキサラギとは認識出来ませんでしたよ? 」
「ええ……私もです。 税務管殿……説明して頂けますよね?」
ジャックがキサラギに凄むのをマリが慌てて止めに入る。
「ひくっ! 待って待って! ジャック、メリーさん……多分、キサラギさんは私が亜人から何かしら罰を受けるだろうと予測して先回りしたんだと思うから……ひくっ……この場は……ね?」
「……御意」
「分かりました。 とりあえずは……今は不問と致します」
「ありがとう、2人とも。ひくっ、じゃあ、ルルさん……これで、私の罰は終了で良いかな……? ひくっ」
メリーとジャックを嗜め、キサラギやルルの方を見やるとルルがニヤニヤしながらキサラギを肘で小突いていた。
「なんじゃなんじゃ、ヨハネ。 ちっとも帰って来んと思ったら……まさかお前がなぁ。 いやいや、お姉ちゃんは嬉しいんじゃよ?」
「ちょっ! 姉上、勘弁して下さいよ!本当に止めて下さい!」
「あははは、キサラギさんルルさんに弱いんだー! ひくっ!」
マリが困るキサラギを見て爆笑していると、ルルがニヤニヤしながら今度はマリの元へと小走りでやって来た。
「むひひ、のう女王よ。 弟とは何処まですすんだんじゃ? ほれ、言うてみぃ言うてみぃ」
メリーやジャックには聞こえない様に、小声で詰め寄ってくる。
「ぴっ!? メリーさん、ジャック大丈夫だから其処に居て! え、その……なんのお話しでしょうか……?」
マリは誤魔化そうとするが、ルルには通用しなかった。
「ん~? 隠すな隠すな。 誰にも言わんぞ? あの眼鏡はな、儂が作った魔法の眼鏡じゃ。 掛けている時に出会った者は、外している時には本人と認識できんようになっとる。 じゃが……例外があるのじゃ 」
「あまり良い予感はしないのですが……?」
「むふ……両想いの恋仲には効果が出んのじゃよ。 むふふ……あれか? 儂の義妹になるって事じゃから……マリって呼んでええかの? ほれ、可愛い義妹マリよ。義姉に言うてみぃ、何処までいったんじゃ?」
「ちょっ、え?! つまり……その、ひくっ……きゅ~~」 バターンッ!
マリは顔を更に赤くし、そのまま気絶してしまった。
「マリっ?! 姉上、いい加減にして下さい!!」
地面に倒れる寸前にキサラギが受け止める。 メリーとジャックは受け止めに行こうとした途中で何故か硬直する。
「むひひひ、いやぁ~今日は何と良い日か。 そこの従者2人、マリが起きたら伝えて欲しい。 お前の王国がした罪は赦された……今後は良き関係を築ける事を願う。 以上じゃ、さぁ皆のもの里に帰るぞー! 」
「「……必ず、お伝え致します」」
メリーとジャックは気絶させたルルに思うところがあるが、それはマリの望みではないとして飲み込む。
「ふはははは! おい、嬢ちゃんが起きたら伝えてくれ! 今度、鬼人の里に来たら一緒に飲もうとな! 」
ロキはマリの飲みっぷりが余程気に入ったのか、ルル同様に上機嫌で帰って行った。
「ヨハネ兄……マリの事頼む。 これ、酔い冷ましの木の実だ。 もし、マリがしんどそうだったら口に含ませてやってくれ」
ラガンがキサラギに木の実を渡し、獣人達を連れて帰って行く。
「キサラギさん、お世話になりました。 メリーさん、ジャックさん、本当にありがとう。 マリ陛下にもよろしくお伝え下さい」
「マリ様……ありがとう。 またね」
鬼人ルキが丁寧にお辞儀をし、獣人ミケルが気絶しているマリを優しく撫で別れを告げる。
「「2人共、これからはどうか平和に。 元気でね」でな」
メリーとジャックは2人には優しく微笑む。 メリーも既にルキが行った所業を許すぐらいには亜人の2人が気に入っていたのだ。
「ルキ、ミケルちゃん。 旅の途中に話してた事……考えておいてくれ。 気を付けて」
ミケルとルキが仲良く手を繋いで亜人の国に帰って行くのを見送ったキサラギは深くため息を付く。
「はぁ~……2人とも、姉がすまない。 早く我が主を辺境伯の長砦に運びましょう」
キサラギがマリを優しく抱き上げ、2人を帰路に促す。
其処にドワーフのアテスが陽気にやって来た。
「あ、ヨハネ兄さん。 マリ女王が起きたら伝えて~。 帰って来ていない奴隷の多くはドワーフみたいだ。 ……だから、残りの同胞が帰ってくるまでドワーフ達は王国を赦せない。 まぁ、マリ女王の事は皆好きになったみたいなんだけどな~こればっかりは仕方ないかな」
「分かった、助け出せる様に尽力する。 手助けありがとうアテス……助かった」
「なはは~、いいよ~。 ヨハネ兄さんに頼まれたら断れないさ。 じゃあ、またまた~」
アテスはキサラギに手を振りながら帰って行った。
キサラギが腕の中で眠るマリを優しい瞳で見つめた後、辺境伯が待つ長砦へと向かうのであった。
その姿を後ろで見つめるメリーとジャックの表情は暗い。
「ねぇ、ジャック。 さっき陛下を受け止める時の聞いた?」
「あぁ、勿論だ。 確かに税務管殿は敵では無いだろう。 だが……陛下に接する態度。 先程の呼び方……1度しっかりと問いただす必要が有るな」
「えぇ……そうね。 陛下をベットに休ませたら捕らえましょう」
キサラギは知らない。
愛しい恋人をベットに下ろした直後に尋問を受ける事を。
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