17 / 231
第17話 亜人解放 その3
しおりを挟む
(い……1年間奴隷として奉仕しろ!? 無理じゃね……? 既に1ヶ月近く経過してるから……私が死ぬまで11ヵ月しか無いじゃん!!)
「ルルさん……出来れば違うのに……変更って可能ですか?」
恐る恐るルルに問うと、素っ気ない答えが返ってきた。
「ふむ……では、手っ取り早く死刑が良いか?」
「「なっ!?」」
ルルの言葉にメリーとジャックが反応し、マリを庇い守る。
「あはは……そうだよね。 そりゃ、当然か~……ん~、でもなぁ」
マリが必死に思考を巡らせている間、ルルはマリがどういう人間なのか図ろうとしていた。
「なんじゃ……我が儘じゃな。 では、その従者2人を奴隷として働かせるか?」
「ダメ!! それは、絶対にヤダ!」
間髪入れずに断るマリをルルは目を見開いて驚いていた。
「何故じゃ……人間の女王よ。 その2人が奴隷として1年間奉仕するだけじゃぞ?」
ルルの言い分は最もであり、慈悲深い判決と言える。
しかし、マリは許容する事は出来なかった。
「2人は私の大切なメイド長と執事です! 奴隷になんて、絶対にさせない!」
「「陛下……」」
「よくもまぁ……ぬけぬけと。 先にお前達が我等の同胞を奴隷なんぞにしたのであろうが!! 恥を知れ!」
「それはごめんっ! 本当に申し訳ない! でも、これとそれは別! 罰なら、私が受ける。 でも、1年間奉仕は出来ない! 私には……私には……」
「……? なんじゃ??」
(不味い、本当にどうする? どうする私! このままじゃ、私が奴隷か死刑か……2人が奴隷にされる!)
ルルは怪訝な顔をし、ロキは苛立ち、アテスは何が楽しいのかずっとニヤニヤと笑っていた。
そして、マリが葛藤している最中ラガンが鼻を鳴らしマリから漂う懐かしい匂いに反応する。
「ガルル……? すんすん、あれ? マリから知ってる匂いする」
「む……? 誰の匂いじゃ? 元奴隷にお主が知ってる亜人が……」
「「待って!」くれ!」
ルルがラガンに言いかけた時、マリ達の後ろから2人の亜人が駆けてきた。
「お兄ちゃん……マリ様、私を助けてくれたの! お願いだから、苛めないで」
マリの前にミケルとルキが立ちはだかる。
「ミケルちゃん、ルキ?! 危ないよ……って、お兄ちゃん??」
「ミケル!? お前……本当にミケルなのか? まさか……いぎでだなんで……うっ……ぐす、マリ……ありがどう。 ミケルは俺の妹だ」
ラガンが咽び泣きながら、ミケルを撫で回す。
(あ……えーーー!? そうなの? じゃあ、ミケルちゃんは……猫耳だけど獅子獣人なのか! うん、可愛い!)
「兄貴、ラガン兄ちゃん。 マリ陛下は俺達の恩人なんだ。 許してやって欲しい!」
ルキが両手を広げ、マリを庇う。
その瞳は、絶対に譲らないと赤く燃えていた。
ラガンが泣きながらルキを見る。
「ルキ……ありがとうな。 ミケルを守ってくれたんだな」
ラガンがルキの事も撫で回す。
直ぐ側にロキも近寄り、久し振りに再開した弟を褒める。
「ふん……俺様の弟なんだから当然だ。 よく生きていたな……ルキ。なっ!? ……お前、角はどうした!?」
ロキは目を見開き、ラガンは唸った。
「ガルルル……人間に折られたか?」
「違う。 奴隷商人に見つからないように……自分で折った。 ミケルと生き残る為に必要だったんだ」
ロキは跪き、ルキを強く抱きしめた。
「そうか……そうか……流石、俺様の弟だ。 頑張ったな、よく頑張ったな……よく、妹分のミケルを守ったな」
兄と再開し、久し振りに褒められ抱きしめられたルキの頬を涙が伝う。
「うぐっ……ひぐっ……うん、ちゃんと約束守ったよ兄貴。 でも、マリ陛下が助けてくれなかったらどうなってたか分からない。 だから、俺とミケルはマリ陛下の味方をするよ」
族長代理のロキに、ルキはハッキリと己の想いを伝える。
鬼人族では、族長の意見は絶対だ。
文句を言う事すらタブーとされている。
それでも、族長代理の自分にハッキリと言ってきた弟をロキは愛おしくて堪らなかった。
(ぐす……良かったねルキ。 ミケルちゃん、お兄ちゃんに会えて良かったね。 ルキも俺様兄貴に会えて良かったね……)
マリは状況に付いていけてなかったが、ミケルとルキが家族に会えたのが嬉しくて涙が止まらない。
メリーとジャックは警戒をしながらも、知っている2人が家族に再開出来たのが嬉しく頬が緩んでいる。
亜人達も感動の再開に涙していたが、唯一エルフの族長ルルやエルフ達は面白くない顔で様子を見守っていた。
ロキが立ち上がり、後方の鬼人達に叫ぶ。
「良い顔だ……男になったなルキ。……分かった。 よし、てめぇら! よく聞け!! 俺達、鬼人は嬢ちゃんを許す! 今後、報復する事は許さねぇ! 肝に命じろ!!」
「「「「「おうっ!!」」」」」
多くの鬼人達が返事をする様は圧巻だ。
ラガンも獣人達に叫ぶ。
「ガァァァァッ!! 俺達もだ、同胞の獣人達よ! 妹を、同胞を返してくれたマリに感謝すれこそ報復は許さない! 文句があるなら、俺の所に来い!!」
「「「「「アォーーーンッ!!」」」」
獣人達は了解の意を込めて、天に向かって雄叫びを上げる。
鬼人と獣人が人間の女王を許した事を皮切りに、マリ達の後方に居た元奴隷の亜人達も家族の元へと駆け始めた。
笑顔で抱き合う亜人達を見てマリは大満足だ。
「うんうん……頑張って良かった~。 ありがとう、メリーさん、ジャック」
「「御身の身心のままに、陛下」」
「よし、帰ろっか。 お邪魔しました~!」
(なんか分かんないけど、今なら誤魔化せて帰れそう! とりあえず一旦撤退ーー!!!)
マリがそそくさと長砦に帰ろうとすると、後ろからルルに呼び止められた。
「いや、いやいや! お主、何を帰ろうとしとるんじゃ! まだお主の判決を決めとらんぞ!!」
「…………ちっ、やっぱりダメか」
「ルルさん……出来れば違うのに……変更って可能ですか?」
恐る恐るルルに問うと、素っ気ない答えが返ってきた。
「ふむ……では、手っ取り早く死刑が良いか?」
「「なっ!?」」
ルルの言葉にメリーとジャックが反応し、マリを庇い守る。
「あはは……そうだよね。 そりゃ、当然か~……ん~、でもなぁ」
マリが必死に思考を巡らせている間、ルルはマリがどういう人間なのか図ろうとしていた。
「なんじゃ……我が儘じゃな。 では、その従者2人を奴隷として働かせるか?」
「ダメ!! それは、絶対にヤダ!」
間髪入れずに断るマリをルルは目を見開いて驚いていた。
「何故じゃ……人間の女王よ。 その2人が奴隷として1年間奉仕するだけじゃぞ?」
ルルの言い分は最もであり、慈悲深い判決と言える。
しかし、マリは許容する事は出来なかった。
「2人は私の大切なメイド長と執事です! 奴隷になんて、絶対にさせない!」
「「陛下……」」
「よくもまぁ……ぬけぬけと。 先にお前達が我等の同胞を奴隷なんぞにしたのであろうが!! 恥を知れ!」
「それはごめんっ! 本当に申し訳ない! でも、これとそれは別! 罰なら、私が受ける。 でも、1年間奉仕は出来ない! 私には……私には……」
「……? なんじゃ??」
(不味い、本当にどうする? どうする私! このままじゃ、私が奴隷か死刑か……2人が奴隷にされる!)
ルルは怪訝な顔をし、ロキは苛立ち、アテスは何が楽しいのかずっとニヤニヤと笑っていた。
そして、マリが葛藤している最中ラガンが鼻を鳴らしマリから漂う懐かしい匂いに反応する。
「ガルル……? すんすん、あれ? マリから知ってる匂いする」
「む……? 誰の匂いじゃ? 元奴隷にお主が知ってる亜人が……」
「「待って!」くれ!」
ルルがラガンに言いかけた時、マリ達の後ろから2人の亜人が駆けてきた。
「お兄ちゃん……マリ様、私を助けてくれたの! お願いだから、苛めないで」
マリの前にミケルとルキが立ちはだかる。
「ミケルちゃん、ルキ?! 危ないよ……って、お兄ちゃん??」
「ミケル!? お前……本当にミケルなのか? まさか……いぎでだなんで……うっ……ぐす、マリ……ありがどう。 ミケルは俺の妹だ」
ラガンが咽び泣きながら、ミケルを撫で回す。
(あ……えーーー!? そうなの? じゃあ、ミケルちゃんは……猫耳だけど獅子獣人なのか! うん、可愛い!)
「兄貴、ラガン兄ちゃん。 マリ陛下は俺達の恩人なんだ。 許してやって欲しい!」
ルキが両手を広げ、マリを庇う。
その瞳は、絶対に譲らないと赤く燃えていた。
ラガンが泣きながらルキを見る。
「ルキ……ありがとうな。 ミケルを守ってくれたんだな」
ラガンがルキの事も撫で回す。
直ぐ側にロキも近寄り、久し振りに再開した弟を褒める。
「ふん……俺様の弟なんだから当然だ。 よく生きていたな……ルキ。なっ!? ……お前、角はどうした!?」
ロキは目を見開き、ラガンは唸った。
「ガルルル……人間に折られたか?」
「違う。 奴隷商人に見つからないように……自分で折った。 ミケルと生き残る為に必要だったんだ」
ロキは跪き、ルキを強く抱きしめた。
「そうか……そうか……流石、俺様の弟だ。 頑張ったな、よく頑張ったな……よく、妹分のミケルを守ったな」
兄と再開し、久し振りに褒められ抱きしめられたルキの頬を涙が伝う。
「うぐっ……ひぐっ……うん、ちゃんと約束守ったよ兄貴。 でも、マリ陛下が助けてくれなかったらどうなってたか分からない。 だから、俺とミケルはマリ陛下の味方をするよ」
族長代理のロキに、ルキはハッキリと己の想いを伝える。
鬼人族では、族長の意見は絶対だ。
文句を言う事すらタブーとされている。
それでも、族長代理の自分にハッキリと言ってきた弟をロキは愛おしくて堪らなかった。
(ぐす……良かったねルキ。 ミケルちゃん、お兄ちゃんに会えて良かったね。 ルキも俺様兄貴に会えて良かったね……)
マリは状況に付いていけてなかったが、ミケルとルキが家族に会えたのが嬉しくて涙が止まらない。
メリーとジャックは警戒をしながらも、知っている2人が家族に再開出来たのが嬉しく頬が緩んでいる。
亜人達も感動の再開に涙していたが、唯一エルフの族長ルルやエルフ達は面白くない顔で様子を見守っていた。
ロキが立ち上がり、後方の鬼人達に叫ぶ。
「良い顔だ……男になったなルキ。……分かった。 よし、てめぇら! よく聞け!! 俺達、鬼人は嬢ちゃんを許す! 今後、報復する事は許さねぇ! 肝に命じろ!!」
「「「「「おうっ!!」」」」」
多くの鬼人達が返事をする様は圧巻だ。
ラガンも獣人達に叫ぶ。
「ガァァァァッ!! 俺達もだ、同胞の獣人達よ! 妹を、同胞を返してくれたマリに感謝すれこそ報復は許さない! 文句があるなら、俺の所に来い!!」
「「「「「アォーーーンッ!!」」」」
獣人達は了解の意を込めて、天に向かって雄叫びを上げる。
鬼人と獣人が人間の女王を許した事を皮切りに、マリ達の後方に居た元奴隷の亜人達も家族の元へと駆け始めた。
笑顔で抱き合う亜人達を見てマリは大満足だ。
「うんうん……頑張って良かった~。 ありがとう、メリーさん、ジャック」
「「御身の身心のままに、陛下」」
「よし、帰ろっか。 お邪魔しました~!」
(なんか分かんないけど、今なら誤魔化せて帰れそう! とりあえず一旦撤退ーー!!!)
マリがそそくさと長砦に帰ろうとすると、後ろからルルに呼び止められた。
「いや、いやいや! お主、何を帰ろうとしとるんじゃ! まだお主の判決を決めとらんぞ!!」
「…………ちっ、やっぱりダメか」
17
お気に入りに追加
204
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる