16 / 231
第16話 亜人解放 その2
しおりを挟む
「ですから陛下! そうでなくて、 税務管殿は信用出来ませぬ!」
「え? なして??」
ジャックの警告にマリは首を傾げる。
「いや……ですから、突然と消えたのですよ? 亜人側のスパイだったという可能性だって……」
「ジャック、それは無いよ」
キッパリと言いきるマリに、ジャックは何も言えなくなってしまった。
「マリ陛下……キサラギを推薦した私が悪いのですが、警戒すべきです!」
「あはは……メリーさん、大丈夫だよ。 キサラギさんは悪い人じゃない……私は信じてる。 絶対に大丈夫……きっと私達の為に動いてるんだと思う」
後方の亜人達を見る。
長旅の道中、元奴隷の亜人達を励まし全員を此処まで連れて来れたのは間違いなくキサラギのお陰なのをマリは知っていた。
マリと2人っきりになろうとせず、亜人達を纏める事に終始努めてくれた。
そんな彼をマリが疑う筈が無かった。
「マリ陛下……いえ、分かりました。 陛下がそう仰るなら今は不問と致します」
「ですが、陛下に害をもたらすなら……私達は税務管殿の事を処分せねばなりません」
「ありがとうメリーさん。 怖いよジャック。 でも、ありがとう……大丈夫だよ」
そして、遂に亜人達の目の前まで到着した。
(ふー……さ~て、頑張りますか! 目標は、和睦。 最低……殺されない事かな。 まだ、ルーたんに王国を任せるタイミングじゃないからね)
多くの亜人達に睨まれながら、マリはメリーからお酒を受け取りささっと飲み干す。
「く~……けぷ。 えっと、こんにちはーーーーー!!!!」
マリのすっとんきょうな挨拶にその場に居る全員が肩透かしを食らった。
「陛下……ふふ」
「マリ陛下……もっと女王らしくお願いしますよ!! 何ですか、こんにちはー!って!! 一国の女王がですね! そんな事では――ガミガミガミガミ」
「ごめんっ! ごめんごめん! こ、こほん! 私はエントン王国44代目女王のエントンフォルマリと申します! 通達している通り、先代の女王がした事への謝罪と奴隷にされていた皆さんをお連れしました! この度は本当にすみませんでしたぁぁぁーーーー!!!」
前世のOL時代に培った、斜め45度の完璧なお辞儀で謝罪をする。
(どう!? これ、完璧な謝罪じゃね!?)
マリは完璧だと思っていたが、残念ながら両脇のメリーとジャックは苦笑いだった。
亜人側もざわつき、困惑していた様だが暫くしてマリの前に4人の亜人が歩いてきた。
「ふん……儂はエルフを束ねる族長のキサラギ フォル ルルじゃ。お前が何を企んでおるか分からぬが……同胞を還してくれる事一応感謝しよう」
1人目は緑色の綺麗な髪をしたエルフだ。 見た目は少女だが、その貫禄と喋り方で年齢が予想よりかなり上だと思わせる。
(うお……めちゃくちゃ可愛い! さすが乙姫先生……本編に関わりの薄いキャラもしっかり考えてるー! あれ? でも……キサラギ??)
「ガルルル……くんくん、お前……良い奴の臭いする。 俺、お前嫌いじゃない。 俺は族長代理のラガンだ 」
2人目は茶髪の猫耳獣人だ。 美形で野性的な男獣人だが、何よりマリはラガンの名前に反応していた。
近付いて鼻を鳴らすラガンからメリーとジャックが必死に守るが力が強くて押し退けれない。
(ぎゃーー!主人公逆ハーレムの1人、獅子獣人のラガンだー! 早速遭遇しちゃったんですけどーー!? っていうか、近い! 近い近い! 匂い嗅いでる?! ちょっ、セクハラーーー!!)
「ちっ、おいラガン! 女にそういう事すんなっていつも言ってんだろが! 悪いな嬢ちゃん。 俺様は鬼人のロキ、こいつと同じく族長代理をしてる。 まぁ、よろしくな」
獅子獣人ラガンをマリから強引に引き剥がしたのは3人目の亜人、赤髪に長い1本の角が生えたイケメンだ。
(にょえーーー!? 乙女小説人気ランキング3位の赤髪ロキだー!! 勿論1位はルーたんだよーー!! どうしよう、既に2人目じゃん!)
「ふはは! 騒がしくてすまんな、人間の女王さん。 俺はアテス、見ての通りドワーフだよ~ん。 不服な事に族長代理を務めさせられてる……よろしくね~ん!」
4人目は、ルーデウスよりも背が低く子供のようなドワーフだ。
黒髪に褐色の肌がとても似合う美少年だ。
(ドワーフの英雄……アテスまで……終わった。 変に機嫌を損ねたら殺される……だって、この人達乙女小説の本編で主人公達と魔王討伐するのよ? むーりー! むーりー! イケメンばっかりだけど、小説でよく知ってるからこそむーりー!)
マリが内心でびびり散らしているのを知らずに、亜人達はあーだこーだと話し合っている。
「よし! 決まったぞ!! 唯一族長の儂が判決を下そうぞ!」
エルフのルルがマリの前に出て偉そうに話し出す。
「えっと……判決、ですか?」
息を飲み込み、ルルの返答を待つ。
「人間の女王マリよ……そなたに対する判決は……奴隷として1年間の奉仕!!」
「え? えぇぇぇぇぇぇ!!?」
「え? なして??」
ジャックの警告にマリは首を傾げる。
「いや……ですから、突然と消えたのですよ? 亜人側のスパイだったという可能性だって……」
「ジャック、それは無いよ」
キッパリと言いきるマリに、ジャックは何も言えなくなってしまった。
「マリ陛下……キサラギを推薦した私が悪いのですが、警戒すべきです!」
「あはは……メリーさん、大丈夫だよ。 キサラギさんは悪い人じゃない……私は信じてる。 絶対に大丈夫……きっと私達の為に動いてるんだと思う」
後方の亜人達を見る。
長旅の道中、元奴隷の亜人達を励まし全員を此処まで連れて来れたのは間違いなくキサラギのお陰なのをマリは知っていた。
マリと2人っきりになろうとせず、亜人達を纏める事に終始努めてくれた。
そんな彼をマリが疑う筈が無かった。
「マリ陛下……いえ、分かりました。 陛下がそう仰るなら今は不問と致します」
「ですが、陛下に害をもたらすなら……私達は税務管殿の事を処分せねばなりません」
「ありがとうメリーさん。 怖いよジャック。 でも、ありがとう……大丈夫だよ」
そして、遂に亜人達の目の前まで到着した。
(ふー……さ~て、頑張りますか! 目標は、和睦。 最低……殺されない事かな。 まだ、ルーたんに王国を任せるタイミングじゃないからね)
多くの亜人達に睨まれながら、マリはメリーからお酒を受け取りささっと飲み干す。
「く~……けぷ。 えっと、こんにちはーーーーー!!!!」
マリのすっとんきょうな挨拶にその場に居る全員が肩透かしを食らった。
「陛下……ふふ」
「マリ陛下……もっと女王らしくお願いしますよ!! 何ですか、こんにちはー!って!! 一国の女王がですね! そんな事では――ガミガミガミガミ」
「ごめんっ! ごめんごめん! こ、こほん! 私はエントン王国44代目女王のエントンフォルマリと申します! 通達している通り、先代の女王がした事への謝罪と奴隷にされていた皆さんをお連れしました! この度は本当にすみませんでしたぁぁぁーーーー!!!」
前世のOL時代に培った、斜め45度の完璧なお辞儀で謝罪をする。
(どう!? これ、完璧な謝罪じゃね!?)
マリは完璧だと思っていたが、残念ながら両脇のメリーとジャックは苦笑いだった。
亜人側もざわつき、困惑していた様だが暫くしてマリの前に4人の亜人が歩いてきた。
「ふん……儂はエルフを束ねる族長のキサラギ フォル ルルじゃ。お前が何を企んでおるか分からぬが……同胞を還してくれる事一応感謝しよう」
1人目は緑色の綺麗な髪をしたエルフだ。 見た目は少女だが、その貫禄と喋り方で年齢が予想よりかなり上だと思わせる。
(うお……めちゃくちゃ可愛い! さすが乙姫先生……本編に関わりの薄いキャラもしっかり考えてるー! あれ? でも……キサラギ??)
「ガルルル……くんくん、お前……良い奴の臭いする。 俺、お前嫌いじゃない。 俺は族長代理のラガンだ 」
2人目は茶髪の猫耳獣人だ。 美形で野性的な男獣人だが、何よりマリはラガンの名前に反応していた。
近付いて鼻を鳴らすラガンからメリーとジャックが必死に守るが力が強くて押し退けれない。
(ぎゃーー!主人公逆ハーレムの1人、獅子獣人のラガンだー! 早速遭遇しちゃったんですけどーー!? っていうか、近い! 近い近い! 匂い嗅いでる?! ちょっ、セクハラーーー!!)
「ちっ、おいラガン! 女にそういう事すんなっていつも言ってんだろが! 悪いな嬢ちゃん。 俺様は鬼人のロキ、こいつと同じく族長代理をしてる。 まぁ、よろしくな」
獅子獣人ラガンをマリから強引に引き剥がしたのは3人目の亜人、赤髪に長い1本の角が生えたイケメンだ。
(にょえーーー!? 乙女小説人気ランキング3位の赤髪ロキだー!! 勿論1位はルーたんだよーー!! どうしよう、既に2人目じゃん!)
「ふはは! 騒がしくてすまんな、人間の女王さん。 俺はアテス、見ての通りドワーフだよ~ん。 不服な事に族長代理を務めさせられてる……よろしくね~ん!」
4人目は、ルーデウスよりも背が低く子供のようなドワーフだ。
黒髪に褐色の肌がとても似合う美少年だ。
(ドワーフの英雄……アテスまで……終わった。 変に機嫌を損ねたら殺される……だって、この人達乙女小説の本編で主人公達と魔王討伐するのよ? むーりー! むーりー! イケメンばっかりだけど、小説でよく知ってるからこそむーりー!)
マリが内心でびびり散らしているのを知らずに、亜人達はあーだこーだと話し合っている。
「よし! 決まったぞ!! 唯一族長の儂が判決を下そうぞ!」
エルフのルルがマリの前に出て偉そうに話し出す。
「えっと……判決、ですか?」
息を飲み込み、ルルの返答を待つ。
「人間の女王マリよ……そなたに対する判決は……奴隷として1年間の奉仕!!」
「え? えぇぇぇぇぇぇ!!?」
16
お気に入りに追加
204
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる