真巨人転生~腹ペコ娘は美味しい物が食べたい~

秋刀魚妹子

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第206話 八咫烏のアタ

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 (どうか、このお祖父ちゃん八咫烏が空を自由に飛べてますように……。 鑑定)

 ネルは永遠に眠る白い八咫烏に手を合わせ、鑑定を使用した。

 ステータス画面

 種族 八咫烏王神 ヤタ

 年齢 360

 レベル 489

 HP 0/400000

 FP  100000/100000

 攻撃力 250000

 防御力 150000

 知力 400000

 速力 500000

 スキル 飛行LvMax. 隠密LvMax. 風耐性LvMax. 雷耐性LvMax. 魔物食らい. 魔物殺し. 大物食い. 群れを率いし者. 王に到達せし者. 大陸を渡りし王. 八咫烏の王. 亜神に到達せし者. 知恵を蓄えし者. 名を与えられし者. 敗北者 

 魔法 風魔法LvMax. 雷魔法LvMax

 戦技 嘴突貫LvMax. 切り裂きLvMax. 音速飛行LvMax

 状態異常 死亡

 (このお祖父ちゃん八咫烏……ヤタって名前なのね。 それに、凄いステータス……。 何時ぞやに私を攫った飛竜に比べたら雲泥の差ね)

 ネルは八咫烏王神ヤタのステータスを確認しながら唸る。

 (大陸を渡りし王? 他に大陸があるなんてお祖父ちゃんは言ってなかったよね……どういう事?)

 スキル欄に目を通し、気になる項目を見ていると鑑定の急かす声が頭の中に響いた。

 «――名付け。 ネル、気掛かりは沢山あるかと思いますが今は名付けをどうするか優先すべきです»

 (え? でも……うーん、分かったわよ。 でも……何か私に隠してないでしょうね?)

 «――黙秘»

 (はぁ……? ったく、何よそれ。 まぁ良いわよ……いい名前が思い付いたから)

 ネルは待っている八咫烏の下に四つん這いで近付く。

 「お待たせ、貴方のお父さんはヤタって名前なんだね」

 新しい長となった八咫烏は目を見開いて驚く。

 「カァー!? な、何故父の名を?! 俺以外には話していない筈ですが……」

 「細かい事は良いの! だからね……名前を決めました。 気に入るかどうかは知らないけど……名前はアタでどうかな? お父さんの名前ヤタをもじってアタ。 私が知ってる神話で八咫烏をアタとも呼んでたらしくて、神の使いらしいよ」

 ネルは前世の朧気な記憶を探り、自身では良いセンスだと思える名前を伝えた。

 「カァァ……アタ。 父の名に似ている……それに、神の使い! 気に入りましたネル様! 俺はアタ!! アタだーーー!」

 アタは嬉しそうに飛び立ち、そのまま群れの上空を旋回しながら自身の名前を叫んだ。

 「「「「カァァァァァァァァ!!」」」」

 それを聞いた八咫烏達は新たな長誕生を祝うように鳴き声を上げた。

 「ふふ、喜んでもらえたなら良かったよ」

 «――鑑定。 ネル、アタを鑑定してみてはどうですか?»

 (ん? あぁ、そうだね鑑定してなかったし名前が付いたか観とかないと……鑑定!)

 ステータス画面

 種族 八咫烏王 アタ

 年齢 66 

 レベル 101

 HP 58000/58000

 FP  25000/25000

 攻撃力 33000

 防御力 20000 

 知力 11000 

 速力 75000

 スキル 飛行Lv6. 隠密Lv6. 風耐性Lv4. 雷耐性Lv4. 魔物食らい. 魔物殺し. 大物食い. 群れを率いし者(new). 王に到達せし者(new). 八咫烏の王(new). 名を与えられし者(new)

 魔法 風魔法Lv3. 雷魔法Lv2

 戦技 嘴突貫Lv4. 切り裂きLv4. 音速飛行Lv1

 状態異常 なし

 (うん、ちゃんと名前が付いてる! それにヤタに比べたら可愛らしいステータスだけど、やっぱりそれなりに強いね)

 ネルはアタの名前を確認し、ちゃんと名付けができたのだと安堵した。

 ◆◇◆

 「へへ、流石ネルの姉御でさぁ!」

 「え~? それほどでも……えへへ」

 ネルはキュウベイと共にモロがゴブリン王国への手紙を書き終えるのを待っていた。

 「ワフ、これで友は理解し君達を受け入れてくれるだろう」

 皮袋に直接書き終えた手紙をモロはアタの前へと置く。

 「カァァ! かたじけない、森狼王殿。 世話になる以上、我等八咫烏はゴブリン王国を守護すると約束しよう」

 「クフクフ、よろしく頼むよ」

 アタはネルの方と近付き頭を下げる。

 「カァァ、ネル様。 父ヤタの埋葬、心より感謝します」

 「別にいいよ。 本意では無いけど、八咫烏達は私に仕えるんでしょ? なら、私の身内だもん。 気にしないで」

 「カァァ、父ヤタの検眼は正しかったです。 俺は当初、奴等を屠るのは無理だとネル様達を侮っていた。 だが、今は己を恥じるばかりです。 ネル様、キュウベイ殿、森狼王殿。 本当に感謝します」

 アタが3本ある足で皮袋を持つと、他の八咫烏達も飛び立ち始めた。

 「気にしないでいいってば。 ゴブリン王国に着いたら皆の事お願いね。 食べ物は魔物や動物を狩ればある筈だから」

 「アタ殿、ネルの姉御の事は俺が必ず守りやす。 姉御の大切なゴブリン王国をお願いしやす!」

 「ガウッ! 方角を守れば巨大な城が見える筈さ。 また会おう、新しき友よ!」

 「カァァー! 我等が主ネル様。 もし、我等の羽が必要とあらば主の印を掲げて下さい! 直ぐに駆け付け、御身の力となります! それでは、暫しの別れですが御武運を!!」

 アタは飛び立ち、群れを率いてゴブリン王国へと飛び去った。

 「さて、お腹も空いたし早く旅を再開しよっか~」

 「そうですね、流石にお腹が空いてしょうがないです」

 「クフクフ、ポイズンスネーク達が荒らした縄張りを出たら直ぐに何か食べれるさ。 さぁ、行こう!」

 ネル達も巨大な岩山を降り、旅を再開したのであった。
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