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第六章 赤髪のクウネル編

第185話 話の続きと祖父の正体

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 ◆黒髪のクウSide◆  

 「あ、続きを話す前にお昼の準備しちゃうわね~♪」

 「分かった~、じゃあ私はそれまでテレビでもう1人の私の様子でも見てるか」

 クウは居間のテレビをつけ、映し出された映像を見た。

 「って、ちょっと! それ、私が食べる予定だったゴブリンの料理とちゃいますの?!」

 「クウちゃーん? 大丈夫ー?」

 テレビには、大きな器に盛られたゴブリン汁を食べている所が映し出されクウは変な口調でキレた。

 「大丈夫じゃないよ! 私のなのにー! この泥棒猫ーーー!」

 「あらあら、そのセリフを生で聞けるなんてお母さん驚きだわ~♪ はい、出来たわよ~?」

 キレ散らかすクウの目の前には特大の焼肉丼が置かれ、クウの怒りは一瞬で霧散した。

 「いやっほぉー! 焼肉丼だー! 特大だー! いただきまーす!!」

 「はい、どうぞ~♪ あ、お話しの続きもしたいからテレビは消すわね~?」

 「うん、特に危険も無さそうだし良いよ。 ん! 美味い!」

 母はテレビの音量が0になっていたのを確認し、笑みを浮かべてからそっとテレビを消した。

 「ふふ♪ 美味しいなら何よりよ~♪ じゃあ、食べながら聞いてね……

 ◆◇◆

 ……七欲の邪神達が、身代わりを創って体力の回復を企んだ所からね。

 と言っても、その時には戦争で2柱滅んでいたの。

 だから、正確には五欲の邪神ね。

 生き残っていたのは、強欲、色欲、嫉妬、怠惰、暴食の5柱だけ。

 傲慢は最高神の手で滅び、憤怒は……私の夫は、多くの軍神や武神を滅ぼしながら逃げずに戦い抜きそのまま滅びたの。

 (夫ってことは……私のお父さん?)

 そうね、結果的にはクウちゃんのお父さんね。

 お父さんの名前は憤怒の邪神、サタヌスよ。

 私とサタヌスは邪神に堕ちる前から友神だったけど、堕ちた時の出来事で恋に落ちたの。

 (堕ちて落ちたのね、かーっ! 上手い! 座布団1枚!!)

 ふふっ♪ はいはい、照れない照れない。

 (……ぐはっ?! 両親の馴れ初めを聞く身にもなってよ!)

 で、神同士は愛し合っても子供は産まれないの。

  そういう生き物であり、定め。

 だから、私は身代わりを皆と創る時にサタヌスの魂の欠片を混ぜて創ったの。

 2柱の子供となるように願いを込めて。

 (お母さん……恥ずいんですけど。 焼肉丼うっま!)

 ふふっ♪ ごめんなさいね。

 でも、伝えたかったの。

 貴女が身代わりとしてではなく、愛されて生み出された事を……。

 (もぐもぐ……うん。 あれ? でも、私を身代わりにしてないならお母さんの傷は? 大丈夫なの?)

 え? 勿論大丈夫じゃないわよ?

 (大丈夫じゃないの?!)

 そうね、どうせだから話しちゃってもいいかな? 実はお母さんは本体じゃないの。

 (……どういうこと?)

 私は、クウちゃんの中に眠っていた本体のコピーなの。

 クウちゃんにイレギュラーな事が発生した時に目覚めたバックアップ的な存在っていうのかな……?

 (じゃあ、本体のお母さんは……?)

 そうね……この姿を見る限りは、地球の日本で女子中学生でもしてたのかしら?

 魂に刻まれた傷は癒えてないけど、一応は無事だと思う。

 目覚めた時に本体から私に情報が送られて、本体の状態に合わせた姿になるようにプログラムしてたから。

 (だからお母さん若いのね。 ってことは、お母さんはずっと地球で転生してるってこと?)

 ふふっ、クウネルちゃんは賢いわね。

 そうよ、地球の転生のシステムに組み込まれて人間として生きる。

 それが、亡命した時の取り引きだったのよ。

 (取り引き? 誰と?)

 地球の創造神よ。

 取り引きをあの神が守ったなら、クウちゃんを育ててくれた筈なのだけれど……。

 (まさか、前世のお祖父ちゃんが……? 嘘でしょ? 孫にゾウさんぱおーんぱおーんしてたあの前爺が?!)

 ◆◇◆
 
 「そう、そのお祖父ちゃんが……プッ! ごめんなさい、ぷぷっ! ぱおーんって、ぱおーんって! ごめんなさい無理、無理無理っ! 」

 母は話しを中断し、笑いを耐えきれずに床を転げ回りながら笑い始める。

 そして、クウは前世の祖父が地球の創造神だった事の衝撃が大き過ぎて焼肉丼を頬張る途中で固まるのであった。
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