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第五章 ゴブリン王国復興編
第160話 娘は神になりました
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癒しの族長達が聖木の葉を採りに向かい暫く時間が経った頃、台所から暴食の邪神が大きな丼を2つ持って戻って来た。
「クウちゃ~ん、超特盛大海老天丼出来たわよ~♪」
「お母さん?! 台所に行ってると思ったら超特盛大海老天丼作ってたの!? こっちはまだピンチなんだけど??」
「あら~、まだ戻って来てないの? ……糞遅いわね。 まぁ、どっちでもいいか」
暴食の邪神にとって大切なのは黒髪のクウネルだけなのか、酷く冷たい声色で小さく呟く。
「お母さん……? あ、いや、ゴブリン達は小さいから、足が遅いんだよ。 って、何それ! 滅茶苦茶美味しそうやん!!」
テレビの前に置いてある小さなテーブルの上に大きな丼が置かれ、中には美味しそうな海老天が山のように積まれていた。
「……ぁぁ、良い匂いぃ。 とりあえず……食べ――って、ダメダメ! キュウベイがピンチなんだから!」
光に誘われる虫のように、クウネルはフラフラと天丼に吸い寄せられそうになったが間一髪の所で正気を取り戻す。
「あ、そうだ~クウちゃん。 そのキュウベイをさっき身内って言ってたわよね? どういう意味かしら~? どんな関係なの?」
暴食の邪神がニッコリと笑うと、何故かテレビにノイズが走り電灯がチカチカと点滅し始した。
更に、居間の四隅にある闇から黒い何かが這い出ようと蠢いているのを目の端で確認する。
「ひぇっ……あ、あぁそっか、お母さんは知らないのか。 あれだよ? キュウベイは恋人とかそんなんじゃないからね? この間、眷属にしたの。 だから、キュウベイは身内で家族」
自分にどれだけ優しくても、目の前に居るのは邪神なのだと再認識したクウネルは急いで事情を説明した。
すると、居間で起きていた異常は全て消え去りテレビの画面も鮮明に映し出される。
「……眷属? クウちゃん、眷属を作れるのは神しかいない筈なのだけれど……?」
「だから私、亜神になったんだよ。 暴食の女巨神なんだってさ。 ちなみに赤髪の私は何でか、ただの女巨神になってたけどね」
クウネルの説明に暴食の邪神は首を傾げる。
「クウネルちゃんが……亜神?」
「お母さん、大丈夫? なんか色々思考が停止してるけど」
「待って、え? クウちゃん、もう亜神になったの!? 巨人に転生してから二年とちょっとよね? もう?! あ、ぁ、えっと……それなら話が変わるな」
暴食の邪神は何やら考え込み、答えが出たのか口を開いた。
「ん~……とりあえずそのキュウベイ君を助ける? このままだと、あのゴブリン達が戻ってくる前にキュウベイ君は確実に死んで呪を撒き散らす存在になっちゃうわね。 代わりにクウちゃんが向こうに戻れるのかなり時間掛かる事になっちゃうけど」
クウネルは天丼に目が釘付けだったが、暴食の邪神の言葉に目を見開く。
「本当に!? いいよ! 戻るのが遅くなっても良いから、キュウベイを助けて!」
クウネルは自身が戻れるのが遅くなる事など天秤にも賭けずに、即座にキュウベイを助ける事を選択した。
その様子を見て、暴食の邪神は嬉しそうに微笑んだ。 何かを企んでいるのではと勘ぐってしまうほどに良い笑顔だったが、それにクウネルは気付かない。
「ふふ、なら決まりね♪ じゃあ、少し頭に触れるわね? クウちゃんが神で、そのキュウベイ君が眷属ならお母さんが干渉出来るから♪」
暴食の邪神がクウネルの頭に優しく触れる。
「くふっ! 少しくすぐったい」
「はいはい、動かないでね~。 よし、じゃあキュウベイ君から死体化の呪いを食べるから、クウちゃんはキュウベイ君が怖がらない様に話し掛けててくれる? 頭の中で話せば良いだけだから。 ほら、いつもスキルのあの娘と話してるみたいに」
説明されたクウネルは大人しく頭の中で会話を試みる事にした。
「ほいほ~い、鑑定さんと話す感じだね。 ん~……?」
(うぐぐぐ……姉御を心配させる訳には。 癒しの族長殿、どうか姉御だけでも……ぐ?! 何だ、身体が……何かに食われてる様な……)
「お、キュウベイの声だ。 キュウベイ! 聴こえる?」
(ぐぐ……あ、姉御?! いったい何処から!?)
クウネルの頭の中にキュウベイの声が聞こえ、クウネルはそのまま会話を試みる。
「きこえ、きこえ、聴こえますか? 今、私、姉御はキュウベイの心の中に直接話し……ごめん、冗談言ってる場合じゃないよね」
(心の中に直接……? 流石は姉御です! それよりご無事なんですか!?)
「ご無事なんですか!? じゃない、この馬鹿たれ! 赤髪の私を助ける手助けになったとはいえ、無茶して!! 見てたんだからね!!」
クウネルはキュウベイを叱る。 その間にも、暴食の邪神はクウネルの頭に手を置いたまま何やら口をモゴモゴと動かしていた。 恐らく、キュウベイの呪いを食べているのだろう。
(す、すいやせん……! ですが……)
「ですがも、ヘチマも無い! 私より先に死ぬなって約束したでしょ?」
(へい……。 すいやせん姉御……でもご無事で良かったです。 赤髪の姉御は助かる可能性はありやすが……俺はもう)
キュウベイの声が途切れかけたその時、暴食の邪神が手を退けた。
「けぷっクウちゃん終わったわよ~♪」
「お母さんグッジョブ! キュウベイ、もう大丈夫だよ。 私のお母さんが、キュウベイに掛かってた呪いは食べてくれたから」
(へ……? あ、本当です! 身体が、身体が動きやす! 姉御の母君、感謝致しやす!!)
「あはは、分かった。 伝えとく。 それより、私は当分戻れないけど赤髪の私をよろしくね?」
(へい! 必ずお守り致します。 姉御もどうか、ご無事で。 お帰りをお待ちしておりやす)
「ありがと。 でも、次また無茶したら怒るからね?」
(承知しやした! あ! 赤髪の姉御も呪いは消えてるんですか? まだ苦しそうなんですが……)
クウネルはすっかり忘れていた赤髪の事を思い出し、どうするか悩む。
「ふふっ、ついでにあの娘も治す? クウちゃんが神になってるなら、繋がってるあの娘の呪いも食べれるわよ?」
暴食の邪神からの提案にクウネルは思案する。
「因みに、このまま放置したら危険かな?」
「ん~……巨神だし、まだ大丈夫よ? まぁ、かなりの激痛だろうけど」
「そっか……決めた。 今回の事はあの赤髪が早く鑑定さんを頼らなかったからだし。 よし、反省させよう。 精々、痛みに耐えるといい! キュウベイ聴こえる? 赤髪の私は助けれないから動ける様になったなら聖木の葉を取りに行ってあげて」
(了解です! 直ぐに行ってきます!)
「ん、よろしくね~。 じゃあ、またね」
クウネルはキュウベイとの交信を終わり、ソファに座った。
「赤髪の私は放置で良いよお母さん。 どうせ治ったキュウベイが直ぐに聖木の葉を取ってくるから」
「あら~、分かったわ♪ じゃあ、問題も解決したし。 食べましょっか~」
「まぁ、大丈夫だよね。 マンドラゴラも抜いたのが有るし。 それより、この超特盛大海老天丼を食べなきゃ! 最早、躊躇う事も無し! いっただきまーーす!」
クウネルは美味しそうに天丼を口に運ぶのであった。
「クウちゃ~ん、超特盛大海老天丼出来たわよ~♪」
「お母さん?! 台所に行ってると思ったら超特盛大海老天丼作ってたの!? こっちはまだピンチなんだけど??」
「あら~、まだ戻って来てないの? ……糞遅いわね。 まぁ、どっちでもいいか」
暴食の邪神にとって大切なのは黒髪のクウネルだけなのか、酷く冷たい声色で小さく呟く。
「お母さん……? あ、いや、ゴブリン達は小さいから、足が遅いんだよ。 って、何それ! 滅茶苦茶美味しそうやん!!」
テレビの前に置いてある小さなテーブルの上に大きな丼が置かれ、中には美味しそうな海老天が山のように積まれていた。
「……ぁぁ、良い匂いぃ。 とりあえず……食べ――って、ダメダメ! キュウベイがピンチなんだから!」
光に誘われる虫のように、クウネルはフラフラと天丼に吸い寄せられそうになったが間一髪の所で正気を取り戻す。
「あ、そうだ~クウちゃん。 そのキュウベイをさっき身内って言ってたわよね? どういう意味かしら~? どんな関係なの?」
暴食の邪神がニッコリと笑うと、何故かテレビにノイズが走り電灯がチカチカと点滅し始した。
更に、居間の四隅にある闇から黒い何かが這い出ようと蠢いているのを目の端で確認する。
「ひぇっ……あ、あぁそっか、お母さんは知らないのか。 あれだよ? キュウベイは恋人とかそんなんじゃないからね? この間、眷属にしたの。 だから、キュウベイは身内で家族」
自分にどれだけ優しくても、目の前に居るのは邪神なのだと再認識したクウネルは急いで事情を説明した。
すると、居間で起きていた異常は全て消え去りテレビの画面も鮮明に映し出される。
「……眷属? クウちゃん、眷属を作れるのは神しかいない筈なのだけれど……?」
「だから私、亜神になったんだよ。 暴食の女巨神なんだってさ。 ちなみに赤髪の私は何でか、ただの女巨神になってたけどね」
クウネルの説明に暴食の邪神は首を傾げる。
「クウネルちゃんが……亜神?」
「お母さん、大丈夫? なんか色々思考が停止してるけど」
「待って、え? クウちゃん、もう亜神になったの!? 巨人に転生してから二年とちょっとよね? もう?! あ、ぁ、えっと……それなら話が変わるな」
暴食の邪神は何やら考え込み、答えが出たのか口を開いた。
「ん~……とりあえずそのキュウベイ君を助ける? このままだと、あのゴブリン達が戻ってくる前にキュウベイ君は確実に死んで呪を撒き散らす存在になっちゃうわね。 代わりにクウちゃんが向こうに戻れるのかなり時間掛かる事になっちゃうけど」
クウネルは天丼に目が釘付けだったが、暴食の邪神の言葉に目を見開く。
「本当に!? いいよ! 戻るのが遅くなっても良いから、キュウベイを助けて!」
クウネルは自身が戻れるのが遅くなる事など天秤にも賭けずに、即座にキュウベイを助ける事を選択した。
その様子を見て、暴食の邪神は嬉しそうに微笑んだ。 何かを企んでいるのではと勘ぐってしまうほどに良い笑顔だったが、それにクウネルは気付かない。
「ふふ、なら決まりね♪ じゃあ、少し頭に触れるわね? クウちゃんが神で、そのキュウベイ君が眷属ならお母さんが干渉出来るから♪」
暴食の邪神がクウネルの頭に優しく触れる。
「くふっ! 少しくすぐったい」
「はいはい、動かないでね~。 よし、じゃあキュウベイ君から死体化の呪いを食べるから、クウちゃんはキュウベイ君が怖がらない様に話し掛けててくれる? 頭の中で話せば良いだけだから。 ほら、いつもスキルのあの娘と話してるみたいに」
説明されたクウネルは大人しく頭の中で会話を試みる事にした。
「ほいほ~い、鑑定さんと話す感じだね。 ん~……?」
(うぐぐぐ……姉御を心配させる訳には。 癒しの族長殿、どうか姉御だけでも……ぐ?! 何だ、身体が……何かに食われてる様な……)
「お、キュウベイの声だ。 キュウベイ! 聴こえる?」
(ぐぐ……あ、姉御?! いったい何処から!?)
クウネルの頭の中にキュウベイの声が聞こえ、クウネルはそのまま会話を試みる。
「きこえ、きこえ、聴こえますか? 今、私、姉御はキュウベイの心の中に直接話し……ごめん、冗談言ってる場合じゃないよね」
(心の中に直接……? 流石は姉御です! それよりご無事なんですか!?)
「ご無事なんですか!? じゃない、この馬鹿たれ! 赤髪の私を助ける手助けになったとはいえ、無茶して!! 見てたんだからね!!」
クウネルはキュウベイを叱る。 その間にも、暴食の邪神はクウネルの頭に手を置いたまま何やら口をモゴモゴと動かしていた。 恐らく、キュウベイの呪いを食べているのだろう。
(す、すいやせん……! ですが……)
「ですがも、ヘチマも無い! 私より先に死ぬなって約束したでしょ?」
(へい……。 すいやせん姉御……でもご無事で良かったです。 赤髪の姉御は助かる可能性はありやすが……俺はもう)
キュウベイの声が途切れかけたその時、暴食の邪神が手を退けた。
「けぷっクウちゃん終わったわよ~♪」
「お母さんグッジョブ! キュウベイ、もう大丈夫だよ。 私のお母さんが、キュウベイに掛かってた呪いは食べてくれたから」
(へ……? あ、本当です! 身体が、身体が動きやす! 姉御の母君、感謝致しやす!!)
「あはは、分かった。 伝えとく。 それより、私は当分戻れないけど赤髪の私をよろしくね?」
(へい! 必ずお守り致します。 姉御もどうか、ご無事で。 お帰りをお待ちしておりやす)
「ありがと。 でも、次また無茶したら怒るからね?」
(承知しやした! あ! 赤髪の姉御も呪いは消えてるんですか? まだ苦しそうなんですが……)
クウネルはすっかり忘れていた赤髪の事を思い出し、どうするか悩む。
「ふふっ、ついでにあの娘も治す? クウちゃんが神になってるなら、繋がってるあの娘の呪いも食べれるわよ?」
暴食の邪神からの提案にクウネルは思案する。
「因みに、このまま放置したら危険かな?」
「ん~……巨神だし、まだ大丈夫よ? まぁ、かなりの激痛だろうけど」
「そっか……決めた。 今回の事はあの赤髪が早く鑑定さんを頼らなかったからだし。 よし、反省させよう。 精々、痛みに耐えるといい! キュウベイ聴こえる? 赤髪の私は助けれないから動ける様になったなら聖木の葉を取りに行ってあげて」
(了解です! 直ぐに行ってきます!)
「ん、よろしくね~。 じゃあ、またね」
クウネルはキュウベイとの交信を終わり、ソファに座った。
「赤髪の私は放置で良いよお母さん。 どうせ治ったキュウベイが直ぐに聖木の葉を取ってくるから」
「あら~、分かったわ♪ じゃあ、問題も解決したし。 食べましょっか~」
「まぁ、大丈夫だよね。 マンドラゴラも抜いたのが有るし。 それより、この超特盛大海老天丼を食べなきゃ! 最早、躊躇う事も無し! いっただきまーーす!」
クウネルは美味しそうに天丼を口に運ぶのであった。
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