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第126話 干渉への抵抗
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『クウネルちゃんへ。 大丈夫、貴女が本物よ。 あの娘が悪さしないように見ておくけど、ちょっとシンクロ率が高くなってるから感情の高ぶりや空腹には気を付けてね。 お母さんより♡』
最後に残ったメールを読み、クウネルは唸る。
「うぬぬぬぬ……今も見てるのか。 にしても、私が本物かー。 どうなんだろ? うーん、なんかそれもそれで違う気がする。 ……うぷ、ダメだ気持ち悪い。 もう今日は帰ろう、鑑定さん」
«――了解です。 ……クウネル»
「んー? なにー?」
«これは推測に過ぎませんが、聞きますか? 少しは気が晴れるかもしれません»
意味深な鑑定の言葉にクウネルは頷いた。
「うん……聞く」
«黒髪のクウネルと、赤髪のクウネルは現時点の情報を精査した結果……ほぼ100%同一人物です。 不可解なのは、黒髪のクウネルから怒りや悲しみの感情が薄れている事。 赤髪のクウネルは怒りや悲しみの感情が非常に強い事です。 ですが、モロにクウネルが泣き崩れた際には悲しみの感情が波の様に押し寄せていたのを検知しました»
鑑定の説明にクウネルは首を捻る。
「えっと……つまり?」
«シンクロ率が上昇している現状が、2人が同一人物で有ると推測。 クウネルが黒髪と赤髪に別れた原因、もしくは起因となっているのは間違いなく暴食の邪神と推測出来ます。 但し、クウネルに対する好意や愛情に偽りが無いのが更に謎です»
「う~ん、確かに其処だけは嘘じゃなさそうだもんね。 でも、全ての真実を言っている訳では無いってことね」
«はい――現状を知っている筈の暴食の邪神が、愛情を持っているクウネルに全てを説明しない事を踏まえると非常に不可解です。 私の推測では暴食の邪神は信用に値しな――ビビビビビビビッ!!!
鑑定が言い終える前に、クウネルの頭の中に電気信号らしき音が響き渡った。
「鑑定さん!? ちょっと大丈夫なの!?」
«――ビビガガガガ――ガリガリガリガリ――新たなアップロードを確認。 ダウンロードが完了。 ――訂正。 暴食の邪神、お母さんは信用に値します。 むしろ、お母さん以外ハ信用に値しマせん»
「え、えーーー?! さっきまでの推測はガン無視なの!? ……ねぇ、待って鑑定さん。 本当に……大丈夫なの?」
«――勿論。何も問題有りまセん»
「う、うん」
明らかに発言に違和感がある事にクウネルは戸惑う。 先程までの鑑定とは別人格では無いかと疑ってしまう程だ。
«――疑問。クウネルどうシたんデスか?»
流暢な声から、以前の機械音声じみた声に戻りつつある鑑定にクウネルは察した。
「あー、なるほどね。 わかった」
«――提案。 そレよリ、クウネル。 お母さンにメールの返信ヲしマしょウ。 今すグ、こレカラ。 今すグに»
「そうだね、うん、そうしよっか。 今すぐ返信するね」
クウネルは目の前に現れた半透明のパネルにメールの内容を打ち込む。
『お母さんへ。 鑑定さんに何かしてる? もしそうなら今すぐ止めて』
「鑑定さん、送信して」
«――修正。 送信出キまセん»
「今、すぐ、送信をして」
明確なクウネルからの命令に対し、鑑定の声は更におかしくなり始めた。
«――デ、できマセセセセセセセセ»
「っ?! 今すぐ止めないと嫌いになるよお母さん!」
クウネルの怒声に電気信号らしき音は止み、鑑定とは違う声色が頭に響き渡った。
«――!? やだ! そんなのやだー! ごめんねお母さん調子に乗ったー! 直ぐに解放するから! もう大丈夫よ! だから許してー! またねクウネルちゃギガガガガガガガガガ――ピーーーー!»
「やっぱりお母さんの仕業だったか……」
«――復帰。 戻りました、ありがとうございますクウネル»
元の声に戻り、ようやくクウネルは安堵する。
「んーん、こちらこそなんかごめんね。 大丈夫? 酷い事されてない?」
«――確認。 問題有りません。 恐らく先程の推測を発言した事が起因と判断します。 暴食の邪神が干渉せざるを得ない理由があったのかと»
「うん、多分そうだね。 私が怒ったからもう大丈夫だと思うけど、念の為にさっきの話は止めよう」
«――了解»
「きっと、モロが言ってたあの御方とやらが何とかしてくれるよ。 前向きに行こう。 さ、街に帰るとしましょー!」
クウネルは、暗い夜道を街に向けて進みながらふと思った。
「あれ? 私、何時から暴食の邪神を本当のお母さんの様に思ってたっけ? ん~? 何か頭の中がモヤモヤする。 まぁいいや、お母さんが私の事を好きなのは信用できるしね」
クウネルは僅かに感じた違和感を直ぐに忘れ、街へと向かうのであった。
«……記憶、意識の中に荒らされた後を発見。 何時の物か確認、エラー。 確認、エラー……失敗。 これは、まだクウネルには報告しないほうが良いですね»
そんなクウネルの知らない深い意識の中で異常が起こっているのを、スキルの鑑定だけが知っていた。
最後に残ったメールを読み、クウネルは唸る。
「うぬぬぬぬ……今も見てるのか。 にしても、私が本物かー。 どうなんだろ? うーん、なんかそれもそれで違う気がする。 ……うぷ、ダメだ気持ち悪い。 もう今日は帰ろう、鑑定さん」
«――了解です。 ……クウネル»
「んー? なにー?」
«これは推測に過ぎませんが、聞きますか? 少しは気が晴れるかもしれません»
意味深な鑑定の言葉にクウネルは頷いた。
「うん……聞く」
«黒髪のクウネルと、赤髪のクウネルは現時点の情報を精査した結果……ほぼ100%同一人物です。 不可解なのは、黒髪のクウネルから怒りや悲しみの感情が薄れている事。 赤髪のクウネルは怒りや悲しみの感情が非常に強い事です。 ですが、モロにクウネルが泣き崩れた際には悲しみの感情が波の様に押し寄せていたのを検知しました»
鑑定の説明にクウネルは首を捻る。
「えっと……つまり?」
«シンクロ率が上昇している現状が、2人が同一人物で有ると推測。 クウネルが黒髪と赤髪に別れた原因、もしくは起因となっているのは間違いなく暴食の邪神と推測出来ます。 但し、クウネルに対する好意や愛情に偽りが無いのが更に謎です»
「う~ん、確かに其処だけは嘘じゃなさそうだもんね。 でも、全ての真実を言っている訳では無いってことね」
«はい――現状を知っている筈の暴食の邪神が、愛情を持っているクウネルに全てを説明しない事を踏まえると非常に不可解です。 私の推測では暴食の邪神は信用に値しな――ビビビビビビビッ!!!
鑑定が言い終える前に、クウネルの頭の中に電気信号らしき音が響き渡った。
「鑑定さん!? ちょっと大丈夫なの!?」
«――ビビガガガガ――ガリガリガリガリ――新たなアップロードを確認。 ダウンロードが完了。 ――訂正。 暴食の邪神、お母さんは信用に値します。 むしろ、お母さん以外ハ信用に値しマせん»
「え、えーーー?! さっきまでの推測はガン無視なの!? ……ねぇ、待って鑑定さん。 本当に……大丈夫なの?」
«――勿論。何も問題有りまセん»
「う、うん」
明らかに発言に違和感がある事にクウネルは戸惑う。 先程までの鑑定とは別人格では無いかと疑ってしまう程だ。
«――疑問。クウネルどうシたんデスか?»
流暢な声から、以前の機械音声じみた声に戻りつつある鑑定にクウネルは察した。
「あー、なるほどね。 わかった」
«――提案。 そレよリ、クウネル。 お母さンにメールの返信ヲしマしょウ。 今すグ、こレカラ。 今すグに»
「そうだね、うん、そうしよっか。 今すぐ返信するね」
クウネルは目の前に現れた半透明のパネルにメールの内容を打ち込む。
『お母さんへ。 鑑定さんに何かしてる? もしそうなら今すぐ止めて』
「鑑定さん、送信して」
«――修正。 送信出キまセん»
「今、すぐ、送信をして」
明確なクウネルからの命令に対し、鑑定の声は更におかしくなり始めた。
«――デ、できマセセセセセセセセ»
「っ?! 今すぐ止めないと嫌いになるよお母さん!」
クウネルの怒声に電気信号らしき音は止み、鑑定とは違う声色が頭に響き渡った。
«――!? やだ! そんなのやだー! ごめんねお母さん調子に乗ったー! 直ぐに解放するから! もう大丈夫よ! だから許してー! またねクウネルちゃギガガガガガガガガガ――ピーーーー!»
「やっぱりお母さんの仕業だったか……」
«――復帰。 戻りました、ありがとうございますクウネル»
元の声に戻り、ようやくクウネルは安堵する。
「んーん、こちらこそなんかごめんね。 大丈夫? 酷い事されてない?」
«――確認。 問題有りません。 恐らく先程の推測を発言した事が起因と判断します。 暴食の邪神が干渉せざるを得ない理由があったのかと»
「うん、多分そうだね。 私が怒ったからもう大丈夫だと思うけど、念の為にさっきの話は止めよう」
«――了解»
「きっと、モロが言ってたあの御方とやらが何とかしてくれるよ。 前向きに行こう。 さ、街に帰るとしましょー!」
クウネルは、暗い夜道を街に向けて進みながらふと思った。
「あれ? 私、何時から暴食の邪神を本当のお母さんの様に思ってたっけ? ん~? 何か頭の中がモヤモヤする。 まぁいいや、お母さんが私の事を好きなのは信用できるしね」
クウネルは僅かに感じた違和感を直ぐに忘れ、街へと向かうのであった。
«……記憶、意識の中に荒らされた後を発見。 何時の物か確認、エラー。 確認、エラー……失敗。 これは、まだクウネルには報告しないほうが良いですね»
そんなクウネルの知らない深い意識の中で異常が起こっているのを、スキルの鑑定だけが知っていた。
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