真巨人転生~腹ペコ娘は美味しい物が食べたい~

秋刀魚妹子

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第20話 絶望

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 クウネルがそんな覚悟を決めていることなど露知らず、飛竜は黙々と何処かへ向けて飛行を続けていた。

 どうやら、クウネルを直ぐに食べるつもりでは無いようだ。

 直ぐに食べるなら、わざわざ拉致する必要が無い事に気付いたクウネルは一旦落ち着き冷静になる。

 (さて、私が出来る事は何だろう。 村は既に遥か彼方、じーじの事すらもう見えないぐらい魔の森の奥地へと向かっている。 っていうか、飛ぶスピードめっさ早いね、さすが飛竜。 あ、そうだ私には鑑定が有るじゃないか!)

 自身のチートスキルを思い出し、飛竜に向けて行う。

 (少しでも敵の情報を得る事は、戦闘では初歩の初歩なのに! 前世のゲーマーをしていた頃の私だったら、絶対にしないミスだ。 まぁ、ゲームと実戦は全然違うんですけどね~。 ほい、鑑定!!)

 クウネルは飛竜に目掛けて鑑定を発動させた。

 「え?! 痛あぁっ!!」

 すると、今までは感じた事の無い頭痛がクウネルを襲う。


 ステータス画面

 種族 フォレスト ビッグ ワイバーン
 年齢 49
 レベル 99
 HP 7434/8800
 FP 3000/3000
 攻撃力 13000
 防御力 6000
 知力 2000
 速力 20000
 スキル 竜鱗Lv8. 飛行LvMax. 火耐性Lv9. 魔物食らい. 魔物殺し. 大物食い. 亜人食い. 高みに到達せし者
 魔法 火炎LvMax
 戦技 爪連撃Lv4.噛み付きLv5.尻尾回転撃Lv3
 状態異常 負傷小.出血小

 (わーお、これ何て無理ゲー? なるへそ、魔物のステータス表示は仕様が違うのね。 名前も無いし、加護も項目が無い。 って、そんな事は良いのよ。 え? 強すぎじゃない? 私、初めての実戦ですよ? じーじと比べたら雑魚ですけど、私のステータスこれだからね?)

 クウネルは自身にも鑑定を発動し、鑑定結果にため息を吐く。

 ステータス画面

 名前 クウネル
 年齢 1
 職業 戦士見習い
 種族 ベビージャイアント
 レベル 1
 HP 349/350
 FP 20/20
 攻撃力 160+1000
 防御力 20
 知力 15
 速力 50
 スキル 鑑定Lv2(up).???? ???? 
 魔法 無し
 戦技 叩き割りLv1.槍突きLv1
 状態異常 飢餓
 加護 ??? 巨神の愛し子

 (はぁ~…ね? 無理でしょ? って、鑑定のレベルが上がってる!? 何で?! 毎日家の家具やら外の木や石を鑑定しまくっても一回も上がらなかったのに!)

 バサバサと飛竜の翼が音を立てながら飛行を続ける中、クウネルは何故鑑定のレベルが上がったか考察する。

 (あれか、さっき飛竜に鑑定した時に受けた頭痛か? なるへそね、まだ検証が必要だけど……魔物を鑑定したら経験値が入る感じかな? で、自分より強い個体の鑑定をしたから一気に経験値が入ってレベルが上がった。 予想としては、こんなもんだね。 さてさて、Lv2になった鑑定さん。 君は何が出来るんだい?)

 クウネルは、とりあえず表示されてる自身のステータス画面をタッチしまくる。 自称創造神の糞爺の所で、種族やら魔法や戦技の種類が見えた時の様に表示されないかと試しているのだ。

 (おっ! ビンゴ!! スキルと戦技の鑑定が出来るようになってる! 魔法は持って無いから、何も見れないんですけどね。 まずは、鑑定Lv2から見てみよう)

  『鑑定Lv2 対象を鑑定出来る Lvが上がれば 世界の全てを 鑑定出来るようになる』

 (うん、良くわからん。 戦技も見ておこっか)

 『叩き割りLv1  斧の扱いに少し馴れると覚える初歩の技 普通に振り下ろすよりは多少強く剣や槌でも代用可』

 『槍突きLv1  槍の扱いに少し馴れると覚える初歩の技 普通に突くよりは 会心になりやすい 槍専用 』

 クウネルは詳しい鑑定結果を確認した後、余裕の笑みを見せる。

 (オーケー、オーケー。 まぁ、私なんてこの世界に産まれてまだ2年来てませんから。 こんなもんですから。 これから、最強巨人JK伝説が始まりますから。 よし、飛竜のスキルも見ておこっかな~ほい、鑑定!!)

 飛竜のステータスが表示され、クウネルは画面をタッチしまくる。

 (お! 次は頭痛しなかった。鑑定のレベルが上がったお陰かな? あ~、飛竜のも詳しく見れるね。 よしよし、これで情報を集めるのだ)

 『竜鱗Lv8  竜の堅い鱗  年齢と共に堅さが増し 業物の武器でなければ 貫くこと叶わぬ』

 エルザの素手による攻撃が効かなかった原因はどうやらこの竜鱗のおかげだったようだ。

 (なるへそ、うん、もう既に絶望しか無いけど。 一応ね、一応他のも見よっか)

 クウネルは既にげんなりしていたが、負けずに他のスキルもタッチする。

 『飛行LvMax  翼を待つ者固有のスキル  飛行の熟練者は 己の速力の 倍のスピードで飛べる』

 (おぉ、この飛竜はスピード特化型の竜なのね。 倍って事は……速力40000?! 無理無理無理、じーじより素早いじゃん。 そりゃ、追いつけるわけ無いよね)

 クウネルは気を取り直して次のスキルをタッチする。

 『火耐性Lv9  火に強くなる 』

 (え?  説明これだけ?  鑑定Lv2さん? 雑過ぎじゃない?  まぁ、そのままの意味だから説明もこんなもんなのかな? よし、はい!  無理ゲー!)

 ステータスとスキルを見た限りだと、今のクウネルが勝てる可能性は皆無だ。 諦めないと覚悟は決めたが、この空の旅が終わった時クウネルは瞬殺されるだろう。

 (いや、まだ諦めないぞ! 他の戦技とかも、見ておこ……って、うわぁっ!  何!?)

 凄まじい高度を飛んでいた飛竜は下へ降下し始める。
 
 (やばい! もう、目的地に着いちゃったの?! もう少し空の旅を満喫しましょうよ! そうしましょうよ!)

 クウネルのそんな気持ちは無視され、徐々に地面が見えてきた。

 どうやら、クウネルの嫌な予感は的中したようだ。

 一面に広がる森の中にぽっかり空いた広場が見え、その中央に枝やら何かの骨やらで出来た巣も確認出来た。

 そして、その巣の中に一匹の小型の飛竜が口を開けて待ち構えている。

 小型と言っても竜だ。 その大きさは、もうすぐ身長3メートルになるクウネルと大きさが殆ど変わらない。

 (せっかく巨人に転生したのにデカイのばっかりに会うね……解せぬ)

 クウネルは死闘の予感に身震いした。
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