真巨人転生~腹ペコ娘は美味しい物が食べたい~

秋刀魚妹子

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第134話 街の復興準備

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 キュウベイが駆け付けた結果、ゴブリン達はパニックだ。

 「そりゃ、そうやろ。 同じ緑色の肌してるけど、身体のサイズが全然違うし滅茶苦茶ムキムキやし、何より全裸なのがアウトー!」

 変異し、感覚と違う己の身体能力の高さにキュウベイは戸惑っていた。 道中、木や石に猛スピードで激突していたが一番驚いていたのは本人だろう。 激突した木々や岩は粉々に砕け散ったのだから。

 「ぜー、ぜー……姉御、大丈夫ですか?」

 「いや、お前が大丈夫か? そんな装備で大丈夫か? だよ! 装備どころか、全裸なんだから大丈夫な筈ないでしょ! まだ力の加減が分かってないのに全力ダッシュなんてするから息切れするんだよ。 やれやれ、キュウベイはまだまだ未熟者だね~」

 「へい! 精進致します!!」

 「うむ、素直でよろしい!」

 クウネルが平然と突如現れた全裸変態野郎と会話しているおかげか、周囲のゴブリン達のパニックは収まりつつあった。

 ゴブリン兵士達も武器を手にしつつ、様子を見ている。 どうやら、即座に現行犯逮捕は回避出来たようだ。

 そして、ゴブリンキングとギド将軍はキュウベイを見て固まったままだ。 ゴブリンの中では背の高いゴブリンキングとギド将軍よりもキュウベイは大きく股間にぶら下がっている物も大きかった。

 「グルル? クウネル、その色々大きいゴブリンらしき彼は……弓兵長君かい?」

 「お、さすがモロ! 状況把握が早いねー! さすモロ! そうだよー。 眷属っていうのにしたら、何か変異した」

 クウネルの雑な説明にゴブリンキング達は勿論、モロも首を傾げる。

 「ギガ? 変異とは何だ?」 「ギ、私も分かりませぬ」 「クゥン? 私も聞いた事無いね」

 「はぁ……やっぱり説明しなきゃダメか。 えっと……朝にね――

 ◆◇◆

 ――という事で。 弓兵長君改め、キュウベイは私の力を分け得られて私の眷属になったのでした。 めでたしめでたし……みたいな?」

 常識外れの内容を詳しく説明された3匹は終始首を傾げたまま聞いていた。

 「あ、コレ説明したけど理解出来てないね。 まだ王様もギドさんも目が点になったままだぞ」

 「クフクフ、はははっ! やはりクウネルは凄いね。 いつも、私の常識を粉々にしてくれる。 キュウベイ君、友達のクウネルにしっかり仕えてね」

 理解したモロは大笑いし、キュウベイに笑顔を向けた。

 「はっ! もちろんですモロ殿!!」

 「うんうん、モロは本当に頭が回るね。 あ! でね、モロに頼みたい事があってさ。 キュウベイが大きくなったから着れる服も装備も無くて困ってるんだ。 私の時みたいな服ってもう無いかな?」

 「ガウッ! 友の頼みさ、任せてくれ! はははっ、それでキュウベイは全裸なのか。 う~ん……だが、住んでた洞窟にはもう無いからね。 なら、作ればいいさ」

 「えぇ?! モロって服作れるの??」

 「クフクフ、まぁね。 と言っても、毛皮を縫い合わせるだけだよ? 友の王国に物々交換する為に作ってただけだから、そんなに期待はしないでくれよ?」

 モロの以外な特技を聞き、クウネルは親指を立てる。

 「勿論! 全然大丈夫だよー! とりあえず隠せたら良いからね。 キュウベイのチン「姉御?!」

 「ガフッ! ははははは! よし、採寸するからキュウベイはこっちに来てくれ。 あ、クウネルー! 素材は何にする? 何かあればソレを使うけど」

 「んー、地竜の素材は装備に使いたいし。 そもそも、鱗の付いた皮は服には適さないよね。 任せるー! 適当にお願い!」

 「モロ殿、お世話になりやす!」

 「クフクフ、任せてくれ。 じゃあ、測るよー?」

 モロがキュウベイの採寸を開始したのを確認したクウネルは、王国の復興の為に動き出す。

 「う~ん、モフモフの手足でどうやって採寸するのか凄く気になるけど、私は私の仕事をしなきゃ。 おーい! 王様! ギドさん、しっかりしてー!」

 頭上からクウネルの声に叩きつけられた2匹はようやく正気を取り戻した。

 「ギ!? はっ……すまぬ、我の常識が粉々になっておった」

 「ガガギ、私もです。 大変失礼致しました」

 「うん、それは別にいいから。 お願いがあって、いいかな?」

 「ギギガ! 何でも言ってくれ、王国と民達を救いし者の頼みだ。 どんな事でも叶えよう。 あれか? 我も眷属とやらになるか?」

 ゴブリンキングの隙あらばの姿勢にクウネルは苦笑する。

 「あはは……いや、だからそれは無理だってば。 えっと、王様は、鍛冶士と大工を全員集めてくれるかな。 街の復興で相談したい事があるの。 ギドさんは、とりあえず街の皆にキュウベイの事を知らせて。 敵襲かと勘違いした兵士達が集まり始めてるから、早めにお願い」

 「ギガ! はっ! お任せを!」

 ギド将軍はゴブリン兵士達の方へと走る。 これで、直ぐにキュウベイの誤解は解けるだろう。

 「ギギガ……何だ、頼みとは結局我等の為ではないか。 お主に欲は無いのか? クウネル」

 「いやいや、滅茶苦茶あるよ? じゃあ、街の復興が終わったらゴブリンで有名な料理たらふく食べさせてよ」

 「ギィ? そんな事で良いのか? まぁ、今はそれでよいか……よし、王として約束する。 では、鍛冶士と大工達を集めて来るとしようか。 また会おう」

 「ほいほーい、よろしくね~! じゃあ、暫し待ちますか~」

 クウネルは空き地に座り、のんびりと空を仰ぐのであった。
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