138 / 236
第134話 街の復興準備
しおりを挟む
キュウベイが駆け付けた結果、ゴブリン達はパニックだ。
「そりゃ、そうやろ。 同じ緑色の肌してるけど、身体のサイズが全然違うし滅茶苦茶ムキムキやし、何より全裸なのがアウトー!」
変異し、感覚と違う己の身体能力の高さにキュウベイは戸惑っていた。 道中、木や石に猛スピードで激突していたが一番驚いていたのは本人だろう。 激突した木々や岩は粉々に砕け散ったのだから。
「ぜー、ぜー……姉御、大丈夫ですか?」
「いや、お前が大丈夫か? そんな装備で大丈夫か? だよ! 装備どころか、全裸なんだから大丈夫な筈ないでしょ! まだ力の加減が分かってないのに全力ダッシュなんてするから息切れするんだよ。 やれやれ、キュウベイはまだまだ未熟者だね~」
「へい! 精進致します!!」
「うむ、素直でよろしい!」
クウネルが平然と突如現れた全裸変態野郎と会話しているおかげか、周囲のゴブリン達のパニックは収まりつつあった。
ゴブリン兵士達も武器を手にしつつ、様子を見ている。 どうやら、即座に現行犯逮捕は回避出来たようだ。
そして、ゴブリンキングとギド将軍はキュウベイを見て固まったままだ。 ゴブリンの中では背の高いゴブリンキングとギド将軍よりもキュウベイは大きく股間にぶら下がっている物も大きかった。
「グルル? クウネル、その色々大きいゴブリンらしき彼は……弓兵長君かい?」
「お、さすがモロ! 状況把握が早いねー! さすモロ! そうだよー。 眷属っていうのにしたら、何か変異した」
クウネルの雑な説明にゴブリンキング達は勿論、モロも首を傾げる。
「ギガ? 変異とは何だ?」 「ギ、私も分かりませぬ」 「クゥン? 私も聞いた事無いね」
「はぁ……やっぱり説明しなきゃダメか。 えっと……朝にね――
◆◇◆
――という事で。 弓兵長君改め、キュウベイは私の力を分け得られて私の眷属になったのでした。 めでたしめでたし……みたいな?」
常識外れの内容を詳しく説明された3匹は終始首を傾げたまま聞いていた。
「あ、コレ説明したけど理解出来てないね。 まだ王様もギドさんも目が点になったままだぞ」
「クフクフ、はははっ! やはりクウネルは凄いね。 いつも、私の常識を粉々にしてくれる。 キュウベイ君、友達のクウネルにしっかり仕えてね」
理解したモロは大笑いし、キュウベイに笑顔を向けた。
「はっ! もちろんですモロ殿!!」
「うんうん、モロは本当に頭が回るね。 あ! でね、モロに頼みたい事があってさ。 キュウベイが大きくなったから着れる服も装備も無くて困ってるんだ。 私の時みたいな服ってもう無いかな?」
「ガウッ! 友の頼みさ、任せてくれ! はははっ、それでキュウベイは全裸なのか。 う~ん……だが、住んでた洞窟にはもう無いからね。 なら、作ればいいさ」
「えぇ?! モロって服作れるの??」
「クフクフ、まぁね。 と言っても、毛皮を縫い合わせるだけだよ? 友の王国に物々交換する為に作ってただけだから、そんなに期待はしないでくれよ?」
モロの以外な特技を聞き、クウネルは親指を立てる。
「勿論! 全然大丈夫だよー! とりあえず隠せたら良いからね。 キュウベイのチン「姉御?!」
「ガフッ! ははははは! よし、採寸するからキュウベイはこっちに来てくれ。 あ、クウネルー! 素材は何にする? 何かあればソレを使うけど」
「んー、地竜の素材は装備に使いたいし。 そもそも、鱗の付いた皮は服には適さないよね。 任せるー! 適当にお願い!」
「モロ殿、お世話になりやす!」
「クフクフ、任せてくれ。 じゃあ、測るよー?」
モロがキュウベイの採寸を開始したのを確認したクウネルは、王国の復興の為に動き出す。
「う~ん、モフモフの手足でどうやって採寸するのか凄く気になるけど、私は私の仕事をしなきゃ。 おーい! 王様! ギドさん、しっかりしてー!」
頭上からクウネルの声に叩きつけられた2匹はようやく正気を取り戻した。
「ギ!? はっ……すまぬ、我の常識が粉々になっておった」
「ガガギ、私もです。 大変失礼致しました」
「うん、それは別にいいから。 お願いがあって、いいかな?」
「ギギガ! 何でも言ってくれ、王国と民達を救いし者の頼みだ。 どんな事でも叶えよう。 あれか? 我も眷属とやらになるか?」
ゴブリンキングの隙あらばの姿勢にクウネルは苦笑する。
「あはは……いや、だからそれは無理だってば。 えっと、王様は、鍛冶士と大工を全員集めてくれるかな。 街の復興で相談したい事があるの。 ギドさんは、とりあえず街の皆にキュウベイの事を知らせて。 敵襲かと勘違いした兵士達が集まり始めてるから、早めにお願い」
「ギガ! はっ! お任せを!」
ギド将軍はゴブリン兵士達の方へと走る。 これで、直ぐにキュウベイの誤解は解けるだろう。
「ギギガ……何だ、頼みとは結局我等の為ではないか。 お主に欲は無いのか? クウネル」
「いやいや、滅茶苦茶あるよ? じゃあ、街の復興が終わったらゴブリンで有名な料理たらふく食べさせてよ」
「ギィ? そんな事で良いのか? まぁ、今はそれでよいか……よし、王として約束する。 では、鍛冶士と大工達を集めて来るとしようか。 また会おう」
「ほいほーい、よろしくね~! じゃあ、暫し待ちますか~」
クウネルは空き地に座り、のんびりと空を仰ぐのであった。
「そりゃ、そうやろ。 同じ緑色の肌してるけど、身体のサイズが全然違うし滅茶苦茶ムキムキやし、何より全裸なのがアウトー!」
変異し、感覚と違う己の身体能力の高さにキュウベイは戸惑っていた。 道中、木や石に猛スピードで激突していたが一番驚いていたのは本人だろう。 激突した木々や岩は粉々に砕け散ったのだから。
「ぜー、ぜー……姉御、大丈夫ですか?」
「いや、お前が大丈夫か? そんな装備で大丈夫か? だよ! 装備どころか、全裸なんだから大丈夫な筈ないでしょ! まだ力の加減が分かってないのに全力ダッシュなんてするから息切れするんだよ。 やれやれ、キュウベイはまだまだ未熟者だね~」
「へい! 精進致します!!」
「うむ、素直でよろしい!」
クウネルが平然と突如現れた全裸変態野郎と会話しているおかげか、周囲のゴブリン達のパニックは収まりつつあった。
ゴブリン兵士達も武器を手にしつつ、様子を見ている。 どうやら、即座に現行犯逮捕は回避出来たようだ。
そして、ゴブリンキングとギド将軍はキュウベイを見て固まったままだ。 ゴブリンの中では背の高いゴブリンキングとギド将軍よりもキュウベイは大きく股間にぶら下がっている物も大きかった。
「グルル? クウネル、その色々大きいゴブリンらしき彼は……弓兵長君かい?」
「お、さすがモロ! 状況把握が早いねー! さすモロ! そうだよー。 眷属っていうのにしたら、何か変異した」
クウネルの雑な説明にゴブリンキング達は勿論、モロも首を傾げる。
「ギガ? 変異とは何だ?」 「ギ、私も分かりませぬ」 「クゥン? 私も聞いた事無いね」
「はぁ……やっぱり説明しなきゃダメか。 えっと……朝にね――
◆◇◆
――という事で。 弓兵長君改め、キュウベイは私の力を分け得られて私の眷属になったのでした。 めでたしめでたし……みたいな?」
常識外れの内容を詳しく説明された3匹は終始首を傾げたまま聞いていた。
「あ、コレ説明したけど理解出来てないね。 まだ王様もギドさんも目が点になったままだぞ」
「クフクフ、はははっ! やはりクウネルは凄いね。 いつも、私の常識を粉々にしてくれる。 キュウベイ君、友達のクウネルにしっかり仕えてね」
理解したモロは大笑いし、キュウベイに笑顔を向けた。
「はっ! もちろんですモロ殿!!」
「うんうん、モロは本当に頭が回るね。 あ! でね、モロに頼みたい事があってさ。 キュウベイが大きくなったから着れる服も装備も無くて困ってるんだ。 私の時みたいな服ってもう無いかな?」
「ガウッ! 友の頼みさ、任せてくれ! はははっ、それでキュウベイは全裸なのか。 う~ん……だが、住んでた洞窟にはもう無いからね。 なら、作ればいいさ」
「えぇ?! モロって服作れるの??」
「クフクフ、まぁね。 と言っても、毛皮を縫い合わせるだけだよ? 友の王国に物々交換する為に作ってただけだから、そんなに期待はしないでくれよ?」
モロの以外な特技を聞き、クウネルは親指を立てる。
「勿論! 全然大丈夫だよー! とりあえず隠せたら良いからね。 キュウベイのチン「姉御?!」
「ガフッ! ははははは! よし、採寸するからキュウベイはこっちに来てくれ。 あ、クウネルー! 素材は何にする? 何かあればソレを使うけど」
「んー、地竜の素材は装備に使いたいし。 そもそも、鱗の付いた皮は服には適さないよね。 任せるー! 適当にお願い!」
「モロ殿、お世話になりやす!」
「クフクフ、任せてくれ。 じゃあ、測るよー?」
モロがキュウベイの採寸を開始したのを確認したクウネルは、王国の復興の為に動き出す。
「う~ん、モフモフの手足でどうやって採寸するのか凄く気になるけど、私は私の仕事をしなきゃ。 おーい! 王様! ギドさん、しっかりしてー!」
頭上からクウネルの声に叩きつけられた2匹はようやく正気を取り戻した。
「ギ!? はっ……すまぬ、我の常識が粉々になっておった」
「ガガギ、私もです。 大変失礼致しました」
「うん、それは別にいいから。 お願いがあって、いいかな?」
「ギギガ! 何でも言ってくれ、王国と民達を救いし者の頼みだ。 どんな事でも叶えよう。 あれか? 我も眷属とやらになるか?」
ゴブリンキングの隙あらばの姿勢にクウネルは苦笑する。
「あはは……いや、だからそれは無理だってば。 えっと、王様は、鍛冶士と大工を全員集めてくれるかな。 街の復興で相談したい事があるの。 ギドさんは、とりあえず街の皆にキュウベイの事を知らせて。 敵襲かと勘違いした兵士達が集まり始めてるから、早めにお願い」
「ギガ! はっ! お任せを!」
ギド将軍はゴブリン兵士達の方へと走る。 これで、直ぐにキュウベイの誤解は解けるだろう。
「ギギガ……何だ、頼みとは結局我等の為ではないか。 お主に欲は無いのか? クウネル」
「いやいや、滅茶苦茶あるよ? じゃあ、街の復興が終わったらゴブリンで有名な料理たらふく食べさせてよ」
「ギィ? そんな事で良いのか? まぁ、今はそれでよいか……よし、王として約束する。 では、鍛冶士と大工達を集めて来るとしようか。 また会おう」
「ほいほーい、よろしくね~! じゃあ、暫し待ちますか~」
クウネルは空き地に座り、のんびりと空を仰ぐのであった。
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

パークラ認定されてパーティーから追放されたから田舎でスローライフを送ろうと思う
ユースケ
ファンタジー
俺ことソーマ=イグベルトはとある特殊なスキルを持っている。
そのスキルはある特殊な条件下でのみ発動するパッシブスキルで、パーティーメンバーはもちろん、自分自身の身体能力やスキル効果を倍増させる優れもの。
だけどその条件がなかなか厄介だった。
何故ならその条件というのが────
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

チートな嫁たちに囲まれて異世界で暮らしています
もぶぞう
ファンタジー
森でナギサを拾ってくれたのはダークエルフの女性だった。
使命が有る訳でも無い男が強い嫁を増やしながら異世界で暮らす話です(予定)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる