114 / 237
第110話 食物連鎖
しおりを挟む
クウネルは全身に激痛が走るが、気持ちの昂りが勝り全く気にならない。
クウネルとモロの正面には地竜が250体以上は犇めいているが、今のクウネルから見ると全く脅威に感じる事は無く寧ろ圧倒的優位さえ感じていた。
「モロ、適当に1体食い殺させて」
クウネルの提案にモロは目を見開いたが、直ぐに頷く。
「クフクフ、理由は分からないけど必要なんだね。 任せてくれ」
肩に乗っていたモロが飛び出し、地竜の群へと突っ込んだ。
その姿は森狼王らしく、地竜の頭の上に乗っては鋭利な爪で八つ裂きにしているのが見える。
「モロ強っ! そっか、素のステータスだとモロの方が断然地竜より格上だもんね。 よしよし、ヘイトが分散してる内に回復しますか!」
遠巻きにモロを見ていた数体の地竜に向かってクウネルは音速で接近し、頭を鷲掴みにする。
「ガァッ!? ガァァァァァ!」
他の地竜が同胞の危機に気付いたが、既に時遅しだ。
「いっただきまぁぁぁすっ! 噛み付き!!」
クウネルは大口を開けて、地竜の首に噛み付いた。
「ガァ! ガァァァァァッ!」
クウネル全力の噛み付きから逃れる事は叶わず、地竜は暴れるが死ぬまでの時間が数秒伸びるだけだ。
«――接近! クウネル急いで!»
「ふぁいよー! んぎぃっ?! ぬりゃぁぁぁぁっ! ふんっ!」
鑑定からの警告と同時に、他の地竜がクウネルの両足に噛み付いてきた。
痛みに悶えるが、クウネルは耐えそのまま噛み付いた地竜の首を顎の力で圧し折る。
«――回復。 クウネル、傷と体力の回復を確認しました»
「サンキュー鑑定さん! さすがに今ステータス確認する余裕は無いからねっ! おりゃ!」
両足に噛み付いていた地竜の頭を両手で押し潰し、拘束から逃れた。
「「ゴァッ?!」」
そのままの勢いでクウネルは近くにいた地竜に襲い掛かりに駆ける。
「モロー! ありがとうー! おかげで回復できたよー!」
地竜の上で踊るように戦っていたモロに向って叫ぶと、モロから返事が聞こえてきた。
「アォーン! なら、このまま倒してしまおうかー!」
「ゴガァァァァァ!」
「はーい! さぁて、私も反撃と行こうかぁ! おっと、噛み付き!!」
クウネルの顔目掛けて飛び付いてきた地竜の首元に噛み付き、そのまま食い千切る。
完全回復したクウネルには、既に地竜は美味しいトカゲと成り下がった。
「ブチッ! あむあむあむ、ぺっ!」
骸となった地竜を、他の地竜達の目前に放り捨てると数匹が後退りをし戦意喪失したのか尻尾を丸めていた。
追い打ちを掛けるように、クウネルはわざとらしく食い千切った地竜の肉を咀嚼する。
「ん~、デリシャスですなぁ。 本当にこの世界の竜種はどれも美味しいねぇ!」
口の中で新鮮な肉を咀嚼しながら周囲の地竜達を見回すと、怯えているのがよく伝わってきた。
思惑通りになった事にクウネルは微笑む。
「他の魔物達もそうだったけど、戦闘で殺されるのと補食されるのとでは恐怖が別次元なのかな? いやいや、自然の世界は弱肉強食の焼き肉定食の世界ですよ? この世界の魔物ちょっとメンタル雑魚過ぎじゃね?」
「ガァァァァァッ! ガチンッ!」
怯まずにクウネルへと襲い掛かる地竜も居るが、無駄に終わる。
「おっと、懲りもせずにワンパターンの噛み付きですか? 効くわけねぇだろぉがぁぁぁぁ!!」
大口を開けて来た地竜の首を鷲掴みにし、そのまま首の骨を折る。
「次はお前かぁぁぁぁ!? あぁぁん!?」
クウネルは殺気を撒き散らしながら、近くに居た地竜に駆け寄りぶん殴った。 地竜を食い殺し、更にステータスが向上したのかクウネルの拳は竜鱗を突破し地竜の命を容易く砕く。
近くに居る地竜達を次々に拳で地面にめり込ませ、地竜の死骸がクウネルの周囲に転がった。
側に居たモロが怯えた瞳で此方を見ていたが、まぁ気のせいだろう。
「ふんっ! ふんっ! ふんっ! ふんっ!」
次から次へと地竜を屠っていく。
首の骨を折り、頭を吹き飛ばし、地面へとめり込ませる。
「いっっったぁぁぁっ!?」
時々噛み付かれるが、問題にもならない。
モロのおかげで、ヘイトが分散されている現状では食い殺して回復するのも容易なのだ。
「てめこの野郎! しねぇっ! いった! ちょ!? くそ! 負けるか! はぁっ?! 何なん!?」
地竜達も散々クウネルに土魔法を発動してFPが枯渇したのか、小細工無しでクウネルの全身に地竜達は噛み付きまくる。
「上等だよ! どっちが先に食い殺し切れるか勝負だおらぁぁぁぁぁ!!!」
◆◇◆
「ぜぇー、ぜぇー、ぜぇー……へへ! 私の、勝ち、だな!」
クウネルの周囲には地竜の骸が山となっている。
「顎が、顎が痛い! ……痛たた。 ……えっと、モロは無事?」
ひたすらに地竜を噛み付きで屠ったクウネルの口元は返り血でベッタリだ。
街の方を見ると、城壁が崩れているのが見えた。
どうやら、街の中で地竜達とモロがまだ戦闘中なのか激しい戦闘音も聞こえている。
「やっば! ゴブリン達はもう居ないから平気だけど、さすがにモロが心配!」
クウネルは骸になった地竜を一口齧ってから急いで街に向かって走り出した。
「むにむにむに、おいしー!」
クウネルとモロの正面には地竜が250体以上は犇めいているが、今のクウネルから見ると全く脅威に感じる事は無く寧ろ圧倒的優位さえ感じていた。
「モロ、適当に1体食い殺させて」
クウネルの提案にモロは目を見開いたが、直ぐに頷く。
「クフクフ、理由は分からないけど必要なんだね。 任せてくれ」
肩に乗っていたモロが飛び出し、地竜の群へと突っ込んだ。
その姿は森狼王らしく、地竜の頭の上に乗っては鋭利な爪で八つ裂きにしているのが見える。
「モロ強っ! そっか、素のステータスだとモロの方が断然地竜より格上だもんね。 よしよし、ヘイトが分散してる内に回復しますか!」
遠巻きにモロを見ていた数体の地竜に向かってクウネルは音速で接近し、頭を鷲掴みにする。
「ガァッ!? ガァァァァァ!」
他の地竜が同胞の危機に気付いたが、既に時遅しだ。
「いっただきまぁぁぁすっ! 噛み付き!!」
クウネルは大口を開けて、地竜の首に噛み付いた。
「ガァ! ガァァァァァッ!」
クウネル全力の噛み付きから逃れる事は叶わず、地竜は暴れるが死ぬまでの時間が数秒伸びるだけだ。
«――接近! クウネル急いで!»
「ふぁいよー! んぎぃっ?! ぬりゃぁぁぁぁっ! ふんっ!」
鑑定からの警告と同時に、他の地竜がクウネルの両足に噛み付いてきた。
痛みに悶えるが、クウネルは耐えそのまま噛み付いた地竜の首を顎の力で圧し折る。
«――回復。 クウネル、傷と体力の回復を確認しました»
「サンキュー鑑定さん! さすがに今ステータス確認する余裕は無いからねっ! おりゃ!」
両足に噛み付いていた地竜の頭を両手で押し潰し、拘束から逃れた。
「「ゴァッ?!」」
そのままの勢いでクウネルは近くにいた地竜に襲い掛かりに駆ける。
「モロー! ありがとうー! おかげで回復できたよー!」
地竜の上で踊るように戦っていたモロに向って叫ぶと、モロから返事が聞こえてきた。
「アォーン! なら、このまま倒してしまおうかー!」
「ゴガァァァァァ!」
「はーい! さぁて、私も反撃と行こうかぁ! おっと、噛み付き!!」
クウネルの顔目掛けて飛び付いてきた地竜の首元に噛み付き、そのまま食い千切る。
完全回復したクウネルには、既に地竜は美味しいトカゲと成り下がった。
「ブチッ! あむあむあむ、ぺっ!」
骸となった地竜を、他の地竜達の目前に放り捨てると数匹が後退りをし戦意喪失したのか尻尾を丸めていた。
追い打ちを掛けるように、クウネルはわざとらしく食い千切った地竜の肉を咀嚼する。
「ん~、デリシャスですなぁ。 本当にこの世界の竜種はどれも美味しいねぇ!」
口の中で新鮮な肉を咀嚼しながら周囲の地竜達を見回すと、怯えているのがよく伝わってきた。
思惑通りになった事にクウネルは微笑む。
「他の魔物達もそうだったけど、戦闘で殺されるのと補食されるのとでは恐怖が別次元なのかな? いやいや、自然の世界は弱肉強食の焼き肉定食の世界ですよ? この世界の魔物ちょっとメンタル雑魚過ぎじゃね?」
「ガァァァァァッ! ガチンッ!」
怯まずにクウネルへと襲い掛かる地竜も居るが、無駄に終わる。
「おっと、懲りもせずにワンパターンの噛み付きですか? 効くわけねぇだろぉがぁぁぁぁ!!」
大口を開けて来た地竜の首を鷲掴みにし、そのまま首の骨を折る。
「次はお前かぁぁぁぁ!? あぁぁん!?」
クウネルは殺気を撒き散らしながら、近くに居た地竜に駆け寄りぶん殴った。 地竜を食い殺し、更にステータスが向上したのかクウネルの拳は竜鱗を突破し地竜の命を容易く砕く。
近くに居る地竜達を次々に拳で地面にめり込ませ、地竜の死骸がクウネルの周囲に転がった。
側に居たモロが怯えた瞳で此方を見ていたが、まぁ気のせいだろう。
「ふんっ! ふんっ! ふんっ! ふんっ!」
次から次へと地竜を屠っていく。
首の骨を折り、頭を吹き飛ばし、地面へとめり込ませる。
「いっっったぁぁぁっ!?」
時々噛み付かれるが、問題にもならない。
モロのおかげで、ヘイトが分散されている現状では食い殺して回復するのも容易なのだ。
「てめこの野郎! しねぇっ! いった! ちょ!? くそ! 負けるか! はぁっ?! 何なん!?」
地竜達も散々クウネルに土魔法を発動してFPが枯渇したのか、小細工無しでクウネルの全身に地竜達は噛み付きまくる。
「上等だよ! どっちが先に食い殺し切れるか勝負だおらぁぁぁぁぁ!!!」
◆◇◆
「ぜぇー、ぜぇー、ぜぇー……へへ! 私の、勝ち、だな!」
クウネルの周囲には地竜の骸が山となっている。
「顎が、顎が痛い! ……痛たた。 ……えっと、モロは無事?」
ひたすらに地竜を噛み付きで屠ったクウネルの口元は返り血でベッタリだ。
街の方を見ると、城壁が崩れているのが見えた。
どうやら、街の中で地竜達とモロがまだ戦闘中なのか激しい戦闘音も聞こえている。
「やっば! ゴブリン達はもう居ないから平気だけど、さすがにモロが心配!」
クウネルは骸になった地竜を一口齧ってから急いで街に向かって走り出した。
「むにむにむに、おいしー!」
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※


最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる