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第四章 旅の始まり ゴブリン王国編

第107話 勝利だよね?

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 「上等だよ、やってやる! 祖父に教わったんだ。 戦いは諦めた方が負けるってね。 だから私は最後まで諦めない!」

 クウネルは足下に生えていた、2本のマンドラゴラに両手を突っ込み土ごと持ち上げる。 そして、土魔法で硬くした。

 「いっつ! 知るか!!」

 痛む肩を無視し、固めたマンドラゴラを両手に1本づつ持ったクウネルが地竜王神を見るとまだゆっくりと旋回中だ。

 だが、顔だけはしっかりとクウネルを見ている。

 「本当に逃がすつもりは無いのね。 そーですか、じゃあ行きますねー? よーい……どんっ!」

 全速力で地竜王神目掛けてクウネルは走り出した。

 「速く、速く、もっと速く!」

 音を置き去りにし、凄まじい速度で疾走する。 そんなクウネルの行動に気付いた地竜王神は迎え撃とうと大口を開けた。

 「岩石か? いや、また水のレーザーだね!」

 クウネルは水のレーザーが飛んできても、直ぐに避けれるように低い体勢で走る。

 しかし、今度は小さな水の弾丸が大量に射出されクウネルに雨のような迫った。

 「うおっ!? マシンガンみたいに連射も出来るのね! 当たってたまるかぁぁぁぁぁっっ!!」

 クウネルが駆ける周囲が穴だらけに変貌し、水の弾丸が身体中を掠め血飛沫を上げる。 だが、それでもクウネルの速度は落ちない。

 「根性と速力は私の方が圧倒的に上何だよデカブツ神様がぁぁ!」

 地形が変わり、草原が跡形もなくなった頃ようやく地竜王神の側まで戻って来た。

 「あともう少し、もう少し近付いてからじゃないと当たらない! もう少し! も……なっ!?」

 走るクウネル目掛け、地竜王神はゆっくりと大きく上げた両手を凄まじい勢いで地面に叩き付けた。

 その瞬間、地面が激しく揺れ始める。

 「わっ!? わわっ! 地面が、地面が揺れる!?」

 «――地鳴らしです! 気を付けて接近して下さい»

 「なるへそね~! しかも、この状況で水のマシンガン撃つとか殺意高すぎ! あっっぶな!」

 地震により、足下が覚束無いが地面を蹴り上げ根性で疾走し続ける。 その間にも水の弾丸が大量に襲い来るが、覚悟を決めたクウネルには一切の怯みは無い。

 「いける! いける! やれる! やってやるー! 見えた! この距離ならやれる! おりゃぁぁぁぁ!」

 地竜王神の目の前まで迫ると、大きな地竜王神の声が鼓膜を震わした。

 「はーはっはっはっ! 逃げたと思ったら、土遊びか? 奇妙な生き物の雌よ!」

 「うるせー! その呼び方もいい加減うんざり何だよ! くらえ! この、デカブツ野郎ーーー!」

 大笑いする地竜王神の顔目掛け、クウネルは両手に持つ土の塊を2つともぶん投げた。

 「ふんっ! こんな小さな泥団子等、当たろうが痛くも痒くもないわ!」

 神としての驕りか、身体の大きさゆえの油断か、地竜王神は無防備にクウネルの投げた泥団子を額で受け止めた。

 その直後、土が砕け中に隠されたマンドラゴラが露出する。

 パカンッ! ――キ……キエェェェェェェェェッ!」」

 地竜王神の額で、泥団子から現れた2体のマンドラゴラが即死の悲鳴を上げた。

 「なっ!? ぐ、ぐぁぁぁぁぁぁぁ!! 頭が、頭が割れるぅぅぅぅ! 何だ、何をしたぁぁぁぁっ! 奇妙な生き物の雌ぅぅぅっ!」

 突然の激痛に地竜王神は顔を歪め、叫ぶ。

 「しゃーーーっ! ざまぁみろデカブツー!!」
 
 «お見事です、クウネル! しかし、鑑定で体力の現存を確認する事を推奨»

 「へへんっ! どんなもんだい! おっと、そうだよね。 鑑定!」

 ステータス画面

 種族 地竜王神 アース ドラゴン キング ゴット

 年齢 550

 レベル 800

 HP 290000/600000

 FP 280000/400000

 攻撃力 500000

 防御力 600000

 知力 800000

 速力 150000

 スキル 竜鱗LvMax. 土耐性LvMax. 魔物食らい. 魔物殺し. 大物食い. 同胞食い. 王に到達せし者. 穴堀LvMax. 大陸を渡りし王. 地竜の王. 亜神に到達せし者. 知恵を蓄えし者

 魔法 土魔法LvMax. 風魔法LvMax. 水魔法LvMax. 精神操作LvMax

 戦技 爪連撃LvMax. 噛み付きLvMax. 尻尾回転撃Lv3. 地鳴らしLvMax. 遠吠えLvMax

 状態異常 重傷

 「あっれー? 重傷なのに、まだめちゃくちゃ元気じゃね? 即死じゃなかったの!?」

 «――巨体故に、即死の悲鳴が完全には鼓膜に届かなかったと推測。 クウネル、暴食の大口を使用する事を推奨»

 「くっそー! マジかよ! いや、待てよ? もう1回マンドラゴラ取りに行けば良くね?」

 クウネルが再度マンドラゴラを取りに森に向かって走ろうとした瞬間、目の前に巨大な手が降ってきた。

 「ひぃぃぃ!? あっっぶな! 死ぬかと思ったー!」

 「ぐふっ! がはぁっ! くっくっくっ、こんなにダメージを負ったのは数百年振りだぞ? 奇妙な生き物の雌よ!」


 「またそれか、失礼な神様だよ全く。 うるへー! 大人しく死んどけよデカブツ!! 後、私は奇妙な生き物の雌じゃない、クウネルって名前があるの! 覚えとけ! ……いや、やっぱり忘れて!」


 「くっくっくっ、はーはっはっはっ! 愉快愉快! しかと覚えたぞクウネルよ。 この後、生き残れたらまた何処かで合間見えようぞ! はーはっはっはっ!」

 地竜王神はその場で地面の中へと潜り始めた。 地面が激しく振動し、クウネルはよろめく。

 「どうやら、この場での戦闘は私の勝ちのようだね。 っていうか、忘れてって言ったじゃんかー! 名乗らなかったら良かった」

 山程の大きさを誇る地竜王神が地中へと消えて行く姿は壮観だ。

 「……あれ? そう言えば、さっき変な事言ってたな。 この後、生き残れたらどうとか……何の話だろ」

 «――警戒! クウネル! 地竜王神の背中に大群の気配を察知! どうやら、背中に大群を隠していた模様!»

 「はぁぁぁぁぁっ!? 忘れてましたよこの野郎! くそっ! 帰り際に要らない置き土産か!? 土産は食べ物しか受け付けておりませんお客様ー!」

 地中へと消えていく地竜王神の背中にある森から、大きな物体が雨のように降ってきた。

 その数、300。

 「……わ~お、マジですか」

 「ゴォガァァァァァッッ!」

 「「「「ゴォオオオオガァァァァァッッ!!」」」」

 大量に降ってきた物体は……地竜の大群だった。
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