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第101話 ゴブリン王国の危機
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「やばい! どうする? どうしたらいい?」
絶体絶命の状況となり、クウネルはパニックを起こしていた。 当然だが、このような防衛戦が初めてのクウネルからすると何をしたら正解なのか全く分からない。
「ガァッ! クウネル、私も参戦してなるべく食い止める! でも、ゴブリン達にはかなり重傷者が出ているみたいだ。 早く何とかしないと不味いよ!」
「やめてー! 焦らせないでよー! うぅぅぅぅぅ!」
クウネルが頭を抱えていると、腹の虫が低い唸り声を上げ始めた。
グギュルルルー……ゴキ……ゴギュルル
「あー、くそ! 凄くお腹が空いて目が回ってきた」
«――急。 クウネル、今直ぐニスライムを補食すル事を推奨»
鑑定の声が脳内に響き、我に返る。
「そっか! 空腹を無視したり、感情が昂り過ぎるとまた赤髪のクウネルになっちゃうのか……忘れてた。 よし、とりあえずスライム達を食べてから考えよう!」
クウネルの側には、プルプルと美味しそうなスライム達が跳ね回っている。 時折、クウネルの足に酸を噴射して攻撃してくるが酸耐性LvMaxのお陰で全く効いていない。
「えへへ~……食わせろー!」
近くに居るスライム達を鷲掴みにして、口一杯に放り込む。
「プルプル!? プギュー!」 「「「プギュー」」」
黒や紫のスライム達を噛み締め、咀嚼して飲み込む。
「あむ! むにむにむにむに……はむはむ」
シュワ……シュワシュワ……シュワー!!
「お……お! 美味しぃぃぃぃぃっ! かーー! 堪らん! 黒色のスライムはコー○味だね! キツめの炭酸に、スパイスが効いてるー! 紫色のスライムはファ○タ○レー○味やんー! あぁー! 懐かしい、もう味わえないと思ってたよーー!」
懐かしの味に舌鼓をうちながら、クウネルは少し冷静を取り戻せた。
「なるへそね、スライムは色の違いで味の違いが有るのか。 お? どうしたんだろ、カマキリや大蟻が何か怯えてる? いや、流石に君達は食べないからね?」
目の前でスライムが生きたまま食われた光景に、どうやらシックスハンドマンティスや大蟻達は本能的な恐怖を感じた様だ。 クウネルが少し動くだけで、後退りをし始める。
「あれー? どうしたの? 向かっておいでよ」
ゆっくりと近付く。すると、魔物達もゆっくり下がる。
「……まぁいいか、考える時間は稼げるな。 あ、そうだ。初めて見る大蟻だけは鑑定しとくか。 鑑定さんのLvを上げる為に、経験値稼がないとね~。 鑑定!」
ステータス画面
種族 ジャイアント アント
年齢 10
レベル 50
HP 650/650
FP 65/100
攻撃力 1200
防御力 900
知力 50
速力 220
スキル 酸噴射Lv2. 酸耐性Lv2. 連携Lv5. 魔物殺し. 魔物喰い. 女王蟻の下僕. 逃亡者
魔法 無し
戦技 噛み付きLv6
状態異常 精神異常 混乱 恐怖
「ほ~、ジャイアント アントね。 まぁ、大蟻で良いよね。 ん~ステータスは雑魚だねぇ。 状態異常が結構あるな。 この個体だけなのか? 精神異常……ん? 混乱? それにスキルの逃亡者……どっかで見たな」
クウネルは頭を捻り、記憶を探る。
「何処だっけ……ん~思い出せない。 あ! 思い出した! 地竜から逃げてきたカマキリ達に付いてたヤツだ! 確か……一目散に逃げたら付くスキルだったよね。 他の個体はどうかな」
数体の大蟻を鑑定すると、どの個体にも同じ状態異常が発生していた。 シックスハンドマンティスやスライム達も同じである。
「……何かこの共通点にヒントが有るのか? この大群の魔物達は何かから逃げて来た? いや、なら態々ゴブリン王国を襲う必要もそんな暇もない筈。 だって逃亡者何だもん。 Hey鑑定さん、どう思う?」
«――了。 検索中でス――解。 逃げ切レず、上位ノ魔物にヨル精神操作ヲ受けタ可能性大»
「上位の魔物による精神操作!? って事は、黒幕が居るんだね。 因みに、今どうしたら良いか分かるかな?」
«――了。 検索中でス――解。 精神操作ヲ超えル恐怖を与エれば逃げ出ス可能性大»
「なるへそね、なら何とかなるかも! ありがとうね鑑定さん」
クウネルは魔物達に精神操作を超える恐怖を植え付けるべく、スライム達を両手で鷲掴みにしてシックスハンドマンティス達や大蟻達に見せつけながら捕食する。
「プギュー!」「「「「プギュー!」」」」
惨たらしくスライム達を食い千切り、次はお前達だとニヤリと笑うとシックスハンドマンティスと大蟻達は一目散に逃げ始めた。
数千の大群が一斉に逃げ出す光景は壮観だ。
「あむあむ……ふふふ、作戦成功! ごくんっ! まいうー」
魔物達の行動を操っていた精神異常を、逃げずにはいられない逃亡者のスキルが上回ったのだろう。
少なくとも、クウネルの居る側の周辺に集まっていたスライム以外の魔物達は逃げ出した。 スライム達は危機感が足りないのか、未だに門や城壁に酸を噴射している。
其処を無慈悲にも、クウネルに鷲掴みにされて捕食されていく。 クウネルと云う天敵が現れたスライムが絶滅する未来も遠くないだろう。
一通りのスライムを捕食し終えたクウネルは立ち上がり、反対側の門へと走り出した。
「あむ! 美味し~。 よし、次はモロの居る反対側の門だな!」
絶体絶命の状況となり、クウネルはパニックを起こしていた。 当然だが、このような防衛戦が初めてのクウネルからすると何をしたら正解なのか全く分からない。
「ガァッ! クウネル、私も参戦してなるべく食い止める! でも、ゴブリン達にはかなり重傷者が出ているみたいだ。 早く何とかしないと不味いよ!」
「やめてー! 焦らせないでよー! うぅぅぅぅぅ!」
クウネルが頭を抱えていると、腹の虫が低い唸り声を上げ始めた。
グギュルルルー……ゴキ……ゴギュルル
「あー、くそ! 凄くお腹が空いて目が回ってきた」
«――急。 クウネル、今直ぐニスライムを補食すル事を推奨»
鑑定の声が脳内に響き、我に返る。
「そっか! 空腹を無視したり、感情が昂り過ぎるとまた赤髪のクウネルになっちゃうのか……忘れてた。 よし、とりあえずスライム達を食べてから考えよう!」
クウネルの側には、プルプルと美味しそうなスライム達が跳ね回っている。 時折、クウネルの足に酸を噴射して攻撃してくるが酸耐性LvMaxのお陰で全く効いていない。
「えへへ~……食わせろー!」
近くに居るスライム達を鷲掴みにして、口一杯に放り込む。
「プルプル!? プギュー!」 「「「プギュー」」」
黒や紫のスライム達を噛み締め、咀嚼して飲み込む。
「あむ! むにむにむにむに……はむはむ」
シュワ……シュワシュワ……シュワー!!
「お……お! 美味しぃぃぃぃぃっ! かーー! 堪らん! 黒色のスライムはコー○味だね! キツめの炭酸に、スパイスが効いてるー! 紫色のスライムはファ○タ○レー○味やんー! あぁー! 懐かしい、もう味わえないと思ってたよーー!」
懐かしの味に舌鼓をうちながら、クウネルは少し冷静を取り戻せた。
「なるへそね、スライムは色の違いで味の違いが有るのか。 お? どうしたんだろ、カマキリや大蟻が何か怯えてる? いや、流石に君達は食べないからね?」
目の前でスライムが生きたまま食われた光景に、どうやらシックスハンドマンティスや大蟻達は本能的な恐怖を感じた様だ。 クウネルが少し動くだけで、後退りをし始める。
「あれー? どうしたの? 向かっておいでよ」
ゆっくりと近付く。すると、魔物達もゆっくり下がる。
「……まぁいいか、考える時間は稼げるな。 あ、そうだ。初めて見る大蟻だけは鑑定しとくか。 鑑定さんのLvを上げる為に、経験値稼がないとね~。 鑑定!」
ステータス画面
種族 ジャイアント アント
年齢 10
レベル 50
HP 650/650
FP 65/100
攻撃力 1200
防御力 900
知力 50
速力 220
スキル 酸噴射Lv2. 酸耐性Lv2. 連携Lv5. 魔物殺し. 魔物喰い. 女王蟻の下僕. 逃亡者
魔法 無し
戦技 噛み付きLv6
状態異常 精神異常 混乱 恐怖
「ほ~、ジャイアント アントね。 まぁ、大蟻で良いよね。 ん~ステータスは雑魚だねぇ。 状態異常が結構あるな。 この個体だけなのか? 精神異常……ん? 混乱? それにスキルの逃亡者……どっかで見たな」
クウネルは頭を捻り、記憶を探る。
「何処だっけ……ん~思い出せない。 あ! 思い出した! 地竜から逃げてきたカマキリ達に付いてたヤツだ! 確か……一目散に逃げたら付くスキルだったよね。 他の個体はどうかな」
数体の大蟻を鑑定すると、どの個体にも同じ状態異常が発生していた。 シックスハンドマンティスやスライム達も同じである。
「……何かこの共通点にヒントが有るのか? この大群の魔物達は何かから逃げて来た? いや、なら態々ゴブリン王国を襲う必要もそんな暇もない筈。 だって逃亡者何だもん。 Hey鑑定さん、どう思う?」
«――了。 検索中でス――解。 逃げ切レず、上位ノ魔物にヨル精神操作ヲ受けタ可能性大»
「上位の魔物による精神操作!? って事は、黒幕が居るんだね。 因みに、今どうしたら良いか分かるかな?」
«――了。 検索中でス――解。 精神操作ヲ超えル恐怖を与エれば逃げ出ス可能性大»
「なるへそね、なら何とかなるかも! ありがとうね鑑定さん」
クウネルは魔物達に精神操作を超える恐怖を植え付けるべく、スライム達を両手で鷲掴みにしてシックスハンドマンティス達や大蟻達に見せつけながら捕食する。
「プギュー!」「「「「プギュー!」」」」
惨たらしくスライム達を食い千切り、次はお前達だとニヤリと笑うとシックスハンドマンティスと大蟻達は一目散に逃げ始めた。
数千の大群が一斉に逃げ出す光景は壮観だ。
「あむあむ……ふふふ、作戦成功! ごくんっ! まいうー」
魔物達の行動を操っていた精神異常を、逃げずにはいられない逃亡者のスキルが上回ったのだろう。
少なくとも、クウネルの居る側の周辺に集まっていたスライム以外の魔物達は逃げ出した。 スライム達は危機感が足りないのか、未だに門や城壁に酸を噴射している。
其処を無慈悲にも、クウネルに鷲掴みにされて捕食されていく。 クウネルと云う天敵が現れたスライムが絶滅する未来も遠くないだろう。
一通りのスライムを捕食し終えたクウネルは立ち上がり、反対側の門へと走り出した。
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