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第91話 朝チュン
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「チュンチュン……」
クウネルはお腹の上で鳴く鳥に起こされ、目を覚ました。
「かー、かー、かー……んぁ? お? ん?」
地面に寝っ転がっていたクウネルが身体を起こすと、小さな雀達が飛び立ち明るくなった空へと消えて行った。
「んん? おー! この世界にも雀っているんだね。 懐かしいなぁ、前世でも朝になるとこうやって雀の鳴き声で起きてたな~あれだね、朝チュンってやつだね。 違ったっけ? あれ? まぁ、いいや」
クウネルが何故地面に寝っ転がって朝を迎えたかと云うと、昨日モロ達に置いていかれたショックで泣き散らしながら地面を転がっていたからだ。
「全く! ショック過ぎて全然寝れなかったよ!」
«――謎。 クウネルは、寝転んダ後に直グ寝てまシタよ?»
「ちょっと鑑定さん!? 呼んでないし、いちいちそんな事言わなくてもいいの! 後、おはよう!」
«――疑。 了――オハようごザイまス、クウネル»
「ふーやれやれ、危ない危ない」
鑑定の口を塞ぎ、クウネルは腹の虫の音を聞きながら立ち上がる。
グギュルルー
お腹を押さえていると、洞窟の前に置いてある器の水を飲みに数羽の雀が降り立った。
「あ~、お腹空いたー。 お、戻って来たけどあんな小さな雀を食べても腹の足しにもならないしな~。 しゃーない、行くかー」
昨日作ったお手製の袋を担ぎ、毛皮の刺してあった方角へとクウネルは向かう。
「モロ達はどれぐらい先行してるんだろ? 寂しいから、全力ダッシュで行こっかな……嫌、ダメだ! 思い出すんだ私! モロからの手紙ならぬ手皮に書いてあったでしょ?」
クウネルは走り出そうとしかけた所で踏み止まり、手紙の内容を思い出す。
「確か、今の私が全力で駆け抜けると通り道の生態系が滅茶苦茶になるんだよね。 あれか、追い込み漁みたいになるんか。 それは、ヤバいな。 ふー、仕方ないゆっくり向かって合流しよう」
クウネルは風を感じながらゆっくりと歩き出した。
初めての旅を満喫しながら。
◆◇◆
クウネルは、あれから数時間歩き続けていた。
巨木の森は自然豊かで、とても目の保養に良いのだが鳴り続けている腹の虫が限界だと告げている。
グギュルルー グギュルルー
「はいはい、分かってますよー!」
腹の虫が騒いでいるが、袋の中に入ってるマンドラゴラを食べる訳にはいかない。 これは、大切な友を助ける際に必要な大事な薬の原料何だとクウネルは自分に言い聞かせ続けた。
「いや、でも、1本だけなら…… «クウネル» ひゃいっ!? 食べてないよ?! ちょっと食べようと思っただけ!」
意思が一瞬で揺らぎ、袋に手をかけようとしたタイミングで脳内に鑑定の声が響く。
«――冷。 落チ着いテ、気配察知に反応ガ有りマス。 進行方向かラ此方へ向カって来まス»
クウネルも気配察知に集中し探すが察知する事はできなかった。
「ふえ? いや、私の気配察知にはまだ反応は無いよ? この巨木の森に生き残りの魔物でも居たのかな? って事は……ご飯だー! 獲物だー! ひゃっはー!」
鑑定に警告されてから数分後、クウネルの気配察知にも反応が現れ満面の笑みで迎え撃つ。
「確かに進行方向から真っ直ぐ私の方に来てるけど……数多くね? 何か数十の気配が来てるよ? え、これ大丈夫?」
一抹の不安に襲われるが、強くなったステータスを思い出し覚悟を決める。
「いや! 今の私は強い!! ちょっとやそっとの魔物の群れが襲って来ても勝てる! 最悪、あの暴食スキル使おっと」
クウネルは、森の中に開けた場所を見つけたので其処に陣取り待ち構える。
そして、草木が揺れ接近してくる気配の正体が現れた。
「チキチキチキ! キシャアァァァ!」 「「「「キシャアァァァ!」」」」
飛び出してきた魔物達を見て、クウネルは嫌な顔でため息を吐く。
「うっわぁ~、最悪。 はぁ~……鑑定」
ステータス画面
種族 シックスハンドマンティス
年齢 10
レベル 23
HP 1050/1050
FP 30/30
攻撃力 880
防御力 220
知力 15
速力 400
スキル 魔物食らい. 潜伏. 魔物殺し. 逃亡者
魔法 無し
戦技 切り裂きLv3
状態異常 混乱
現れた魔物達の正体は、いつぞやに火炎の練習台になった鎌が6本有る蟷螂だった。
以前に遭遇した個体よりも強いが、何匹居ようと今のクウネルからすると雑魚である。 大きさもクウネルとの差がありすぎて、最早手が多いだけのただの蟷螂にしか見えなかった。
「っていうかさ、潜伏スキル持ってるなら潜伏しろよ! 鑑定しなくても効果分かるよ! 全員で走って来るって何考えてるの?!」
クウネルは鑑定したステータスを見ながら文句をつける。 しかし、スキル欄を見た時に首を傾げた。
「ん? 逃亡者? 何これ。 ほい、鑑定」
『逃亡者 戦闘から一目散に逃亡した際に一定時間発生する 状態異常 混乱になりやすくなる 正常な判断が出来なくなる』
「なるへそね、だから潜伏せずに突っ込んで来たのね。 あー、うんうん、混乱付いてる付いてる。 って事は、コイツ等は私を狙って来た訳じゃ無くて何かから逃げてるのね」
クウネルは現れた30匹の蟷螂を無視し、気配察知の範囲に入っていないまだ見ぬ追跡者を警戒するのであった。
クウネルはお腹の上で鳴く鳥に起こされ、目を覚ました。
「かー、かー、かー……んぁ? お? ん?」
地面に寝っ転がっていたクウネルが身体を起こすと、小さな雀達が飛び立ち明るくなった空へと消えて行った。
「んん? おー! この世界にも雀っているんだね。 懐かしいなぁ、前世でも朝になるとこうやって雀の鳴き声で起きてたな~あれだね、朝チュンってやつだね。 違ったっけ? あれ? まぁ、いいや」
クウネルが何故地面に寝っ転がって朝を迎えたかと云うと、昨日モロ達に置いていかれたショックで泣き散らしながら地面を転がっていたからだ。
「全く! ショック過ぎて全然寝れなかったよ!」
«――謎。 クウネルは、寝転んダ後に直グ寝てまシタよ?»
「ちょっと鑑定さん!? 呼んでないし、いちいちそんな事言わなくてもいいの! 後、おはよう!」
«――疑。 了――オハようごザイまス、クウネル»
「ふーやれやれ、危ない危ない」
鑑定の口を塞ぎ、クウネルは腹の虫の音を聞きながら立ち上がる。
グギュルルー
お腹を押さえていると、洞窟の前に置いてある器の水を飲みに数羽の雀が降り立った。
「あ~、お腹空いたー。 お、戻って来たけどあんな小さな雀を食べても腹の足しにもならないしな~。 しゃーない、行くかー」
昨日作ったお手製の袋を担ぎ、毛皮の刺してあった方角へとクウネルは向かう。
「モロ達はどれぐらい先行してるんだろ? 寂しいから、全力ダッシュで行こっかな……嫌、ダメだ! 思い出すんだ私! モロからの手紙ならぬ手皮に書いてあったでしょ?」
クウネルは走り出そうとしかけた所で踏み止まり、手紙の内容を思い出す。
「確か、今の私が全力で駆け抜けると通り道の生態系が滅茶苦茶になるんだよね。 あれか、追い込み漁みたいになるんか。 それは、ヤバいな。 ふー、仕方ないゆっくり向かって合流しよう」
クウネルは風を感じながらゆっくりと歩き出した。
初めての旅を満喫しながら。
◆◇◆
クウネルは、あれから数時間歩き続けていた。
巨木の森は自然豊かで、とても目の保養に良いのだが鳴り続けている腹の虫が限界だと告げている。
グギュルルー グギュルルー
「はいはい、分かってますよー!」
腹の虫が騒いでいるが、袋の中に入ってるマンドラゴラを食べる訳にはいかない。 これは、大切な友を助ける際に必要な大事な薬の原料何だとクウネルは自分に言い聞かせ続けた。
「いや、でも、1本だけなら…… «クウネル» ひゃいっ!? 食べてないよ?! ちょっと食べようと思っただけ!」
意思が一瞬で揺らぎ、袋に手をかけようとしたタイミングで脳内に鑑定の声が響く。
«――冷。 落チ着いテ、気配察知に反応ガ有りマス。 進行方向かラ此方へ向カって来まス»
クウネルも気配察知に集中し探すが察知する事はできなかった。
「ふえ? いや、私の気配察知にはまだ反応は無いよ? この巨木の森に生き残りの魔物でも居たのかな? って事は……ご飯だー! 獲物だー! ひゃっはー!」
鑑定に警告されてから数分後、クウネルの気配察知にも反応が現れ満面の笑みで迎え撃つ。
「確かに進行方向から真っ直ぐ私の方に来てるけど……数多くね? 何か数十の気配が来てるよ? え、これ大丈夫?」
一抹の不安に襲われるが、強くなったステータスを思い出し覚悟を決める。
「いや! 今の私は強い!! ちょっとやそっとの魔物の群れが襲って来ても勝てる! 最悪、あの暴食スキル使おっと」
クウネルは、森の中に開けた場所を見つけたので其処に陣取り待ち構える。
そして、草木が揺れ接近してくる気配の正体が現れた。
「チキチキチキ! キシャアァァァ!」 「「「「キシャアァァァ!」」」」
飛び出してきた魔物達を見て、クウネルは嫌な顔でため息を吐く。
「うっわぁ~、最悪。 はぁ~……鑑定」
ステータス画面
種族 シックスハンドマンティス
年齢 10
レベル 23
HP 1050/1050
FP 30/30
攻撃力 880
防御力 220
知力 15
速力 400
スキル 魔物食らい. 潜伏. 魔物殺し. 逃亡者
魔法 無し
戦技 切り裂きLv3
状態異常 混乱
現れた魔物達の正体は、いつぞやに火炎の練習台になった鎌が6本有る蟷螂だった。
以前に遭遇した個体よりも強いが、何匹居ようと今のクウネルからすると雑魚である。 大きさもクウネルとの差がありすぎて、最早手が多いだけのただの蟷螂にしか見えなかった。
「っていうかさ、潜伏スキル持ってるなら潜伏しろよ! 鑑定しなくても効果分かるよ! 全員で走って来るって何考えてるの?!」
クウネルは鑑定したステータスを見ながら文句をつける。 しかし、スキル欄を見た時に首を傾げた。
「ん? 逃亡者? 何これ。 ほい、鑑定」
『逃亡者 戦闘から一目散に逃亡した際に一定時間発生する 状態異常 混乱になりやすくなる 正常な判断が出来なくなる』
「なるへそね、だから潜伏せずに突っ込んで来たのね。 あー、うんうん、混乱付いてる付いてる。 って事は、コイツ等は私を狙って来た訳じゃ無くて何かから逃げてるのね」
クウネルは現れた30匹の蟷螂を無視し、気配察知の範囲に入っていないまだ見ぬ追跡者を警戒するのであった。
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