69 / 195
第三章 新たな力 友の為に足掻く編
第67話 友の為なら
しおりを挟む
クウネルは治癒の葉を握り締め、ウルフキングとクイーンの待つ場所に急いで戻る。
ウルフキングの気配が更に弱まったのだ。 もう一刻の猶予も無いだろう。
森林破壊も厭わずに、クウネルは全力疾走で巨木を身体で砕きながら猛スピードで駆け出した。
「やばっ! 早すぎて、全然コントロールできん!! 体当たりした巨木が吹き飛んだよ?! でも全然痛くなーい!」
全力で走ると視界が高速で過ぎて行き、ウルフキングの近くを走り去る。
「って、本当に行き過ぎてんじゃん!」
足を地面にめり込ませ、無理矢理停止して過ぎた道を戻った。
「お待たせ!」
「ウー……グルルルル」
「あ、ダメだ。 相変わらずクイーンさんには警戒されてる。 旦那さんを助けた恩巨人なのにな~。 さて、後はマンドラゴラだけだぞー……あれ? 何処に生えてたっけ? あー、薄い気配の反応が飛竜王の下に有るわ。 下敷きになってたのね」
自身とほぼ同じ大きさの飛竜王の死体を掴み力を込める。
「しかし、本当に馬鹿デカイね。 何食ったらこんなに大きくなるんかねー。 まぁ、今の私もデカいんですけどねー!」
改めて、飛竜王の死体を見るとその大きさに感嘆とする。 前世の物で例えると、体育館を2個重ねた様な大きさだ。
そんな大きさの生き物が飛べるあたり、流石異世界といった所だろう。
「まぁ、そんな事はどうでもいいや。 ふんっ! よっっこらしょー!!」
クウネルは飛竜王の死体を持ち上げ、空いた場所に放り投げた。
「ふー、こんな大きさの死体を持ち上げて移動させれるとか……私ヤバくね? 前世の地球だったら、確実にモンスター扱いだな。 よし、マンドラゴラ見っけー!」
クウネルは見つけた小さな葉っぱを指先で摘んで引き抜こうとする。 しかし、マンドラゴラの危険性を思い出して間一髪の所で止まった。
「……って、待って! 抜いたら、ウルフクイーンさんもウルフキングも死ぬよ!? 馬鹿か私は! でも、即死の絶叫を上げさせない抜き方なんか知らないし……あ、Hey鑑定! マンドラゴラの安全な抜き方って有る?」
«――了。 検索中デス――――解、地面に埋まッタまま握リ潰シテ下サイ»
「えぇ、雑い……鑑定さんLv3に上がって滅茶苦茶便利になったけど、そういう雑な所は変わらないのね。 オーケー、それでいいなら……ふんっ!」
指先を地面へと突き刺し、そのまま擦り潰す。
「ぎゃあぁぁぁぁ! 感触が! 指先に嫌な感触がぁぁ! 食べる分には良いのよ? でも指先で潰すと、何か生理的にも乙女的にもNGなのよー! 」
«――焦。 早急ニ、治癒ノ葉と混ぜテ下サイ。 薬トしての効果ガ薄くなりマス»
「それを早く言ってぇぇ!? 早く早く!」
地中からマンドラゴラを潰した指先を引き抜き、急いで治癒の葉と混ぜる。
指がネバネバになるのを感じながらHey鑑定に確認する。
「こんな感じで良い? ってか、滅茶苦茶ネバネバするんですけど?!」
«――良。 問題有リまセン、対象ニ飲まセテ下サイ»
「信じるからね! よーし、飲ませるぞー!」
ずっとクウネルを警戒しながら様子を見ていたウルフクイーンさんは、涙目で首を振ってる。
「わかるよ、そうだよね。 手のひらでグチャグチャした何かを持って近付かれたらそうなるよね。 でも、ごめんね。 貴方の旦那さんを助ける為なの!」
「グルルルル……ガァッ!」
ウルフクイーン腕を噛まれたが、今のクウネルには歯が立たない。 ステータスに差が有り過ぎるのだろう、甘噛みされているのと同じである。
「よしよし、これから旦那さん助けるからね! でも、どうやって飲ませたものか」
ウルフキングは瀕死の為、気絶してピクリとも動かない。
「んー……よし、突っ込もう! 優しく、優しく~!」
口で優しくと言いながら、指先をウルフキングの口へと捩じ込む。 ウルフクイーンは噛み付きながら涙目だ。
ズボッ! ビクンッ!? ビクビクビクンッ!!
「大丈夫!? 何かすっごくビクビクし始めたんですけど?!」
口から突っ込んだ薬が効いてるのか、欠損していた足が4本とも傷口から生え始めた。 身体中にあった傷も瞬く間に治る。
そして暫く待つと、ウルフキングの瞳が開いた。
「グッ!? ゲホッ! ガホッ!! 私は……いったい? 飛竜の胃の中で死んだ筈では……って、苦っ!? にっっっが! 口の中、にっっっが!!」
「反応、おっっそ! あはははは! 何とか間に合ったよー! ちゃんと約束守ったよ」
「クゥン? おぉ! 友よ、本当にあの飛竜を喰い殺し私を救うとは……ん? 足が! 足が生えてる!」
「うんうん、良かった良かった。 っていうか、そろそろ離してもいいよ? ウルフクイーンさん」
クウネルの腕に噛み付いたままの、ウルフクイーンをウルフキングの目の前に降ろす。
「はい、奥さんに会えて……良かったね」
「クゥン!? クゥンクゥン!」
「クゥンクゥン! おお、我が妻よ! また再会できるとは……これも友のおかげだ。 感謝する」
ウルフクイーンが尻尾を振りながら、ウルフキングにすり寄る。 死に別れたと思っていた2匹の感動の再開である。
「えへへ~、良かった良かった。 ん、いいよ。 友達の為なら頑張れるさ」
「グル……そうか、私は良友を得たのだな。 しかし、友よ……何かでかくないかい?」
「あはははっ! だから……反応おっっそ!」
「クフクフ! すまない、色々と驚く事が多くてね。 あ、ちょっと妻と話させてくれ」
「ん、もちろん。 私は飛竜の肉食べて来るから」
クウネルは仲睦まじい2匹を置いて飛竜王の死体へと向かう。
「さて、夫婦の再会邪魔するのもアレだし食事といきますかー」
空を見ると巨木の隙間から漏れ出る光は薄暗くなってきている。 今度こそ、夕方なのだろう。
「はー、疲れた。 サバイバル1日目からハード過ぎじゃね?」
ウルフキングの気配が更に弱まったのだ。 もう一刻の猶予も無いだろう。
森林破壊も厭わずに、クウネルは全力疾走で巨木を身体で砕きながら猛スピードで駆け出した。
「やばっ! 早すぎて、全然コントロールできん!! 体当たりした巨木が吹き飛んだよ?! でも全然痛くなーい!」
全力で走ると視界が高速で過ぎて行き、ウルフキングの近くを走り去る。
「って、本当に行き過ぎてんじゃん!」
足を地面にめり込ませ、無理矢理停止して過ぎた道を戻った。
「お待たせ!」
「ウー……グルルルル」
「あ、ダメだ。 相変わらずクイーンさんには警戒されてる。 旦那さんを助けた恩巨人なのにな~。 さて、後はマンドラゴラだけだぞー……あれ? 何処に生えてたっけ? あー、薄い気配の反応が飛竜王の下に有るわ。 下敷きになってたのね」
自身とほぼ同じ大きさの飛竜王の死体を掴み力を込める。
「しかし、本当に馬鹿デカイね。 何食ったらこんなに大きくなるんかねー。 まぁ、今の私もデカいんですけどねー!」
改めて、飛竜王の死体を見るとその大きさに感嘆とする。 前世の物で例えると、体育館を2個重ねた様な大きさだ。
そんな大きさの生き物が飛べるあたり、流石異世界といった所だろう。
「まぁ、そんな事はどうでもいいや。 ふんっ! よっっこらしょー!!」
クウネルは飛竜王の死体を持ち上げ、空いた場所に放り投げた。
「ふー、こんな大きさの死体を持ち上げて移動させれるとか……私ヤバくね? 前世の地球だったら、確実にモンスター扱いだな。 よし、マンドラゴラ見っけー!」
クウネルは見つけた小さな葉っぱを指先で摘んで引き抜こうとする。 しかし、マンドラゴラの危険性を思い出して間一髪の所で止まった。
「……って、待って! 抜いたら、ウルフクイーンさんもウルフキングも死ぬよ!? 馬鹿か私は! でも、即死の絶叫を上げさせない抜き方なんか知らないし……あ、Hey鑑定! マンドラゴラの安全な抜き方って有る?」
«――了。 検索中デス――――解、地面に埋まッタまま握リ潰シテ下サイ»
「えぇ、雑い……鑑定さんLv3に上がって滅茶苦茶便利になったけど、そういう雑な所は変わらないのね。 オーケー、それでいいなら……ふんっ!」
指先を地面へと突き刺し、そのまま擦り潰す。
「ぎゃあぁぁぁぁ! 感触が! 指先に嫌な感触がぁぁ! 食べる分には良いのよ? でも指先で潰すと、何か生理的にも乙女的にもNGなのよー! 」
«――焦。 早急ニ、治癒ノ葉と混ぜテ下サイ。 薬トしての効果ガ薄くなりマス»
「それを早く言ってぇぇ!? 早く早く!」
地中からマンドラゴラを潰した指先を引き抜き、急いで治癒の葉と混ぜる。
指がネバネバになるのを感じながらHey鑑定に確認する。
「こんな感じで良い? ってか、滅茶苦茶ネバネバするんですけど?!」
«――良。 問題有リまセン、対象ニ飲まセテ下サイ»
「信じるからね! よーし、飲ませるぞー!」
ずっとクウネルを警戒しながら様子を見ていたウルフクイーンさんは、涙目で首を振ってる。
「わかるよ、そうだよね。 手のひらでグチャグチャした何かを持って近付かれたらそうなるよね。 でも、ごめんね。 貴方の旦那さんを助ける為なの!」
「グルルルル……ガァッ!」
ウルフクイーン腕を噛まれたが、今のクウネルには歯が立たない。 ステータスに差が有り過ぎるのだろう、甘噛みされているのと同じである。
「よしよし、これから旦那さん助けるからね! でも、どうやって飲ませたものか」
ウルフキングは瀕死の為、気絶してピクリとも動かない。
「んー……よし、突っ込もう! 優しく、優しく~!」
口で優しくと言いながら、指先をウルフキングの口へと捩じ込む。 ウルフクイーンは噛み付きながら涙目だ。
ズボッ! ビクンッ!? ビクビクビクンッ!!
「大丈夫!? 何かすっごくビクビクし始めたんですけど?!」
口から突っ込んだ薬が効いてるのか、欠損していた足が4本とも傷口から生え始めた。 身体中にあった傷も瞬く間に治る。
そして暫く待つと、ウルフキングの瞳が開いた。
「グッ!? ゲホッ! ガホッ!! 私は……いったい? 飛竜の胃の中で死んだ筈では……って、苦っ!? にっっっが! 口の中、にっっっが!!」
「反応、おっっそ! あはははは! 何とか間に合ったよー! ちゃんと約束守ったよ」
「クゥン? おぉ! 友よ、本当にあの飛竜を喰い殺し私を救うとは……ん? 足が! 足が生えてる!」
「うんうん、良かった良かった。 っていうか、そろそろ離してもいいよ? ウルフクイーンさん」
クウネルの腕に噛み付いたままの、ウルフクイーンをウルフキングの目の前に降ろす。
「はい、奥さんに会えて……良かったね」
「クゥン!? クゥンクゥン!」
「クゥンクゥン! おお、我が妻よ! また再会できるとは……これも友のおかげだ。 感謝する」
ウルフクイーンが尻尾を振りながら、ウルフキングにすり寄る。 死に別れたと思っていた2匹の感動の再開である。
「えへへ~、良かった良かった。 ん、いいよ。 友達の為なら頑張れるさ」
「グル……そうか、私は良友を得たのだな。 しかし、友よ……何かでかくないかい?」
「あはははっ! だから……反応おっっそ!」
「クフクフ! すまない、色々と驚く事が多くてね。 あ、ちょっと妻と話させてくれ」
「ん、もちろん。 私は飛竜の肉食べて来るから」
クウネルは仲睦まじい2匹を置いて飛竜王の死体へと向かう。
「さて、夫婦の再会邪魔するのもアレだし食事といきますかー」
空を見ると巨木の隙間から漏れ出る光は薄暗くなってきている。 今度こそ、夕方なのだろう。
「はー、疲れた。 サバイバル1日目からハード過ぎじゃね?」
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。 え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし
水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑
★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位!
★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント)
「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」
『醜い豚』
『最低のゴミクズ』
『無能の恥晒し』
18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。
優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。
魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。
ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。
プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。
そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。
ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。
「主人公は俺なのに……」
「うん。キミが主人公だ」
「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」
「理不尽すぎません?」
原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。
※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる