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第49話 暴食の始まりとサバイバル
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「いったぁっ!?」
激痛に叩き起こされ、地面に倒れたクウネルが見たのは知らない景色だった。
「綺麗な青空だー。 ん? 待って待って、何でこんな森に私倒れてたんだっけ……って、頭いっっったぁーい! あ~、思い出しましたよ」
クウネルは身体を起こし、自身が着地したクレーターとバラバラになった鎧や武器を見た。
「そうそう、亜人達の裏切りと元クラスメイトのチート達と再開して……両親も、祖父も殺されたんだ。 で~、母のスキルで魔の森奥地に飛ばされたんだよね? ……あれ? ……ん? 今……家族の事私、何て呼んだ?」
クウネルは自身の発言に違和感を感じ、考える。
「前は何て呼んでた? 私は……クウ? クウネル? いや、私はクウネル。 そう、クウネル。 喰は、狩人喰は前世の名前だよね」
痛む頭と戦いながら、必死に現世の思い出を振り返った。
「前世の祖父の事もちゃんと覚えてる。 巨人生の家族の事もちゃんと覚えてるし、思い出もちゃんと有る。 確か、亜人も元クラスメイトもこの世界全ても、全部全部、憎くて殺したくて仕方無かった筈。 筈なのに……今は怒りも憎しみも感じない? 何だこの感覚、凄く気持ち悪い。 気を失う前に……誰かと話したよね? 誰と……?」
クウネルは考えれば考える程に違和感が強くなるのを感じていた。
「ダメだ、考えが纏まらない。 身体の中に、大きな穴が出来たみたいで凄く気持ち悪い」
クウネルは何とか立ち上り、再度周りを見渡す。
大きなクレーターに近付き、ボロボロになったハルバートと鎧の破片を拾った。
「んー、流石に武器と鎧は駄目か。 残ってるのも外しておこう」
クウネルは残っていたチェーンメールの鎧を外し、一箇所に破片を集める。
「ふー、少し身軽になったぞ」
クウネルの装備は赤色のシャツに紺色のズボン、無事だったガントレットと脛当に皮のブーツのみである。
クレーター以外は森しか見えず、3メートルのクウネルより少し高い木々が周囲を覆っていた。 そして移動しようと思った時、何かの匂いに気付く。
「くんくんくん……あ~、良い匂い? なんだろう、何処かで嗅いだ美味しそうな匂いがする~」
クウネルは地面に出来ていた血溜まりに鼻を近付け、自身の血では無いことを確認した。
「これ……誰の血だ? まぁ、私は無事だし……血だけなら気にしなくてもいっか。 さて、どうしよっかー。 村にも帰れないし、ラスボスな祖父でも住めない魔の森でサバイバルするの? 無理じゃね? あれ? やっぱり何か変だ。 祖父、祖父、祖父? 此処で目覚める前は、何て呼んでた? 何で思い出せない? 記憶に、思い出に穴が有る……気がする。 そうだ、一度自分のステータスを確認しとこう! ステータスオープ……ッ!?」
クウネルがステータスを表示しようと試みた瞬間、味わった事の無い空腹感がクウネルを襲った。
「……が……はっ!? 何だこれ、お腹が……お腹が空いてるの? いや、そんなレベルじゃない。 痛い、痛い痛い痛い。 今まで、こんなに空腹になった事何て無いっ! 痛い痛い、何か食べなきゃ。すぐに食べなきゃ!」
クウネルまだ重い身体を無理矢理動かし、森の中に入り食べ物を探す。 その間にも、ゴキュルルルとお腹から鳴ってはいけない程の轟音が響く。 その音が激しくなる度に、死が近付くのを感じる。
「不味い不味い不味い! 死ぬ死ぬ死ぬ!!」
木々を掻き分け、闇雲に進み続ける。 すると、スキル気配察知に反応があった。
「あ! こっちか! 何でも良い、何でも食べてやる! 食べなきゃ死ぬ!!!」
遂に、腹の虫がゴギゴギッと異音を立て始め激しい痛みにクウネルは顔を顰めながら走る。
「はぁ……はぁ……ぁがっ! 後少し、後少しで見える……見えた!!
森の少し平地になっている場所に、青くて丸い水饅頭みたいなのが沢山跳ねているのを目視したクウネルは躊躇せずに飛び掛かった。
激痛に叩き起こされ、地面に倒れたクウネルが見たのは知らない景色だった。
「綺麗な青空だー。 ん? 待って待って、何でこんな森に私倒れてたんだっけ……って、頭いっっったぁーい! あ~、思い出しましたよ」
クウネルは身体を起こし、自身が着地したクレーターとバラバラになった鎧や武器を見た。
「そうそう、亜人達の裏切りと元クラスメイトのチート達と再開して……両親も、祖父も殺されたんだ。 で~、母のスキルで魔の森奥地に飛ばされたんだよね? ……あれ? ……ん? 今……家族の事私、何て呼んだ?」
クウネルは自身の発言に違和感を感じ、考える。
「前は何て呼んでた? 私は……クウ? クウネル? いや、私はクウネル。 そう、クウネル。 喰は、狩人喰は前世の名前だよね」
痛む頭と戦いながら、必死に現世の思い出を振り返った。
「前世の祖父の事もちゃんと覚えてる。 巨人生の家族の事もちゃんと覚えてるし、思い出もちゃんと有る。 確か、亜人も元クラスメイトもこの世界全ても、全部全部、憎くて殺したくて仕方無かった筈。 筈なのに……今は怒りも憎しみも感じない? 何だこの感覚、凄く気持ち悪い。 気を失う前に……誰かと話したよね? 誰と……?」
クウネルは考えれば考える程に違和感が強くなるのを感じていた。
「ダメだ、考えが纏まらない。 身体の中に、大きな穴が出来たみたいで凄く気持ち悪い」
クウネルは何とか立ち上り、再度周りを見渡す。
大きなクレーターに近付き、ボロボロになったハルバートと鎧の破片を拾った。
「んー、流石に武器と鎧は駄目か。 残ってるのも外しておこう」
クウネルは残っていたチェーンメールの鎧を外し、一箇所に破片を集める。
「ふー、少し身軽になったぞ」
クウネルの装備は赤色のシャツに紺色のズボン、無事だったガントレットと脛当に皮のブーツのみである。
クレーター以外は森しか見えず、3メートルのクウネルより少し高い木々が周囲を覆っていた。 そして移動しようと思った時、何かの匂いに気付く。
「くんくんくん……あ~、良い匂い? なんだろう、何処かで嗅いだ美味しそうな匂いがする~」
クウネルは地面に出来ていた血溜まりに鼻を近付け、自身の血では無いことを確認した。
「これ……誰の血だ? まぁ、私は無事だし……血だけなら気にしなくてもいっか。 さて、どうしよっかー。 村にも帰れないし、ラスボスな祖父でも住めない魔の森でサバイバルするの? 無理じゃね? あれ? やっぱり何か変だ。 祖父、祖父、祖父? 此処で目覚める前は、何て呼んでた? 何で思い出せない? 記憶に、思い出に穴が有る……気がする。 そうだ、一度自分のステータスを確認しとこう! ステータスオープ……ッ!?」
クウネルがステータスを表示しようと試みた瞬間、味わった事の無い空腹感がクウネルを襲った。
「……が……はっ!? 何だこれ、お腹が……お腹が空いてるの? いや、そんなレベルじゃない。 痛い、痛い痛い痛い。 今まで、こんなに空腹になった事何て無いっ! 痛い痛い、何か食べなきゃ。すぐに食べなきゃ!」
クウネルまだ重い身体を無理矢理動かし、森の中に入り食べ物を探す。 その間にも、ゴキュルルルとお腹から鳴ってはいけない程の轟音が響く。 その音が激しくなる度に、死が近付くのを感じる。
「不味い不味い不味い! 死ぬ死ぬ死ぬ!!」
木々を掻き分け、闇雲に進み続ける。 すると、スキル気配察知に反応があった。
「あ! こっちか! 何でも良い、何でも食べてやる! 食べなきゃ死ぬ!!!」
遂に、腹の虫がゴギゴギッと異音を立て始め激しい痛みにクウネルは顔を顰めながら走る。
「はぁ……はぁ……ぁがっ! 後少し、後少しで見える……見えた!!
森の少し平地になっている場所に、青くて丸い水饅頭みたいなのが沢山跳ねているのを目視したクウネルは躊躇せずに飛び掛かった。
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