【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

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第239話 大食い女神と泥酔女神

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 「ギ、ギルドマスター……本当に申し訳ありませんでした」 

 「リポン、顔を上げよ。 お主と妹の事情はセムネイル殿から聞き及んでおる。 気付いてやれずにすまんかったのぉ」

 セムネイルはソルバを4次元へと連れ帰り、今後どうせ同じ4次元に住むならさっさと再会させてやろうとキュイジーヌのレストランで2人を再会させていた。

 「わ、私は……長い間、ギルドマスターを裏切ってたんですよ? 謝るのは……私です」 

 「お姉ちゃん……あ、これ美味しい!」

 妹のリパンも姉の側に付き添いながら、キュイジーヌに出された飛竜の唐揚げに舌鼓を打っている。

 「ほっほっほっ、どれ儂も頂こう。 ……むぉ?! 美味いっ!! リポンも食べるとええぞ。 コレは食べないと損じゃ。 ほれほれ、無くなるぞ~?」

 ソルバは神速の素早さで大皿に乗った飛竜の唐揚げを食べ始め、それを見たリパンも大急ぎで頬張る。

 そんな光景を目にし、リポンはようやく笑った。

 「ふふ、そうですね。 ギルドマスター……ありがとうございます」

 「ほっほっほっ、お主は儂にとって孫みたいなもんじゃ。 何も気にするでない。 これからは、魔王が来ようと魔族が来ようと儂が斬ってやる。 案ずるでない」

 「くっくっくっ、もう大丈夫そうだな? ソルバやリポン達が住む魔人族のエリアに後で家を用意してやる。 今はゆっくり食っててくれ」

 セムネイルはソルバとリポンの関係は修復出来たと判断し、ずっと視界に入れないようにしていた場所へと向かう。

 レストランの奥ではドワーフ達や鬼人達が食事をしており、その中央に高い天井まで届く程に巨大な料理と山のような量の空き瓶が積まれていた。

 「さて……モーンデとドウェル。 感動の再会をしているのは良いんだが……コレはどういう状況だ?」

 鬼人の女神モーンデは火竜の丸焼きに齧りつき、ドワーフの女神ドウェルは水を飲むような勢いで酒瓶をラッパ飲みしていたのだ。

 「あら~セムネイルちゃん。 見て~! キュイジーヌちゃんが、最後の火竜を丸焼きにしてくれたの~! 美味しいわぁ~」

 「ひっく、あ~! お前がセムネイルかぁ? あれ~? 見た顔だな~、ひっく」

 明らかに暴飲暴食の限りを尽くす女神2柱にセムネイルはこめかみを押さえ、その横で鬼人のオルガとドワーフのルグが申し訳無さそうに頭を下げる。

 「セムネイル様……モーンデ様が申し訳ありません!」

 「うちの酒神様がすみません~!」

 「いや、構わん。 なんたって、久し振りの再会なんだからな。 ん? そういえば、モーンデの世話をしているミリム達はどうしたんだ? 居ないようだが……」

 セムネイルは鬼人やドワーフ達を見渡し、居ない者達がいる事に気付き首を傾げた。

 「え、あ、その、はい……ミリム達は少し疲れ過ぎていたようで。 家で……寝てます」

 セムネイルの疑問に答えたオルガは何故か耳まで赤くし、しどろもどろに答える。

 (なるほどな、キュイジーヌと一緒に家畜になる動物達を追加で買ったせいで手が足りてないのか。 だから、ミリム達はモーンデの世話をしながら家畜の世話も頑張ったと……俺のせいだな)

 セムネイルは納得し、頷いた。

 「そうか。 なら、ゆっくり寝させてやろう。 オルガ達もそうだが、もし俺のせいで無理をさせているならちゃんと言ってくれ。 ん? オルガも少し疲れていないか? 隈が出来ているぞ」

 オルガの頬を撫で、目を見ると薄っすらと隈が出来ていることに気付く。

 「ふぇ!? あ、その、コレは……大丈夫デス」

 「分かった。 だが……無理はしないでくれよ?」

 「ひゃ、ひゃい……」

 茹でダコの様に真っ赤になったオルガを鬼人達は羨望の眼差しで見つめているが、2柱の女神達は違った。

 因みにドワーフ族のルグ達はソルバが腰に差している刀に興味が行き、ソルバを囲んで何やらはしゃいでいる。

 「ふーーーーん……オルガちゃん、抜け駆けするんだ~」

 「モ、モーンデ様!? そんなつもりでは……」

 「ひっく、あん?? んぐんぐ、ぷはぁっ! おいおい、聞いてた話と違うんじゃねぇのぉ? ひっく、セムネイルって言やぁ極悪非道で女を物のように扱う最低最悪な魔王だろぉ? ひっく、どう見てもそうは見えねぇんだけどぉ? ひっく、んぐ、んぐ!」

 モーンデは何時もの優しげな微笑みから、鬼の様な顔になり。 ドウェルは酒瓶をラッパ飲みしながら顔を顰めた。

 「いや、俺がセムネイルであっているぞ。 ドウェル、俺の女達を助けてくれたと聞いた。 本当に感謝している……ありがとう」

 セムネイルは改めてドワーフの女神ドウェルに頭を下げ感謝する。 そんなセムネイルを見て、ドウェルは目を見開き酒瓶を口から離した。

 「ぷはぁ~! 大昔の話しだし、別に構わねぇよ。 ひっく、しっかし、アレだな。 お前……変わったって言われねぇか?」

 「む? そうだな……妻のグラやケイティには良く言われるが。 だが、酒が切れてる時のドウェルも中々な変わりようだぞ」

 ドウェルは気まずそうに頭をボリボリと掻きながら酒瓶を呷る。

 「ひっく、あ~……酒が切れてる時は俺はダメダメなんだ。 それより、俺こそエオルニアの糞ガキの封印を解いてくれてありがとうよ。 ひっく、だから俺とお前はコレで対等だ。 だろ?」

 「くっくっくっ……分かった。 よろしくな、ドウェル」

 「ひっく、おう! あ……お前って此処の主何だよな? 実は、キュイジーヌっていうお嬢ちゃんにこれ以上酒は出さないって言われちまってよ。 代わりに酒貰って来てくんね? 勿論、礼はするからさ!」

 見た目少女で中身がオッサンなドウェルの頼みにセムネイルは苦笑いしながら、キュイジーヌの下に向かう。

 「ほら、モーンデ様! せっかくの火竜の丸焼きが冷めてしまいますよ!」

 「え?! あ~本当だ~! 早く食べなきゃ~」

 「ひっく! おぉぉ! 爺さん、中々な腕前じゃん! いいぞー! ひっく!」

 「刀とは凄い武器ですね~。 通常の直剣とはそもそもの造りが違い、つまり、材料から見直しが、ブツブツ……」

 モーンデに詰められていたオルガは料理で危機を回避し、ドウェルとルグ達はソルバに刀捌きの演舞を見せてもらい大いに盛り上がっていた。

 その光景を見たセムネイルは、2柱の女神達がコレからはずっと笑顔でいられるようにすると決意するのであった。
 
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