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第225話 南の街ミンガムに帰還
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「おーおー、今日も賑わっているな」
「ふふ、そうですわね貴方様」
「セムネイル様、冒険者ギルドの用事が終わったらまた屋台回りたいです!」
「おー! 良いなリン! セムネイル、俺も俺も!」
「あはは、2人はさっきお昼食べたばっかりなのに凄いわね」
セムネイル達は昼食を済ませ、南の街ミンガムに帰還していた。 今は冒険者ギルドに向かう最中であり、大きな市場の中を歩いている所だ。
「リ、リンさん、ノラさん! 私、美味しい屋台知ってますよ!」
そしてこの街が地元であるハヤも一緒に来ており、リンやノラと仲良さげに手を繋いで歩いている。
「くっくっくっ、ならハヤのオススメの屋台巡りをしような」
セムネイルの言葉に喜ぶ妻達を愛でながら市場を通り抜けるのであった。
◆◇◆
「戻ったぞ」
「お、おおおお帰りなさいませ。 魔王の花束の皆様」
何故か冷や汗をかいている受付嬢リポンがセムネイル達を出迎え、ギルドのカウンターには義理の兄であるソクドが待っていた。
「お帰りなさい、セムネイルの兄貴」
「よぉ、ソクド。 そうだ、ハヤから聞いたぞ。 ほれ、地竜のステーキを挟んだサンドイッチだ。 残り少ないからな、味わえよ」
セムネイルは4次元からキュイジーヌ特性サンドイッチの山を取り出し、ソクドに渡す。
「マジですか!? しかも、こんなに……パーティーメンバー達と分けて良いのか?」
「当たり前だ。 ハヤ、行ってきていいぞ。 出る時にまた声をかけるからな」
「えへへ、兄上ずっと楽しみしてたんです。 あ、ありがとうございますセムネイル様」
ハヤの頭を撫でてやり、ソクド達と合流しに向かったのを見送ったセムネイルは受付嬢リポンに話しかける。
「リポン、ギルドマスターのソルバは居るか?」
「竜の……サンドイッチ? え、あ、す、すみません! 直ぐにお呼びしますね!」
何やら呆然としていたリポンだったが、セムネイルの言葉でようやく我に返りソルバを呼びに走って行った。
「ん?? どうしたんだ?」
「ふふ、きっとリポンさんも地竜のサンドイッチが食べたかったのでは?」
「竜のお肉が残り少ないのが寂しいですよね……」
「元気だせリン! 最悪、ポチが尻尾をくれるかもしれないぞ!」
「いやぁ……流石にやめてあげてねノラちゃん」
妻達との会話を楽しんでいると、息の荒いソルバがやって来た。
「ま、待たせたかの」
「いや、大丈夫だ。 ソルバ、竜の洞窟がどうなったのか色々話したい。 上で話せるか?」
「轟音と共に竜の洞窟が崩れたのは知っておる。 儂が見に行ったからの。 さぁ、上で話そう」
セムネイル達はギルドマスターソルバの案内で二階の部屋へと向かう。
(……さて、あの震えは異常だな。 あれは怯え、恐怖、畏怖だ。 だが、何故……リポンが俺を恐れる?)
横目で終始震えるリポンを見つめ、セムネイルは疑問を抱く。
「セムネイル、とりあえずは良いんじゃない?」
しかし、同じく疑問を抱いたグラに諭され、セムネイルは頷いた。
「そうだな。 もし、何か事情があるなら言ってくるだろ」
◆◇◆
「よっと……確か、一階層で見つけた戦利品はコレだけだな。 どうだ? 仲間のはあるか?」
セムネイルが机の上に4次元から取り出した戦利品の山を出すと、ソルバを目を見開きながら手に取った。
「ある。 あるのぉ……」
そして、刀を手に取り涙を流す。
「その刀は……ソルバが使っていた得物に似ているな」
「えぇ……えぇ……コレは、弟が使っていた刀ですのぉ。 懐かしぃ……まさか、またこの手で触れられるとは」
セリス達は悲しそうな顔でソルバを見つめ、ソルバは次々に仲間が使っていた武器の数々を手に取った。
「それで……全部か?」
「間違いないのぉ。 確かに、儂と共に潜った仲間達が使っていた武具じゃ。 セムネイル殿、本当に、本当に……かたじけない」
ようやく再開出来たと、ソルバは仲間達の形見を抱きしめて泣き続ける。
セムネイル達は、ソルバが落ち着くまで黙って待ち続けたのであった。
◆◇◆
セムネイル達が上の部屋に向かった頃、ハヤはギルドの酒場でパーティーの仲間達と地竜のサンドイッチを頬張っていた。
「んぉーー?! う、美味すぎる!! 何だよコレ!」
ソクドは地竜の肉の美味さに感動しテーブルに頭を打ち付け、他の仲間達は感動で号泣している。
そんな光景をハヤは苦笑いで見つめ、コレ以上に美味しい竜の肉を食べた事は秘密にしようと心の中で誓う。
「あはは……良かった。 兄上や皆に食べさせて上げたいって言ったらね。 セムネイル様、ふたつ返事で良いぞって言ってくれたの。 でも、キュイジーヌさんの所に言いに行ったら……別にいいけどこのサンドイッチ1つで城が建つ値段するよ?って言われちゃって~」
「「「「「ぶ!! 城が建つ?!」」」」」
ハヤの話しを聞いて、ソクド達は目玉が飛び出そうになる程に驚いた。
「あはは、だから味わってね」
「あ、当たり前だ! お前達も、死ぬ気で味わえ! Sランク冒険者になれても、竜の肉を使ったサンドイッチなんか一生食えねぇぞ!!」
「「「「「「おう!!」」」」」」
ソクド達は終始美味そうにサンドイッチを味わい、その様子をハヤは嬉しそうに見つめるのであった。
「ふふ、そうですわね貴方様」
「セムネイル様、冒険者ギルドの用事が終わったらまた屋台回りたいです!」
「おー! 良いなリン! セムネイル、俺も俺も!」
「あはは、2人はさっきお昼食べたばっかりなのに凄いわね」
セムネイル達は昼食を済ませ、南の街ミンガムに帰還していた。 今は冒険者ギルドに向かう最中であり、大きな市場の中を歩いている所だ。
「リ、リンさん、ノラさん! 私、美味しい屋台知ってますよ!」
そしてこの街が地元であるハヤも一緒に来ており、リンやノラと仲良さげに手を繋いで歩いている。
「くっくっくっ、ならハヤのオススメの屋台巡りをしような」
セムネイルの言葉に喜ぶ妻達を愛でながら市場を通り抜けるのであった。
◆◇◆
「戻ったぞ」
「お、おおおお帰りなさいませ。 魔王の花束の皆様」
何故か冷や汗をかいている受付嬢リポンがセムネイル達を出迎え、ギルドのカウンターには義理の兄であるソクドが待っていた。
「お帰りなさい、セムネイルの兄貴」
「よぉ、ソクド。 そうだ、ハヤから聞いたぞ。 ほれ、地竜のステーキを挟んだサンドイッチだ。 残り少ないからな、味わえよ」
セムネイルは4次元からキュイジーヌ特性サンドイッチの山を取り出し、ソクドに渡す。
「マジですか!? しかも、こんなに……パーティーメンバー達と分けて良いのか?」
「当たり前だ。 ハヤ、行ってきていいぞ。 出る時にまた声をかけるからな」
「えへへ、兄上ずっと楽しみしてたんです。 あ、ありがとうございますセムネイル様」
ハヤの頭を撫でてやり、ソクド達と合流しに向かったのを見送ったセムネイルは受付嬢リポンに話しかける。
「リポン、ギルドマスターのソルバは居るか?」
「竜の……サンドイッチ? え、あ、す、すみません! 直ぐにお呼びしますね!」
何やら呆然としていたリポンだったが、セムネイルの言葉でようやく我に返りソルバを呼びに走って行った。
「ん?? どうしたんだ?」
「ふふ、きっとリポンさんも地竜のサンドイッチが食べたかったのでは?」
「竜のお肉が残り少ないのが寂しいですよね……」
「元気だせリン! 最悪、ポチが尻尾をくれるかもしれないぞ!」
「いやぁ……流石にやめてあげてねノラちゃん」
妻達との会話を楽しんでいると、息の荒いソルバがやって来た。
「ま、待たせたかの」
「いや、大丈夫だ。 ソルバ、竜の洞窟がどうなったのか色々話したい。 上で話せるか?」
「轟音と共に竜の洞窟が崩れたのは知っておる。 儂が見に行ったからの。 さぁ、上で話そう」
セムネイル達はギルドマスターソルバの案内で二階の部屋へと向かう。
(……さて、あの震えは異常だな。 あれは怯え、恐怖、畏怖だ。 だが、何故……リポンが俺を恐れる?)
横目で終始震えるリポンを見つめ、セムネイルは疑問を抱く。
「セムネイル、とりあえずは良いんじゃない?」
しかし、同じく疑問を抱いたグラに諭され、セムネイルは頷いた。
「そうだな。 もし、何か事情があるなら言ってくるだろ」
◆◇◆
「よっと……確か、一階層で見つけた戦利品はコレだけだな。 どうだ? 仲間のはあるか?」
セムネイルが机の上に4次元から取り出した戦利品の山を出すと、ソルバを目を見開きながら手に取った。
「ある。 あるのぉ……」
そして、刀を手に取り涙を流す。
「その刀は……ソルバが使っていた得物に似ているな」
「えぇ……えぇ……コレは、弟が使っていた刀ですのぉ。 懐かしぃ……まさか、またこの手で触れられるとは」
セリス達は悲しそうな顔でソルバを見つめ、ソルバは次々に仲間が使っていた武器の数々を手に取った。
「それで……全部か?」
「間違いないのぉ。 確かに、儂と共に潜った仲間達が使っていた武具じゃ。 セムネイル殿、本当に、本当に……かたじけない」
ようやく再開出来たと、ソルバは仲間達の形見を抱きしめて泣き続ける。
セムネイル達は、ソルバが落ち着くまで黙って待ち続けたのであった。
◆◇◆
セムネイル達が上の部屋に向かった頃、ハヤはギルドの酒場でパーティーの仲間達と地竜のサンドイッチを頬張っていた。
「んぉーー?! う、美味すぎる!! 何だよコレ!」
ソクドは地竜の肉の美味さに感動しテーブルに頭を打ち付け、他の仲間達は感動で号泣している。
そんな光景をハヤは苦笑いで見つめ、コレ以上に美味しい竜の肉を食べた事は秘密にしようと心の中で誓う。
「あはは……良かった。 兄上や皆に食べさせて上げたいって言ったらね。 セムネイル様、ふたつ返事で良いぞって言ってくれたの。 でも、キュイジーヌさんの所に言いに行ったら……別にいいけどこのサンドイッチ1つで城が建つ値段するよ?って言われちゃって~」
「「「「「ぶ!! 城が建つ?!」」」」」
ハヤの話しを聞いて、ソクド達は目玉が飛び出そうになる程に驚いた。
「あはは、だから味わってね」
「あ、当たり前だ! お前達も、死ぬ気で味わえ! Sランク冒険者になれても、竜の肉を使ったサンドイッチなんか一生食えねぇぞ!!」
「「「「「「おう!!」」」」」」
ソクド達は終始美味そうにサンドイッチを味わい、その様子をハヤは嬉しそうに見つめるのであった。
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