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第223話 キュイジーヌの強行

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 「あれ……? 自分……寝れたっす?」

 ケイティはセムネイルに抱き着かれた状態で目を覚ました。

 そして、ダンジョンコアに繋がれてから一度も取れなかった睡眠に成功した事に気付き、自身を抱いているセムネイルの腕を優しく撫でた。

 (あは……ありがとうっす、先輩。 そうだ、先輩や他の姉様方が起きる前に朝ご飯の準備でも……んぁ?!♡)

 本当に愛してくれた事にもケイティは幸せを感じ、眠るセムネイルを起こさないように身動ぎしたが離れられなかった。

 「わ、わわわ……そうっす。 昨日の夜、あの後に挿れたままが良いって言ったんすもんね……うわぁ、中でまだガチガチっすね♡ んっ♡」

 下腹部の中に感じる熱く固い物の存在感は凄まじく、少し身動ぎするだけで身体が火照る。

 「あちゃー……失敗したっすね。 んんっ♡ 先輩起こすのは可哀想っすし……あれ? 先輩?? お゙ごっ!?♡」

 背中越しにセムネイルが動いたと思った瞬間、セムネイルの腰がケイティの艶尻に打ち付けられ奥を深く抉った。

 「すまん、ケイティ。 挿れたままは……俺が我慢できん」

 「ちょっ……先輩、ダメっすよぉ♡ 朝からこんな……んぎぃっ♡」

 「大丈夫だ。 他の妻達も、俺がケイティと繋がったまま寝ていると聞いて同じ様にしたからな。 ほら、聞こえるだろ?」

 ケイティは頭がチカチカとする快楽の中、壁の向こうから誰かの喘ぐ声を聞き朝から始めたのは自分達だけでは無いのだと悟った。

 「あは♡ なら……大丈夫っすね♡ 先輩……きてっす♡」

 ケイティは観念し、セムネイル達が部屋から出たのは昼過ぎになるのであった。

 ◆◇◆

 一方その頃、キュイジーヌのレストランでは主であるキュイジーヌの悲鳴が響いていた。

 「にゅわぁぁぁぁぁ!! 竜、竜はどこ?! 竜ー! 竜に触れないと気が触れそう!」

 厨房ではキュイジーヌがオリハルコンの包丁片手に暴れ、手伝い兼見習いの肉食獣人のライ達は厨房の隅で怯えながら訴える。

 「キュイジーヌ! 落ち着けって! ほら、あの……超巨大冷蔵庫? には、まだ竜の肉が山盛りに残ってるじゃんか。 触ってこいよ」

 「あぁぁぁぁん?! ライ! ふざけないで! 何度も言ってるでしょ? 私は肉じゃなくて、究極の食材となる竜そのものに触れたいの! まだ全然触れ足りないんだよー! セムネイル様ーーー! 竜はー!? 新しい竜は何処ーー!」

 「こりゃダメだな。 皆、脱出するぞ!」

 「「「「「「「りょ、了解です!」」」」」」」

 泣きながらオリハルコンの包丁を振り回すキュイジーヌに限界を感じたライは、急いでレストランを休みの札に変えてから抜け出してセムネイルの家へと向かった。

 「ふー! セムネイル様の家……初めてだぜ。 やべぇ、き、緊張してきた。 ふー、ふー……皆、あ、開けるからな!」

 ライの背後には身の危険を感じた仲間の肉食獣人の娘達が付いて来ており、緊張した面持ちで見守っている。

 そして、ライがゆっくりと扉を開けると大音量の淫らな声や音が聞こえ直ぐ様扉を閉めた。

 「……すっご」

 顔を真っ赤にしたライの素直な感想に、後ろで聞いていた肉食獣人の娘達も真っ赤に染めながら頷いた。

 「……決めた。 今日はコロシアムに帰るぞ! キュイジーヌは……まぁ、時間が経ったら落ち着くだろ。 それより……その、各自帰ったら昼寝するぞ! 昼寝だ!! いいな!!」

 「「「「「勿論! 了解です!」」」」」

 息が荒くなったライ達はあっさりとキュイジーヌを見捨て、自分達の寝床へと急いで帰宅するのであった。

 ◆◇◆

 「あ! そうだ! セムネイル様が乗って見回りしてたよね……ふふ、居るじゃないか。 火竜王のポチ様が」

 1人で暴れていたキュイジーヌは、先日にセムネイルがペットにした火竜王を乗り回していた事を思い出し狂気の笑みを浮かべていた。

 「セムネイル様もきっと忙しくて、昨日の夜は私の所に来れなかったに違いない。 だから……それまで火竜王ポチ様に会いに行って気を紛らわせるぞ!」

 キュイジーヌは厨房でバタバタと準備を済ませ、セムネイルからまだ立ち入り禁止と言われていたポチの家へと走った。

 「え? あの……すみません、セムネイル様にまだ誰とも一匹では会うなと言われているのですが……?」

 火竜王ポチは突如として訪れたキュイジーヌを脅かさないように優しく伝える。

 「ポチ様!! お腹は空いてませんか!?」

 しかし、キュイジーヌは担いできた袋を置いて何の躊躇も無くポチの身体を触る。

 「ちょっ?! いや、その……確かに空いてます。 まぁ、竜は長い間何も食べなくても大丈夫ではあるんですが。 そんな事より……怖くないのですか?」

 「怖い? 何故? こんなにも……素晴らしい身体なのに」

 「ひぃっ?!」

 鱗に頬擦りされたポチは未知の経験に恐怖した。

 「あ、すみません! お腹が空いてるかもと思いまして、色々と作ってきたんです! お口に合うと良いんですが……」

 ポチがドン引きしているのに気付いたキュイジーヌは慌てて離れ、袋から作ってきたサンドイッチの塊を差し出す。

 「わぁ……美味しそうですね。 それに、私に合わせてこんなに大きく作ってくれるなんて……キュイジーヌさんは良い人間なのですね」

 たっぷりの肉を挟んであるサンドイッチの魅力は凄まじく。

 ポチは家からは出ていないし、住民と仲良くするには大丈夫だと自分に言い聞かせながらキュイジーヌへと近づく。

 「では……あむ! んんん?! 美味しい! なんて美味しいんだ!!」

 ポチは初めて食べる料理に目を見開いて驚く。

 「そうですか、ポチ様が私の料理を気に入ってくれて本当に嬉しいです!」

 その様子をキュイジーヌは笑顔で見守り、巨大なサンドイッチは一瞬で消え去った。

 「もう終わってしまった。 キュイジーヌさん、ありがとうございました」

 ポチは安堵した。

 突如として侵入して来たキュイジーヌをずっと警戒していたが、本心から自分の事を怖がらずに仲良くしてくれる相手が出来た事に。

 「ふふ、何よりです。 では……ポチ様。 ほんの、ほんの少しだけなので……尻尾の先端を斬らせて頂いてもよろしいでしょうか? はぁはぁはぁはぁ……」

 キュイジーヌはオリハルコンの包丁を取り出し、ジリジリとポチの背後に回り込み始めた。

 「なっ?! いや、生えてきますけども! それは、流石にちょっと……許して下さい!!」

 「あ、ポチ様! お待ちになって下さい! っていうか、待てーーー! 少しだけ、ほんの少しだけだからー!」

 ポチは恐怖し、家の出入り口を破壊して逃げ出した。 そして、起き出したセムネイルに制止されるまでキュイジーヌはポチを追いかけ回したのであった。
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