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第217話 許しと落下
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「なるほどね……話しは分かった。 そういう事なら、私が貴女を害する事は無い。 昔……あれ程の事をした裏切り者の1人だとしても」
「……かたじけないっす」
「それと、セムネイルの事だけど心配するだけ損よ? 神や魔神が殺したくても殺せずに封印するのがやっとだった最強最悪の魔王がダンジョンの崩壊で死ぬ訳無いから」
「あは……グラ様は先輩と敵同士だった筈っすけど、信頼してるんすね」
魔剣の魔王グラはいつの間にか巨大な空間に変わっていた宝物庫で、突如として現れたケィティから事情を聞いていた。
そして、思うところはあるが夫であるセムネイルの想いを全て飲み込みグラは久し振りに見た裏切り者ケィティを許す。
「とりあえず……この気絶している変態っぽい子はセムネイルの奥さんでもあるセリスちゃんね。 追々また紹介するけど、セムネイルの妻はケィティを入れて12人目よ。 他の妻姉妹も癖がある子ばかりだから覚悟しておいて」
「え? あ、あの……グラ様。 自分は先輩を裏切った女っす。 それに……さっきも説明したっすけど、エオルニアに捕まった後に散々犯され汚されたっす。 そんな自分を……先輩がまた女に、ましてや奥さんにしてくれる訳ないっすよ……あはは」
ケィティは宝物庫に座り込み、自虐的に笑う。
セムネイルが自分と竜王達を助けてくれたのは、昔の事への贖罪であり情けだとケィティは本気で思っていた。
「はぁ……ケィティ、私を触ってみて」
グラは座るケィティの側に近付き、自身の身体をローブの上から触らせる。
「ちょっ、グラ様!? あれ……? グラ様って結構胸大きかったっすよね……? ぺったんこっす」
「そりゃそうよ。 私の身体は男だから」
ケィティはグラの言葉を聞き目を見開く。
「どういう事っすか……グラ様は女性っよね?」
「そうよ? でも、エオルニアに捕まった後に散々犯され……飽きられた後に身体を変えられたの。 勿論、下も付いてる。 しかも、ケィティと同じ様に最終階層のボス部屋で門番させられてた……まぁ、父である魔剣の魔神を生かすための心臓としてだけどね」
ケィティは自身よりも悲惨な目にあったであろうグラを見て、何も言葉が出てこなかった。
「ふふ、悲惨でしょ? でも、セムネイルは私を抱いてくれた。 こんな身体を受け入れてくれた。 愛してくれた。 毎日毎日、飽きもせずに抱いてくれるの。 だから、ケィティ……貴女もセムネイルに愛される。 だから安心しなさい」
グラに優しく抱きしめられ、ケィティの頬を涙が伝った。
「大丈夫、大丈夫よ。 長く苦しかったよね、辛かったよね。 もう大丈夫だからね」
裏切り者だと知るグラに優しく抱きしめられ、頭を撫でられたケィティは泣き続けた。
気が狂いそうになる程に辛く、長い地獄から解放されたのだと安堵して。
後で大人しくしている2匹の竜王は優しい瞳で、泣くケィティを黙って見つめるのであった。
◆◇◆
グラがケィティを抱きしめている頃、セムネイルはひたすらに上へと向けて天井を掘り進めていた。
「ちっ、此処が限界か」
そして次元の壁に阻まれ、次の一手に出る。
「お、契約魔法のリキャストタイムが終わったな。 なら、全力だ!!」
足下からはセムネイルを追うように瓦礫が迫り上がり、最後の空間を全て埋めようとしていた。
「我が妻にして、人類最強となり得る勇者よ! 宿敵たる魔王と契約せし愛しい妻タリアよ! その神聖なる力を魔王たる俺に貸してくれ! 魔王と勇者の力を融合し、世界の理すら斬り裂かん! 次元斬り!!」
セムネイルの背後に半透明の女勇者タリアが現れ、神聖なる勇者の力をセムネイルが持つ神槍グンニグルへと宿す。
そして、セムネイルの力を宿した魔剣デザイアとグンニグルを阻む次元へと振り抜き斬り裂いた。
「よし! 上手くいった……うぉっ?!」
斬り裂かれた次元は勢いよくセムネイルを吸い込み、一瞬にして閉じてしまう。
直後、竜の洞窟は完全に崩壊しこの世界から消え去った。
◆◇◆
「うぉぉぉぉぉ!?」
放り出されたセムネイルは叫んでいた。
「おいおい、高過ぎだろー!!」
ダンジョンの次元を斬り裂き吸い込まれたセムネイルは、遥か上空に放り出され世界を見渡せる程の高度から自由落下しているのだ。
「は……? 大陸が全部繋がってる? なる程な、だから別の大陸に住んでいた亜人達が同じ大陸で生きているのか!」
セムネイルは高い空から見て記憶と違う大陸の形に歯ぎしりをし、エオルニアが何をしたのか直ぐに想像出来た。
「くそが、エオルニアの糞女神が! 亜人達が匿ってくれた俺の女達を殺す為に地殻変動まで起こしたのか!」
憤っている間も自由落下は続き、地上までの距離は刻一刻と近付いてる。
「ぐぉぉぉぉ!? 何て風圧だ! ふはははは! 中々にヤバいな!」
落下する速度が速すぎる為に、風魔法の風の小舟で衝撃を受け止める事も出来ない。
「衝突と同時に全力で地面を攻撃すれば何とかなるか? いや、ならないと流石に死ぬかもな……ん?! ちっ、こんな時に敵か!?」
セムネイルが覚悟を決め、迫る地上へと魔剣を構えた直後。
漆黒の巨大な何かが飛来した。
「……かたじけないっす」
「それと、セムネイルの事だけど心配するだけ損よ? 神や魔神が殺したくても殺せずに封印するのがやっとだった最強最悪の魔王がダンジョンの崩壊で死ぬ訳無いから」
「あは……グラ様は先輩と敵同士だった筈っすけど、信頼してるんすね」
魔剣の魔王グラはいつの間にか巨大な空間に変わっていた宝物庫で、突如として現れたケィティから事情を聞いていた。
そして、思うところはあるが夫であるセムネイルの想いを全て飲み込みグラは久し振りに見た裏切り者ケィティを許す。
「とりあえず……この気絶している変態っぽい子はセムネイルの奥さんでもあるセリスちゃんね。 追々また紹介するけど、セムネイルの妻はケィティを入れて12人目よ。 他の妻姉妹も癖がある子ばかりだから覚悟しておいて」
「え? あ、あの……グラ様。 自分は先輩を裏切った女っす。 それに……さっきも説明したっすけど、エオルニアに捕まった後に散々犯され汚されたっす。 そんな自分を……先輩がまた女に、ましてや奥さんにしてくれる訳ないっすよ……あはは」
ケィティは宝物庫に座り込み、自虐的に笑う。
セムネイルが自分と竜王達を助けてくれたのは、昔の事への贖罪であり情けだとケィティは本気で思っていた。
「はぁ……ケィティ、私を触ってみて」
グラは座るケィティの側に近付き、自身の身体をローブの上から触らせる。
「ちょっ、グラ様!? あれ……? グラ様って結構胸大きかったっすよね……? ぺったんこっす」
「そりゃそうよ。 私の身体は男だから」
ケィティはグラの言葉を聞き目を見開く。
「どういう事っすか……グラ様は女性っよね?」
「そうよ? でも、エオルニアに捕まった後に散々犯され……飽きられた後に身体を変えられたの。 勿論、下も付いてる。 しかも、ケィティと同じ様に最終階層のボス部屋で門番させられてた……まぁ、父である魔剣の魔神を生かすための心臓としてだけどね」
ケィティは自身よりも悲惨な目にあったであろうグラを見て、何も言葉が出てこなかった。
「ふふ、悲惨でしょ? でも、セムネイルは私を抱いてくれた。 こんな身体を受け入れてくれた。 愛してくれた。 毎日毎日、飽きもせずに抱いてくれるの。 だから、ケィティ……貴女もセムネイルに愛される。 だから安心しなさい」
グラに優しく抱きしめられ、ケィティの頬を涙が伝った。
「大丈夫、大丈夫よ。 長く苦しかったよね、辛かったよね。 もう大丈夫だからね」
裏切り者だと知るグラに優しく抱きしめられ、頭を撫でられたケィティは泣き続けた。
気が狂いそうになる程に辛く、長い地獄から解放されたのだと安堵して。
後で大人しくしている2匹の竜王は優しい瞳で、泣くケィティを黙って見つめるのであった。
◆◇◆
グラがケィティを抱きしめている頃、セムネイルはひたすらに上へと向けて天井を掘り進めていた。
「ちっ、此処が限界か」
そして次元の壁に阻まれ、次の一手に出る。
「お、契約魔法のリキャストタイムが終わったな。 なら、全力だ!!」
足下からはセムネイルを追うように瓦礫が迫り上がり、最後の空間を全て埋めようとしていた。
「我が妻にして、人類最強となり得る勇者よ! 宿敵たる魔王と契約せし愛しい妻タリアよ! その神聖なる力を魔王たる俺に貸してくれ! 魔王と勇者の力を融合し、世界の理すら斬り裂かん! 次元斬り!!」
セムネイルの背後に半透明の女勇者タリアが現れ、神聖なる勇者の力をセムネイルが持つ神槍グンニグルへと宿す。
そして、セムネイルの力を宿した魔剣デザイアとグンニグルを阻む次元へと振り抜き斬り裂いた。
「よし! 上手くいった……うぉっ?!」
斬り裂かれた次元は勢いよくセムネイルを吸い込み、一瞬にして閉じてしまう。
直後、竜の洞窟は完全に崩壊しこの世界から消え去った。
◆◇◆
「うぉぉぉぉぉ!?」
放り出されたセムネイルは叫んでいた。
「おいおい、高過ぎだろー!!」
ダンジョンの次元を斬り裂き吸い込まれたセムネイルは、遥か上空に放り出され世界を見渡せる程の高度から自由落下しているのだ。
「は……? 大陸が全部繋がってる? なる程な、だから別の大陸に住んでいた亜人達が同じ大陸で生きているのか!」
セムネイルは高い空から見て記憶と違う大陸の形に歯ぎしりをし、エオルニアが何をしたのか直ぐに想像出来た。
「くそが、エオルニアの糞女神が! 亜人達が匿ってくれた俺の女達を殺す為に地殻変動まで起こしたのか!」
憤っている間も自由落下は続き、地上までの距離は刻一刻と近付いてる。
「ぐぉぉぉぉ!? 何て風圧だ! ふはははは! 中々にヤバいな!」
落下する速度が速すぎる為に、風魔法の風の小舟で衝撃を受け止める事も出来ない。
「衝突と同時に全力で地面を攻撃すれば何とかなるか? いや、ならないと流石に死ぬかもな……ん?! ちっ、こんな時に敵か!?」
セムネイルが覚悟を決め、迫る地上へと魔剣を構えた直後。
漆黒の巨大な何かが飛来した。
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