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第210話 脱出を目指してと死の鬼ごっこ
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「また来るよ! セリスちゃん、結界は絶対に切らさないでね!!」
2本の魔剣を操るグラはセリスの出した風の大船を守る様にして翼竜と戦っていた。
今も離れた場所から翼竜達に風魔法を放たれ、セリスの張っている結界に夥しい数の風の刃が直撃している。
「はい!! これぐらいなら問題ありません! リン! 前方の翼竜からお願い!」
「分かりました! しっ、速射!」
左右から迫る翼竜を打ち落としていたリンが前方へと躍り出て矢を放つ。
「くんくん……セリス、もうすぐ向こう岸に着くぞ! 岩の匂いがする!」
「分かったわ! もう……何でこんなに霧が立ち込めているのでしょうか。 全く前が見えません」
セリスの言う通り、二階層は視界が確保出来ない程に濃霧で覆わていた。
「よいしょー! 多分、ダンジョンが崩壊しそうな影響でシステムがバグったんだろうねっと!」
「「キュガァァァァ?!」」
後ろから迫ってきた翼竜を気配察知を頼りにグラは斬り殺す。
「なる程……ダンジョン、益々興味深いですわ」
それからも暫く進み、ようやく岸に到着したセリス達は急いで一階層に向けて出現した階段を下りるのであった。
◆◇◆
一方その頃、セムネイルは竜王達との死の鬼ごっこを継続していた。
「「「「「「ガルガァァ!!」」」」」」
地獄絵図と化した四階層を走り回り、飛んでくる魔法を危なげ無く魔剣で打ち落とす。 そんな事を既に数時間は行っているのだが、セムネイルは4次元から取り出した果物を食べながら余裕綽々で逃げ回っていた。
「おっ、やっぱり竜の果実は美味いな」
だが、身体の至る所は傷だらけになっており血が滲んでいる。 今も飛んできた雷の魔法を打ち落とす際に弾けた雷が腕をかすり血が吹き出た。
「やれやれ、魔力を温存しておきたいんだが……えっと、ん? 何処だ??」
セムネイルは走りながら4次元の穴に手を突っ込み、何やらゴソゴソと探し始めた。
そんな余裕綽々なセムネイルの背中を竜王達は必死に追い掛けるが、如何せん足が遅く遠くから魔法を放つしか出来ていない。
「あったあった。 でもな~、これ不味いんだよな。 はぁ……観念して飲むか」
セムネイルはピンク色の液体が入った瓶を取り出し、渋りながらも一気に飲み干した。
直後、セムネイルの身体からは蒸気が立ち上り傷が消えていく。
「ぐぁぁぁぁぁ! にげぇぇぇぇ!!」
セムネイルが苦しみながら飲んだのは、今の世界だと希少過ぎて錬金術ギルドに売れば末代まで遊んで暮らせると云われるエクストラヒールの効果を持つポーションだ。
神魔大戦の時代では、錬金の魔神や神が魔力温存の為に大量生産し戦場へとばら撒いたのだが非常に評判は悪かった。
エクストラヒールと云えば、治癒の女神ウルナが使う回復魔法には劣るが傷は勿論、四肢の欠損ですら治すという凄まじい効果を持つ回復魔法なのだ。
その効果を持つポーションを作った錬金の魔神や神は得意げだったそうだが、残念ながら死ぬ程に苦いのだ。
実際に、神魔大戦の最中に傷付いた魔族や天使がコレを服用しその苦さに心が折れて憤死してしまった。
その結果、配られた大量のエクストラヒールポーションを様々な所で捨てる者達が現れ結果的に今の時代でも時折ダンジョンの宝箱から出てくるのだ。
「うぉぉぉぉぉ?! もう回復しきってんのに、まだ苦いのは何なんだよ!!」
セムネイルは竜王達からの攻撃では無く、飲んだポーションによって死ぬ程に苦しむのであった。
◆◇◆
そこから更に数十分。
セリス達は一階層のフロアボスである地竜王を倒し、宝箱の中身を回収する間もなく出口に向けて走っていた。
四階層からはかなり離れた筈なのだが、一階層も影響を受けており空から岩が降り注いでいた。
「セリスちゃん、上から岩!」
グラは他の妻達を守りながら襲い来る地竜と戦っている。
既に、後ろには地竜の死体が幾つも転がっておりグラは全身返り血で血だらけだ。
「はぁはぁはぁ……すみません。 魔力が……切れ……て」
四階層で全力の結界を破られ、その後も魔法を使い続けたセリスの魔力は遂に底をついた。
「おぉ!? セリス、大丈夫か!」
セリスはふらつき、倒れそうになった所をノラが受け止める。
「リンちゃん、援護! ノラちゃん、セリスちゃんを背負って走って!! 魔剣は私が一旦預かるから。 ふん!」
「しっ!」
止まるノラとセリスを狙う地竜の額にリンの矢が突き刺さる。
「ガギャァァァッ?!」
グラは魔剣の魔王の権能を使い、2人に分裂した。
「分かったぞ! リン、行くぞー!」
「2人のことを援護します! グラさんも付いてきて下さいね!」
ノラはセリスを背中に乗せ、出口に向けて全力で走り出した。
「「勿論! 本当にそろそろヤバいかも。 このまま一気に出るよ!」」
2本の魔剣と1本の魔剣を持った2人のグラは左右に別れ、未だに獲物に喰らいつこうと向かって来る地竜達を斬り刻む。
「「「「ガギャァァァァァ!」」」」
空から降る岩の量がどんどん増え、二階層へと続く階段側は既に埋もれていた。
そして、4人はそのまま全速力で出口へと向けて走り続けるのであった。
2本の魔剣を操るグラはセリスの出した風の大船を守る様にして翼竜と戦っていた。
今も離れた場所から翼竜達に風魔法を放たれ、セリスの張っている結界に夥しい数の風の刃が直撃している。
「はい!! これぐらいなら問題ありません! リン! 前方の翼竜からお願い!」
「分かりました! しっ、速射!」
左右から迫る翼竜を打ち落としていたリンが前方へと躍り出て矢を放つ。
「くんくん……セリス、もうすぐ向こう岸に着くぞ! 岩の匂いがする!」
「分かったわ! もう……何でこんなに霧が立ち込めているのでしょうか。 全く前が見えません」
セリスの言う通り、二階層は視界が確保出来ない程に濃霧で覆わていた。
「よいしょー! 多分、ダンジョンが崩壊しそうな影響でシステムがバグったんだろうねっと!」
「「キュガァァァァ?!」」
後ろから迫ってきた翼竜を気配察知を頼りにグラは斬り殺す。
「なる程……ダンジョン、益々興味深いですわ」
それからも暫く進み、ようやく岸に到着したセリス達は急いで一階層に向けて出現した階段を下りるのであった。
◆◇◆
一方その頃、セムネイルは竜王達との死の鬼ごっこを継続していた。
「「「「「「ガルガァァ!!」」」」」」
地獄絵図と化した四階層を走り回り、飛んでくる魔法を危なげ無く魔剣で打ち落とす。 そんな事を既に数時間は行っているのだが、セムネイルは4次元から取り出した果物を食べながら余裕綽々で逃げ回っていた。
「おっ、やっぱり竜の果実は美味いな」
だが、身体の至る所は傷だらけになっており血が滲んでいる。 今も飛んできた雷の魔法を打ち落とす際に弾けた雷が腕をかすり血が吹き出た。
「やれやれ、魔力を温存しておきたいんだが……えっと、ん? 何処だ??」
セムネイルは走りながら4次元の穴に手を突っ込み、何やらゴソゴソと探し始めた。
そんな余裕綽々なセムネイルの背中を竜王達は必死に追い掛けるが、如何せん足が遅く遠くから魔法を放つしか出来ていない。
「あったあった。 でもな~、これ不味いんだよな。 はぁ……観念して飲むか」
セムネイルはピンク色の液体が入った瓶を取り出し、渋りながらも一気に飲み干した。
直後、セムネイルの身体からは蒸気が立ち上り傷が消えていく。
「ぐぁぁぁぁぁ! にげぇぇぇぇ!!」
セムネイルが苦しみながら飲んだのは、今の世界だと希少過ぎて錬金術ギルドに売れば末代まで遊んで暮らせると云われるエクストラヒールの効果を持つポーションだ。
神魔大戦の時代では、錬金の魔神や神が魔力温存の為に大量生産し戦場へとばら撒いたのだが非常に評判は悪かった。
エクストラヒールと云えば、治癒の女神ウルナが使う回復魔法には劣るが傷は勿論、四肢の欠損ですら治すという凄まじい効果を持つ回復魔法なのだ。
その効果を持つポーションを作った錬金の魔神や神は得意げだったそうだが、残念ながら死ぬ程に苦いのだ。
実際に、神魔大戦の最中に傷付いた魔族や天使がコレを服用しその苦さに心が折れて憤死してしまった。
その結果、配られた大量のエクストラヒールポーションを様々な所で捨てる者達が現れ結果的に今の時代でも時折ダンジョンの宝箱から出てくるのだ。
「うぉぉぉぉぉ?! もう回復しきってんのに、まだ苦いのは何なんだよ!!」
セムネイルは竜王達からの攻撃では無く、飲んだポーションによって死ぬ程に苦しむのであった。
◆◇◆
そこから更に数十分。
セリス達は一階層のフロアボスである地竜王を倒し、宝箱の中身を回収する間もなく出口に向けて走っていた。
四階層からはかなり離れた筈なのだが、一階層も影響を受けており空から岩が降り注いでいた。
「セリスちゃん、上から岩!」
グラは他の妻達を守りながら襲い来る地竜と戦っている。
既に、後ろには地竜の死体が幾つも転がっておりグラは全身返り血で血だらけだ。
「はぁはぁはぁ……すみません。 魔力が……切れ……て」
四階層で全力の結界を破られ、その後も魔法を使い続けたセリスの魔力は遂に底をついた。
「おぉ!? セリス、大丈夫か!」
セリスはふらつき、倒れそうになった所をノラが受け止める。
「リンちゃん、援護! ノラちゃん、セリスちゃんを背負って走って!! 魔剣は私が一旦預かるから。 ふん!」
「しっ!」
止まるノラとセリスを狙う地竜の額にリンの矢が突き刺さる。
「ガギャァァァッ?!」
グラは魔剣の魔王の権能を使い、2人に分裂した。
「分かったぞ! リン、行くぞー!」
「2人のことを援護します! グラさんも付いてきて下さいね!」
ノラはセリスを背中に乗せ、出口に向けて全力で走り出した。
「「勿論! 本当にそろそろヤバいかも。 このまま一気に出るよ!」」
2本の魔剣と1本の魔剣を持った2人のグラは左右に別れ、未だに獲物に喰らいつこうと向かって来る地竜達を斬り刻む。
「「「「ガギャァァァァァ!」」」」
空から降る岩の量がどんどん増え、二階層へと続く階段側は既に埋もれていた。
そして、4人はそのまま全速力で出口へと向けて走り続けるのであった。
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