【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
上 下
213 / 252

第207話 四階層攻略開始?

しおりを挟む
 「ガフォォォォォォォ……」

 首をグラとノラに斬り落とされた火竜王が地面へと倒れた。

 「皆お疲れ。 うむ、やはりポチとは似ても似つかないな」

 倒れた火竜王の見た目は、火竜をただ大きくしただけのデカい的だ。 4次元から出て直ぐに、セリスの雷魔法で痺れ動けなくなった所をグラとノラの魔剣であっさりと斬られた。

 「セムネイル様、この火竜王とポチは全く違う存在なのですか?」

 火竜王の死体を回収しているセムネイルにリンが問い掛ける。 斬ったノラも少し辛そうだ。

 ダンジョンに潜る前にポチと会って仲良くなっていたリンやノラからすると、複雑な心境なのだろう。

 見た目が全然違っても、ポチは火竜王なのだから。

 「大丈夫だぞ、リン。 昨日、ポチと散歩している時に聞いたんだが、魔物と云う存在を作るシステムに縛られている間は同一個体としての意識しか無かったらしい。 だが、今は完全に別の生き物に変異したから、竜でも何でも食べれるから気にするなとさ」

 セムネイルの説明を聞き、納得したノラとリンは安堵した表情で笑う。

 安堵した直後、ボスを倒した事で現れた宝箱を2人で開けに行くのをセムネイルは笑って見送った。

 「そうだよね。 ポチは龍に近い存在だから。 そもそも、さっき朝ご飯に地竜の余ってた肉をバクバク食べてたし気にしなくていいと思う」

 「ふむ……つまり、翼竜王の卵も貴方様が仰っていた宝石の影響で変異している可能性があると言う事ですね」

 「くっくっくっ、その通りだセリス。 今日も帰ったら2人で魔力を注入するのを忘れないようにしないとな」

 「はい♡」

 セリスとグラの頭を撫でていると、宝箱から取り出した槍をノラとリンが掲げながら戻って来た。

 人間が使うとは思えない大きさと長さの槍にセムネイルは驚く。

 「おぉ!? これは……恐らく、神が使っていた神槍だな」

 「うん、確か天候の神が使ってた槍だよ」

 セムネイルとグラは巨大な槍を懐かしむ様に確かめ、4次元へと収納した。

 「昨日ポチを倒した時に出たのはアダマンタイトのショートソードだったしな。 もしかして、このダンジョン当たりか?」

 「どうだろ、昔のダンジョンはもっと良いのがドロップしたよね? あれ? そういえば、セムネイルって昔全部のダンジョン制覇したって自慢してなかった? このダンジョンは覚えて無かったの?」

 グラに問われたセムネイルは首を傾げる。

 「確かに、俺が封印される前のダンジョンは全て制覇したし覚えているぞ? だが、封印を出てから潜ったダンジョンは全て俺の知らないダンジョンだ。 勿論、このダンジョンもな。 昔のはこんな簡単なダンジョンは無かっただろ」

 「あはは、確かにそうね。 なら、神魔大戦の後に出来たって事かな?」

 「だろうな。 俺としては楽しみが増えて良いんだか……おっと、すまんすまん。 さぁ、次の階層に上がろうか」

 「ふふ、私は貴方様とグラさんのお話はとても為になりますので全然大丈夫ですよ」

 「俺は暇だぞー!」 「リンも早く活躍したいですー!」

 セムネイルは暇を持て余していたノラとリンに謝り、出現した階段へと向かった。

 ◆◇◆

 四階層に上がると、其処は真っ白な雪景色が広がっていた。

 何処までも広がる世界は雪で覆われ、天井からは雪がちらちらと降っている。 その光景はとても美しく、神秘的だ。

 だがセムネイルとグラは直ぐ様、魔剣を抜く。

 「セムネイル!? これ、まずいかも!」

 「セリス、結界!」

 「っ!? はい!!!」

 セムネイルに指示され、結界を全員を包み込むように張った直後凄まじい衝撃が襲った。

 「あがっ?! すみません貴方様! 結界もちません!!」

 セリスの強固な結界は直ぐにヒビ割れ始め、セリスから苦痛の声が洩れる。

 「構わん! 俺が合図したら後ろの階段に走れ!」

 「リンちゃん、ノラちゃん、担ぐよ!」

 「わわ!」 「何が起きてるんだー?!」

 グラはリンとノラを担ぐ。

 その直後、セリスの結界が破壊されセムネイル達の頭上に全属性の攻撃魔法の雨が降り注いだ。

 「我と契約せし重力喚びの魔女サリアよ、魔法の理から外れし星石を喚び俺達を守れ! その姿を現し、重力魔法の真髄を示せ!! 星石の大盾!」

 セムネイルの背後に半透明の魔女サリアが現れ、力を貸した。 すると、妻達を逃がす為に立ちはだかるセムネイルの前に赤黒い巨大な大盾が出現し降り注ぐ攻撃魔法を受け止める。

 「きゃぁぁっ! 貴方様! 早く!!」

 「セリス! 行け! 早く降りろ!!」

 視界を覆うほどの攻撃魔法が大盾に降り注ぎ、セムネイルは徐々に押され始めてしまう。

 「俺は大丈夫だ! グラと皆で必ず固まってろ、行けぇぇぇぇぇ!!」

 セリスは衝撃波で吹き飛び、階段を転げ落ちる。

 「セリスちゃん!」

 下で待っていたグラにキャッチされ、そのまま一目散に階段から離れた。

 次の瞬間、三階層の階段を火水土雷氷等の攻撃魔法が混ざり合った複合魔法が破壊し完全に崩れる。

 周囲に瓦礫が散乱し、土埃が晴れた後。

 呆然としたグラが口を開く。

 「嘘、ダンジョンの階段が破壊されるなんて……。 そんなの、神や魔神でも無理なのに……」

 グラの呟きに、セリス達は顔面蒼白になるのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...