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第200話 火竜王ポチ
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「じゃあ、コイツを此処のボスから解き放つか」
火竜王を連れて帰る事に決めたセムネイルは魔剣を抜く。
「え? あ、あの……因みに、その解き放つというのはどの様にするのでしょうか……」
嫌な予感に冷や汗をかいた火竜王はセムネイルに問うが、想像通りの答えが帰って来た。
「おう、先ずお前を殺す。 で、即座に俺の4次元に回収し向こうで蘇生させれば成功する筈だ」
「へ~、それでこのポチは連れて帰れるのね。 セムネイルは何でも知ってるよね」
「ん? あぁ……昔、ダンジョンに潜ってた時にな。 一緒に潜っていた魔物馬鹿が言い出して試した事があるんだ」
セムネイル達の会話を聞きながら、火竜王は自らの嫌な予感が的中した事に涙する。 そして、命の恩人であるグラから知らない間に名付けられた事にすら気付かなかった。
「セ、セムネイル様……せめて、せめて痛くないようにお願いします! どうかーー!」
「おいおい、お前も王だろ? せめて、気概を見せてみろ。 いくぞ!!」
泣きながら懇願する火竜王の心臓を無慈悲にもセムネイルは貫いた。
「ぎゃーーーーーーー!」
そして、絶命し宝箱が出たと同時に4次元へと収納する。
「グラ、一旦4次元に帰るぞ」
「うん!」
2人は急いで4次元の扉を潜るのであった。
◆◇◆
「ぷはぁーーーー! い、生きてます! 私、生きてますー!」
火竜王ポチは巨大な犬小屋の中で目を覚まし、無事に生き返れた事に安堵した。
「やれやれ……お前、デカすぎるんだよ。 心臓を再生して、蘇生させるのに苦労したぞポチ」
「ほ、本当にありがとうございますセムネイル様! ん……? ポチ? あ、その……それは私の事ですか?」
「そうよポチ。 改めて、私は魔剣の魔王グラ。 これからよろしくね」
グラがポチの顔に抱きつき、鼻の上を優しく撫でる。 その光景を殺気に満ちた顔で睨むセムネイルが見ており、ポチはもし逆らえば瞬時に肉にされる事を悟った。
「グ、グラ様、セムネイル様、このポチ。 これから先の時間全てを御身に捧げると誓います!」
「……おう。 その誓い、忘れるなよ」
「ふふ、ありがとうポチ。 あ、セムネイルどうしよう。 他の皆、ポチを見たらびっくりしちゃうよね」
セムネイルは無愛想に返事をし、グラは嬉しそうに微笑んだ。
「ん~、まぁ夜に皆が集まった時に説明しとくか。 とりあえず、ポチは当分この小屋に居てくれ。 デカいお前が外を彷徨いたら、最悪俺の妻達に狩られるからな?」
ポチは他にも自分を狩れる様な者達が居るのかと身震いし、高速で首を縦に振った。
「きょ、許可が出ない限り、絶対に出ません!」
「よし、一応適当に食料を置いておくから好きに食え。 奥に水が湧き出る噴水も作ってあるからな」
「また顔見せるから良い子でね、ポチ」
「はい! グラ様、お待ちしておりますー!」
火竜王ポチはひたすらに恐ろしいセムネイルに頭を下げ、とても優しくしてくれるグラに向けて犬のように尻尾を振ってしまう。
「……た、助かった~!」
一匹になったポチは、己の判断が正しかった事に安堵しその場で横に倒れるのであった。
◆◇◆
「あびゃびゃびゃびゃ! これが火竜! くぅー! 引き締まった筋肉! こりゃ、グラ様の言う通り鍋だね!! まだ時間も早いし、今から作れば間に合いますよセムネイル様!」
2人はキュイジーヌのレストランに顔を出し、狩った火竜を出していた。
「お、おう。 大興奮だなキュイジーヌ」
興奮し過ぎて、変なテンションのキュイジーヌにセムネイルはドン引きだがこの様子なら今日の夜も美味い料理が食えるだろう。
「キュイジーヌちゃん、火鍋の作り方教えてあげるよ! セムネイル、私はレストランに残るね」
「くっくっくっ、味見は程々にな? 鍋は皆で食うのが美味いからな」
「えへへ、分かってる。 セムネイル、ポチの事……ありがとう」
セムネイルはグラの頭を優しく撫で、笑う。
「まぁ、流石に流暢に喋れて更に降参した相手は殺せんだろ」
「ふふ、一回は殺してるけどね。 でも、本当にありがとう。 もしかしてさ……昔、私が火龍と仲良かったの覚えてくれてたの?」
グラに問われたセムネイルは背中を向け、顔を見せずに答えた。
「……まぁな。 あの時は、お前の友を助けれなくて悪かった」
「……もう良いよ、ずっと昔の事だし。 あ、別にポチをサランの代わりにって思った訳じゃないからね? 最初は食べる気満々だったし。 ちょっとだけ……可哀想だなって思っちゃったの」
「分かってるさ。 次は必ずグラもポチも守ってやるからな」
「うん。 ……信じてる」
セムネイルはグラの顔を見ることが出来なかった。 そのままキュイジーヌのレストランを後にし、セムネイルは大昔グラが殺された火龍に寄り添い怒り狂っていた時の事を思い出していた。
「あの頃の俺は本当にクソ野郎だったな。 あの時、あの魔物馬鹿を止めれていたら……」
セムネイルは昔を思い出し、拳を握り締める。 何故なら神魔大戦の時代、世界で最初に龍を殺した人間はセムネイルの仲間だったのだから。
火竜王を連れて帰る事に決めたセムネイルは魔剣を抜く。
「え? あ、あの……因みに、その解き放つというのはどの様にするのでしょうか……」
嫌な予感に冷や汗をかいた火竜王はセムネイルに問うが、想像通りの答えが帰って来た。
「おう、先ずお前を殺す。 で、即座に俺の4次元に回収し向こうで蘇生させれば成功する筈だ」
「へ~、それでこのポチは連れて帰れるのね。 セムネイルは何でも知ってるよね」
「ん? あぁ……昔、ダンジョンに潜ってた時にな。 一緒に潜っていた魔物馬鹿が言い出して試した事があるんだ」
セムネイル達の会話を聞きながら、火竜王は自らの嫌な予感が的中した事に涙する。 そして、命の恩人であるグラから知らない間に名付けられた事にすら気付かなかった。
「セ、セムネイル様……せめて、せめて痛くないようにお願いします! どうかーー!」
「おいおい、お前も王だろ? せめて、気概を見せてみろ。 いくぞ!!」
泣きながら懇願する火竜王の心臓を無慈悲にもセムネイルは貫いた。
「ぎゃーーーーーーー!」
そして、絶命し宝箱が出たと同時に4次元へと収納する。
「グラ、一旦4次元に帰るぞ」
「うん!」
2人は急いで4次元の扉を潜るのであった。
◆◇◆
「ぷはぁーーーー! い、生きてます! 私、生きてますー!」
火竜王ポチは巨大な犬小屋の中で目を覚まし、無事に生き返れた事に安堵した。
「やれやれ……お前、デカすぎるんだよ。 心臓を再生して、蘇生させるのに苦労したぞポチ」
「ほ、本当にありがとうございますセムネイル様! ん……? ポチ? あ、その……それは私の事ですか?」
「そうよポチ。 改めて、私は魔剣の魔王グラ。 これからよろしくね」
グラがポチの顔に抱きつき、鼻の上を優しく撫でる。 その光景を殺気に満ちた顔で睨むセムネイルが見ており、ポチはもし逆らえば瞬時に肉にされる事を悟った。
「グ、グラ様、セムネイル様、このポチ。 これから先の時間全てを御身に捧げると誓います!」
「……おう。 その誓い、忘れるなよ」
「ふふ、ありがとうポチ。 あ、セムネイルどうしよう。 他の皆、ポチを見たらびっくりしちゃうよね」
セムネイルは無愛想に返事をし、グラは嬉しそうに微笑んだ。
「ん~、まぁ夜に皆が集まった時に説明しとくか。 とりあえず、ポチは当分この小屋に居てくれ。 デカいお前が外を彷徨いたら、最悪俺の妻達に狩られるからな?」
ポチは他にも自分を狩れる様な者達が居るのかと身震いし、高速で首を縦に振った。
「きょ、許可が出ない限り、絶対に出ません!」
「よし、一応適当に食料を置いておくから好きに食え。 奥に水が湧き出る噴水も作ってあるからな」
「また顔見せるから良い子でね、ポチ」
「はい! グラ様、お待ちしておりますー!」
火竜王ポチはひたすらに恐ろしいセムネイルに頭を下げ、とても優しくしてくれるグラに向けて犬のように尻尾を振ってしまう。
「……た、助かった~!」
一匹になったポチは、己の判断が正しかった事に安堵しその場で横に倒れるのであった。
◆◇◆
「あびゃびゃびゃびゃ! これが火竜! くぅー! 引き締まった筋肉! こりゃ、グラ様の言う通り鍋だね!! まだ時間も早いし、今から作れば間に合いますよセムネイル様!」
2人はキュイジーヌのレストランに顔を出し、狩った火竜を出していた。
「お、おう。 大興奮だなキュイジーヌ」
興奮し過ぎて、変なテンションのキュイジーヌにセムネイルはドン引きだがこの様子なら今日の夜も美味い料理が食えるだろう。
「キュイジーヌちゃん、火鍋の作り方教えてあげるよ! セムネイル、私はレストランに残るね」
「くっくっくっ、味見は程々にな? 鍋は皆で食うのが美味いからな」
「えへへ、分かってる。 セムネイル、ポチの事……ありがとう」
セムネイルはグラの頭を優しく撫で、笑う。
「まぁ、流石に流暢に喋れて更に降参した相手は殺せんだろ」
「ふふ、一回は殺してるけどね。 でも、本当にありがとう。 もしかしてさ……昔、私が火龍と仲良かったの覚えてくれてたの?」
グラに問われたセムネイルは背中を向け、顔を見せずに答えた。
「……まぁな。 あの時は、お前の友を助けれなくて悪かった」
「……もう良いよ、ずっと昔の事だし。 あ、別にポチをサランの代わりにって思った訳じゃないからね? 最初は食べる気満々だったし。 ちょっとだけ……可哀想だなって思っちゃったの」
「分かってるさ。 次は必ずグラもポチも守ってやるからな」
「うん。 ……信じてる」
セムネイルはグラの顔を見ることが出来なかった。 そのままキュイジーヌのレストランを後にし、セムネイルは大昔グラが殺された火龍に寄り添い怒り狂っていた時の事を思い出していた。
「あの頃の俺は本当にクソ野郎だったな。 あの時、あの魔物馬鹿を止めれていたら……」
セムネイルは昔を思い出し、拳を握り締める。 何故なら神魔大戦の時代、世界で最初に龍を殺した人間はセムネイルの仲間だったのだから。
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