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第194話 三階層攻略開始
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「さて、今日もやるかー!」
朝を迎え、家で妻達の作った朝食を食べ終えたセムネイルはセリス達を連れて三階層の入り口に来ていた。
「やっぱりかなり暑いですわね」
「うわ~、もう汗かいちゃいました」
「くんくん……リンの汗ってやっぱり良い匂いするよな」
「こらこら、ノラちゃん。 ダメだよ~?」
セリス達の言う通り、三階層は非常に熱く。 入り口近くの真っ黒な岩から熱気が立ち上っていた。
「この魔力……火竜の階層か。 セリス、前に大迷宮の砂漠で使ってみせた魔法を覚えているか?」
「勿論です。 情熱の女神に願う。 我等女神の熱さに耐えうる者達、灼熱の熱さより情熱の熱さを願う。 一時の間、我等を灼熱から守り給え。 情熱の加護!」
セリスが魔法を唱えると、5人の足下から真っ赤な炎が上がり包み込んだ。
「くっくっくっ、流石だな。 これで楽になっただろ?」
「はい! ありがとうございます、セリスさん!」
「おー! 涼しいぞー!」
「うわぁ……コレも一回見ただけで覚えたの? セリスちゃん……本当に凄いね」
暑さを感じなくなったセムネイル達は真っ黒な岩が転がる三階層を進み始めた。
◆◇◆
暫く進むと、視界が赤に染まる。 真っ黒な岩の間をドロドロとした赤黒い液体が流れていた。
「おー? セムネイル、あの赤いのは何なんだ?」
「アレは溶岩だな。 だいたい1200℃程だから、情熱の加護に守られている間も絶対に近付くなよ」
「1200℃……落ちたら骨も残らないですね」
ノラとリンが恐る恐る覗き込んでいるのをセムネイルは注意する。
「なる程……ダンジョンが違うだけで、こんなにも様相が変わるのですね」
セリスは興味深そうに溶岩を見渡していた。
「そうだな。 用途やダンジョンの大きさでもかなり変わる。 細かく言うと、魔物を兵器として増やし運用するダンジョンの階層は数字で数えるんだ。 因みに、この竜の洞窟は恐らく人間への試練用だろう。 神魔大戦の時に数は少なくとも神々に味方する人間の英雄も居たからな。 判別出来たのは、明らかに各階層の出入口が竜を通すことを想定していないからだ」
「そうなんですね。 では……このダンジョンの階層は何と読むのですか?」
セムネイルは腕組みをし、頭を捻る。
「ん~……言っても多分、分からんぞ? 大昔に使われていた書き方をするんだ。 よっと……こうだな」
セムネイルは真っ黒な岩に光る文字を浮き立たさせる。 其処には三と書かれていた。
「コレは……まさか神代文字では? 昔、読んだ古い本に書かれていました。 今の時代に無き神々が使いし文字と」
「お、よく知ってるな。 因みにコレは3と同じ意味だ。 読み方も変わらん。 ただ、昔はダンジョンの種類を区分する時にダンジョンを作った神や魔神達が使ってたんだ」
セムネイルがセリスに歴史の授業をしている間、グラはノラとリンが溶岩に石を投げ込んで遊ぶのを見ていた。
「ねぇセムネイル。 そんなカビの生えた歴史より、早く進もうよ。 溶岩の階層って事は、今度は火竜でしょ? って事は、今日の夕飯は火竜のお鍋! 楽しみ~!」
「鍋か! 良いなー! 俺、鍋好きだぞ!」
「ふふ、ノラさんは皆で一緒に食べれる料理が好きですもんね~」
グラ達はまだ見ぬ火竜の鍋を想像し、涎を垂らす。
「くっくっくっ、分かった分かった。 じゃあ、行くか。 火竜は上位の竜だから、数は少ないからな。 確実に回収するぞ」
「はい、貴方様。 翼竜の時は特に狩る際の注意事項はございませんでしたが、火竜は地竜の様に倒し方がございますか?」
セリスに問われ、セムネイルは手を叩いて思い出す。
「ん? おぉ、そうだ。 火竜の胸は絶対に攻撃しないでくれ。 胸の中に炎魔法を溜め込む器官があってな。 火竜はソレを何時でも吐き出して攻撃出来るんだが、外からその器官が傷付けられると大爆破を起こすんだ」
「なる程、畏まりました。 お肉がダメにならないようにしないといけませんね」
「ひゃー……気を付けます」
「それで、何処を叩き斬れば良いんだ?? 胸がダメなら……やっぱり首か!?」
セリスは冷静に分析し、リンは想像したのか弓を両手で握りしめていた。
ノラはやる気満々にセムネイルから新しく貰った漆黒の大剣を嬉しそうに振り回している。
「ふふ、ノラちゃんがその大剣を気に入ってくれて嬉しいな~。 あ、魔力注いだら対象を炭になるまで消えない黒炎が出ちゃうから気をつけてね」
「うぉ?! お、おー……分かったぞ」
グラの忠告を聞いた直後に、漆黒の大剣の先から少しだけ黒炎が漏れ出しノラは慌てて消した。
「くっくっくっ、じゃあ火竜狩りと行こうか。 胸以外を狙えば良いが、昨日キュイジーヌに翼竜の肉が傷んでたと叱られたからな。 なるべく首か頭を狙ってくれ」
「「はい!」」 「おー!」 「火鍋火鍋~♪」
セムネイル達は溶岩を避けながら、火竜が居る位置へと歩き出した。
朝を迎え、家で妻達の作った朝食を食べ終えたセムネイルはセリス達を連れて三階層の入り口に来ていた。
「やっぱりかなり暑いですわね」
「うわ~、もう汗かいちゃいました」
「くんくん……リンの汗ってやっぱり良い匂いするよな」
「こらこら、ノラちゃん。 ダメだよ~?」
セリス達の言う通り、三階層は非常に熱く。 入り口近くの真っ黒な岩から熱気が立ち上っていた。
「この魔力……火竜の階層か。 セリス、前に大迷宮の砂漠で使ってみせた魔法を覚えているか?」
「勿論です。 情熱の女神に願う。 我等女神の熱さに耐えうる者達、灼熱の熱さより情熱の熱さを願う。 一時の間、我等を灼熱から守り給え。 情熱の加護!」
セリスが魔法を唱えると、5人の足下から真っ赤な炎が上がり包み込んだ。
「くっくっくっ、流石だな。 これで楽になっただろ?」
「はい! ありがとうございます、セリスさん!」
「おー! 涼しいぞー!」
「うわぁ……コレも一回見ただけで覚えたの? セリスちゃん……本当に凄いね」
暑さを感じなくなったセムネイル達は真っ黒な岩が転がる三階層を進み始めた。
◆◇◆
暫く進むと、視界が赤に染まる。 真っ黒な岩の間をドロドロとした赤黒い液体が流れていた。
「おー? セムネイル、あの赤いのは何なんだ?」
「アレは溶岩だな。 だいたい1200℃程だから、情熱の加護に守られている間も絶対に近付くなよ」
「1200℃……落ちたら骨も残らないですね」
ノラとリンが恐る恐る覗き込んでいるのをセムネイルは注意する。
「なる程……ダンジョンが違うだけで、こんなにも様相が変わるのですね」
セリスは興味深そうに溶岩を見渡していた。
「そうだな。 用途やダンジョンの大きさでもかなり変わる。 細かく言うと、魔物を兵器として増やし運用するダンジョンの階層は数字で数えるんだ。 因みに、この竜の洞窟は恐らく人間への試練用だろう。 神魔大戦の時に数は少なくとも神々に味方する人間の英雄も居たからな。 判別出来たのは、明らかに各階層の出入口が竜を通すことを想定していないからだ」
「そうなんですね。 では……このダンジョンの階層は何と読むのですか?」
セムネイルは腕組みをし、頭を捻る。
「ん~……言っても多分、分からんぞ? 大昔に使われていた書き方をするんだ。 よっと……こうだな」
セムネイルは真っ黒な岩に光る文字を浮き立たさせる。 其処には三と書かれていた。
「コレは……まさか神代文字では? 昔、読んだ古い本に書かれていました。 今の時代に無き神々が使いし文字と」
「お、よく知ってるな。 因みにコレは3と同じ意味だ。 読み方も変わらん。 ただ、昔はダンジョンの種類を区分する時にダンジョンを作った神や魔神達が使ってたんだ」
セムネイルがセリスに歴史の授業をしている間、グラはノラとリンが溶岩に石を投げ込んで遊ぶのを見ていた。
「ねぇセムネイル。 そんなカビの生えた歴史より、早く進もうよ。 溶岩の階層って事は、今度は火竜でしょ? って事は、今日の夕飯は火竜のお鍋! 楽しみ~!」
「鍋か! 良いなー! 俺、鍋好きだぞ!」
「ふふ、ノラさんは皆で一緒に食べれる料理が好きですもんね~」
グラ達はまだ見ぬ火竜の鍋を想像し、涎を垂らす。
「くっくっくっ、分かった分かった。 じゃあ、行くか。 火竜は上位の竜だから、数は少ないからな。 確実に回収するぞ」
「はい、貴方様。 翼竜の時は特に狩る際の注意事項はございませんでしたが、火竜は地竜の様に倒し方がございますか?」
セリスに問われ、セムネイルは手を叩いて思い出す。
「ん? おぉ、そうだ。 火竜の胸は絶対に攻撃しないでくれ。 胸の中に炎魔法を溜め込む器官があってな。 火竜はソレを何時でも吐き出して攻撃出来るんだが、外からその器官が傷付けられると大爆破を起こすんだ」
「なる程、畏まりました。 お肉がダメにならないようにしないといけませんね」
「ひゃー……気を付けます」
「それで、何処を叩き斬れば良いんだ?? 胸がダメなら……やっぱり首か!?」
セリスは冷静に分析し、リンは想像したのか弓を両手で握りしめていた。
ノラはやる気満々にセムネイルから新しく貰った漆黒の大剣を嬉しそうに振り回している。
「ふふ、ノラちゃんがその大剣を気に入ってくれて嬉しいな~。 あ、魔力注いだら対象を炭になるまで消えない黒炎が出ちゃうから気をつけてね」
「うぉ?! お、おー……分かったぞ」
グラの忠告を聞いた直後に、漆黒の大剣の先から少しだけ黒炎が漏れ出しノラは慌てて消した。
「くっくっくっ、じゃあ火竜狩りと行こうか。 胸以外を狙えば良いが、昨日キュイジーヌに翼竜の肉が傷んでたと叱られたからな。 なるべく首か頭を狙ってくれ」
「「はい!」」 「おー!」 「火鍋火鍋~♪」
セムネイル達は溶岩を避けながら、火竜が居る位置へと歩き出した。
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