【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
上 下
195 / 252

第194話 三階層攻略開始

しおりを挟む
 「さて、今日もやるかー!」

 朝を迎え、家で妻達の作った朝食を食べ終えたセムネイルはセリス達を連れて三階層の入り口に来ていた。

 「やっぱりかなり暑いですわね」

 「うわ~、もう汗かいちゃいました」

 「くんくん……リンの汗ってやっぱり良い匂いするよな」

 「こらこら、ノラちゃん。 ダメだよ~?」

 セリス達の言う通り、三階層は非常に熱く。 入り口近くの真っ黒な岩から熱気が立ち上っていた。

 「この魔力……火竜の階層か。 セリス、前に大迷宮の砂漠で使ってみせた魔法を覚えているか?」

 「勿論です。 情熱の女神に願う。 我等女神の熱さに耐えうる者達、灼熱の熱さより情熱の熱さを願う。 一時の間、我等を灼熱から守り給え。 情熱の加護!」

 セリスが魔法を唱えると、5人の足下から真っ赤な炎が上がり包み込んだ。

 「くっくっくっ、流石だな。 これで楽になっただろ?」

 「はい! ありがとうございます、セリスさん!」

 「おー! 涼しいぞー!」

 「うわぁ……コレも一回見ただけで覚えたの? セリスちゃん……本当に凄いね」

 暑さを感じなくなったセムネイル達は真っ黒な岩が転がる三階層を進み始めた。

 ◆◇◆

 暫く進むと、視界が赤に染まる。 真っ黒な岩の間をドロドロとした赤黒い液体が流れていた。

 「おー? セムネイル、あの赤いのは何なんだ?」

 「アレは溶岩だな。 だいたい1200℃程だから、情熱の加護に守られている間も絶対に近付くなよ」

 「1200℃……落ちたら骨も残らないですね」

 ノラとリンが恐る恐る覗き込んでいるのをセムネイルは注意する。

 「なる程……ダンジョンが違うだけで、こんなにも様相が変わるのですね」

 セリスは興味深そうに溶岩を見渡していた。

 「そうだな。 用途やダンジョンの大きさでもかなり変わる。 細かく言うと、魔物を兵器として増やし運用するダンジョンの階層は数字で数えるんだ。 因みに、この竜の洞窟は恐らく人間への試練用だろう。 神魔大戦の時に数は少なくとも神々に味方する人間の英雄も居たからな。 判別出来たのは、明らかに各階層の出入口が竜を通すことを想定していないからだ」

 「そうなんですね。 では……このダンジョンの階層は何と読むのですか?」

 セムネイルは腕組みをし、頭を捻る。

 「ん~……言っても多分、分からんぞ? 大昔に使われていた書き方をするんだ。 よっと……こうだな」

 セムネイルは真っ黒な岩に光る文字を浮き立たさせる。 其処には三と書かれていた。

 「コレは……まさか神代文字では? 昔、読んだ古い本に書かれていました。 今の時代に無き神々が使いし文字と」

 「お、よく知ってるな。 因みにコレは3と同じ意味だ。 読み方も変わらん。 ただ、昔はダンジョンの種類を区分する時にダンジョンを作った神や魔神達が使ってたんだ」

 セムネイルがセリスに歴史の授業をしている間、グラはノラとリンが溶岩に石を投げ込んで遊ぶのを見ていた。

 「ねぇセムネイル。 そんなカビの生えた歴史より、早く進もうよ。 溶岩の階層って事は、今度は火竜でしょ? って事は、今日の夕飯は火竜のお鍋! 楽しみ~!」

 「鍋か! 良いなー! 俺、鍋好きだぞ!」

 「ふふ、ノラさんは皆で一緒に食べれる料理が好きですもんね~」

 グラ達はまだ見ぬ火竜の鍋を想像し、涎を垂らす。

 「くっくっくっ、分かった分かった。 じゃあ、行くか。 火竜は上位の竜だから、数は少ないからな。 確実に回収するぞ」

 「はい、貴方様。 翼竜の時は特に狩る際の注意事項はございませんでしたが、火竜は地竜の様に倒し方がございますか?」

 セリスに問われ、セムネイルは手を叩いて思い出す。

 「ん? おぉ、そうだ。 火竜の胸は絶対に攻撃しないでくれ。 胸の中に炎魔法を溜め込む器官があってな。 火竜はソレを何時でも吐き出して攻撃出来るんだが、外からその器官が傷付けられると大爆破を起こすんだ」

 「なる程、畏まりました。 お肉がダメにならないようにしないといけませんね」

 「ひゃー……気を付けます」

 「それで、何処を叩き斬れば良いんだ?? 胸がダメなら……やっぱり首か!?」

 セリスは冷静に分析し、リンは想像したのか弓を両手で握りしめていた。

 ノラはやる気満々にセムネイルから新しく貰った漆黒の大剣を嬉しそうに振り回している。

 「ふふ、ノラちゃんがその大剣を気に入ってくれて嬉しいな~。 あ、魔力注いだら対象を炭になるまで消えない黒炎が出ちゃうから気をつけてね」

 「うぉ?! お、おー……分かったぞ」

 グラの忠告を聞いた直後に、漆黒の大剣の先から少しだけ黒炎が漏れ出しノラは慌てて消した。

 「くっくっくっ、じゃあ火竜狩りと行こうか。 胸以外を狙えば良いが、昨日キュイジーヌに翼竜の肉が傷んでたと叱られたからな。 なるべく首か頭を狙ってくれ」

 「「はい!」」 「おー!」 「火鍋火鍋~♪」

 セムネイル達は溶岩を避けながら、火竜が居る位置へと歩き出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...