【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

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第186話 超巨大冷蔵庫と二階層へ

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 「ひゃぁー! セムネイル様、大好きだよー!!」

 キュイジーヌはレストランの裏手に拡張された超巨大冷蔵庫を見て大喜びしていた。

 「この超巨大冷蔵庫は常に魔力を消費して冷やすように創った。 まぁ、この4次元は全て俺の力で創られているからな。 実質、無限に使えるぞ」

 セムネイルはキュイジーヌに説明をしながら、中に全ての地竜を4次元から放り出す。 当然、ダルマ状態の地竜王も忘れずに出しておく。  

 80体の地竜と巨大な地竜王を出しても超巨大冷蔵庫はまだまだ余裕だ。 外からみると、家1軒程の大きさの箱だが中は異次元の広さである。

 生粋の料理人であるキュイジーヌからすれば、夢の様な冷蔵庫だ。

 「うわぁ……セムネイル様、この他より大きい地竜って何です?」

 「ん? あぁ、ボスの地竜王だな。 肉は普通の地竜よりも美味いぞ」

 「へぇ~……こりゃ捌くのが楽しみですね。 セムネイル様達が戻って来るまでに全部解体しちゃうんで、今日も竜お願いしますね」

 キュイジーヌは目を爛々と輝かせながら地竜王の解体に取り掛かった。

 凄まじい速度で解体出来るのは、オリハルコン製の包丁あっての事だがそもそもキュイジーヌの腕前が異常なのだろう。

 他の料理人に同じ事を求めたら裸足で逃げ出しそうである。

 「くっくっくっ、分かってるよ。 今日は翼竜だ。 唐揚げにすると絶品だぞ」

 「なら、今日の夜は翼竜の唐揚げで決まりだね! あはは、竜の唐揚げとか王族でも一生食べれないでしょうね」 

 地竜王の巨大な塊肉を切り分けながらキュイジーヌは感慨深く呟く。 そもそも、この時代で竜を狩れる冒険者はSランクパーティーの冒険者のみなのだ。

 食用として竜が狩られるなど不可能だろう。

 「そうか。 昔は肉といえば竜の肉が当たり前だったんだがな。 時代の変化ってやつか。 じゃあ、行ってくる」

 「はい、お気を付けて! あ、もし希少な野菜や果物も有ればぜひお願いしますね。 エルフ達にも何か特別な料理を出してあげたいので」

 セムネイルは食文化の違いから竜の肉を食べれないプレーリー達の事を思い出し、確かに除け者にしてしまったと反省する。

 「分かった、探してみるとしよう」

 セムネイルは二階層を探索する際に、野菜か果物を探す事を心に誓った。

 ◆◇◆

 「とは言ったものの……見渡す限り絶壁だな」

 セムネイルがセリス達を連れて二階層攻略を開始しようと一歩踏み出すも目の前は崖だった。

 「下がどうなっているか全く見えませんね……魔力察知も気配察知も全然反応しません」

 「森がある感じもしないですね。 ノラさんは何か匂いますか?」

 「くんくん……ん~? 嫌な匂いがするぞ、セムネイル」

 「霧が雲みたいに淀んでるし、下には行かない方が良さそうね。 この霧、多分普通の霧じゃないから魔力察知や気配察知は妨害されてるのよ」

 セリス達は各々絶壁の下を見るが、どうやら崖を伝って降りるのは止めたほうがよさそうだ。

 「まぁ、翼竜達の気配がするのは空だからな。 下に落ちない様にだけ気を付けて進むぞ」

 「はい!」 「おー!」 「翼竜かぁ~、唐揚げが最適ね」

 「分かりました、貴方様。 風の小舟を唱えたらよろしいですか?」

 「いや、風の小舟は保護範囲が狭いからな。 もっと広く保護される上級の風魔法、風の大船を使おう。 今回は俺が見本を見せる、次からはセリスが覚えて使ってみてくれ」

 セムネイルは絶壁に進み出て、詠唱を始める。 セリスは全てを記憶し、自身のものにすべく集中してセムネイルを観察する。

 「風の精霊よ、永く遠くに吹く大風に乗せてくれ、悪しき風から守り空へ運び彼方へと誘え、風の大船」

 セムネイルの目の前に魔法陣が現れ、その場の全員を囲むように風が足下を吹き荒れた。

 「よし、これでかなりの広範囲を風の大船が守ってくれる。 だが、なるべく俺から離れないようにな? 何処までも移動出来る訳じゃないからな」

 「す、凄い……」 「セムネイルは色んな魔法知ってるんだな!」 「いやぁ、でもセムネイルは魔法使いが本職じゃ無いからね~。 昔はよく、俺は器用貧乏で剣も魔法も中途半端何だって愚痴ってたよ」

 「ふふ、これだけ様々な魔法を使える貴方様が魔法使いとして一流で無いなら、この世界の魔法使いは全員落第になっちゃいますよ」

 グラ達の言葉にむず痒くなったセムネイルは苦笑いを浮かべる。

 「グラ、昔の話は勘弁してくれ。 セリス、どうだ? 使えそうか?」

 「はい、勿論ですわ! 次からは私に任せて下さい」

 微笑むセリスの頭を撫で、セムネイルはグラの方へと向く。

 「な? セリスは一度で記憶して使えるんだ。 俺と比べたら、セリスの方が魔法使いの才能に溢れてるだろ?」

 「そうね。 魔法使いとしての素質は、最初に魔法を創った魔神よりあるかも」

 以前より更にベタ褒めされたセリスは頬を赤く染めるのであった。
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