【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

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第178話 試食とリセマラ

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 セムネイルはオリハルコンのナイフを巧みに使い、地竜の分厚い皮を剥ぎ取る。 そして、切り分けた霜降り肉を串に刺し焼いていく。

 「よし、塩と胡椒をかけて……っと。 おぉ、久し振りに嗅ぐ竜の肉は香ばしいな」

 懐かしい匂いにグラも反応し、そわそわしている。

 「セムネイル、もう良いんじゃないの? 早く早く!」

 セムネイルの側で見学していたリンとノラも涎をダラダラと垂らして待ち侘びていた。

 「セムネイル様、リンはとてもお腹が空きました!」

 「俺もだぞ! セムネイル、我慢できないぃぃぃぃ!」

 「あはは……もう、2人共ったら」

 そんな2人の様子にセリスは苦笑いだ。

 「すまん、待たせたな。 ほれ、コレが地竜の肉だ。 種類によって、肉の味や食感も全然違うんだが地竜は下級の竜とは思えない美味さだぞ?」

 セムネイルは焼けた串焼きを更に盛り付け、シーツの真ん中に置いた。

 「いただきまーす! あむ! んーーーー! やっぱり竜の肉は最高ね!」

 グラは大きな肉の塊を一口で咀嚼し、串を空の皿へと置くと同時に次の串を手に取った。 その豪快さは、少女の見た目からは想像出来ない魔王らしい食べっぷりである。

 「いただきます! あちゅっ、ふーふー……はむ! んぐんぐ……ふわぁ~セムネイル様、とっても美味しいですー!」

 リンは小さな口で可愛らしく串焼きに噛みつき、熱さに怯みながらも口に含む。 そして、口に広がる旨味に目を見開いて驚き満面の笑顔を浮かべた。

 「ふすふす……がぶ! ぐるるるる………がふぅっ! う、美味すぎるぞーーー!」

 鼻息の荒いノラは飢えた野生動物の様に待ち焦がれた串焼きに齧り付いた。 口に入った肉の美味しさに身体が打ち震え、尻尾が高速で揺れる。

 「いただきますね、貴方様。 あら、本当です凄く美味しいです」

 最後にセリスは、元貴族らしくセムネイルが取り出していた食器からフォークとナイフを取り出し行儀よく切り分け食べていた。

 元貴族でも食べた事のない竜の肉に感動し、フォークとナイフが止まらない。

 そんな妻達の様子を見て、セムネイルは嬉しそうに笑う。

 「くっくっくっ、喜んでくれて何よりだ。 まだまだ有るからな。 腹いっぱいに食ってくれ!」

 この階層には、野生動物や鳥以外だとボスしか残っておらずとても平和な昼食となった。

 そして、皆の昼食が終わってからセムネイルは片付けを終わらせる。

 「よし、俺はこの階層のボスをリセマラしてくるから休んでてくれ。 時間がかかると思うが4次元に戻っているか?」

 「あら、懐かしいわね。 ん~、なら今日はこの階層で終わりにするんでしょ? なら、私も付き合うわよ」

 「貴方様、私も見学させて下さいませ」

 「私も行きたいです!」

 「セムネイル、リセマラって何だ?」

 セムネイルはノラ達にリセマラを教えながらボスの気配に向けて歩き出した。

 ◆◇◆

 セリス達はセムネイルにリセマラの方法を聞き苦笑いを浮かべていた。 リセマラとは、ボスを倒した際に出現する宝箱の中身を即座に抜き取り、倒したボスを無理矢理生き返らせてからもう一度倒して無限に宝箱の中身を入手する極悪非道な行いの事だ。

 「ふーん、それ俺には無理だな!」

 「そうですね……私にも無理です」

 「ふふ、貴方様だからこそ出来る事ですわね」

 「そっか、今は昔とは違うんだもんね」

 妻達の反応を楽しみながらボスへと向かっていると、セリスが呟いた。

 「そういえば、黒龍様と貴方様はお知り合いなのですよね? 竜を狩って食すのは大丈夫なのですか?」

 セリスの疑問にセムネイルは歩きながら答える。

 「問題無いぞ。 龍はそもそも竜の上位種として云わっているが、実際は創造した神が違うから全く違う種族なんだ。 俺が生み出される前の話だから、どんな神かは知らんがな。 だから、そうだな……セリス達はゴブリンが他の魔物に殺されて食われても腹は立たんだろ? つまりそういう事だ」

 「なるほど……ならば、龍は竜と同じにされるのがお嫌いなのでは無いですか?」   

 「お、流石だねセリスちゃん。 そうなんだよね~。 昔、龍に喧嘩を売るときはトカゲって呼んだり竜って呼ぶとブチギレて追っかけて来るから楽しくて良くやってたな~」

 グラの言葉にセムネイルも懐かしいと頷いているが、セリス達はスケールの違いに苦笑いだ。

 そして暫く雑談しながら歩いていると、平原の中に岩が剥き出しの拓けた場所が見えてきた。

 その場所には、動く山が歩いている。

 「居たな。 リセマラは複数人でやると失敗しやすいからな、ちょっと俺だけ行ってくる」

 セムネイルは妻達に別れを告げ、待ち構える山のように巨大な地竜王の下へと歩き出した。
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