179 / 252
第178話 試食とリセマラ
しおりを挟む
セムネイルはオリハルコンのナイフを巧みに使い、地竜の分厚い皮を剥ぎ取る。 そして、切り分けた霜降り肉を串に刺し焼いていく。
「よし、塩と胡椒をかけて……っと。 おぉ、久し振りに嗅ぐ竜の肉は香ばしいな」
懐かしい匂いにグラも反応し、そわそわしている。
「セムネイル、もう良いんじゃないの? 早く早く!」
セムネイルの側で見学していたリンとノラも涎をダラダラと垂らして待ち侘びていた。
「セムネイル様、リンはとてもお腹が空きました!」
「俺もだぞ! セムネイル、我慢できないぃぃぃぃ!」
「あはは……もう、2人共ったら」
そんな2人の様子にセリスは苦笑いだ。
「すまん、待たせたな。 ほれ、コレが地竜の肉だ。 種類によって、肉の味や食感も全然違うんだが地竜は下級の竜とは思えない美味さだぞ?」
セムネイルは焼けた串焼きを更に盛り付け、シーツの真ん中に置いた。
「いただきまーす! あむ! んーーーー! やっぱり竜の肉は最高ね!」
グラは大きな肉の塊を一口で咀嚼し、串を空の皿へと置くと同時に次の串を手に取った。 その豪快さは、少女の見た目からは想像出来ない魔王らしい食べっぷりである。
「いただきます! あちゅっ、ふーふー……はむ! んぐんぐ……ふわぁ~セムネイル様、とっても美味しいですー!」
リンは小さな口で可愛らしく串焼きに噛みつき、熱さに怯みながらも口に含む。 そして、口に広がる旨味に目を見開いて驚き満面の笑顔を浮かべた。
「ふすふす……がぶ! ぐるるるる………がふぅっ! う、美味すぎるぞーーー!」
鼻息の荒いノラは飢えた野生動物の様に待ち焦がれた串焼きに齧り付いた。 口に入った肉の美味しさに身体が打ち震え、尻尾が高速で揺れる。
「いただきますね、貴方様。 あら、本当です凄く美味しいです」
最後にセリスは、元貴族らしくセムネイルが取り出していた食器からフォークとナイフを取り出し行儀よく切り分け食べていた。
元貴族でも食べた事のない竜の肉に感動し、フォークとナイフが止まらない。
そんな妻達の様子を見て、セムネイルは嬉しそうに笑う。
「くっくっくっ、喜んでくれて何よりだ。 まだまだ有るからな。 腹いっぱいに食ってくれ!」
この階層には、野生動物や鳥以外だとボスしか残っておらずとても平和な昼食となった。
そして、皆の昼食が終わってからセムネイルは片付けを終わらせる。
「よし、俺はこの階層のボスをリセマラしてくるから休んでてくれ。 時間がかかると思うが4次元に戻っているか?」
「あら、懐かしいわね。 ん~、なら今日はこの階層で終わりにするんでしょ? なら、私も付き合うわよ」
「貴方様、私も見学させて下さいませ」
「私も行きたいです!」
「セムネイル、リセマラって何だ?」
セムネイルはノラ達にリセマラを教えながらボスの気配に向けて歩き出した。
◆◇◆
セリス達はセムネイルにリセマラの方法を聞き苦笑いを浮かべていた。 リセマラとは、ボスを倒した際に出現する宝箱の中身を即座に抜き取り、倒したボスを無理矢理生き返らせてからもう一度倒して無限に宝箱の中身を入手する極悪非道な行いの事だ。
「ふーん、それ俺には無理だな!」
「そうですね……私にも無理です」
「ふふ、貴方様だからこそ出来る事ですわね」
「そっか、今は昔とは違うんだもんね」
妻達の反応を楽しみながらボスへと向かっていると、セリスが呟いた。
「そういえば、黒龍様と貴方様はお知り合いなのですよね? 竜を狩って食すのは大丈夫なのですか?」
セリスの疑問にセムネイルは歩きながら答える。
「問題無いぞ。 龍はそもそも竜の上位種として云わっているが、実際は創造した神が違うから全く違う種族なんだ。 俺が生み出される前の話だから、どんな神かは知らんがな。 だから、そうだな……セリス達はゴブリンが他の魔物に殺されて食われても腹は立たんだろ? つまりそういう事だ」
「なるほど……ならば、龍は竜と同じにされるのがお嫌いなのでは無いですか?」
「お、流石だねセリスちゃん。 そうなんだよね~。 昔、龍に喧嘩を売るときはトカゲって呼んだり竜って呼ぶとブチギレて追っかけて来るから楽しくて良くやってたな~」
グラの言葉にセムネイルも懐かしいと頷いているが、セリス達はスケールの違いに苦笑いだ。
そして暫く雑談しながら歩いていると、平原の中に岩が剥き出しの拓けた場所が見えてきた。
その場所には、動く山が歩いている。
「居たな。 リセマラは複数人でやると失敗しやすいからな、ちょっと俺だけ行ってくる」
セムネイルは妻達に別れを告げ、待ち構える山のように巨大な地竜王の下へと歩き出した。
「よし、塩と胡椒をかけて……っと。 おぉ、久し振りに嗅ぐ竜の肉は香ばしいな」
懐かしい匂いにグラも反応し、そわそわしている。
「セムネイル、もう良いんじゃないの? 早く早く!」
セムネイルの側で見学していたリンとノラも涎をダラダラと垂らして待ち侘びていた。
「セムネイル様、リンはとてもお腹が空きました!」
「俺もだぞ! セムネイル、我慢できないぃぃぃぃ!」
「あはは……もう、2人共ったら」
そんな2人の様子にセリスは苦笑いだ。
「すまん、待たせたな。 ほれ、コレが地竜の肉だ。 種類によって、肉の味や食感も全然違うんだが地竜は下級の竜とは思えない美味さだぞ?」
セムネイルは焼けた串焼きを更に盛り付け、シーツの真ん中に置いた。
「いただきまーす! あむ! んーーーー! やっぱり竜の肉は最高ね!」
グラは大きな肉の塊を一口で咀嚼し、串を空の皿へと置くと同時に次の串を手に取った。 その豪快さは、少女の見た目からは想像出来ない魔王らしい食べっぷりである。
「いただきます! あちゅっ、ふーふー……はむ! んぐんぐ……ふわぁ~セムネイル様、とっても美味しいですー!」
リンは小さな口で可愛らしく串焼きに噛みつき、熱さに怯みながらも口に含む。 そして、口に広がる旨味に目を見開いて驚き満面の笑顔を浮かべた。
「ふすふす……がぶ! ぐるるるる………がふぅっ! う、美味すぎるぞーーー!」
鼻息の荒いノラは飢えた野生動物の様に待ち焦がれた串焼きに齧り付いた。 口に入った肉の美味しさに身体が打ち震え、尻尾が高速で揺れる。
「いただきますね、貴方様。 あら、本当です凄く美味しいです」
最後にセリスは、元貴族らしくセムネイルが取り出していた食器からフォークとナイフを取り出し行儀よく切り分け食べていた。
元貴族でも食べた事のない竜の肉に感動し、フォークとナイフが止まらない。
そんな妻達の様子を見て、セムネイルは嬉しそうに笑う。
「くっくっくっ、喜んでくれて何よりだ。 まだまだ有るからな。 腹いっぱいに食ってくれ!」
この階層には、野生動物や鳥以外だとボスしか残っておらずとても平和な昼食となった。
そして、皆の昼食が終わってからセムネイルは片付けを終わらせる。
「よし、俺はこの階層のボスをリセマラしてくるから休んでてくれ。 時間がかかると思うが4次元に戻っているか?」
「あら、懐かしいわね。 ん~、なら今日はこの階層で終わりにするんでしょ? なら、私も付き合うわよ」
「貴方様、私も見学させて下さいませ」
「私も行きたいです!」
「セムネイル、リセマラって何だ?」
セムネイルはノラ達にリセマラを教えながらボスの気配に向けて歩き出した。
◆◇◆
セリス達はセムネイルにリセマラの方法を聞き苦笑いを浮かべていた。 リセマラとは、ボスを倒した際に出現する宝箱の中身を即座に抜き取り、倒したボスを無理矢理生き返らせてからもう一度倒して無限に宝箱の中身を入手する極悪非道な行いの事だ。
「ふーん、それ俺には無理だな!」
「そうですね……私にも無理です」
「ふふ、貴方様だからこそ出来る事ですわね」
「そっか、今は昔とは違うんだもんね」
妻達の反応を楽しみながらボスへと向かっていると、セリスが呟いた。
「そういえば、黒龍様と貴方様はお知り合いなのですよね? 竜を狩って食すのは大丈夫なのですか?」
セリスの疑問にセムネイルは歩きながら答える。
「問題無いぞ。 龍はそもそも竜の上位種として云わっているが、実際は創造した神が違うから全く違う種族なんだ。 俺が生み出される前の話だから、どんな神かは知らんがな。 だから、そうだな……セリス達はゴブリンが他の魔物に殺されて食われても腹は立たんだろ? つまりそういう事だ」
「なるほど……ならば、龍は竜と同じにされるのがお嫌いなのでは無いですか?」
「お、流石だねセリスちゃん。 そうなんだよね~。 昔、龍に喧嘩を売るときはトカゲって呼んだり竜って呼ぶとブチギレて追っかけて来るから楽しくて良くやってたな~」
グラの言葉にセムネイルも懐かしいと頷いているが、セリス達はスケールの違いに苦笑いだ。
そして暫く雑談しながら歩いていると、平原の中に岩が剥き出しの拓けた場所が見えてきた。
その場所には、動く山が歩いている。
「居たな。 リセマラは複数人でやると失敗しやすいからな、ちょっと俺だけ行ってくる」
セムネイルは妻達に別れを告げ、待ち構える山のように巨大な地竜王の下へと歩き出した。
13
お気に入りに追加
358
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる