【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
上 下
178 / 252

第177話 蹂躙と盛大に膨れた頬

しおりを挟む
 「ガギャァァ!」 「「「「「ガギャァァァァ!」」」」」   

 知性が無いせいか、地竜達は同胞が殺されても獲物目掛けて突撃を続けていた。  

 「ほい、12体目!」

 二本の魔剣を小枝の様に振り回すグラは、地竜達の噛みつきを難なく躱し喉をバックリと切り裂く。

 「がうー! 狼流奥義昇竜斬り! 悔しいぞ、まだ俺は8体目だー! って、やりすぎたぞー?!」

 自身よりも大きな両手斧を低く構えたノラは、小柄な体格を有利に使い巨大な地竜の懐へと潜り込み戦技で仕留める。

 しかし、威力が高過ぎたのか力を込め過ぎたのか地竜は真っ二つになってしまった。

 「お~! 凄いなノラ。 だが、それだと肉が駄目になるから気を付けてな~」

 仕留めた地竜を端から4次元に収納していたセムネイルが駆け付け、真っ二つになった地竜を即座に収納する。

 「あう……ごめん。 でも、セムネイルに凄いって言われたぞ! えへへ、次は気をつけるぞ!」

 「おう、頼んだ」

 反省したが、直ぐに元気を取り戻したノラが地竜へと向かうのを見送ったセムネイルはリンが仕留めた地竜の回収へと走る。

 セリスを守りながら高速で地竜の骸を回収するセムネイルも異常なのだが、普通の冒険者達からするとグラとノラが行っている行為は人外の領域である。

 「しっ! 9、10、11! セムネイル様! セリスさんの方に後ろの地竜が何かしようとしてます! ぐぐ……はっ!! 会心の一矢!」

 ノラやグラに襲いかかろうと、回り込む地竜を正確無比に仕留めていたリンが土魔法をセリスに向けている1体の地竜に気付いた。

 「ガガガギ、ガギャガギャァァァ!」

 次から次へと氷槍で仕留めるセリスを排除しないと、後方の自分達は全滅するとようやく気付いた様だ。

 セムネイルに新たな魔法を教えられたセリスは、無限とも思える魔力で大量の氷槍を降らせ既に20体近くの地竜を屠っている。 まだノラは知らないが、後で知れば盛大に頬を膨らませる事だろう。

 リンはセリスの危機だと思い、限界まで絞り上げた魔力の矢を放った。 そして、直撃した地竜の大きな頭は爆ぜる。

 しかし、既に土魔法は放たれており、大きな尖った岩が後方のセリス目掛けて射出されてしまった。

 「よっ!」

 当然ながら、その様な攻撃をセムネイルが許す筈も無く大岩を蹴りだけで粉砕した。

 「ふふ、ありがとうございます」

 セリスは既に結界を張っており、そのまま直撃しても無傷なのだがセムネイルには我慢出来なかった。

 「セリスなら、即座に結界を張れると分かっているんだがな。 どうしても、大切な妻への攻撃は許せないんだ」

 「私はそんな貴方様が大好きですよ?」

 「そうか……なら、これからもずっと守ろう」

 「はい♡」

 セムネイルは少し頬を赤らめ、またグラ達が仕留めた地竜を回収しに走るのであった。

 ◆◇◆

 「皆、お疲れ様。 動いて腹が減っただろ、ちょっと待っててくれ」

 戦闘と云う名の蹂躙は終わり、血の匂いから離れた平原でセムネイルは昼食の準備に取り掛かっていた。

 「貴方様、何かお手伝いしましょうか?」

 「いや、竜の解体にはオリハルコンのナイフが要るからな。 此処は俺に任せてくれ」

 張り切るセムネイルを見て、セリスは愛おしそうに微笑んだ。

 「ふふ、分かりました。 では、お言葉に甘えて待たせていただきますね」

 「おう。 皆も休んでていいからな」

 平原にはセムネイルが取り出したシーツが敷かれ、其処にグラ達は座り一息つく。

 「ねぇねぇノラちゃん。 機嫌直しなよ~」

 「むー……セリス、ずるいぞ!」

 「まぁまぁ、セリスさんの魔法が凄いのはノラさんも知っているでしょ?」

 シーツの真ん中では、盛大に頬を膨らませたノラがいじけておりグラとリンが宥めていた。

 地竜狩りの成果として、やはりセリスが35体と一番多く倒していた。 グラは15体、ノラは12体、リンが17体とノラが最下位だった為、ノラは半泣きなのだ。

 そんなノラの様子にセムネイルは苦笑いを浮かべ、何とかしようと動き出す。

 枯れ木を積み上げ、火を着けた後に4次元から地竜の骸を選ぶ。

 「よし……ノラが仕留めたコイツにしよう。 ノラが真っ二つにしてくれたおかげで、素人の俺でも捌きやすいからな」

 セムネイルはノラに聞こえるようにし、真っ二つの地竜を取り出した。 そして、オリハルコンのナイフで捌き始める。

 セムネイルの声がばっちり聞こえたノラの狼耳はピクピクと反応し、嬉しそうな笑顔に変わった。 お尻の後ろで丸まっていた尻尾も起き上がり、フリフリと揺れる。

 「セリスちゃん……ノラちゃんって本当に可愛いよね」

 「そうなんですよ? ノラは素直で真っ直ぐなとても可愛い子なのです」

 グラとセリスは可愛らしいノラの様子に微笑む。

 「ノラさん、一緒にセムネイル様が地竜を捌いてるのを見に行きませんか?」

 「うん! 行くぞ! えへへ~」

 リンに連れられ、ノラは満面の笑顔でセムネイルの側に向かうのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...