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第177話 蹂躙と盛大に膨れた頬
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「ガギャァァ!」 「「「「「ガギャァァァァ!」」」」」
知性が無いせいか、地竜達は同胞が殺されても獲物目掛けて突撃を続けていた。
「ほい、12体目!」
二本の魔剣を小枝の様に振り回すグラは、地竜達の噛みつきを難なく躱し喉をバックリと切り裂く。
「がうー! 狼流奥義昇竜斬り! 悔しいぞ、まだ俺は8体目だー! って、やりすぎたぞー?!」
自身よりも大きな両手斧を低く構えたノラは、小柄な体格を有利に使い巨大な地竜の懐へと潜り込み戦技で仕留める。
しかし、威力が高過ぎたのか力を込め過ぎたのか地竜は真っ二つになってしまった。
「お~! 凄いなノラ。 だが、それだと肉が駄目になるから気を付けてな~」
仕留めた地竜を端から4次元に収納していたセムネイルが駆け付け、真っ二つになった地竜を即座に収納する。
「あう……ごめん。 でも、セムネイルに凄いって言われたぞ! えへへ、次は気をつけるぞ!」
「おう、頼んだ」
反省したが、直ぐに元気を取り戻したノラが地竜へと向かうのを見送ったセムネイルはリンが仕留めた地竜の回収へと走る。
セリスを守りながら高速で地竜の骸を回収するセムネイルも異常なのだが、普通の冒険者達からするとグラとノラが行っている行為は人外の領域である。
「しっ! 9、10、11! セムネイル様! セリスさんの方に後ろの地竜が何かしようとしてます! ぐぐ……はっ!! 会心の一矢!」
ノラやグラに襲いかかろうと、回り込む地竜を正確無比に仕留めていたリンが土魔法をセリスに向けている1体の地竜に気付いた。
「ガガガギ、ガギャガギャァァァ!」
次から次へと氷槍で仕留めるセリスを排除しないと、後方の自分達は全滅するとようやく気付いた様だ。
セムネイルに新たな魔法を教えられたセリスは、無限とも思える魔力で大量の氷槍を降らせ既に20体近くの地竜を屠っている。 まだノラは知らないが、後で知れば盛大に頬を膨らませる事だろう。
リンはセリスの危機だと思い、限界まで絞り上げた魔力の矢を放った。 そして、直撃した地竜の大きな頭は爆ぜる。
しかし、既に土魔法は放たれており、大きな尖った岩が後方のセリス目掛けて射出されてしまった。
「よっ!」
当然ながら、その様な攻撃をセムネイルが許す筈も無く大岩を蹴りだけで粉砕した。
「ふふ、ありがとうございます」
セリスは既に結界を張っており、そのまま直撃しても無傷なのだがセムネイルには我慢出来なかった。
「セリスなら、即座に結界を張れると分かっているんだがな。 どうしても、大切な妻への攻撃は許せないんだ」
「私はそんな貴方様が大好きですよ?」
「そうか……なら、これからもずっと守ろう」
「はい♡」
セムネイルは少し頬を赤らめ、またグラ達が仕留めた地竜を回収しに走るのであった。
◆◇◆
「皆、お疲れ様。 動いて腹が減っただろ、ちょっと待っててくれ」
戦闘と云う名の蹂躙は終わり、血の匂いから離れた平原でセムネイルは昼食の準備に取り掛かっていた。
「貴方様、何かお手伝いしましょうか?」
「いや、竜の解体にはオリハルコンのナイフが要るからな。 此処は俺に任せてくれ」
張り切るセムネイルを見て、セリスは愛おしそうに微笑んだ。
「ふふ、分かりました。 では、お言葉に甘えて待たせていただきますね」
「おう。 皆も休んでていいからな」
平原にはセムネイルが取り出したシーツが敷かれ、其処にグラ達は座り一息つく。
「ねぇねぇノラちゃん。 機嫌直しなよ~」
「むー……セリス、ずるいぞ!」
「まぁまぁ、セリスさんの魔法が凄いのはノラさんも知っているでしょ?」
シーツの真ん中では、盛大に頬を膨らませたノラがいじけておりグラとリンが宥めていた。
地竜狩りの成果として、やはりセリスが35体と一番多く倒していた。 グラは15体、ノラは12体、リンが17体とノラが最下位だった為、ノラは半泣きなのだ。
そんなノラの様子にセムネイルは苦笑いを浮かべ、何とかしようと動き出す。
枯れ木を積み上げ、火を着けた後に4次元から地竜の骸を選ぶ。
「よし……ノラが仕留めたコイツにしよう。 ノラが真っ二つにしてくれたおかげで、素人の俺でも捌きやすいからな」
セムネイルはノラに聞こえるようにし、真っ二つの地竜を取り出した。 そして、オリハルコンのナイフで捌き始める。
セムネイルの声がばっちり聞こえたノラの狼耳はピクピクと反応し、嬉しそうな笑顔に変わった。 お尻の後ろで丸まっていた尻尾も起き上がり、フリフリと揺れる。
「セリスちゃん……ノラちゃんって本当に可愛いよね」
「そうなんですよ? ノラは素直で真っ直ぐなとても可愛い子なのです」
グラとセリスは可愛らしいノラの様子に微笑む。
「ノラさん、一緒にセムネイル様が地竜を捌いてるのを見に行きませんか?」
「うん! 行くぞ! えへへ~」
リンに連れられ、ノラは満面の笑顔でセムネイルの側に向かうのであった。
知性が無いせいか、地竜達は同胞が殺されても獲物目掛けて突撃を続けていた。
「ほい、12体目!」
二本の魔剣を小枝の様に振り回すグラは、地竜達の噛みつきを難なく躱し喉をバックリと切り裂く。
「がうー! 狼流奥義昇竜斬り! 悔しいぞ、まだ俺は8体目だー! って、やりすぎたぞー?!」
自身よりも大きな両手斧を低く構えたノラは、小柄な体格を有利に使い巨大な地竜の懐へと潜り込み戦技で仕留める。
しかし、威力が高過ぎたのか力を込め過ぎたのか地竜は真っ二つになってしまった。
「お~! 凄いなノラ。 だが、それだと肉が駄目になるから気を付けてな~」
仕留めた地竜を端から4次元に収納していたセムネイルが駆け付け、真っ二つになった地竜を即座に収納する。
「あう……ごめん。 でも、セムネイルに凄いって言われたぞ! えへへ、次は気をつけるぞ!」
「おう、頼んだ」
反省したが、直ぐに元気を取り戻したノラが地竜へと向かうのを見送ったセムネイルはリンが仕留めた地竜の回収へと走る。
セリスを守りながら高速で地竜の骸を回収するセムネイルも異常なのだが、普通の冒険者達からするとグラとノラが行っている行為は人外の領域である。
「しっ! 9、10、11! セムネイル様! セリスさんの方に後ろの地竜が何かしようとしてます! ぐぐ……はっ!! 会心の一矢!」
ノラやグラに襲いかかろうと、回り込む地竜を正確無比に仕留めていたリンが土魔法をセリスに向けている1体の地竜に気付いた。
「ガガガギ、ガギャガギャァァァ!」
次から次へと氷槍で仕留めるセリスを排除しないと、後方の自分達は全滅するとようやく気付いた様だ。
セムネイルに新たな魔法を教えられたセリスは、無限とも思える魔力で大量の氷槍を降らせ既に20体近くの地竜を屠っている。 まだノラは知らないが、後で知れば盛大に頬を膨らませる事だろう。
リンはセリスの危機だと思い、限界まで絞り上げた魔力の矢を放った。 そして、直撃した地竜の大きな頭は爆ぜる。
しかし、既に土魔法は放たれており、大きな尖った岩が後方のセリス目掛けて射出されてしまった。
「よっ!」
当然ながら、その様な攻撃をセムネイルが許す筈も無く大岩を蹴りだけで粉砕した。
「ふふ、ありがとうございます」
セリスは既に結界を張っており、そのまま直撃しても無傷なのだがセムネイルには我慢出来なかった。
「セリスなら、即座に結界を張れると分かっているんだがな。 どうしても、大切な妻への攻撃は許せないんだ」
「私はそんな貴方様が大好きですよ?」
「そうか……なら、これからもずっと守ろう」
「はい♡」
セムネイルは少し頬を赤らめ、またグラ達が仕留めた地竜を回収しに走るのであった。
◆◇◆
「皆、お疲れ様。 動いて腹が減っただろ、ちょっと待っててくれ」
戦闘と云う名の蹂躙は終わり、血の匂いから離れた平原でセムネイルは昼食の準備に取り掛かっていた。
「貴方様、何かお手伝いしましょうか?」
「いや、竜の解体にはオリハルコンのナイフが要るからな。 此処は俺に任せてくれ」
張り切るセムネイルを見て、セリスは愛おしそうに微笑んだ。
「ふふ、分かりました。 では、お言葉に甘えて待たせていただきますね」
「おう。 皆も休んでていいからな」
平原にはセムネイルが取り出したシーツが敷かれ、其処にグラ達は座り一息つく。
「ねぇねぇノラちゃん。 機嫌直しなよ~」
「むー……セリス、ずるいぞ!」
「まぁまぁ、セリスさんの魔法が凄いのはノラさんも知っているでしょ?」
シーツの真ん中では、盛大に頬を膨らませたノラがいじけておりグラとリンが宥めていた。
地竜狩りの成果として、やはりセリスが35体と一番多く倒していた。 グラは15体、ノラは12体、リンが17体とノラが最下位だった為、ノラは半泣きなのだ。
そんなノラの様子にセムネイルは苦笑いを浮かべ、何とかしようと動き出す。
枯れ木を積み上げ、火を着けた後に4次元から地竜の骸を選ぶ。
「よし……ノラが仕留めたコイツにしよう。 ノラが真っ二つにしてくれたおかげで、素人の俺でも捌きやすいからな」
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