【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

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第171話 妻姉妹に参戦と逃げた者達

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 「という事があり、ハヤを妻にした。 数日前にあった出来事を思うと、思う所があるのは分かっている。 だが、どうか俺に免じて許してほしい」

 セムネイルは契約と指輪を渡したハヤを連れて家へと帰って来ていた。

 そして、妻達に紹介している所なのである。

 「こ、この間は本当にすみませんでした!」

 妻達に謝るセムネイルに驚いた後、直ぐにハヤは頭を下げた。

 「ふふ、大丈夫ですよハヤちゃん。 改めまして、私はローズ。 一応妻姉妹の長女?です。 大変だったのね……もう大丈夫だから。 これからよろしくね」

 ローズは頭を下げるハヤを抱きしめ、優しく微笑んだ。

 「私はもう知ってますよね? 勿論歓迎です! 因みに妻姉妹の次女です!」

 其処に、謹慎が解かれたセリスも加わりハヤを抱きしめる。

 「はい! はいはい! それならリンが三女です! よろしくお願いしますね、ハヤさん」

 「なー!? リン?! まさか、俺より先に手を上げるなんてやるじゃないかー! ハヤ、俺はノラだぞ! よろしくな! じゃあ……俺は何になるんだ?」

 次にリンが先に手を上げ三女の地位を確保し、それを見たノラは驚きの声を上げた。

 「セムネイル様、私達はセムネイル様が許されたならもう気にしてませんよ。 ハヤさん、改めまして私は勇者タリアです。 妻姉妹として仲良くして下さいね。 んーーーーー!」

 タリアはチャンスとばかりにセムネイルに抱きつき、思う存分にセムネイルの匂いを嗅ぎ始めた。

 「ちょっとタリア!? セムネイル様から離れなさい! あ、ハヤさんよろしくね。 私はアヤメ、えっと……ノラさんが四女でタリアが五女だから、私が六女になるのかな? って、タリア力強すぎ!」

 タリアを引き剥がそうとするアヤメはハヤに苦笑いで自己紹介し、タリアは勇者の力を振り絞りセムネイルから離れようとしなかった。

 「「タリア、セムネイル様が苦しそう。 直ぐに離れなさい。 ハヤ、私達はカリンとコリンよ。 シスターで治癒魔法が使える。 もし、怪我をしたら直ぐに言って。 因みにカリンが七女で、コリンが八女よ」」

 カリンとコリンは怒りながらタリアをアヤメと共に引き剥がしに掛かる。 流石のタリアも、セムネイルが苦しそうならと咄嗟に手を離しアヤメ達諸共吹き飛んだ。

 ガタガタとリビングの壁にぶつかる4人を見て、グラはこめかみを押さえため息を吐く。

 「はぁ……騒がしくてごめんねハヤちゃん。 さっき自己紹介はしたから良いよね。 改めて妻姉妹としてよろしくね。 私は九女になるのかな? っていうか……妻姉妹ってそもそも何なの?」

 「あ~……確かにそうだねぇ。 見た目だけなら、私が一番年上に見えるんだけど妻姉妹で云えば……十女だもんね。 まぁ、お兄さんが大好きな女達の絆って事で良いんじゃないのかい? 私はサシャだよ。 よろしくね、ハヤちゃん」

 グラとサシャはリビングのソファに座り、ハヤを囲むローズ達に苦笑いだ。 ローズはとても可愛らしい妹が出来たと頬ずりし、セリスは何故か息を荒くしていた。

 「くっくっくっ、タリアは更に力が強くなったな。 ハヤ、どうだ? 言った通り、誰も責め無かっただろ?」

 「は、はい! 凄く……ホッとしました。 不束者ですが、皆さんどうかよろしくお願いします!」

 ローズ達の反応を見て、ハヤはようやく安堵しセムネイルに微笑んだ。

 「よし、飯にしよう! 今日は色々あったからな、キュイジーヌの所で食うぞ。 明日からの事も話そう」

 妻達の返事を聞き、セムネイルは嬉しそうに笑った。

 そして、妻達11人を引き連れ、キュイジーヌのレストランへと向かうのであった。

 ◆◇◆

 セムネイル達がキュイジーヌのレストランへと向かった頃。

 南の街ミンガムを脱し、王都へと向かう5つの影があった。 その影は森の暗がりに溶け込み決して見つかることは無いだろう。

 「影の、そろそろ良いのではないか?」

 影の中でフードを深く被った一人が問うと、先頭の者が答える。

 「そうですね……では、出ますよ」

 潜んでいた影から這い出た5人は、ようやく一息をついた。 フードを取り、新鮮な空気を吸い込む。

 「ぷはー! あーヤバかったね! 久し振りに鳥肌が立ったよ私は」

 赤髪の野性味溢れる女は深呼吸し、身体をほぐす。

 「でも、昔よりは強くなかった。 僕達で殺せたんじゃないの?」

 目元まで伸びた茶髪を指で弄りながら呟くのは少年にも見える小柄な青年だ。

 「がははは! 無理だろうな。 そもそも、欲望と狭間の魔王が復活したと連絡が来たときに、とりあえず敵対せぬと決めたろう」

 そして、筋骨隆々で肌が浅黒い丸坊主の大男が豪快に笑った。

 「その通りです。 我等は使命の為、今はアレと敵対すべきでは無い……筈だったのですがね」

 「仕方無いのじゃ。 王都の協力者から依頼された手伝いをして小遣い稼ぎしただけなのに……まさか、セムネイル殿の連れだったとはの」

 紫色の長髪を手でガシガシと掻き毟る男を金髪の美しい女が宥めた。

 「ちっ……分かってます。 ですが、不味いですよ。 我等が魔族で魔王な事は直ぐにバレるでしょう。 も、もしかしたら今も我等を殺しに向かって来ているのでは?!」

 「落ち着け! 考えても仕方あるまい! 早く王都に出向き、見つかる前に国に帰る! それで良いでは無いか! がははははは!」

 大男が豪快に笑うのを仲間達は笑って聞いていた。

 「その通りじゃ。 それに、攫った小娘の連れは念の為に殺しておらなんだし……まだ何とかなるじゃろ。 それよりも王都に出向き、共に使命を果たそうぞ。 全ては謀略と叡智の魔王アスモ様の為に」

 「「「「アスモ様の為に」」」」

 魔王達は己の角を撫で、忠誠を誓う主の事に敬意を示し王都に向けて走り出すのであった。
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