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第168話 疑念
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セムネイルがハヤをベッドに寝かせたまま小屋を出ると、其処には妻のセリスとグラが待っていた。
「セリス、グラ、おはよう」
「おはようございます、貴方様」
「おはよう、セムネイル。 大変だったみたいね」
妻以外の女性と家からさほども離れていない小屋で致していたのだ。
普通なら、修羅場となり最悪刺殺されても不思議では無いのだがセリスとグラは全く怒っていなかった。
「まだ分からんが、妻が増えるかもしれん。 何が起きたかは後で詳しく説明する。 今は確認したい事が有るんだ。 グラ、すまんが付いてきてくれ。 セリス、ハヤを頼めるか?」
「大丈夫ですよ貴方様。 ジェイソンさんからの報告である程度予測は出来ます。 勿論、他の皆さんも歓迎しますよ。 ハヤさんの事は任せて下さいませ」
セリスは満面の笑みを浮かべ、グラは呆れたように笑った。
「私も大丈夫よセムネイル。 っていうか、昔の貴方の事を思い出したら……少なすぎる程よ?」
「ありがとう、流石は俺の自慢の妻達だ。 気になる事を確認し、安全な場所に扉を設置したら戻る」
セムネイルは理解力のある妻達に感謝し、グラを連れて4次元の扉を潜るのであった。
◆◇◆
「すまんソクド、待たせた」
4次元の扉を潜ると、ソクドがセムネイルの帰りを待っていた。
「セムネイルの兄貴! ハヤは、妹は助かりましたか!?」
「安心しろ、ハヤは大丈夫だ。 今はぐっすりと眠っている」
ソクドは妹の無事を聞き、その場に崩れ安堵のため息を吐いた。
「よ、良かったーーー! 妹を助けてくださり、本当にありがとうございます!」
「構わん。 悪いのはゴミ野郎だからな。 おっと……グラ、どうだ? 何を感じる」
セムネイルはソクドの側を離れ、何かを見渡すグラの下に行く。
「ねぇ……セムネイル。 此処に来たとき、誰が居た?」
「其処で死んでいるゴミとハヤだけだった。 しかし、この屋敷に近付くまでは気配を察知出来なかったんだが……侵入する直前に突然地下に気配が2つ現れたんだ」
セムネイルの話を聞き、グラは確信する。
「多分……セムネイルの予想通り、この地下室には魔族達が居たね。 それも……」
「魔王だな?」
セムネイルの問にグラは頷き、セムネイルは感じていた懐かしい匂いを確信した。
「そうだね。 私達と同じ魔王が此処に5人は居た」
グラは無駄に豪華な椅子の後ろに回り込み、同族の匂いを辿る。
「なら、俺が近付くのを察知し逃げたのか」
「だろうね~、セムネイルは同じ魔王達からも随分恐れられてたし。 多分、一人は影の魔王だと思う。 アイツなら、セムネイルに気配を察知されずに逃げれる。 セムネイルが近付くまで気配が察知出来なかったのも、影の魔王が張ってた結界じゃないかな」
「ふむ……やはりグラに来てもらって正解だったな。 俺には魔王の知り合いは殆ど居ないからな」
セムネイルとグラが話していると、ソクドが恐る恐る問いかけてきた。
「あ、あの……セムネイルの兄貴。 もしかして、俺っておとぎ話に出てくる様な5人の魔王に襲われたって事ですか?」
どうやら、ハヤが攫われた時に襲って来た相手が魔王達だったとは想像もしていなかったようだ。
神魔大戦がおとぎ話になった現在では仕方の無い事かもしれない。
「そうなるな。 って事は……そいつらは冒険者をしてるのか? なぁ、ソクド。 襲って来た相手が何故冒険者って思ったんだ? 顔は見たのか?」
「お、俺良く生きてたな……あ、すみません。 えっと、全員深くフードを被っていたので顔は見えませんでした。 男か女かも分かりません。 冒険者だと思ったのは、装備が冒険者が好んで装備する魔物の素材を使用した鎧だったのと戦い慣れていたからです。 訓練された騎士っていうより、魔物との戦いで覚えた冒険者らしい動きでした」
セムネイルは顎に手を置き、頭を捻る。
「分からん。 魔族でしかも魔王。 限りなく証拠は残したくない筈。 なのに何故、ソクドは生かされた……?」
「ねぇ、セムネイル。 悠長に話してるけど、流石にそろそろ逃げた方が良くない? 上に誰か来てるよ」
グラに忠告され、セムネイルが上へと意識を向けると何やらぞろぞろと屋敷に雪崩込んで来る気配を察知した。
「……グラ、4次元に戻っていてくれ。 ソクド、扉を回収し姿を消してからそのまま冒険者ギルドに行くぞ」
「は、はい!」
「またね、セムネイル……ん♡」
グラは軽くセムネイルと口づけを交わし、4次元へと帰る。
そして、扉を回収したセムネイルは再度ソクドの首根っこを掴み透明になるのであった。
「セリス、グラ、おはよう」
「おはようございます、貴方様」
「おはよう、セムネイル。 大変だったみたいね」
妻以外の女性と家からさほども離れていない小屋で致していたのだ。
普通なら、修羅場となり最悪刺殺されても不思議では無いのだがセリスとグラは全く怒っていなかった。
「まだ分からんが、妻が増えるかもしれん。 何が起きたかは後で詳しく説明する。 今は確認したい事が有るんだ。 グラ、すまんが付いてきてくれ。 セリス、ハヤを頼めるか?」
「大丈夫ですよ貴方様。 ジェイソンさんからの報告である程度予測は出来ます。 勿論、他の皆さんも歓迎しますよ。 ハヤさんの事は任せて下さいませ」
セリスは満面の笑みを浮かべ、グラは呆れたように笑った。
「私も大丈夫よセムネイル。 っていうか、昔の貴方の事を思い出したら……少なすぎる程よ?」
「ありがとう、流石は俺の自慢の妻達だ。 気になる事を確認し、安全な場所に扉を設置したら戻る」
セムネイルは理解力のある妻達に感謝し、グラを連れて4次元の扉を潜るのであった。
◆◇◆
「すまんソクド、待たせた」
4次元の扉を潜ると、ソクドがセムネイルの帰りを待っていた。
「セムネイルの兄貴! ハヤは、妹は助かりましたか!?」
「安心しろ、ハヤは大丈夫だ。 今はぐっすりと眠っている」
ソクドは妹の無事を聞き、その場に崩れ安堵のため息を吐いた。
「よ、良かったーーー! 妹を助けてくださり、本当にありがとうございます!」
「構わん。 悪いのはゴミ野郎だからな。 おっと……グラ、どうだ? 何を感じる」
セムネイルはソクドの側を離れ、何かを見渡すグラの下に行く。
「ねぇ……セムネイル。 此処に来たとき、誰が居た?」
「其処で死んでいるゴミとハヤだけだった。 しかし、この屋敷に近付くまでは気配を察知出来なかったんだが……侵入する直前に突然地下に気配が2つ現れたんだ」
セムネイルの話を聞き、グラは確信する。
「多分……セムネイルの予想通り、この地下室には魔族達が居たね。 それも……」
「魔王だな?」
セムネイルの問にグラは頷き、セムネイルは感じていた懐かしい匂いを確信した。
「そうだね。 私達と同じ魔王が此処に5人は居た」
グラは無駄に豪華な椅子の後ろに回り込み、同族の匂いを辿る。
「なら、俺が近付くのを察知し逃げたのか」
「だろうね~、セムネイルは同じ魔王達からも随分恐れられてたし。 多分、一人は影の魔王だと思う。 アイツなら、セムネイルに気配を察知されずに逃げれる。 セムネイルが近付くまで気配が察知出来なかったのも、影の魔王が張ってた結界じゃないかな」
「ふむ……やはりグラに来てもらって正解だったな。 俺には魔王の知り合いは殆ど居ないからな」
セムネイルとグラが話していると、ソクドが恐る恐る問いかけてきた。
「あ、あの……セムネイルの兄貴。 もしかして、俺っておとぎ話に出てくる様な5人の魔王に襲われたって事ですか?」
どうやら、ハヤが攫われた時に襲って来た相手が魔王達だったとは想像もしていなかったようだ。
神魔大戦がおとぎ話になった現在では仕方の無い事かもしれない。
「そうなるな。 って事は……そいつらは冒険者をしてるのか? なぁ、ソクド。 襲って来た相手が何故冒険者って思ったんだ? 顔は見たのか?」
「お、俺良く生きてたな……あ、すみません。 えっと、全員深くフードを被っていたので顔は見えませんでした。 男か女かも分かりません。 冒険者だと思ったのは、装備が冒険者が好んで装備する魔物の素材を使用した鎧だったのと戦い慣れていたからです。 訓練された騎士っていうより、魔物との戦いで覚えた冒険者らしい動きでした」
セムネイルは顎に手を置き、頭を捻る。
「分からん。 魔族でしかも魔王。 限りなく証拠は残したくない筈。 なのに何故、ソクドは生かされた……?」
「ねぇ、セムネイル。 悠長に話してるけど、流石にそろそろ逃げた方が良くない? 上に誰か来てるよ」
グラに忠告され、セムネイルが上へと意識を向けると何やらぞろぞろと屋敷に雪崩込んで来る気配を察知した。
「……グラ、4次元に戻っていてくれ。 ソクド、扉を回収し姿を消してからそのまま冒険者ギルドに行くぞ」
「は、はい!」
「またね、セムネイル……ん♡」
グラは軽くセムネイルと口づけを交わし、4次元へと帰る。
そして、扉を回収したセムネイルは再度ソクドの首根っこを掴み透明になるのであった。
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