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第163話 魔王の昼飯はおにぎりのみ
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「うっ……まさか肉を食わずして腹がいっぱいとは……」
セムネイルは襲い来る満腹感と戦いながら肉を焼いていた。
「えへへ……セムネイル様、私のおにぎり全部食べてくれた♡ とっても嬉しいです……♡」
タリアが幸せそうに呟く通り、セムネイルはタリアが作った巨大なおにぎりを全て平らげ最早肉の1枚も食べれなくなっていた。
「セムネイル様……本当に、本当にすみません」
アヤメが申し訳無さそうに謝りながらセムネイルから肉を受け取る。
「くっくっくっ、構わんさ。 ほれ、皆も沢山食べろよ~」
「セムネイル様……リンもお腹いっぱいです~」
「ふははは! 見ろセムネイル! ノラのお腹ポンポコリンだぞ!」
空腹に任せて肉に齧り付いていたリンとノラは満腹になり、芝生に寝そべり幸せそうにお腹を擦っていた。 瞼も重くなり、2人は眠そうだ。
「はぁ……貴方様、ちょっとリンとノラを家に連れ帰って参りますね」
「ありがとうセリス。 リン、ノラ部屋でゆっくり昼寝でもしてきたらいい」
「ふふ、セリスちゃん私も手伝うわ」
ローズも立ち上がり、眠りかけているリンを抱き上げた。
「すみませんローズ姉様。 ほらノラ、お部屋まで頑張りなさい」
「んー? なんだぁ~……セリス~……ふわぁ~」
セムネイルはローズ達を見送り、残っている妻達に肉を配り続けるのであった。
◆◇◆
「ふ~……お腹いっぱいだ~。 セムネイル、このBBQっていうの良いわね」
グラはようやく満腹になったのか、食べる手を止めた。
「ふぇ~……グラちゃん、あの山のように焼かれた肉全部食べたのかい?」
サシャは既に食べ終えており、グラの膨れた腹を突っついていた。
「魔族は代謝が良いからな。 食う時はもっと凄いぞ? 他の皆も腹が膨れたら家で休んでてくれ。 片付けは俺がするから」
「ありがとうセムネイル~……ダメだ、こんなにお腹いっぱいになったの何千年振りだろう。 サシャ、ごめんだけど手貸して~」
「はいよ、お兄さん手伝えなくてごめんよ」
「構わん。 グラを頼むぞ」
全員が食べ終えたのを確認したセムネイルが片付けを始めると、直ぐにカリンとコリンも立ち上がり手伝う。
「「セムネイル様、私達もお手伝い致します」」
「そうか、ありがとうな」
セムネイルの微笑みに双子は顔を赤らめ、それを見ていたいタリアは嫉妬から歯を食いしばって睨みつけていた。
「いや、タリア……? 顔怖すぎだよ?! セムネイル様にそんな顔見せれる? ほら、私達も手伝うよ!」
「うぅぅぅ……セムネイル様、私も手伝いますー!」
少し遅れてタリアとアヤメも片付けに加わり、最後まで妻達と仲睦まじくセムネイルは満足気に笑った。
「くっくっくっ、妻達と外での焼き肉。 うむ、悪くない! 皆もしっかり食ってくれたしな」
「「セムネイル様、おにぎりが少し残りました。 如何なさいますか?」」
「ん? おぉ、勿論俺が全て食っておくから置いておいてくれ」
セムネイルは残されたおにぎりを食べ始めた。 妻達の作った物は決して残さない。 セムネイルのポリシーである。
「あれ……? セムネイル様、お肉食べられました?」
すると、何かを思ったアヤメが記憶を探りセムネイルに問い掛けた。
「んぐ……うむ、美味い。 ん? いや、食ってないぞ。 肉も良いが……俺にはコレがあるからな」
そう言って笑顔でおにぎりを食べるセムネイルを見て、アヤメは嬉しそうに笑った。
(男だからと威張らず、妻達を優先し、自分は妻の作ったおにぎりだけで良いと言える男があの糞な教国に何人居るかな……。 いや、居ない。 断言できる! こんなに素敵な男はセムネイル様だけ! だから、私はもう絶対に昔の自分には戻らない!)
何かを思うアヤメはおにぎりを頬張る愛しの男を見つめ、堪らずに抱きしめる。
「ふふ、セムネイル様……大好きです♡」
アヤメに抱きつかれたセムネイルは驚きながらも受け入れ、アヤメを優しく抱き寄せた。
「おう、俺もだ。 愛してるぞ、アヤメ」
セムネイルの言葉にアヤメは耳まで赤く染め、妻姉妹の抜け駆けを見つけたタリアは叫んだ。
「あーーーー! カリン、コリン! アヤメがセムネイル様に抱きついてる! ズルいズルいズルいズルい!」
「「落ち着いてタリア。 でも……確かにズルいので私達は両手に抱きつきますね」」
しかし、タリアが叫んでいる隙にカリンとコリンはセムネイルの両手に抱きつく。
「ふははは! どうしたんだ二人共、これじゃ食えないぞ」
「はっ!? ならば、セムネイル様! 私がお口におにぎりを運んで差し上げます! とりゃーーー!」
食べさせる時には中々聞かない掛け声と共に、タリアは持ったおにぎりを全力でセムネイルの顔に突っ込んだ
「ぶほっ?!」
当然ながら口には入らず、セムネイルの顔面でおにぎりは爆散するのであった。
「「「タリア~~~?!」」」
「あ、あぅ……ご、ごめんなさぁぁぁぁぁい!」
セムネイルは襲い来る満腹感と戦いながら肉を焼いていた。
「えへへ……セムネイル様、私のおにぎり全部食べてくれた♡ とっても嬉しいです……♡」
タリアが幸せそうに呟く通り、セムネイルはタリアが作った巨大なおにぎりを全て平らげ最早肉の1枚も食べれなくなっていた。
「セムネイル様……本当に、本当にすみません」
アヤメが申し訳無さそうに謝りながらセムネイルから肉を受け取る。
「くっくっくっ、構わんさ。 ほれ、皆も沢山食べろよ~」
「セムネイル様……リンもお腹いっぱいです~」
「ふははは! 見ろセムネイル! ノラのお腹ポンポコリンだぞ!」
空腹に任せて肉に齧り付いていたリンとノラは満腹になり、芝生に寝そべり幸せそうにお腹を擦っていた。 瞼も重くなり、2人は眠そうだ。
「はぁ……貴方様、ちょっとリンとノラを家に連れ帰って参りますね」
「ありがとうセリス。 リン、ノラ部屋でゆっくり昼寝でもしてきたらいい」
「ふふ、セリスちゃん私も手伝うわ」
ローズも立ち上がり、眠りかけているリンを抱き上げた。
「すみませんローズ姉様。 ほらノラ、お部屋まで頑張りなさい」
「んー? なんだぁ~……セリス~……ふわぁ~」
セムネイルはローズ達を見送り、残っている妻達に肉を配り続けるのであった。
◆◇◆
「ふ~……お腹いっぱいだ~。 セムネイル、このBBQっていうの良いわね」
グラはようやく満腹になったのか、食べる手を止めた。
「ふぇ~……グラちゃん、あの山のように焼かれた肉全部食べたのかい?」
サシャは既に食べ終えており、グラの膨れた腹を突っついていた。
「魔族は代謝が良いからな。 食う時はもっと凄いぞ? 他の皆も腹が膨れたら家で休んでてくれ。 片付けは俺がするから」
「ありがとうセムネイル~……ダメだ、こんなにお腹いっぱいになったの何千年振りだろう。 サシャ、ごめんだけど手貸して~」
「はいよ、お兄さん手伝えなくてごめんよ」
「構わん。 グラを頼むぞ」
全員が食べ終えたのを確認したセムネイルが片付けを始めると、直ぐにカリンとコリンも立ち上がり手伝う。
「「セムネイル様、私達もお手伝い致します」」
「そうか、ありがとうな」
セムネイルの微笑みに双子は顔を赤らめ、それを見ていたいタリアは嫉妬から歯を食いしばって睨みつけていた。
「いや、タリア……? 顔怖すぎだよ?! セムネイル様にそんな顔見せれる? ほら、私達も手伝うよ!」
「うぅぅぅ……セムネイル様、私も手伝いますー!」
少し遅れてタリアとアヤメも片付けに加わり、最後まで妻達と仲睦まじくセムネイルは満足気に笑った。
「くっくっくっ、妻達と外での焼き肉。 うむ、悪くない! 皆もしっかり食ってくれたしな」
「「セムネイル様、おにぎりが少し残りました。 如何なさいますか?」」
「ん? おぉ、勿論俺が全て食っておくから置いておいてくれ」
セムネイルは残されたおにぎりを食べ始めた。 妻達の作った物は決して残さない。 セムネイルのポリシーである。
「あれ……? セムネイル様、お肉食べられました?」
すると、何かを思ったアヤメが記憶を探りセムネイルに問い掛けた。
「んぐ……うむ、美味い。 ん? いや、食ってないぞ。 肉も良いが……俺にはコレがあるからな」
そう言って笑顔でおにぎりを食べるセムネイルを見て、アヤメは嬉しそうに笑った。
(男だからと威張らず、妻達を優先し、自分は妻の作ったおにぎりだけで良いと言える男があの糞な教国に何人居るかな……。 いや、居ない。 断言できる! こんなに素敵な男はセムネイル様だけ! だから、私はもう絶対に昔の自分には戻らない!)
何かを思うアヤメはおにぎりを頬張る愛しの男を見つめ、堪らずに抱きしめる。
「ふふ、セムネイル様……大好きです♡」
アヤメに抱きつかれたセムネイルは驚きながらも受け入れ、アヤメを優しく抱き寄せた。
「おう、俺もだ。 愛してるぞ、アヤメ」
セムネイルの言葉にアヤメは耳まで赤く染め、妻姉妹の抜け駆けを見つけたタリアは叫んだ。
「あーーーー! カリン、コリン! アヤメがセムネイル様に抱きついてる! ズルいズルいズルいズルい!」
「「落ち着いてタリア。 でも……確かにズルいので私達は両手に抱きつきますね」」
しかし、タリアが叫んでいる隙にカリンとコリンはセムネイルの両手に抱きつく。
「ふははは! どうしたんだ二人共、これじゃ食えないぞ」
「はっ!? ならば、セムネイル様! 私がお口におにぎりを運んで差し上げます! とりゃーーー!」
食べさせる時には中々聞かない掛け声と共に、タリアは持ったおにぎりを全力でセムネイルの顔に突っ込んだ
「ぶほっ?!」
当然ながら口には入らず、セムネイルの顔面でおにぎりは爆散するのであった。
「「「タリア~~~?!」」」
「あ、あぅ……ご、ごめんなさぁぁぁぁぁい!」
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