【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
上 下
164 / 252

第163話 魔王の昼飯はおにぎりのみ

しおりを挟む
 「うっ……まさか肉を食わずして腹がいっぱいとは……」

 セムネイルは襲い来る満腹感と戦いながら肉を焼いていた。

 「えへへ……セムネイル様、私のおにぎり全部食べてくれた♡ とっても嬉しいです……♡」

 タリアが幸せそうに呟く通り、セムネイルはタリアが作った巨大なおにぎりを全て平らげ最早肉の1枚も食べれなくなっていた。

 「セムネイル様……本当に、本当にすみません」

 アヤメが申し訳無さそうに謝りながらセムネイルから肉を受け取る。

 「くっくっくっ、構わんさ。 ほれ、皆も沢山食べろよ~」

 「セムネイル様……リンもお腹いっぱいです~」

 「ふははは! 見ろセムネイル! ノラのお腹ポンポコリンだぞ!」

 空腹に任せて肉に齧り付いていたリンとノラは満腹になり、芝生に寝そべり幸せそうにお腹を擦っていた。 瞼も重くなり、2人は眠そうだ。

 「はぁ……貴方様、ちょっとリンとノラを家に連れ帰って参りますね」

 「ありがとうセリス。 リン、ノラ部屋でゆっくり昼寝でもしてきたらいい」

 「ふふ、セリスちゃん私も手伝うわ」

 ローズも立ち上がり、眠りかけているリンを抱き上げた。

 「すみませんローズ姉様。 ほらノラ、お部屋まで頑張りなさい」

 「んー? なんだぁ~……セリス~……ふわぁ~」

 セムネイルはローズ達を見送り、残っている妻達に肉を配り続けるのであった。

 ◆◇◆

 「ふ~……お腹いっぱいだ~。 セムネイル、このBBQっていうの良いわね」

 グラはようやく満腹になったのか、食べる手を止めた。

 「ふぇ~……グラちゃん、あの山のように焼かれた肉全部食べたのかい?」

 サシャは既に食べ終えており、グラの膨れた腹を突っついていた。

 「魔族は代謝が良いからな。 食う時はもっと凄いぞ? 他の皆も腹が膨れたら家で休んでてくれ。 片付けは俺がするから」

 「ありがとうセムネイル~……ダメだ、こんなにお腹いっぱいになったの何千年振りだろう。 サシャ、ごめんだけど手貸して~」

 「はいよ、お兄さん手伝えなくてごめんよ」

 「構わん。 グラを頼むぞ」

 全員が食べ終えたのを確認したセムネイルが片付けを始めると、直ぐにカリンとコリンも立ち上がり手伝う。

 「「セムネイル様、私達もお手伝い致します」」

 「そうか、ありがとうな」

 セムネイルの微笑みに双子は顔を赤らめ、それを見ていたいタリアは嫉妬から歯を食いしばって睨みつけていた。

 「いや、タリア……? 顔怖すぎだよ?! セムネイル様にそんな顔見せれる? ほら、私達も手伝うよ!」

 「うぅぅぅ……セムネイル様、私も手伝いますー!」

 少し遅れてタリアとアヤメも片付けに加わり、最後まで妻達と仲睦まじくセムネイルは満足気に笑った。

 「くっくっくっ、妻達と外での焼き肉。 うむ、悪くない! 皆もしっかり食ってくれたしな」

 「「セムネイル様、おにぎりが少し残りました。 如何なさいますか?」」

 「ん? おぉ、勿論俺が全て食っておくから置いておいてくれ」

 セムネイルは残されたおにぎりを食べ始めた。 妻達の作った物は決して残さない。 セムネイルのポリシーである。 

 「あれ……? セムネイル様、お肉食べられました?」

 すると、何かを思ったアヤメが記憶を探りセムネイルに問い掛けた。

 「んぐ……うむ、美味い。 ん? いや、食ってないぞ。 肉も良いが……俺にはコレがあるからな」

 そう言って笑顔でおにぎりを食べるセムネイルを見て、アヤメは嬉しそうに笑った。

 (男だからと威張らず、妻達を優先し、自分は妻の作ったおにぎりだけで良いと言える男があの糞な教国に何人居るかな……。 いや、居ない。 断言できる! こんなに素敵な男はセムネイル様だけ! だから、私はもう絶対に昔の自分には戻らない!)

 何かを思うアヤメはおにぎりを頬張る愛しの男を見つめ、堪らずに抱きしめる。

 「ふふ、セムネイル様……大好きです♡」

 アヤメに抱きつかれたセムネイルは驚きながらも受け入れ、アヤメを優しく抱き寄せた。

 「おう、俺もだ。 愛してるぞ、アヤメ」

 セムネイルの言葉にアヤメは耳まで赤く染め、妻姉妹の抜け駆けを見つけたタリアは叫んだ。 

 「あーーーー! カリン、コリン! アヤメがセムネイル様に抱きついてる! ズルいズルいズルいズルい!」 

 「「落ち着いてタリア。 でも……確かにズルいので私達は両手に抱きつきますね」」

 しかし、タリアが叫んでいる隙にカリンとコリンはセムネイルの両手に抱きつく。

 「ふははは! どうしたんだ二人共、これじゃ食えないぞ」

 「はっ!? ならば、セムネイル様! 私がお口におにぎりを運んで差し上げます! とりゃーーー!」

 食べさせる時には中々聞かない掛け声と共に、タリアは持ったおにぎりを全力でセムネイルの顔に突っ込んだ

 「ぶほっ?!」

 当然ながら口には入らず、セムネイルの顔面でおにぎりは爆散するのであった。

 「「「タリア~~~?!」」」

 「あ、あぅ……ご、ごめんなさぁぁぁぁぁい!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

処理中です...