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第158話 怒れる女神
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「ふむ……ヒヒイロカネを触媒に作ってある封印だな」
セムネイルは巨大なクリスタルを触り、呟いた。
「あ、あの……セムネイル様。 モーンデ様をその封印から出すことはできないのでしょうか……」
ミリムが懇願する様に訴え、オルガも頭を下げる。
「お願いします、セムネイル様」
「ん~……助けれるとは思うが、流石に暴れられたら困るぞ?」
セムネイルの心配は最もであり、解放したからと云って鬼人族の女神モーンデが味方とは限らないのだ。
最悪、錯乱して暴れ出しこの4次元に壊滅的なダメージを与えるかもしれない。
「そんな事は絶対にありません! 私は幼い頃より、モーンデ様の伝承を聞いて育ちました。 父も兄も口を揃えて、モーンデ様は穏やかで母性溢れる女神だと言ってました」
ミリムの言葉を聞き、セムネイルが唸っていると他の鬼人族達も何事かとやって来た。
そして、オルガ達に説明された鬼人達も女神モーンデを助けて欲しいと懇願する。
「ぬぅ……分かった分かった。 但し、昨日言った詫びはこれで帳消しにするぞ? それでも良いか?」
「……そ、それは」
ミリムは不安そうにオルガ達を見るが、皆笑顔で応える。
「勿論です。 お願いします!」
「「「「「「お願いします!」」」」」」
「オルガお姉様! それに……皆さんも。 あ、ありがとうございます……」
どうやら、それ程までに鬼人族にとって女神モーンデは大切な存在の様だ。
「はぁ……分かった。 離れてろ」
セムネイルは卵を地面に起き、腰に差した魔剣デザイアを引き抜いた。
「さて、オリハルコンやアダマンタイトよりも硬いヒヒイロカネを斬ってみるとするか……ふんっ!!」
全力で魔剣を振るい、クリスタルから激しい火花が散り始めた。
「うぉぉぉぉぉぉぉっ! 砕けろぉぉぉぉぉぉ!!」
そして、遂にクリスタルは砕け散り中で眠る女神モーンデが地面へと横たわる。
「モーンデ様!」
直ぐにミリム達が駆け寄り、状態を確認する。 モーンデは何も身に纏わないまま倒れ、ピクリとも動かない。
「……そんな、モーンデ様の角が折られてっ?!」
「酷い……誰がこんな事を」
「誰か! ベットのシーツを全て持ってきなさい!」
「「「「「はい!」」」」」
鬼人の娘達が慌ただしく動き始め、セムネイルは魔剣を腰に戻す。
改めて見ると、女神モーンデの身長は3メートル程と大きい。
たゆたゆと柔らかそうな乳房が揺れるが、今凝視すれば鬼人族の娘達からの信頼は地に落ちるだろう。
「よっと、ほれコレを掛けてやれ」
セムネイルは権能を使い、巨大なシーツを創り出しモーンデにかけてやる。
「セムネイル様、ありがとうございます」
「いや、構わん。 本当は服を創れたら良いんだが……すまんな。 服や鎧等は勝手が分からずに上手く創れんのだ」
「とんでもないです! でも……モーンデ様は何故目を覚まされないのでしょうか」
不安そうにミリムはモーンデの顔を覗き込み、呼吸をしている事を確認する。
「任せろ。 契約せし癒しの女神よ、神々を裏切り俺を味方した慈悲深き女神よ。 ここに横たわる者を癒せ、内なる傷を癒せ、ここにお前の奇跡を見せてやれ! 治癒女神の慈悲!」
セムネイルの背後に半透明のウルナが現れ、セムネイルは手に宿った治癒の光りでモーンデを包み込んだ。
淡い光がモーンデの全身を駆け巡り、光が穏やかに消えた直後。
モーンデの目がゆっくりと開いた。
「モーンデ様がお目覚めに!」
「「「「「「「モーンデ様!」」」」」」」
ミリム達が嬉しそうに喜びの声を上げる中、セムネイルとオルガだけは違った。
「セムネイル様……不味いですよね」
「おぉ、オルガは殺気が分かるのか。 うんうん、優秀だな……今すぐに全員を連れて離れろ」
セムネイルが身体を起こすモーンデの前に立つと、直ぐにモーンデは叫び始めた。
「うわぁぁぁぁぁぁ! よくもぉ! よくもぉぉぉぉ! エオルニア! 殺してやる! 殺してやるぅぅぅ!」
真っ赤な赤髪を揺らしながら怒り狂うモーンデは、大きな拳を握り締めて周囲を殴り始めた。
「きゃぁっ?!」
近くに居たミリムにモーンデの拳が振り下ろされたが、セムネイルによって受け止められ難を逃れる。
「ミリム! オルガ達と逃げろ! 早く!」
「で、ですが……モーンデ様が!」
「ミリム、今は兎に角逃げるの! セムネイル様にお任せしたら大丈夫だから! モーンデ様の事、お願いしますセムネイル様!」
「おう! あ、卵持って避難してくれるか?」
セムネイルは巨大なクリスタルを触り、呟いた。
「あ、あの……セムネイル様。 モーンデ様をその封印から出すことはできないのでしょうか……」
ミリムが懇願する様に訴え、オルガも頭を下げる。
「お願いします、セムネイル様」
「ん~……助けれるとは思うが、流石に暴れられたら困るぞ?」
セムネイルの心配は最もであり、解放したからと云って鬼人族の女神モーンデが味方とは限らないのだ。
最悪、錯乱して暴れ出しこの4次元に壊滅的なダメージを与えるかもしれない。
「そんな事は絶対にありません! 私は幼い頃より、モーンデ様の伝承を聞いて育ちました。 父も兄も口を揃えて、モーンデ様は穏やかで母性溢れる女神だと言ってました」
ミリムの言葉を聞き、セムネイルが唸っていると他の鬼人族達も何事かとやって来た。
そして、オルガ達に説明された鬼人達も女神モーンデを助けて欲しいと懇願する。
「ぬぅ……分かった分かった。 但し、昨日言った詫びはこれで帳消しにするぞ? それでも良いか?」
「……そ、それは」
ミリムは不安そうにオルガ達を見るが、皆笑顔で応える。
「勿論です。 お願いします!」
「「「「「「お願いします!」」」」」」
「オルガお姉様! それに……皆さんも。 あ、ありがとうございます……」
どうやら、それ程までに鬼人族にとって女神モーンデは大切な存在の様だ。
「はぁ……分かった。 離れてろ」
セムネイルは卵を地面に起き、腰に差した魔剣デザイアを引き抜いた。
「さて、オリハルコンやアダマンタイトよりも硬いヒヒイロカネを斬ってみるとするか……ふんっ!!」
全力で魔剣を振るい、クリスタルから激しい火花が散り始めた。
「うぉぉぉぉぉぉぉっ! 砕けろぉぉぉぉぉぉ!!」
そして、遂にクリスタルは砕け散り中で眠る女神モーンデが地面へと横たわる。
「モーンデ様!」
直ぐにミリム達が駆け寄り、状態を確認する。 モーンデは何も身に纏わないまま倒れ、ピクリとも動かない。
「……そんな、モーンデ様の角が折られてっ?!」
「酷い……誰がこんな事を」
「誰か! ベットのシーツを全て持ってきなさい!」
「「「「「はい!」」」」」
鬼人の娘達が慌ただしく動き始め、セムネイルは魔剣を腰に戻す。
改めて見ると、女神モーンデの身長は3メートル程と大きい。
たゆたゆと柔らかそうな乳房が揺れるが、今凝視すれば鬼人族の娘達からの信頼は地に落ちるだろう。
「よっと、ほれコレを掛けてやれ」
セムネイルは権能を使い、巨大なシーツを創り出しモーンデにかけてやる。
「セムネイル様、ありがとうございます」
「いや、構わん。 本当は服を創れたら良いんだが……すまんな。 服や鎧等は勝手が分からずに上手く創れんのだ」
「とんでもないです! でも……モーンデ様は何故目を覚まされないのでしょうか」
不安そうにミリムはモーンデの顔を覗き込み、呼吸をしている事を確認する。
「任せろ。 契約せし癒しの女神よ、神々を裏切り俺を味方した慈悲深き女神よ。 ここに横たわる者を癒せ、内なる傷を癒せ、ここにお前の奇跡を見せてやれ! 治癒女神の慈悲!」
セムネイルの背後に半透明のウルナが現れ、セムネイルは手に宿った治癒の光りでモーンデを包み込んだ。
淡い光がモーンデの全身を駆け巡り、光が穏やかに消えた直後。
モーンデの目がゆっくりと開いた。
「モーンデ様がお目覚めに!」
「「「「「「「モーンデ様!」」」」」」」
ミリム達が嬉しそうに喜びの声を上げる中、セムネイルとオルガだけは違った。
「セムネイル様……不味いですよね」
「おぉ、オルガは殺気が分かるのか。 うんうん、優秀だな……今すぐに全員を連れて離れろ」
セムネイルが身体を起こすモーンデの前に立つと、直ぐにモーンデは叫び始めた。
「うわぁぁぁぁぁぁ! よくもぉ! よくもぉぉぉぉ! エオルニア! 殺してやる! 殺してやるぅぅぅ!」
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