153 / 238
第152話 次の問題
しおりを挟む
「あー……分かった分かった、お前達用の工房を造ってやるから泣き止め。 ルグ、隣に建てて良いか?」
「ふふ、お願いしようと思ってた所ですよ~。 ありがとうございます、セムネイル様」
セムネイルはギャン泣きする石の山のドワーフ達を宥める為に、権能を使い瞬く間に工房を創り出した。
「ふわー!? 凄いのだ! 工房なのだ!」
「凄いのだー!」 「もしかして、怖い人良い人なのだ?」 「助けてくれたから良い人なのだ」 「それに、一瞬で建物を建てたのだ! 凄いのだ!」
褐色肌の緑髪の少女達は大喜びで騒ぎ出す。 泣き止んだ様で、セムネイルは一安心しため息を吐いた。
「はぁ~……いいな? 好きに使っていいが、必ずルグの話しを聞くこと。 それが守れるなら、此処にいて良いからな」
「ありがとうなのだ! セムネイル様は神様みたいに怖くて強くて凄い人間なのだ!」
「ふふ、良かったねぇ。 じゃあ、今日はもう遅いから明日また色々決めようね~」
「はいなのだ!」 「「「「「「「はーいなのだー!」」」」」」」
元気いっぱいな少女達はルグの話をきちんと聞ける様だ。 ルグの言っていた上下関係がしっかりと形成されたのだろう。
「おっと、ついでに家も建てとくか。 平屋も手狭になっただろ」
「良いんですか? 助かります~、これなら起きたら直ぐに鍛冶仕事が出来ますよ。 あ、そうでした。 お礼にコレをぜひ貰ってやって下さい」
セムネイルが工房の近くに家を幾つか建てていると、ルグが腰から一本のナイフを手渡してきた。
薄く輝く蒼色のナイフだ。 素人がひと目見ただけでも、このナイフが凄まじい代物だと見抜ける程に見事な装飾が施されている。
「おぉ、これはオリハルコンのナイフか? 素晴らしいな……」
「ふふ、喜んで頂けて何よりです。 数本打った中では一番の出来ですよ。 加工がかなり難しく、まだナイフ程の大きさにしか打てませんが何時かは見事な剣を打ちますよ~!」
「くっくっくっ、楽しみにしているぞ。 ありがとう、大事に使わせてもらう」
「はい! 一応、解体用のナイフですので魔物や動物を解体する時などにご使用下さい」
「あぁ、じゃあまたな」
セムネイルはナイフを懐にしまい込み、工房を後にした。
後ろからは、自分達の家が出来たと喜ぶドワーフ達の声が聞こえ何とか丸く収まったとセムネイルは安堵した。
「よし、次は……ベアの所か」
セムネイルは早く帰ってサシャのシチューが食べたいと腹を擦りながら養蜂場へと向かうのであった。
◆◇◆
「お疲れ、すまんベア遅くなった」
「セムネイル様ー! こんばんわだぞー!」
養蜂場に赴くと、ベア達が元気いっぱいに蜂蜜を回収していた。
「おぉ! 蜂蜜がもう採れ始めたのか?」
「そうなんだぁ~、この世界の花から採れる蜜は凄く濃くて量が多いから蜜蜂が頑張ってくれてるんだ~」
ベアは嬉しそうに笑い、熊耳をピコピコと動かす。 だが、直ぐに表情を曇らせ俯いてしまった。
「そうか、それは何よりだ。 それと、ローズから問題が起きてると聞いて来たんだが……何があった? 此処に居るのは何時もの獣人達だけだよな?」
セムネイルが問うと、ベアは苦笑いで頬を掻く。
「なはは……そうなんだ。 ん~……獣人は色んな種類がいるんだな。 だから、俺達みたいに蜂蜜を採ったりキノコを育てたりするのが好きな獣人もいるんたけど。 ノラみたいに狩りが好きな種類もいるんだな」
「ふむ……つまり、新たに増えた30人は皆狩りが好きな種類って事か?」
「その通り~! それに、ドワーフの娘達とは違って性奴隷としてかなり酷い目にあってたみたいだ。 狩りが好きな種類はプライドも高い。 だから、人間に好き勝手に犯され続けて消えない刻印をされたのが凄く苦しめてる。 つまり……生きる希望が無いんだな」
セムネイルは辛そうに話すベアの頭を優しく撫でる。
「分かった、少し話してみる。 その娘達は平屋の部屋か? 大部屋に気配が固まっているが」
「そうだぞ! 蜂蜜を採る仕事したら元気になるかもって話してみたけど……ダメだったんだ」
「了解だ。 一応確認だが、此処は人手は足りてるか? 30人が此処より離れた場所で暮らしたとしても大丈夫か?」
「なはは、セムネイル様は優しいな。 でも、大丈夫だぞ! ベア達に任せろ! だから……同胞達の事をお願いするぞ」
ベア以外の獣人達も心配しているのだろう、セムネイルに頭を下げている。
「安心しろ、俺に考えがある」
ベア達に笑いかけ、今度は平屋の方へと向かうのであった。
「ふふ、お願いしようと思ってた所ですよ~。 ありがとうございます、セムネイル様」
セムネイルはギャン泣きする石の山のドワーフ達を宥める為に、権能を使い瞬く間に工房を創り出した。
「ふわー!? 凄いのだ! 工房なのだ!」
「凄いのだー!」 「もしかして、怖い人良い人なのだ?」 「助けてくれたから良い人なのだ」 「それに、一瞬で建物を建てたのだ! 凄いのだ!」
褐色肌の緑髪の少女達は大喜びで騒ぎ出す。 泣き止んだ様で、セムネイルは一安心しため息を吐いた。
「はぁ~……いいな? 好きに使っていいが、必ずルグの話しを聞くこと。 それが守れるなら、此処にいて良いからな」
「ありがとうなのだ! セムネイル様は神様みたいに怖くて強くて凄い人間なのだ!」
「ふふ、良かったねぇ。 じゃあ、今日はもう遅いから明日また色々決めようね~」
「はいなのだ!」 「「「「「「「はーいなのだー!」」」」」」」
元気いっぱいな少女達はルグの話をきちんと聞ける様だ。 ルグの言っていた上下関係がしっかりと形成されたのだろう。
「おっと、ついでに家も建てとくか。 平屋も手狭になっただろ」
「良いんですか? 助かります~、これなら起きたら直ぐに鍛冶仕事が出来ますよ。 あ、そうでした。 お礼にコレをぜひ貰ってやって下さい」
セムネイルが工房の近くに家を幾つか建てていると、ルグが腰から一本のナイフを手渡してきた。
薄く輝く蒼色のナイフだ。 素人がひと目見ただけでも、このナイフが凄まじい代物だと見抜ける程に見事な装飾が施されている。
「おぉ、これはオリハルコンのナイフか? 素晴らしいな……」
「ふふ、喜んで頂けて何よりです。 数本打った中では一番の出来ですよ。 加工がかなり難しく、まだナイフ程の大きさにしか打てませんが何時かは見事な剣を打ちますよ~!」
「くっくっくっ、楽しみにしているぞ。 ありがとう、大事に使わせてもらう」
「はい! 一応、解体用のナイフですので魔物や動物を解体する時などにご使用下さい」
「あぁ、じゃあまたな」
セムネイルはナイフを懐にしまい込み、工房を後にした。
後ろからは、自分達の家が出来たと喜ぶドワーフ達の声が聞こえ何とか丸く収まったとセムネイルは安堵した。
「よし、次は……ベアの所か」
セムネイルは早く帰ってサシャのシチューが食べたいと腹を擦りながら養蜂場へと向かうのであった。
◆◇◆
「お疲れ、すまんベア遅くなった」
「セムネイル様ー! こんばんわだぞー!」
養蜂場に赴くと、ベア達が元気いっぱいに蜂蜜を回収していた。
「おぉ! 蜂蜜がもう採れ始めたのか?」
「そうなんだぁ~、この世界の花から採れる蜜は凄く濃くて量が多いから蜜蜂が頑張ってくれてるんだ~」
ベアは嬉しそうに笑い、熊耳をピコピコと動かす。 だが、直ぐに表情を曇らせ俯いてしまった。
「そうか、それは何よりだ。 それと、ローズから問題が起きてると聞いて来たんだが……何があった? 此処に居るのは何時もの獣人達だけだよな?」
セムネイルが問うと、ベアは苦笑いで頬を掻く。
「なはは……そうなんだ。 ん~……獣人は色んな種類がいるんだな。 だから、俺達みたいに蜂蜜を採ったりキノコを育てたりするのが好きな獣人もいるんたけど。 ノラみたいに狩りが好きな種類もいるんだな」
「ふむ……つまり、新たに増えた30人は皆狩りが好きな種類って事か?」
「その通り~! それに、ドワーフの娘達とは違って性奴隷としてかなり酷い目にあってたみたいだ。 狩りが好きな種類はプライドも高い。 だから、人間に好き勝手に犯され続けて消えない刻印をされたのが凄く苦しめてる。 つまり……生きる希望が無いんだな」
セムネイルは辛そうに話すベアの頭を優しく撫でる。
「分かった、少し話してみる。 その娘達は平屋の部屋か? 大部屋に気配が固まっているが」
「そうだぞ! 蜂蜜を採る仕事したら元気になるかもって話してみたけど……ダメだったんだ」
「了解だ。 一応確認だが、此処は人手は足りてるか? 30人が此処より離れた場所で暮らしたとしても大丈夫か?」
「なはは、セムネイル様は優しいな。 でも、大丈夫だぞ! ベア達に任せろ! だから……同胞達の事をお願いするぞ」
ベア以外の獣人達も心配しているのだろう、セムネイルに頭を下げている。
「安心しろ、俺に考えがある」
ベア達に笑いかけ、今度は平屋の方へと向かうのであった。
12
お気に入りに追加
347
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る
電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。
女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。
「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」
純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。
「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」
異世界エステ〜チートスキル『エステ』で美少女たちをマッサージしていたら、いつの間にか裏社会をも支配する異世界の帝王になっていた件〜
福寿草真@植物使いコミカライズ連載中!
ファンタジー
【Sランク冒険者を、お姫様を、オイルマッサージでトロトロにして成り上がり!?】
何の取り柄もないごく普通のアラサー、安間想介はある日唐突に異世界転移をしてしまう。
魔物や魔法が存在するありふれたファンタジー世界で想介が神様からもらったチートスキルは最強の戦闘系スキル……ではなく、『エステ』スキルという前代未聞の力で!?
これはごく普通の男がエステ店を開き、オイルマッサージで沢山の異世界女性をトロトロにしながら、瞬く間に成り上がっていく物語。
スキル『エステ』は成長すると、マッサージを行うだけで体力回復、病気の治療、バフが発生するなど様々な効果が出てくるチートスキルです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる