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第151話 鉄の山と石の山
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「すまん、ルグ待たせたな」
セムネイルはドワーフの工房へとやって来ていた。 既に外は薄暗いが工房からは鉄を打つ音が響いている。
「セムネイル様! とんでないです~。 要件は分かっておりますが、先に謝罪をさせてください」
「ん? 何の話だ」
セムネイルが疑問に思っていると、ルグに連れられ1人のドワーフがやって来た。
「この馬鹿が、侵入者をキュイジーヌさんのレストランに案内したそうなんです。 何があったかは聞きました……本当に申し訳ありませんでした」
「ごめんなさい……」
「その件ならもう片付いた。 気にしなくて良いぞ。 それより、人間に対して友好的に接してくれたのだろ? 酷い目にあったのにも関わらず、勇気を持って話し掛けてくれた事を俺は嬉しく思うぞ。 ありがとう」
叱責を覚悟していたドワーフはセムネイルの言葉を聞き、目に涙を溜めながら頷いた。
「ありがとうございます、セムネイル様。 ほら、作業に戻りな~」
「は、はい!」
「さて、ルグ。 すまんが時間も遅い、何があった? 新しく来たドワーフ達の事だよな?」
2人になったセムネイルは早速本題を切り出す。
「そうなんですよ。 酷い目にあっている同胞が助けられたのは嬉しい事何ですが、石の山のドワーフ達だったので……とある事情から私達鉄の山のドワーフとは仲が悪いのです」
「……すまん、違いが分からんのだが同じドワーフ何だろ?」
「そうなのですが、山が違えば鍛冶のやり方も考え方も変わります。 まぁ、上下関係をはっきりさせれば良いのですが……私達は5人で向こうは15人ですから」
「ルグ達の話を聞かないって事か……」
工房でルグの相談を受けていると、外が騒がしくなる。
「鉄の山のドワーフ達は出て行くのだ! こんな良い工房、お前達には勿体ないのだ!」
「「「「「そうだそうだ! 私達の工房にするのだー!」」」」」
「はぁ~……すみませんセムネイル様」
「構わん。 ルグ、少し手荒になるが良いか?」
「……お願いします。 でも、彼女達も色々あったと思うので傷付けないで上げてくださいねぇ」
「ふっ、ルグは優しいな。 安心しろ、少し脅かすだけだ」
セムネイルはルグを連れて外へと出る。 其処にはルグと同じ程の背丈のドワーフ達が集まり、ルグの仲間達に詰め寄っていた。
「私達が助けられたのも、こんな夢のような鉱山も、素敵な工房も全てはドワーフの女神メルフィン様のお導きなのだ!」
「「「「「そうだそうだ! 我等の女神のご加護なのだ!」」」」」
好き勝手に騒ぐ石の山のドワーフ達を見て、セムネイルは眉をひそめる。 先頭で騒いでいるドワーフは高級奴隷店でアドナ達を殺した後にセムネイルが助けた者達だった。
「おい、お前……確か最後に助けた奴隷達の中に居たよな?」
「はぁ? 誰が工房に……あ、あの時の怖い人間なのだ」
先頭のドワーフはセムネイルを見るやいなや、身体をガタガタと震わせ始める。
「他のドワーフ達もそうだよな? 一度だけ確認してやる。 ルグ達の下で仕事をし、生活するか。 もしくは今すぐにこの4次元から出て行け」
セムネイルの額から角が生え、手加減した殺気が漏れ出す。
「あ、あの、その、でもなのだ」
「お前達に起きていた事には同情する。 それに、ルグが虐げられていたドワーフ達がいたら助けてくれと言ったから助けたんだ。 なのに、数に任せて出ていけだ? ふざけるのも大概にしろよ?」
石の山のドワーフ達は、奴隷市場の惨劇を目の当たりにしている。 自分達を奴隷にし、好き勝手に武器や調度品を作らせていた人間達が死んでいるのを見た時には溜飲も下がった。
しかし、それ以上に地獄の様な惨劇を起こした人物に恐怖し絶対に逆らわないと誓っていたのに鉱石の山を見て目が眩んだのだ。
石の山のドワーフ達はみるみる内に涙を溜め一斉に泣き出した。
「ご……ごめんなさいなのだー! もう言わないから許して欲しいのだー!」
「「「「「「ごめんなさいー!」」」」」」
自分達が誰を怒らしたのか理解した石の山のドワーフ達は泣きながら謝り始めた。 15人のドワーフ達が一斉に泣いているのは非常に世間体が宜しくない光景である。
「ふぅ……ルグ、これでいいか?」
「あはは……ありがとうございますセムネイル様。 彼女達はドワーフで言う所の……その……まだ少女なので~、間違ったら私達大人がしっかり導いて上げないといけないですねぇ」
「……まだ子供って事か?」
「すみません……説明しておくべきでしたね~」
見た目では年齢の区別が全くつかないドワーフの少女達に、怒りすぎたとセムネイルは天を仰ぐのであった。
セムネイルはドワーフの工房へとやって来ていた。 既に外は薄暗いが工房からは鉄を打つ音が響いている。
「セムネイル様! とんでないです~。 要件は分かっておりますが、先に謝罪をさせてください」
「ん? 何の話だ」
セムネイルが疑問に思っていると、ルグに連れられ1人のドワーフがやって来た。
「この馬鹿が、侵入者をキュイジーヌさんのレストランに案内したそうなんです。 何があったかは聞きました……本当に申し訳ありませんでした」
「ごめんなさい……」
「その件ならもう片付いた。 気にしなくて良いぞ。 それより、人間に対して友好的に接してくれたのだろ? 酷い目にあったのにも関わらず、勇気を持って話し掛けてくれた事を俺は嬉しく思うぞ。 ありがとう」
叱責を覚悟していたドワーフはセムネイルの言葉を聞き、目に涙を溜めながら頷いた。
「ありがとうございます、セムネイル様。 ほら、作業に戻りな~」
「は、はい!」
「さて、ルグ。 すまんが時間も遅い、何があった? 新しく来たドワーフ達の事だよな?」
2人になったセムネイルは早速本題を切り出す。
「そうなんですよ。 酷い目にあっている同胞が助けられたのは嬉しい事何ですが、石の山のドワーフ達だったので……とある事情から私達鉄の山のドワーフとは仲が悪いのです」
「……すまん、違いが分からんのだが同じドワーフ何だろ?」
「そうなのですが、山が違えば鍛冶のやり方も考え方も変わります。 まぁ、上下関係をはっきりさせれば良いのですが……私達は5人で向こうは15人ですから」
「ルグ達の話を聞かないって事か……」
工房でルグの相談を受けていると、外が騒がしくなる。
「鉄の山のドワーフ達は出て行くのだ! こんな良い工房、お前達には勿体ないのだ!」
「「「「「そうだそうだ! 私達の工房にするのだー!」」」」」
「はぁ~……すみませんセムネイル様」
「構わん。 ルグ、少し手荒になるが良いか?」
「……お願いします。 でも、彼女達も色々あったと思うので傷付けないで上げてくださいねぇ」
「ふっ、ルグは優しいな。 安心しろ、少し脅かすだけだ」
セムネイルはルグを連れて外へと出る。 其処にはルグと同じ程の背丈のドワーフ達が集まり、ルグの仲間達に詰め寄っていた。
「私達が助けられたのも、こんな夢のような鉱山も、素敵な工房も全てはドワーフの女神メルフィン様のお導きなのだ!」
「「「「「そうだそうだ! 我等の女神のご加護なのだ!」」」」」
好き勝手に騒ぐ石の山のドワーフ達を見て、セムネイルは眉をひそめる。 先頭で騒いでいるドワーフは高級奴隷店でアドナ達を殺した後にセムネイルが助けた者達だった。
「おい、お前……確か最後に助けた奴隷達の中に居たよな?」
「はぁ? 誰が工房に……あ、あの時の怖い人間なのだ」
先頭のドワーフはセムネイルを見るやいなや、身体をガタガタと震わせ始める。
「他のドワーフ達もそうだよな? 一度だけ確認してやる。 ルグ達の下で仕事をし、生活するか。 もしくは今すぐにこの4次元から出て行け」
セムネイルの額から角が生え、手加減した殺気が漏れ出す。
「あ、あの、その、でもなのだ」
「お前達に起きていた事には同情する。 それに、ルグが虐げられていたドワーフ達がいたら助けてくれと言ったから助けたんだ。 なのに、数に任せて出ていけだ? ふざけるのも大概にしろよ?」
石の山のドワーフ達は、奴隷市場の惨劇を目の当たりにしている。 自分達を奴隷にし、好き勝手に武器や調度品を作らせていた人間達が死んでいるのを見た時には溜飲も下がった。
しかし、それ以上に地獄の様な惨劇を起こした人物に恐怖し絶対に逆らわないと誓っていたのに鉱石の山を見て目が眩んだのだ。
石の山のドワーフ達はみるみる内に涙を溜め一斉に泣き出した。
「ご……ごめんなさいなのだー! もう言わないから許して欲しいのだー!」
「「「「「「ごめんなさいー!」」」」」」
自分達が誰を怒らしたのか理解した石の山のドワーフ達は泣きながら謝り始めた。 15人のドワーフ達が一斉に泣いているのは非常に世間体が宜しくない光景である。
「ふぅ……ルグ、これでいいか?」
「あはは……ありがとうございますセムネイル様。 彼女達はドワーフで言う所の……その……まだ少女なので~、間違ったら私達大人がしっかり導いて上げないといけないですねぇ」
「……まだ子供って事か?」
「すみません……説明しておくべきでしたね~」
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