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第148話 魔王の怒り
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「おい……ソクドの妹だろうと知るか。 さっさとオルガを放せ。 さもないと、生まれてきた事を後悔させてやる!」
セムネイルは角から稲妻を走らせながら、腰の魔剣ディザイアを抜く。 後ろのグラ達には手で動かない様に指示し、ゆっくりと歩きだした。
「ひっ……兄上、早く助けて! 援護してよ!」
妹のハヤと遂に再開出来たソクドだが、今は喜んでいる場合ではない。
「ちょっ、ちょっと待ってくれセムネイルさん。 俺が説得するから、頼む! この通り!」
ハヤはセムネイルとの圧倒的な戦闘力の差に気付けていないのか、間に入り頭を下げる兄ソクドを信じられない目で見ていた。
「ほぉ……ならば、早く説得しろ。 今すぐに」
セムネイルは首から血を流すオルガを見て、更に怒りを強める。
「何やってるの兄上?! こいつら全員逃亡奴隷何だよ? ギルドに引き渡せば、キンのせいで作らされた借金も返せるんだよ!?」
「黙れハヤ! この馬鹿野郎が! 相手との力量差も分からねぇのか!!」
兄妹が言い合っている間にも、セムネイルは魔剣を手にハヤへと近付く。
「おいソクド、これ以上は待てんぞ。 オルガ、他の皆も大丈夫か?」
オーガの洞窟に緊張が走る。 セムネイルは早くしないとソクド事、ハヤを魔剣ディザイアで斬り捨てるだろう。
「セムネイル様……! は、はい、平気です!」
「「「「「きゃー! セムネイル様に助けられちゃうー!」」」」」
しかし、鬼人達の黄色い悲鳴にそんな緊張は霧散し、それを見ていたグラ達は苦笑いである。
「ちょっ?! 状況分かってます?! ほら! それ以上動いたら、この鬼人を殺し――――きゃぁっ!」
その隙をつき、ソクドがハヤの後ろに回り込みオルガを救い出した。
「頼むハヤ! 死にたくないなら大人しくしてくれ!」
「そんな、兄上?! どうして……!」
ソクドがハヤを取り押さえ、そしてセムネイルは激怒したままハヤの下へと向かう。
「セムネイル様! ありがとうございます、私達は無事ですから」
「「「「「「ありがとうございますセムネイル様!」」」」」」
しかし、其処へ解放された鬼人達に囲まれ抱きつかれたセムネイルは怒りを霧散させる。 1番は人質にされていたオルガ達の安全だからだ。
「皆、無事で良かった。 本当にすまない、今回の事は俺のミスだ。 先にオルガを治療しよう。 癒し手の想いを救い給え貴女の下僕を救い給えハイヒール」
オルガの首筋に出来た切り傷は消え去り、鬼人の娘達はセムネイルの下へと飛び付いた。
「とんでも無いです。 でも……私達の為に怒って下さり、とても嬉しかったです」
「そうですそうです」 「はい、嬉しかったです」 「信じてましたセムネイル様」
セムネイルは鬼人の娘達に抱きつかれ、怒りのままハヤを殺す訳にも行かなくなった。 一度深呼吸をし、セムネイルはハヤを睨みながら鬼人の娘達に問う。
「ふぅ……皆、アイツをどうして欲しい。 怖い目に合わせたアイツを殺してほしいなら殺してやるぞ」
再度、高濃度の殺気がハヤを包み込み、今度こそハヤは何を敵に回したのかを理解した。
「ひっ……まさか、本当に……魔王?」
「動くなハヤ、命が惜しいなら動くな……」
セムネイルの言葉に怯えるハヤを兄のソクドは必死に止める。 もし、下手に動いたり逃げれば次は問答無用で殺される事がソクドには分かっているからだ。
「えっと……そもそも私が直ぐに追い出さなかったのが悪いのですし。 それに……その、セムネイル様に抱きつけてとても幸せです」
顔を真っ赤に染めたオルガはセムネイルの腕に抱きつき、幸せそうに微笑む。
他の娘達も同じように頬を染めながら抱きついたまま離れなかった。 どうやら、彼女達にとって人質にされた事よりも念願のセムネイルに抱きつけた事が嬉しくてもうどうでも良いようだ。
「ふははは! 分かった分かった、オルガ達が良いのならもう忘れよう。 別でまた何か皆に詫びをさせてくれ、何でも良いから考えておいてくれ」
オルガ達から黄色い悲鳴が再度上がり、グラ達は彼女達が何を望むか手に取るように分かった。
「あはは……モテモテだねぇセムネイルは」
「ふふ、当然ですわ。 貴方様より良い異性等、この世にはおりませんから」
「少し嫉妬しちゃいますけど……怖い目にあったんですもんね」
「んー? また、セムネイルの雌が増えるのか?」
妻達の話しが聞こえ、苦笑いのセムネイルは角を消し、殺気も霧散させた。 重い殺気からようやく逃れられたソクドは何とか生き延びられたと安堵する。
「ハヤ……お前って奴は。 あ~……本当に死ぬかと思った」
「ごめんなさい兄上……何とか借金を返さなきゃって思って……」
2人の目の前にセムネイルが座る。
「はぁ……ソクド、それとハヤとやら。 4次元には2度と踏み入れさせれないが、事情は聞いてやる。 ……話せ」
セムネイルは角から稲妻を走らせながら、腰の魔剣ディザイアを抜く。 後ろのグラ達には手で動かない様に指示し、ゆっくりと歩きだした。
「ひっ……兄上、早く助けて! 援護してよ!」
妹のハヤと遂に再開出来たソクドだが、今は喜んでいる場合ではない。
「ちょっ、ちょっと待ってくれセムネイルさん。 俺が説得するから、頼む! この通り!」
ハヤはセムネイルとの圧倒的な戦闘力の差に気付けていないのか、間に入り頭を下げる兄ソクドを信じられない目で見ていた。
「ほぉ……ならば、早く説得しろ。 今すぐに」
セムネイルは首から血を流すオルガを見て、更に怒りを強める。
「何やってるの兄上?! こいつら全員逃亡奴隷何だよ? ギルドに引き渡せば、キンのせいで作らされた借金も返せるんだよ!?」
「黙れハヤ! この馬鹿野郎が! 相手との力量差も分からねぇのか!!」
兄妹が言い合っている間にも、セムネイルは魔剣を手にハヤへと近付く。
「おいソクド、これ以上は待てんぞ。 オルガ、他の皆も大丈夫か?」
オーガの洞窟に緊張が走る。 セムネイルは早くしないとソクド事、ハヤを魔剣ディザイアで斬り捨てるだろう。
「セムネイル様……! は、はい、平気です!」
「「「「「きゃー! セムネイル様に助けられちゃうー!」」」」」
しかし、鬼人達の黄色い悲鳴にそんな緊張は霧散し、それを見ていたグラ達は苦笑いである。
「ちょっ?! 状況分かってます?! ほら! それ以上動いたら、この鬼人を殺し――――きゃぁっ!」
その隙をつき、ソクドがハヤの後ろに回り込みオルガを救い出した。
「頼むハヤ! 死にたくないなら大人しくしてくれ!」
「そんな、兄上?! どうして……!」
ソクドがハヤを取り押さえ、そしてセムネイルは激怒したままハヤの下へと向かう。
「セムネイル様! ありがとうございます、私達は無事ですから」
「「「「「「ありがとうございますセムネイル様!」」」」」」
しかし、其処へ解放された鬼人達に囲まれ抱きつかれたセムネイルは怒りを霧散させる。 1番は人質にされていたオルガ達の安全だからだ。
「皆、無事で良かった。 本当にすまない、今回の事は俺のミスだ。 先にオルガを治療しよう。 癒し手の想いを救い給え貴女の下僕を救い給えハイヒール」
オルガの首筋に出来た切り傷は消え去り、鬼人の娘達はセムネイルの下へと飛び付いた。
「とんでも無いです。 でも……私達の為に怒って下さり、とても嬉しかったです」
「そうですそうです」 「はい、嬉しかったです」 「信じてましたセムネイル様」
セムネイルは鬼人の娘達に抱きつかれ、怒りのままハヤを殺す訳にも行かなくなった。 一度深呼吸をし、セムネイルはハヤを睨みながら鬼人の娘達に問う。
「ふぅ……皆、アイツをどうして欲しい。 怖い目に合わせたアイツを殺してほしいなら殺してやるぞ」
再度、高濃度の殺気がハヤを包み込み、今度こそハヤは何を敵に回したのかを理解した。
「ひっ……まさか、本当に……魔王?」
「動くなハヤ、命が惜しいなら動くな……」
セムネイルの言葉に怯えるハヤを兄のソクドは必死に止める。 もし、下手に動いたり逃げれば次は問答無用で殺される事がソクドには分かっているからだ。
「えっと……そもそも私が直ぐに追い出さなかったのが悪いのですし。 それに……その、セムネイル様に抱きつけてとても幸せです」
顔を真っ赤に染めたオルガはセムネイルの腕に抱きつき、幸せそうに微笑む。
他の娘達も同じように頬を染めながら抱きついたまま離れなかった。 どうやら、彼女達にとって人質にされた事よりも念願のセムネイルに抱きつけた事が嬉しくてもうどうでも良いようだ。
「ふははは! 分かった分かった、オルガ達が良いのならもう忘れよう。 別でまた何か皆に詫びをさせてくれ、何でも良いから考えておいてくれ」
オルガ達から黄色い悲鳴が再度上がり、グラ達は彼女達が何を望むか手に取るように分かった。
「あはは……モテモテだねぇセムネイルは」
「ふふ、当然ですわ。 貴方様より良い異性等、この世にはおりませんから」
「少し嫉妬しちゃいますけど……怖い目にあったんですもんね」
「んー? また、セムネイルの雌が増えるのか?」
妻達の話しが聞こえ、苦笑いのセムネイルは角を消し、殺気も霧散させた。 重い殺気からようやく逃れられたソクドは何とか生き延びられたと安堵する。
「ハヤ……お前って奴は。 あ~……本当に死ぬかと思った」
「ごめんなさい兄上……何とか借金を返さなきゃって思って……」
2人の目の前にセムネイルが座る。
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