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第146話 人質
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「着いたぞ、ソクド。 この洞窟の奥に、お前の仲間の遺体がある」
「すまねぇな……」
セムネイル達は知り合いとなったAランク冒険者パーティー瞬足の前足のリーダーであるソクドを連れて、オーガの洞窟前まで帰って来ていた。
「あれ? そういえばセムネイル、扉って此処に出したまんまだったよね? 何で?」
グラに問われ、セムネイルは頭を掻きながら答える。
「ミンガムで冒険者をしていたジェイソン達の知り合いだったら弔ってやらないといけないと思ってな。 本当なら、ギルドに報告し終えたらジェイソンに確認してもらうつもりだったんだ」
気遣いを知られ、恥ずかしがるセムネイルの肩を小突きながらグラはニヤニヤと笑う。
「へー……優しい所あるじゃん」
「ふふ、貴方様らしいですわ」
「流石セムネイル様です!」
「セムネイルー! 早く帰ろー! 俺腹減ったぞー!」
ノラに急かされ、セムネイル達は洞窟へと入って行った。
「……今、ジェイソンって言ったか? いや、気のせいだな……そんな筈はねぇ」
そして、その後ろを首を傾げるジェイソンが付いて行く。
◆◇◆
「これはどういう事だ?」
セムネイル達は奥の食料庫へと来たが、其処にはミンチにされた遺体のみで四肢が無事な女の遺体は消えていたのだ。
「な、なぁ! あの扉って何なんだ……? ぐっ! ……お前達、こんな姿になっちまって」
後ろから追い付いたソクドは涙を流し、安置されているミンチにされた遺体に触れた。 あまりの凄惨な姿にソクドは地面に拳を叩き付ける。
「あれ……? セ、セムネイルさんよ……ハヤの、俺の妹の遺体もある筈何だか……」
しかし、遺体が足らずにセムネイルへと問いかけた。
「すまん、此処を出る前には確かに有ったんだ。 その時に、渡したタグを回収したしな。 まさか……生きていたのか? 気配察知には反応無かったぞ?」
セムネイルの疑問にグラとセリスも首を傾げる。
「うん、確かに死んでた筈だよ?」
「はい、私の気配察知にも反応は有りませんでしたわ」
すると、ソクドが突然立ち上がった。
「そうだ! 前にハヤは仮死薬を買ってた! もしかしたら、苦しまないようにそれを飲んでたのかもしれねぇ! 生きてて、此処から逃げたなら探さないと!」
慌てて走り出そうとするソクドを、セムネイルは制止する。
「待てソクド! もし、そのハヤとやらが生き返ったなら道中に俺達の気配察知に引っかかってる筈だ」
「でもよ! でも、死体が無いなら生きてるかもしれねぇじゃねぇか!」
「だから落ち着け! もしそうなら、行った先に心当たりがあるんだ」
ようやくソクドは落ち着き、セムネイルの言葉に耳を傾けた。
「はぁ~……まぁ、気配察知に反応が無いからと出したままにしていた俺が悪いんだから仕方ないか。 来い」
セムネイル達はソクドを連れて扉の前へとやって来た。
そして、扉を開けようとセムネイルが触れようとした瞬間。 突如として扉が開き、オルガ達が出て来る。
それも、ブルムフの街で助けた鬼人族の娘達だ。
「……あぁ?」
セムネイルが青筋を立てて怒る視線の先には、オルガの首元にナイフを当てながら4次元から後退りする死んだと思っていたハヤの姿があった。
「ハヤ!? お前、何やってんだよ!」
ハヤに気付いたソクドの大声で、ハヤは扉の先を警戒しながら兄の声に反応する。
「兄上!? 何故此処に?! でも、丁度いいです援護してください! 依頼にあった逃亡奴隷達を見つけました、この扉の先は良く分かりませんが意味不明な妄想を垂れ流す者達で溢れてます! 早く離れ……ま……しょ」
ハヤは振り返り兄に気付いて喜んだが、直ぐに怒れる魔王の存在に気付きガタガタと手を震わせた。
「す、すみません……セムネイル様。 あぐっ!」
そして、ハヤの持つナイフが誤ってオルガの首を薄く切り裂いてしまう。
血がオルガの首筋を伝い、セリス達から小さな悲鳴が聞こえる。
その瞬間、額からは角が生え、セムネイルから凄まじい殺気が漏れ出た。
「すまねぇな……」
セムネイル達は知り合いとなったAランク冒険者パーティー瞬足の前足のリーダーであるソクドを連れて、オーガの洞窟前まで帰って来ていた。
「あれ? そういえばセムネイル、扉って此処に出したまんまだったよね? 何で?」
グラに問われ、セムネイルは頭を掻きながら答える。
「ミンガムで冒険者をしていたジェイソン達の知り合いだったら弔ってやらないといけないと思ってな。 本当なら、ギルドに報告し終えたらジェイソンに確認してもらうつもりだったんだ」
気遣いを知られ、恥ずかしがるセムネイルの肩を小突きながらグラはニヤニヤと笑う。
「へー……優しい所あるじゃん」
「ふふ、貴方様らしいですわ」
「流石セムネイル様です!」
「セムネイルー! 早く帰ろー! 俺腹減ったぞー!」
ノラに急かされ、セムネイル達は洞窟へと入って行った。
「……今、ジェイソンって言ったか? いや、気のせいだな……そんな筈はねぇ」
そして、その後ろを首を傾げるジェイソンが付いて行く。
◆◇◆
「これはどういう事だ?」
セムネイル達は奥の食料庫へと来たが、其処にはミンチにされた遺体のみで四肢が無事な女の遺体は消えていたのだ。
「な、なぁ! あの扉って何なんだ……? ぐっ! ……お前達、こんな姿になっちまって」
後ろから追い付いたソクドは涙を流し、安置されているミンチにされた遺体に触れた。 あまりの凄惨な姿にソクドは地面に拳を叩き付ける。
「あれ……? セ、セムネイルさんよ……ハヤの、俺の妹の遺体もある筈何だか……」
しかし、遺体が足らずにセムネイルへと問いかけた。
「すまん、此処を出る前には確かに有ったんだ。 その時に、渡したタグを回収したしな。 まさか……生きていたのか? 気配察知には反応無かったぞ?」
セムネイルの疑問にグラとセリスも首を傾げる。
「うん、確かに死んでた筈だよ?」
「はい、私の気配察知にも反応は有りませんでしたわ」
すると、ソクドが突然立ち上がった。
「そうだ! 前にハヤは仮死薬を買ってた! もしかしたら、苦しまないようにそれを飲んでたのかもしれねぇ! 生きてて、此処から逃げたなら探さないと!」
慌てて走り出そうとするソクドを、セムネイルは制止する。
「待てソクド! もし、そのハヤとやらが生き返ったなら道中に俺達の気配察知に引っかかってる筈だ」
「でもよ! でも、死体が無いなら生きてるかもしれねぇじゃねぇか!」
「だから落ち着け! もしそうなら、行った先に心当たりがあるんだ」
ようやくソクドは落ち着き、セムネイルの言葉に耳を傾けた。
「はぁ~……まぁ、気配察知に反応が無いからと出したままにしていた俺が悪いんだから仕方ないか。 来い」
セムネイル達はソクドを連れて扉の前へとやって来た。
そして、扉を開けようとセムネイルが触れようとした瞬間。 突如として扉が開き、オルガ達が出て来る。
それも、ブルムフの街で助けた鬼人族の娘達だ。
「……あぁ?」
セムネイルが青筋を立てて怒る視線の先には、オルガの首元にナイフを当てながら4次元から後退りする死んだと思っていたハヤの姿があった。
「ハヤ!? お前、何やってんだよ!」
ハヤに気付いたソクドの大声で、ハヤは扉の先を警戒しながら兄の声に反応する。
「兄上!? 何故此処に?! でも、丁度いいです援護してください! 依頼にあった逃亡奴隷達を見つけました、この扉の先は良く分かりませんが意味不明な妄想を垂れ流す者達で溢れてます! 早く離れ……ま……しょ」
ハヤは振り返り兄に気付いて喜んだが、直ぐに怒れる魔王の存在に気付きガタガタと手を震わせた。
「す、すみません……セムネイル様。 あぐっ!」
そして、ハヤの持つナイフが誤ってオルガの首を薄く切り裂いてしまう。
血がオルガの首筋を伝い、セリス達から小さな悲鳴が聞こえる。
その瞬間、額からは角が生え、セムネイルから凄まじい殺気が漏れ出た。
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