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第139話 依頼完了
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「お頭、敵襲だ!」
洞窟の奥にある部屋で休んでいた山賊の頭は部下の大声で飛び起きた。
「はぁ!? 糞が、冒険者か? まさか、オーガに見つかったのか?!」
「い、いえ! そんなのよりヤバいっす!」
焦る部下の後ろからは仲間たちの悲鳴が聞こえる。
「な、何だよ! 何が襲ってきてんだよ!」
山賊の頭は斧を片手に向かうが、洞窟の入口から向かって来る者達には心許無い得物だと直ぐに悟った。
「ふはははははは! グラ、俺の方が1人多いぞー?」
「あはははははは! ノラちゃん、数え間違いしてない? 私の方が多い筈だよー?」
大きな両手斧を振り回し次々に仲間を一刀両断する獣人の少女と、黒髪の美しい少女が二本の大剣を凄まじい速度で振り抜き仲間の首を次から次へと落としていた。
30人の大山賊団として、これから周囲を荒らし回り女を攫い好き勝手に生きようと夢見ていた頭は持っていた斧を地面に落とした。
既に仲間は隣の男でのみで、他は全員殺された様だ。
「はは……何だよアレは」
絞り出した頭の言葉に、先程報告に来た部下は答えない。
不審に思い、隣を見ると額から矢を生やし壁に縫い付けられていた。
「ひ、ひぃぃぃ! ちくしょう! 死んで堪るかぁぁぁ!」
頭は部屋の扉を閉め、配下にも秘密にしていた隠し通路を目指す。
しかし、全ては遅かった。
◆◇◆
「邪魔するぞー」
セムネイルが最後の扉を蹴破ると、洞穴が空いており山賊の頭は逃げ出した様だ。
「セリス、引き摺り出せ」
「ふふ、畏まりました貴方様。 吸え小石、吸い込め大岩、全てを呑み込む闇の穴、重力魔法 ブラックホール」
セリスが洞穴に杖をかざし、魔法を唱えると小さな黒い穴が現れ洞穴の中を凄まじい勢いで吸い込み始めた。
「わぁ~! セリスちゃん、重力魔法使えるの?! 凄いじゃん」
「くっくっくっ、サリアがよく掃除に使ってたな」
セムネイルはリンとノラが近付かない様に手で抑えて待っていると、直ぐに洞穴の奥から男が転げ出てきた。
「セリス、止めていいぞ」
「はい!」
ブラックホールは搔き消え、男は何が起きたのか分からずに呆然としていた。
「……はぁ? な、なな何が起き……ぎゃぁぁぁぁ?!」
そして、セムネイルは予定通り山賊の頭を4次元の牢獄へと続く穴へと落とす。
「よし、帰るぞ~」
「はい! 早く終わりましたね!」
「ふふ、リンは弓がどんどん上達しますわね貴方様」
「あぁ、そうだな。 それに、セリスもだ。 2人共偉いな」
セムネイルに撫でられ、リンとセリスは嬉しそうに目を細める。
「グラ! 勝ったのはどっちだ? 俺か? 俺なのか?」
「あはは……うん、ノラちゃんの勝ちだよ」
グラは頭を撫でられ嬉しそうなリンとセリスを見つめながら、ノラに勝ちを譲る。
「いやったー! セムネイル! 俺勝ったぞ、グラに勝ったぞー!」
ノラはセムネイルの背中に抱きつき、そのままよじ登り肩車をしてもらいとても嬉しそうだ。
「ふはははは! そうか、ノラも凄いな。 ん? グラ、どうした帰ろう」
「え? いや、ふふ……何でもないよ。 セムネイルは良い父親にもなれそうだなって……思ってさ」
何故か少し寂しげで、苦笑いのグラをセムネイルは手招きし5人は仲良く全滅した山賊の隠れ家を後にした。
「……グラさん」
セリスだけは、少し前からグラの様子がおかしい事に気付いており一度腹を割って話すべきだと心に決めるのであった。
洞窟の奥にある部屋で休んでいた山賊の頭は部下の大声で飛び起きた。
「はぁ!? 糞が、冒険者か? まさか、オーガに見つかったのか?!」
「い、いえ! そんなのよりヤバいっす!」
焦る部下の後ろからは仲間たちの悲鳴が聞こえる。
「な、何だよ! 何が襲ってきてんだよ!」
山賊の頭は斧を片手に向かうが、洞窟の入口から向かって来る者達には心許無い得物だと直ぐに悟った。
「ふはははははは! グラ、俺の方が1人多いぞー?」
「あはははははは! ノラちゃん、数え間違いしてない? 私の方が多い筈だよー?」
大きな両手斧を振り回し次々に仲間を一刀両断する獣人の少女と、黒髪の美しい少女が二本の大剣を凄まじい速度で振り抜き仲間の首を次から次へと落としていた。
30人の大山賊団として、これから周囲を荒らし回り女を攫い好き勝手に生きようと夢見ていた頭は持っていた斧を地面に落とした。
既に仲間は隣の男でのみで、他は全員殺された様だ。
「はは……何だよアレは」
絞り出した頭の言葉に、先程報告に来た部下は答えない。
不審に思い、隣を見ると額から矢を生やし壁に縫い付けられていた。
「ひ、ひぃぃぃ! ちくしょう! 死んで堪るかぁぁぁ!」
頭は部屋の扉を閉め、配下にも秘密にしていた隠し通路を目指す。
しかし、全ては遅かった。
◆◇◆
「邪魔するぞー」
セムネイルが最後の扉を蹴破ると、洞穴が空いており山賊の頭は逃げ出した様だ。
「セリス、引き摺り出せ」
「ふふ、畏まりました貴方様。 吸え小石、吸い込め大岩、全てを呑み込む闇の穴、重力魔法 ブラックホール」
セリスが洞穴に杖をかざし、魔法を唱えると小さな黒い穴が現れ洞穴の中を凄まじい勢いで吸い込み始めた。
「わぁ~! セリスちゃん、重力魔法使えるの?! 凄いじゃん」
「くっくっくっ、サリアがよく掃除に使ってたな」
セムネイルはリンとノラが近付かない様に手で抑えて待っていると、直ぐに洞穴の奥から男が転げ出てきた。
「セリス、止めていいぞ」
「はい!」
ブラックホールは搔き消え、男は何が起きたのか分からずに呆然としていた。
「……はぁ? な、なな何が起き……ぎゃぁぁぁぁ?!」
そして、セムネイルは予定通り山賊の頭を4次元の牢獄へと続く穴へと落とす。
「よし、帰るぞ~」
「はい! 早く終わりましたね!」
「ふふ、リンは弓がどんどん上達しますわね貴方様」
「あぁ、そうだな。 それに、セリスもだ。 2人共偉いな」
セムネイルに撫でられ、リンとセリスは嬉しそうに目を細める。
「グラ! 勝ったのはどっちだ? 俺か? 俺なのか?」
「あはは……うん、ノラちゃんの勝ちだよ」
グラは頭を撫でられ嬉しそうなリンとセリスを見つめながら、ノラに勝ちを譲る。
「いやったー! セムネイル! 俺勝ったぞ、グラに勝ったぞー!」
ノラはセムネイルの背中に抱きつき、そのままよじ登り肩車をしてもらいとても嬉しそうだ。
「ふはははは! そうか、ノラも凄いな。 ん? グラ、どうした帰ろう」
「え? いや、ふふ……何でもないよ。 セムネイルは良い父親にもなれそうだなって……思ってさ」
何故か少し寂しげで、苦笑いのグラをセムネイルは手招きし5人は仲良く全滅した山賊の隠れ家を後にした。
「……グラさん」
セリスだけは、少し前からグラの様子がおかしい事に気付いており一度腹を割って話すべきだと心に決めるのであった。
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