139 / 238
第138話 山賊狩り
しおりを挟む
セムネイルは洞窟を出る際に落ちていたオーガの大きな鉈を4次元に回収し、セリス達に合流した。
「すまん、待たせたな。 じゃあ、セリスやってみろ」
「はい! えっと……こっちの方角ですね。 数は30、気配の大きさから成人男性。 囚われている人の気配も無し……です!」
セリスは気配察知に集中し、セムネイルへと報告する。
「くっくっくっ、大したもんだなセリス。 既にここまで使いこなせるとは……上出来だ」
セリスはセムネイルに撫でられ、嬉しそうに目を細める。
「うんうん、流石だねぇセリスちゃん。 セムネイルの言う通り、魔法のセンスは重力の魔女より有るんじゃないの?」
「あぁ、グラの言う通りだ。 くっくっ……きっと、師匠としてサリアも鼻が高いだろうな」
「そ、そんな師匠だなんて……でも、嬉しいです貴方様♡」
セムネイル達はセリスの案内で山賊の隠れ家へと向かった。
◆◇◆
「着いたな。 さて……どうする? リン」
雑に木材で囲まれた山賊の隠れ家に到着し、少し離れた所からセムネイル達は監視していた。 奥は洞窟になっており、大半の山賊は中に居る様だ。
高台には弓を持つ数名の見張りが立っており、策もなく近付けば直ぐに見つかるだろう。
「えっと……先ずは見張りを私の矢で倒します。 そして、セリスさんの魔法で纏めて倒す準備をしている間はノラさんとグラさんが近付く敵を倒す。 というのはどうでしょうか?」
「くっくっくっ、良く見てるな。 グラ、ノラはどう思う?」
「うん? まぁ、敵しか居ないならリンちゃんの作戦で良いと思うよ?」
「おー! 流石だなリン! セリスは俺が守るから任せろ!」
「よし、セリス派手に殺ってやれ。 万が一を兼ねて、俺がセリスの隣に居よう。 行くぞ」
作戦が決まり、セムネイル達は動き出した。
◆◇◆
「ちっ! 見張りなんざやってられるか!」
「まぁそうだよな。 オーガが出たんだろ? こんな森に入る馬鹿が居ると思うか?」
「いや、それよりオーガに見つかるほうが不味くねぇか?」
山賊の見張り達はやる気なさげに周囲を警戒していた。
「はぁ……襲った村は爺と婆しか居ねえし。 大人しく金目の物を渡してきたのは楽で良かったけどな」
「仕方ねぇよ。 ふわぁ~……そろそろ交代だな。 おい、下の奴を呼んで来て……は?」
見張りの1人が、相方の肩を掴み振り向かせると額には薄く光る矢が突き刺さっていた。
「な……な!? て、敵しゅっ?!」
気付いた見張りが仲間に危険を知らせようとしたが、その見張りも直ぐに額から矢を生やす事となった。
◆◇◆
「セムネイル様、見張りを全員倒しました。 ですが……誰も気付いて無いようです」
リンは木の上からセムネイルに報告し、期待外れの敵の様子にセムネイルはため息を吐く。
「おいおい、山賊も落ちぶれたのか? 昔なら、直ぐに反撃するか引き籠もって防衛するか動くだろうに……」
「いや、セムネイル……それって魔神や女神達との戦いが嫌で逃げ出した元英雄達の話よね? あれ、普通の人間だから。 多分、セムネイルが倒したオーガに見つかったら直ぐに全滅してた筈よ?」
呆れたグラの説明にセムネイルはこめかみを抑える。
「はぁ……セリス、リン、ノラ。 すまん、俺が敵の実力を勘違いしていた。 雑魚ばかりだ、蹂躙しに正面から行こう」
「ふふ、ノラも運動できるし賛成ですわ」
「すみませんセムネイル様、私が要らぬことを言いました」
「暴れるのか? いいのか? 行ってもいいのか?」
「あはは、ノラちゃん落ち着いてね」
セムネイルはリンの頭を撫でて、妻達と共に山賊の隠れ家へと正面から向かうのであった。
「すまん、待たせたな。 じゃあ、セリスやってみろ」
「はい! えっと……こっちの方角ですね。 数は30、気配の大きさから成人男性。 囚われている人の気配も無し……です!」
セリスは気配察知に集中し、セムネイルへと報告する。
「くっくっくっ、大したもんだなセリス。 既にここまで使いこなせるとは……上出来だ」
セリスはセムネイルに撫でられ、嬉しそうに目を細める。
「うんうん、流石だねぇセリスちゃん。 セムネイルの言う通り、魔法のセンスは重力の魔女より有るんじゃないの?」
「あぁ、グラの言う通りだ。 くっくっ……きっと、師匠としてサリアも鼻が高いだろうな」
「そ、そんな師匠だなんて……でも、嬉しいです貴方様♡」
セムネイル達はセリスの案内で山賊の隠れ家へと向かった。
◆◇◆
「着いたな。 さて……どうする? リン」
雑に木材で囲まれた山賊の隠れ家に到着し、少し離れた所からセムネイル達は監視していた。 奥は洞窟になっており、大半の山賊は中に居る様だ。
高台には弓を持つ数名の見張りが立っており、策もなく近付けば直ぐに見つかるだろう。
「えっと……先ずは見張りを私の矢で倒します。 そして、セリスさんの魔法で纏めて倒す準備をしている間はノラさんとグラさんが近付く敵を倒す。 というのはどうでしょうか?」
「くっくっくっ、良く見てるな。 グラ、ノラはどう思う?」
「うん? まぁ、敵しか居ないならリンちゃんの作戦で良いと思うよ?」
「おー! 流石だなリン! セリスは俺が守るから任せろ!」
「よし、セリス派手に殺ってやれ。 万が一を兼ねて、俺がセリスの隣に居よう。 行くぞ」
作戦が決まり、セムネイル達は動き出した。
◆◇◆
「ちっ! 見張りなんざやってられるか!」
「まぁそうだよな。 オーガが出たんだろ? こんな森に入る馬鹿が居ると思うか?」
「いや、それよりオーガに見つかるほうが不味くねぇか?」
山賊の見張り達はやる気なさげに周囲を警戒していた。
「はぁ……襲った村は爺と婆しか居ねえし。 大人しく金目の物を渡してきたのは楽で良かったけどな」
「仕方ねぇよ。 ふわぁ~……そろそろ交代だな。 おい、下の奴を呼んで来て……は?」
見張りの1人が、相方の肩を掴み振り向かせると額には薄く光る矢が突き刺さっていた。
「な……な!? て、敵しゅっ?!」
気付いた見張りが仲間に危険を知らせようとしたが、その見張りも直ぐに額から矢を生やす事となった。
◆◇◆
「セムネイル様、見張りを全員倒しました。 ですが……誰も気付いて無いようです」
リンは木の上からセムネイルに報告し、期待外れの敵の様子にセムネイルはため息を吐く。
「おいおい、山賊も落ちぶれたのか? 昔なら、直ぐに反撃するか引き籠もって防衛するか動くだろうに……」
「いや、セムネイル……それって魔神や女神達との戦いが嫌で逃げ出した元英雄達の話よね? あれ、普通の人間だから。 多分、セムネイルが倒したオーガに見つかったら直ぐに全滅してた筈よ?」
呆れたグラの説明にセムネイルはこめかみを抑える。
「はぁ……セリス、リン、ノラ。 すまん、俺が敵の実力を勘違いしていた。 雑魚ばかりだ、蹂躙しに正面から行こう」
「ふふ、ノラも運動できるし賛成ですわ」
「すみませんセムネイル様、私が要らぬことを言いました」
「暴れるのか? いいのか? 行ってもいいのか?」
「あはは、ノラちゃん落ち着いてね」
セムネイルはリンの頭を撫でて、妻達と共に山賊の隠れ家へと正面から向かうのであった。
12
お気に入りに追加
347
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る
電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。
女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。
「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」
純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。
「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」
異世界エステ〜チートスキル『エステ』で美少女たちをマッサージしていたら、いつの間にか裏社会をも支配する異世界の帝王になっていた件〜
福寿草真@植物使いコミカライズ連載中!
ファンタジー
【Sランク冒険者を、お姫様を、オイルマッサージでトロトロにして成り上がり!?】
何の取り柄もないごく普通のアラサー、安間想介はある日唐突に異世界転移をしてしまう。
魔物や魔法が存在するありふれたファンタジー世界で想介が神様からもらったチートスキルは最強の戦闘系スキル……ではなく、『エステ』スキルという前代未聞の力で!?
これはごく普通の男がエステ店を開き、オイルマッサージで沢山の異世界女性をトロトロにしながら、瞬く間に成り上がっていく物語。
スキル『エステ』は成長すると、マッサージを行うだけで体力回復、病気の治療、バフが発生するなど様々な効果が出てくるチートスキルです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる