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第138話 山賊狩り

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 セムネイルは洞窟を出る際に落ちていたオーガの大きな鉈を4次元に回収し、セリス達に合流した。

 「すまん、待たせたな。 じゃあ、セリスやってみろ」

 「はい! えっと……こっちの方角ですね。 数は30、気配の大きさから成人男性。 囚われている人の気配も無し……です!」

 セリスは気配察知に集中し、セムネイルへと報告する。

 「くっくっくっ、大したもんだなセリス。 既にここまで使いこなせるとは……上出来だ」

 セリスはセムネイルに撫でられ、嬉しそうに目を細める。

 「うんうん、流石だねぇセリスちゃん。 セムネイルの言う通り、魔法のセンスは重力の魔女より有るんじゃないの?」

 「あぁ、グラの言う通りだ。 くっくっ……きっと、師匠としてサリアも鼻が高いだろうな」

 「そ、そんな師匠だなんて……でも、嬉しいです貴方様♡」

 セムネイル達はセリスの案内で山賊の隠れ家へと向かった。

 ◆◇◆

 「着いたな。 さて……どうする? リン」

 雑に木材で囲まれた山賊の隠れ家に到着し、少し離れた所からセムネイル達は監視していた。 奥は洞窟になっており、大半の山賊は中に居る様だ。

 高台には弓を持つ数名の見張りが立っており、策もなく近付けば直ぐに見つかるだろう。

 「えっと……先ずは見張りを私の矢で倒します。 そして、セリスさんの魔法で纏めて倒す準備をしている間はノラさんとグラさんが近付く敵を倒す。 というのはどうでしょうか?」

 「くっくっくっ、良く見てるな。 グラ、ノラはどう思う?」

 「うん? まぁ、敵しか居ないならリンちゃんの作戦で良いと思うよ?」

 「おー! 流石だなリン! セリスは俺が守るから任せろ!」

 「よし、セリス派手に殺ってやれ。 万が一を兼ねて、俺がセリスの隣に居よう。 行くぞ」

 作戦が決まり、セムネイル達は動き出した。

 ◆◇◆

 「ちっ! 見張りなんざやってられるか!」

 「まぁそうだよな。 オーガが出たんだろ? こんな森に入る馬鹿が居ると思うか?」

 「いや、それよりオーガに見つかるほうが不味くねぇか?」

 山賊の見張り達はやる気なさげに周囲を警戒していた。

 「はぁ……襲った村は爺と婆しか居ねえし。 大人しく金目の物を渡してきたのは楽で良かったけどな」

 「仕方ねぇよ。 ふわぁ~……そろそろ交代だな。 おい、下の奴を呼んで来て……は?」

 見張りの1人が、相方の肩を掴み振り向かせると額には薄く光る矢が突き刺さっていた。

 「な……な!? て、敵しゅっ?!」

 気付いた見張りが仲間に危険を知らせようとしたが、その見張りも直ぐに額から矢を生やす事となった。

 ◆◇◆

 「セムネイル様、見張りを全員倒しました。 ですが……誰も気付いて無いようです」

 リンは木の上からセムネイルに報告し、期待外れの敵の様子にセムネイルはため息を吐く。

 「おいおい、山賊も落ちぶれたのか? 昔なら、直ぐに反撃するか引き籠もって防衛するか動くだろうに……」

 「いや、セムネイル……それって魔神や女神達との戦いが嫌で逃げ出した元英雄達の話よね? あれ、普通の人間だから。 多分、セムネイルが倒したオーガに見つかったら直ぐに全滅してた筈よ?」

 呆れたグラの説明にセムネイルはこめかみを抑える。

 「はぁ……セリス、リン、ノラ。 すまん、俺が敵の実力を勘違いしていた。 雑魚ばかりだ、蹂躙しに正面から行こう」

 「ふふ、ノラも運動できるし賛成ですわ」

 「すみませんセムネイル様、私が要らぬことを言いました」

 「暴れるのか? いいのか? 行ってもいいのか?」

 「あはは、ノラちゃん落ち着いてね」

 セムネイルはリンの頭を撫でて、妻達と共に山賊の隠れ家へと正面から向かうのであった。
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