133 / 254
第132話 2匹の鬼
しおりを挟む
「ちっ、逃亡奴隷捜索の依頼を受けたのは俺達だけじゃ無いんだな。 その冒険者達はどっちに向かった」
「は、はい。 あっちの森に行きましたよ? でも、お兄さんお一人で行かれるので? 最近は賊だけじゃなくてオーガも出るって話です。 悪い事は言いません、止めときなさいな」
セムネイルは急ぎ近くの村を訪れ、鬼人の娘達を購入した村長の下を訪れていた。
村は小さく50人程しか住んでおらず、働き手として奴隷を購入したそうだ。
どんな理由にしても、奴隷と云う存在が嫌いなセムネイルからすると無理矢理捕まえられ奴隷にされた者達を買う奴等は同罪だと考えていた。
「大丈夫だ。 じゃあな」
素っ気無い態度でセムネイルは村を後にし、1人で森へと入る。
「糞が……働き手がいないなら、正規の手段で人を雇いやがれ! さて……何処だ?」
先程まで居た村へと悪態をつき、セムネイルは気配察知の範囲を上げた。
「……ん? 冒険者の気配は無いぞ? Aランクの高位冒険者パーティーが依頼を受けたとあの爺が言ってたんだが」
セムネイルは大きく強い反応の気配を察知し、其処へと向かった。
◆◇◆
「お、複数の気配が固まってるな。 1つは数が多すぎる……これは村を一度脅したとかいう山賊だな。 もう1つが、鬼人の娘達か? にしても、気配が弱い……急ぐか」
鬼人の娘達らしき気配の側に、先程察知した大きく強い気配が居るがそんな事をセムネイルが気にする筈も無く疾走し向かう。
木々を擦り抜けるように走り、近付くと洞窟へと入る巨大な鬼が見えた。
「ほぉ、やはりオーガか。 それもかなり長生きしてる個体だな。 鬼人の娘達を捕らえたのか」
オーガは数羽のウサギを片手に血だらけの鉈を担いで上機嫌の様子だった。
しかし、セムネイルが下手に刺激をすれば最悪捕らえた鬼人の娘達を人質にされる可能性がある。
ここは慎重に行動すべく、セムネイルは姿を隠す事にした。
「秘密は箱へ秘密は棚へ秘密は知られず誰も知らず。 透明な姿を探して見ろ、透明化」
隠密の魔法を唱え、静かに洞窟へと入った。
◆◇◆
「ぐへへ、妻達待たせた、ウサギ狩ってきた」
洞窟の奥へと進んだオーガは火の番をしていたミリムにウサギを差し出し、上機嫌で笑った。
「あ、ありがとうございます……とても、嬉しいです」
震える手でウサギを受け取ったミリムが礼を述べると、オーガは我慢の限界なのか腰巻きを外し全裸へとなった。
そして、火の明かりに照らされた醜い陰茎が角の様に膨張し天を突いている。
鼻息荒くミリムへと近付くオーガに、他の娘達から悲鳴が上がる。
「ミリム姉さん!」 「姉様、姉様!」 「死んでしまいます! ミリム姉さん、無理よ! 逃げて!!」
奥で縮こまり、泣く妹分達にミリムは優しく微笑む。
「皆、ちゃんと話したでしょ? 大丈夫よ……大丈夫だから」
ガタガタと震える手で奴隷の服を脱ぎ去り、ミリムはオーガの前に立つ。
「はぁ……はぁ……はぁ……ぐふふ、お前はおでが今まで妻にした中で最高の鬼人だぁ。 その角、髪色、美貌……美味そうだぁ」
涎を垂らしながらオーガはミリムを犯そうと迫る。
「皆……お願い。 見ないで」
(本当はお父様や兄様みたいな立派な格好良い角を持つ鬼人の夫に愛されたかったなぁ……でも、仕方無いよね)
他の娘達を守る為に、妹分達に人肉を食べさせない為に、ミリムは己を差し出そうと両手を広げたがオーガがミリムに触れる事は叶わなかった。
「うぐ? 何だ、誰だおでの腕を掴むのは!」
「おい、糞野郎。 他の娘達を守る為に己を差し出す。 そんな良い女に、お前の様な糞野郎が触れれると思うなよ?」
声が聞こえ、目を閉じていたミリムはゆっくりと瞼を開けた。
「あ、あなたは……?」
其処にはミリムを助けるべく、オーガの太い両腕を掴み押し負けない怪力で外へと押し出すセムネイルの姿があった。
怒りのあまり、魔族の角を生やし自身よりも巨大なオーガを圧倒している。
「よぉ。 お前達を助ける様に懇願されてな。 少し待ってろ。 ……よく頑張ったな。 もう大丈夫だぞ」
「ひゃ……ひゃい」
少し振り向き、笑うセムネイルの横顔にミリムは一瞬で恋に落ちてしまった。 顔を真っ赤にし、その場にへたり込んでしまう。
(角、笑顔、力強さ、か……格好良いぃぃぃー!)
「は、はい。 あっちの森に行きましたよ? でも、お兄さんお一人で行かれるので? 最近は賊だけじゃなくてオーガも出るって話です。 悪い事は言いません、止めときなさいな」
セムネイルは急ぎ近くの村を訪れ、鬼人の娘達を購入した村長の下を訪れていた。
村は小さく50人程しか住んでおらず、働き手として奴隷を購入したそうだ。
どんな理由にしても、奴隷と云う存在が嫌いなセムネイルからすると無理矢理捕まえられ奴隷にされた者達を買う奴等は同罪だと考えていた。
「大丈夫だ。 じゃあな」
素っ気無い態度でセムネイルは村を後にし、1人で森へと入る。
「糞が……働き手がいないなら、正規の手段で人を雇いやがれ! さて……何処だ?」
先程まで居た村へと悪態をつき、セムネイルは気配察知の範囲を上げた。
「……ん? 冒険者の気配は無いぞ? Aランクの高位冒険者パーティーが依頼を受けたとあの爺が言ってたんだが」
セムネイルは大きく強い反応の気配を察知し、其処へと向かった。
◆◇◆
「お、複数の気配が固まってるな。 1つは数が多すぎる……これは村を一度脅したとかいう山賊だな。 もう1つが、鬼人の娘達か? にしても、気配が弱い……急ぐか」
鬼人の娘達らしき気配の側に、先程察知した大きく強い気配が居るがそんな事をセムネイルが気にする筈も無く疾走し向かう。
木々を擦り抜けるように走り、近付くと洞窟へと入る巨大な鬼が見えた。
「ほぉ、やはりオーガか。 それもかなり長生きしてる個体だな。 鬼人の娘達を捕らえたのか」
オーガは数羽のウサギを片手に血だらけの鉈を担いで上機嫌の様子だった。
しかし、セムネイルが下手に刺激をすれば最悪捕らえた鬼人の娘達を人質にされる可能性がある。
ここは慎重に行動すべく、セムネイルは姿を隠す事にした。
「秘密は箱へ秘密は棚へ秘密は知られず誰も知らず。 透明な姿を探して見ろ、透明化」
隠密の魔法を唱え、静かに洞窟へと入った。
◆◇◆
「ぐへへ、妻達待たせた、ウサギ狩ってきた」
洞窟の奥へと進んだオーガは火の番をしていたミリムにウサギを差し出し、上機嫌で笑った。
「あ、ありがとうございます……とても、嬉しいです」
震える手でウサギを受け取ったミリムが礼を述べると、オーガは我慢の限界なのか腰巻きを外し全裸へとなった。
そして、火の明かりに照らされた醜い陰茎が角の様に膨張し天を突いている。
鼻息荒くミリムへと近付くオーガに、他の娘達から悲鳴が上がる。
「ミリム姉さん!」 「姉様、姉様!」 「死んでしまいます! ミリム姉さん、無理よ! 逃げて!!」
奥で縮こまり、泣く妹分達にミリムは優しく微笑む。
「皆、ちゃんと話したでしょ? 大丈夫よ……大丈夫だから」
ガタガタと震える手で奴隷の服を脱ぎ去り、ミリムはオーガの前に立つ。
「はぁ……はぁ……はぁ……ぐふふ、お前はおでが今まで妻にした中で最高の鬼人だぁ。 その角、髪色、美貌……美味そうだぁ」
涎を垂らしながらオーガはミリムを犯そうと迫る。
「皆……お願い。 見ないで」
(本当はお父様や兄様みたいな立派な格好良い角を持つ鬼人の夫に愛されたかったなぁ……でも、仕方無いよね)
他の娘達を守る為に、妹分達に人肉を食べさせない為に、ミリムは己を差し出そうと両手を広げたがオーガがミリムに触れる事は叶わなかった。
「うぐ? 何だ、誰だおでの腕を掴むのは!」
「おい、糞野郎。 他の娘達を守る為に己を差し出す。 そんな良い女に、お前の様な糞野郎が触れれると思うなよ?」
声が聞こえ、目を閉じていたミリムはゆっくりと瞼を開けた。
「あ、あなたは……?」
其処にはミリムを助けるべく、オーガの太い両腕を掴み押し負けない怪力で外へと押し出すセムネイルの姿があった。
怒りのあまり、魔族の角を生やし自身よりも巨大なオーガを圧倒している。
「よぉ。 お前達を助ける様に懇願されてな。 少し待ってろ。 ……よく頑張ったな。 もう大丈夫だぞ」
「ひゃ……ひゃい」
少し振り向き、笑うセムネイルの横顔にミリムは一瞬で恋に落ちてしまった。 顔を真っ赤にし、その場にへたり込んでしまう。
(角、笑顔、力強さ、か……格好良いぃぃぃー!)
13
お気に入りに追加
363
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる