132 / 254
第131話 オーガの花嫁
しおりを挟む
オーガ、肌は赤色で背丈は3メートルも有り筋骨隆々な魔物である。 額からは2本の角が天を突き、気性は荒く、獣の皮を腰に巻き、肉なら人間も喰らう上級の魔物として有名なオーガが唯一襲わない相手。
それが鬼人族の女だ。
魔物だが、手製の武器を作る程の知性があり雄しかいないオーガは常に女を欲している。
人間の女でも良いのだが、同じ様に角を生やす鬼人族の女が特に好みであり。 鬼人族達の里では、常にオーガを警戒する程だ。
そして、オーガの嫁にされた者の末路は有名だ。 巨体のオーガに犯される事を拒み殺された者、犯された結果耐え切れずに死んだ者、生きて救出されても精神が病んでしまった者。
知性のあるオーガに連れ去られた女は、直ぐに自ら命を絶てと教えられる程だ。
そして、ミンガムにある奴隷市場から労働奴隷として近くの村に売られ何とか逃亡を果たした鬼人族の娘達は不運な事に村の近辺に住み始めたオーガに捕まっていた。
正しくは、妻として迎えられたのだ。
洞窟の中には10人の鬼人族の元奴隷達が震えながらオーガを見つめていた。
「おで、また狩りに行く。 妻達、此処は安全。 でも、絶対に出るな」
長い茶髪を揺らし、身体が古傷だらけのオーガは妻達を洞窟に残し大きな鉈を片手に狩りへと出ていった。
「行ったわね……。 皆、大丈夫よ。 今の所、アレが私達を襲う気配は無いわ」
「ミリム姉様……私、怖い」
奴隷にされた鬼人族の族長の娘ミリムはリーダーとして、仲間を励ます。
「大丈夫よ。 必ず全員で里に帰って、残して来た子達を助けましょう!」
「で、でも……もし逃げたら、あの大きな鉈で……」 「いや! いやだよ!」 「それに、あんな大きいのに犯されたら……」
「絶対に死んじゃう! やだよ、やだよミリム姉さん!」
「皆落ち着いて! もし、その時は私が皆を守るから……だから安心して」
ミリムは震える手で、自身の赤髪を撫でる。
(あのオーガは私の赤髪を気に入っていた。 私が全てを差し出せば、他の皆は見逃してくれるかも……)
淡い期待を胸に、ミリムはパニックになる仲間を落ち着かせる為に気合を入れた。
◆◇◆
暫くすると、洞窟の外から唸り声が聞こえ始めた。
「……戻って来たのかも。 皆、奥に居るのよ? いい?」
ミリムはボロボロの奴隷の服をはたき、洞窟の入口へとオーガを出迎えに行く。
「ぐるるるる……ん。 待たせた。 ほれ……獲物だ」
「お、おかえりなさいま……せ?! うっ、うぷっ!」
ミリムは咄嗟に口を抑え、吐き気を必死に耐える。
血だらけの鉈を持ったオーガが引きずって帰って来た獲物は、人間の冒険者達だった。
4人引きずっているが、3人は上半身がミンチの様になっており既に死んでいる。 そして、盗賊らしき服装の女だけが頭から血を流し気絶していた。
「え、あの……獲物ですか?」
恐る恐るミリムが問うと、オーガは笑顔で頷いた。
「いつもみたいに、ウサギ探した。 そしたらこいつ等襲って来た。 倒したなら食う、それが狩り」
ミリムの最悪の予想は的中してしまった。
オーガに捕まってからそれなりに日にちが経っていたが、いつも獲物は動物だけだった。
それが、遂に食卓に人間を並べようとしているのだ。
「あ、貴方様……わ、私、ウサギのお肉が……食べ、食べたいです……」
ミリムが必死に願いを口にするが、オーガの目が鋭くなり憤怒の表情になった。
「つ、妻。 好き嫌い良くない。 だが……そうだな。 おでに抱かせろ、それならウサギ探してやる」
だが、ミリムの露出の高い格好に興奮し発情したからか条件を出してきた。
「わ、私だけという事でしたら……よ、よ……喜んで」
震える手を必死に押さえ付けるミリムの返答にオーガは満面の笑顔で頷いた。
「ん、ん! そうか、ならおで、狩りに行ってくる。 コレ、食料を置く所に運んでおけ」
「わ、分かりました! お、お気を付けて……」
オーガが見えなくなるまで見送ったミリムが見たときには、気絶していた女も事切れ死んでいた。
「うぅぅ……誰か、誰か助けてよぉ……。 お父様、兄様……ミリムはもうダメかもしれません……」
ミリムは泣きながらオーガの獲物を引き摺って洞窟へと向かった。
そして直後、妹分達のすすり泣く嗚咽がいつまでも洞窟に響き続けた。
それが鬼人族の女だ。
魔物だが、手製の武器を作る程の知性があり雄しかいないオーガは常に女を欲している。
人間の女でも良いのだが、同じ様に角を生やす鬼人族の女が特に好みであり。 鬼人族達の里では、常にオーガを警戒する程だ。
そして、オーガの嫁にされた者の末路は有名だ。 巨体のオーガに犯される事を拒み殺された者、犯された結果耐え切れずに死んだ者、生きて救出されても精神が病んでしまった者。
知性のあるオーガに連れ去られた女は、直ぐに自ら命を絶てと教えられる程だ。
そして、ミンガムにある奴隷市場から労働奴隷として近くの村に売られ何とか逃亡を果たした鬼人族の娘達は不運な事に村の近辺に住み始めたオーガに捕まっていた。
正しくは、妻として迎えられたのだ。
洞窟の中には10人の鬼人族の元奴隷達が震えながらオーガを見つめていた。
「おで、また狩りに行く。 妻達、此処は安全。 でも、絶対に出るな」
長い茶髪を揺らし、身体が古傷だらけのオーガは妻達を洞窟に残し大きな鉈を片手に狩りへと出ていった。
「行ったわね……。 皆、大丈夫よ。 今の所、アレが私達を襲う気配は無いわ」
「ミリム姉様……私、怖い」
奴隷にされた鬼人族の族長の娘ミリムはリーダーとして、仲間を励ます。
「大丈夫よ。 必ず全員で里に帰って、残して来た子達を助けましょう!」
「で、でも……もし逃げたら、あの大きな鉈で……」 「いや! いやだよ!」 「それに、あんな大きいのに犯されたら……」
「絶対に死んじゃう! やだよ、やだよミリム姉さん!」
「皆落ち着いて! もし、その時は私が皆を守るから……だから安心して」
ミリムは震える手で、自身の赤髪を撫でる。
(あのオーガは私の赤髪を気に入っていた。 私が全てを差し出せば、他の皆は見逃してくれるかも……)
淡い期待を胸に、ミリムはパニックになる仲間を落ち着かせる為に気合を入れた。
◆◇◆
暫くすると、洞窟の外から唸り声が聞こえ始めた。
「……戻って来たのかも。 皆、奥に居るのよ? いい?」
ミリムはボロボロの奴隷の服をはたき、洞窟の入口へとオーガを出迎えに行く。
「ぐるるるる……ん。 待たせた。 ほれ……獲物だ」
「お、おかえりなさいま……せ?! うっ、うぷっ!」
ミリムは咄嗟に口を抑え、吐き気を必死に耐える。
血だらけの鉈を持ったオーガが引きずって帰って来た獲物は、人間の冒険者達だった。
4人引きずっているが、3人は上半身がミンチの様になっており既に死んでいる。 そして、盗賊らしき服装の女だけが頭から血を流し気絶していた。
「え、あの……獲物ですか?」
恐る恐るミリムが問うと、オーガは笑顔で頷いた。
「いつもみたいに、ウサギ探した。 そしたらこいつ等襲って来た。 倒したなら食う、それが狩り」
ミリムの最悪の予想は的中してしまった。
オーガに捕まってからそれなりに日にちが経っていたが、いつも獲物は動物だけだった。
それが、遂に食卓に人間を並べようとしているのだ。
「あ、貴方様……わ、私、ウサギのお肉が……食べ、食べたいです……」
ミリムが必死に願いを口にするが、オーガの目が鋭くなり憤怒の表情になった。
「つ、妻。 好き嫌い良くない。 だが……そうだな。 おでに抱かせろ、それならウサギ探してやる」
だが、ミリムの露出の高い格好に興奮し発情したからか条件を出してきた。
「わ、私だけという事でしたら……よ、よ……喜んで」
震える手を必死に押さえ付けるミリムの返答にオーガは満面の笑顔で頷いた。
「ん、ん! そうか、ならおで、狩りに行ってくる。 コレ、食料を置く所に運んでおけ」
「わ、分かりました! お、お気を付けて……」
オーガが見えなくなるまで見送ったミリムが見たときには、気絶していた女も事切れ死んでいた。
「うぅぅ……誰か、誰か助けてよぉ……。 お父様、兄様……ミリムはもうダメかもしれません……」
ミリムは泣きながらオーガの獲物を引き摺って洞窟へと向かった。
そして直後、妹分達のすすり泣く嗚咽がいつまでも洞窟に響き続けた。
13
お気に入りに追加
363
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる