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第130話 救出された亜人達

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 「次は、亜人の娘達か……確かグラが結構な数の亜人が奴隷にされてたと言ってたな」

 「はい、貴方様。 プレーリーさんが纏め役として動いてくれている筈ですわ」

 セムネイルとセリスは農場エリアを訪れ、プレーリーの下へと向かった。

 「これはセムネイル様! 申し訳ございません、わざわざご足労頂きまして……」

 「いや、大丈夫だよプレーリー。 それより、昨日は任せっきりですまなかった。 助けた亜人の娘達はどうだ?」

 「勿体ないお言葉ですわ。 約70名の娘達が私の所とオルガさんの所で現在休んでおります。 エルフが20名、ドワーフ15名、鬼人5名、獣人が30名でございます」

 プレーリーは事前に準備していた羊皮紙を取り出し、セムネイルへと報告する。

 「うむ、流石だなプレーリー。 因みに、その娘達の精神状態は大丈夫か?」

 すると、プレーリーは申し訳無さそうに答える。

 「男性に対し、かなりの恐怖を植え付けられています。 どの娘達も、今はお会いにならない方がよろしいかと……ただ、鬼人の娘達5名が助けてくれたセムネイル様にお話ししたいとの事ですわ」

 「そうか……ありがとうプレーリー。 その鬼人の娘達はオルガの所か?」

 「とんでもございませんわ。 はい、オルガさんの下で休んでいます」

 「分かった。 セリス、俺はちょっと行ってくる。 すまないが、プレーリーと共に必要な物が無いか聞き取りを頼んでもいいか?」

 「勿論ですわ。 プレーリーさん、よろしくお願いしますね」

 「はい、こちらでございます」

 セリスがプレーリーに連れられ、農場の家に向かうのを見送ったセムネイルは酪農エリアへと向かった。

 ◆◇◆

 セムネイルが酪農エリアに到着すると、家の前にオルガの姿が見えた。

 「オルガ、すまん。 世話を掛けさせてるな」

 「セムネイル様! とんでもないです! プレーリーから聞きましたか?」

 「あぁ、俺に話がある鬼人族の娘達が居るんだろ?」

 オルガの案内でセムネイルは酪農エリアの家へと入る。

 「えぇ、なのですが……かなり酷い目にあったようで、異性に対してとても凶暴です。 セムネイル様なら問題無いと思うのですが、ご注意を」

 「構わん。 話しを聞くだけだからな」

 セムネイルが案内された部屋には、5人の鬼人族の娘達が寄り添っており、入って来たセムネイルを警戒し椅子やら道具やらを構えていた。

 「お前達、落ち着いて! 説明したでしょ? この御方が皆を助けたセムネイル様だよ。 ほら、話があるって言ってたでしょ? 持ってるのを置いて? 大丈夫だから……」

 「がぅー……! 男だ、敵だ!」 「オルガさん、危険ですよ!」 「「「男、怖い! 怖い!!」」」

 オルガの制止も虚しく、娘達は手に持つ武器でセムネイルを攻撃してしまった。 

 「セムネイル様?! 大丈夫ですか!?」

 鬼人の力は強く、セムネイルにぶつけられた家具や道具は木っ端微塵に砕け散った。 

 「構わん。 この娘達が味わった絶望や苦しみを思えば、これぐらい何ともないさ」

 「セムネイル様……」

 あまりの格好良さに、思わずオルガは赤面してしまった。

 「お前達……辛かったよな、怖かったよな。 すまんな……お前達を酷い目にあわせた奴等は皆殺しにしたが、もっと苦しめてから殺せば良かったな」

 セムネイルは膝をつき、優しく娘達に話し掛ける。

 そして、ようやく敵ではないと判断出来たのか落ち着いた鬼人の娘達がセムネイルを囲む。

 「あう……ごめんなさい」 「そうだ、助けてくれた角の人」 「貴方も鬼人……? でも、今は角生えてない」 「良い人? オルガさんの言う通り、良い人?」 「助けてくれてありがとう」

 セムネイルは何とか警戒心を解いた事に安堵した。 それに、もしセリスを此処に連れて来ていたら最悪血の雨が降りそうだった事にもセムネイルは冷や汗をかいて安堵する。

 「さて、教えてくれ。 俺に話とは何だ? 何か困ってるのか?」

 目線を合わせるセムネイルに、鬼人の娘達は泣き出し懇願し始めた。  

 「姉様達を助けて」 「少し前に近くの村に買われたけど、逃げたの。 数は10人」 「奴隷商人が言ってた、冒険者に依頼して捕まえるって」 「姉様達強いけど、冒険者相手なら分からない」 「お願い、助けて……下さい」

 娘達の話しを聞き、セムネイルは立ち上がった。

 「オルガ、すまん。 セリスが後で訪ねたら必要な物を伝えてくれ。 俺はちょっと先にこいつ等の姉達を助けてくる」

 依頼を受けていた逃亡奴隷の詳細が判明したセムネイルは、4次元の扉へと急ぎ足で向かった。
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