120 / 238
第119話 奴隷市場の終わり
しおりを挟む
「よし、やっと買い物が終わったな。 俺はこのまま家畜以下の人間達に会いに行ってくるが、皆はどうする。 俺としては、何処かの宿屋で家に戻っていて欲しいんだが」
セムネイルは大量の家畜を4次元に収納し、市場の入口まで戻っていた。
「そうね。 私もセリスちゃん達には手を汚させない方が良いと思うけど」
「私は善良の人間は好きですが、下種な生き物は魔物と同じだと思ってます。 一緒に行かせて下さい」
「わ、私も一緒に行きたいです! 悪人なら射殺しても、平気だと思いますから」
「ん? いや、俺は人間と殺し合った事あるぞ?」
妻達の意見を聞き、セムネイルは笑う。
「分かった、ならさっさと行くか。 さっきは普通の商人や買い物客達が居たからその場では殺さなかったが、これから行く奴隷市場とやらでは敵は片っ端から殺すぞ」
逃げた方角へとセムネイル達は歩き始めた。
◆◇◆
「はぁはぁはぁ、くそ! 何なんだよアイツ等!」
「忌み子が連れた奴隷を掻っ攫う簡単な仕事だった筈だろ?! 何だよ、あの殺気!」
「うるせぇお前等、もっと早く走れ! アイツに後を付けられたら、俺達も穴に落とされるんだぞ!」
3人の荒くれ者達が必死に奴隷エリアの中を走っていた。
道中、檻や店先で人間や亜人の奴隷達が荒くれ者達に怯え悲鳴を上げるが今は構ってられない。
「おい、お前等走るな! 商品が怯えてんだろうが!」
荒くれ者達を知っている商人が怒鳴るが、無視して走り続ける。
そして、奴隷市場で1番豪華な建物に駆け込み雇い主を探した。
「おい、アドナ様を呼んでくれ!」 「頼むよ、早くしてくれ!」 「アドナ様に言われてちょっかいかけた奴、めちゃくちゃヤバい奴等だったんだよ!」
店の従業員は騒がしい荒くれ者達に嫌な顔をするが、仕方無く店の主人を呼びに行った。
「アイツにバレてねぇよな?」 「そりゃ、アレだけ野次馬が居たらわかんねぇだろ」 「ずっと全力で走ってきたし、アイツはこの街に来たばかりだろ? 奴隷市場が何処かも知らねぇ筈だ!」
ようやく一息つけた荒くれ者達は床に座り、安堵のため息を吐いた。
「やれやれ、騒がしいね。 おや? お前達、指示した娘達は何処にいるんだい?」
現れた高級奴隷商人アドナが豪華な服を身に纏い、店の奥からやって来た。
「アドナ様!」 「すんません、アドナ様」 「アレは俺達の手には負えねぇです!」
頭を下げる3人に、アドナは怒りを顕にする。
「ふざけんじゃないよ! 折角、買収してる衛兵から上等な亜人の娘が街に入ったって聞いたのに……幾らその衛兵に払ったと思ってんだい! それとも何かい? お前達が奴隷として身売りして金を作ってくれるのかぇ? あぁ!?」
「ひ、ひぃぃ!」 「あいつ等、Cランク冒険者とか絶対に嘘ですよ!」 「そうなんです! 元Aランクパーティー瞬速の前足に所属してたキンが忌み子の娘に一瞬で取り押さえられたんです! しかも、忌み子の男が突然真っ黒な穴を出してキンを消したんですよ!」
アドナは3人の荒くれ者達の話しを信じるつもりは無く、失敗した言い訳だと判断した。
「馬鹿だね。 キンが失敗する訳ないだろ? どうせ、お前達がヘマをしたんだろ! もういい、この奴隷市場を支配する私に嘘をついたらどうなるか思い知らせてやるよ!」
腰に付けた鞭を取り出し、アドナが荒くれ者達を打とうとしたその時、店に商人が逃げ込んできた。
「ア、アドナ様! た、大変ですー!」
「ちょっと、どうしたんだいそんなに慌てて。 私等がそんなんじゃ、奴隷達に舐められるだろ!」
「す、すみません。 ですが、緊急事態なんです! 忌み子の男と亜人の娘達が奴隷市場にやって来て殺戮を始めました!! 衛兵には連絡を送りましたが、このままでは到着する前に私達が皆殺しにされます! ど、どどどうしましょー!」
「……は? はぁぁぁぁぁぁ?!」
店の外からは仲間と思しき者達の悲鳴が聞こえ、直ぐ側まで来ている事に気付く。
アドナは知らない。
踏んだのは虎の尾どころか、神や魔神すら倒す事の出来なかった極悪非道の魔王の怒りだと云うことを。
汗を大量に流す肥えた商人の言葉に3人の荒くれ者達はガタガタと怯えるのであった。
セムネイルは大量の家畜を4次元に収納し、市場の入口まで戻っていた。
「そうね。 私もセリスちゃん達には手を汚させない方が良いと思うけど」
「私は善良の人間は好きですが、下種な生き物は魔物と同じだと思ってます。 一緒に行かせて下さい」
「わ、私も一緒に行きたいです! 悪人なら射殺しても、平気だと思いますから」
「ん? いや、俺は人間と殺し合った事あるぞ?」
妻達の意見を聞き、セムネイルは笑う。
「分かった、ならさっさと行くか。 さっきは普通の商人や買い物客達が居たからその場では殺さなかったが、これから行く奴隷市場とやらでは敵は片っ端から殺すぞ」
逃げた方角へとセムネイル達は歩き始めた。
◆◇◆
「はぁはぁはぁ、くそ! 何なんだよアイツ等!」
「忌み子が連れた奴隷を掻っ攫う簡単な仕事だった筈だろ?! 何だよ、あの殺気!」
「うるせぇお前等、もっと早く走れ! アイツに後を付けられたら、俺達も穴に落とされるんだぞ!」
3人の荒くれ者達が必死に奴隷エリアの中を走っていた。
道中、檻や店先で人間や亜人の奴隷達が荒くれ者達に怯え悲鳴を上げるが今は構ってられない。
「おい、お前等走るな! 商品が怯えてんだろうが!」
荒くれ者達を知っている商人が怒鳴るが、無視して走り続ける。
そして、奴隷市場で1番豪華な建物に駆け込み雇い主を探した。
「おい、アドナ様を呼んでくれ!」 「頼むよ、早くしてくれ!」 「アドナ様に言われてちょっかいかけた奴、めちゃくちゃヤバい奴等だったんだよ!」
店の従業員は騒がしい荒くれ者達に嫌な顔をするが、仕方無く店の主人を呼びに行った。
「アイツにバレてねぇよな?」 「そりゃ、アレだけ野次馬が居たらわかんねぇだろ」 「ずっと全力で走ってきたし、アイツはこの街に来たばかりだろ? 奴隷市場が何処かも知らねぇ筈だ!」
ようやく一息つけた荒くれ者達は床に座り、安堵のため息を吐いた。
「やれやれ、騒がしいね。 おや? お前達、指示した娘達は何処にいるんだい?」
現れた高級奴隷商人アドナが豪華な服を身に纏い、店の奥からやって来た。
「アドナ様!」 「すんません、アドナ様」 「アレは俺達の手には負えねぇです!」
頭を下げる3人に、アドナは怒りを顕にする。
「ふざけんじゃないよ! 折角、買収してる衛兵から上等な亜人の娘が街に入ったって聞いたのに……幾らその衛兵に払ったと思ってんだい! それとも何かい? お前達が奴隷として身売りして金を作ってくれるのかぇ? あぁ!?」
「ひ、ひぃぃ!」 「あいつ等、Cランク冒険者とか絶対に嘘ですよ!」 「そうなんです! 元Aランクパーティー瞬速の前足に所属してたキンが忌み子の娘に一瞬で取り押さえられたんです! しかも、忌み子の男が突然真っ黒な穴を出してキンを消したんですよ!」
アドナは3人の荒くれ者達の話しを信じるつもりは無く、失敗した言い訳だと判断した。
「馬鹿だね。 キンが失敗する訳ないだろ? どうせ、お前達がヘマをしたんだろ! もういい、この奴隷市場を支配する私に嘘をついたらどうなるか思い知らせてやるよ!」
腰に付けた鞭を取り出し、アドナが荒くれ者達を打とうとしたその時、店に商人が逃げ込んできた。
「ア、アドナ様! た、大変ですー!」
「ちょっと、どうしたんだいそんなに慌てて。 私等がそんなんじゃ、奴隷達に舐められるだろ!」
「す、すみません。 ですが、緊急事態なんです! 忌み子の男と亜人の娘達が奴隷市場にやって来て殺戮を始めました!! 衛兵には連絡を送りましたが、このままでは到着する前に私達が皆殺しにされます! ど、どどどうしましょー!」
「……は? はぁぁぁぁぁぁ?!」
店の外からは仲間と思しき者達の悲鳴が聞こえ、直ぐ側まで来ている事に気付く。
アドナは知らない。
踏んだのは虎の尾どころか、神や魔神すら倒す事の出来なかった極悪非道の魔王の怒りだと云うことを。
汗を大量に流す肥えた商人の言葉に3人の荒くれ者達はガタガタと怯えるのであった。
22
お気に入りに追加
347
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る
電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。
女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。
「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」
純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。
「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」
異世界エステ〜チートスキル『エステ』で美少女たちをマッサージしていたら、いつの間にか裏社会をも支配する異世界の帝王になっていた件〜
福寿草真@植物使いコミカライズ連載中!
ファンタジー
【Sランク冒険者を、お姫様を、オイルマッサージでトロトロにして成り上がり!?】
何の取り柄もないごく普通のアラサー、安間想介はある日唐突に異世界転移をしてしまう。
魔物や魔法が存在するありふれたファンタジー世界で想介が神様からもらったチートスキルは最強の戦闘系スキル……ではなく、『エステ』スキルという前代未聞の力で!?
これはごく普通の男がエステ店を開き、オイルマッサージで沢山の異世界女性をトロトロにしながら、瞬く間に成り上がっていく物語。
スキル『エステ』は成長すると、マッサージを行うだけで体力回復、病気の治療、バフが発生するなど様々な効果が出てくるチートスキルです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる