【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
上 下
115 / 254

第114話 新たな住民

しおりを挟む
 「セ、セムネイル様、いかがされたのですか」

 セムネイルとグラの後ろをイマの祖父が追って来た。

 「イマの祖父よ……お前は知っているのか? 此処を出たら死ぬのだと」

 セムネイルが結界に触れながら問うと、祖父は淋しげに笑った。

 「此処から出ようと試みた者は、皆……出て直ぐに死にましたからな」

 「そうか。 イマは最後の子供か?」

 「はい。 魔人同士で生まれた子の最後がイマでした……不思議な事にイマだけは結界から出ても平気だったのですじゃ」 

 セムネイルは何事かと顔を出す魔人達を見渡し、セリス達に問う。

 「なぁ、セリス、リン、ノラ。 家の庭でイマと遊びたくないか?」

 「ふふ、貴方様のお考えは分かりましたわ」 「遊びたいです!」 「イマも一緒に住むのか? やたー!」

 「はぁ……まぁ、別にアイツがまだ生きてて襲って来たら殺れば良いんじゃない?」

 この場の妻達の承諾を得て、セムネイルは微笑む。

 「祖父よ、皆を集めてくれ。 話がしたい」

 「良くわかりませぬが、分かりました」

 ◆◇◆

 「皆、良く集まってくれた。 お越しになられた欲望と狭間の魔王セムネイル様よりお話がある。 しかと聞くように」

 イマの祖父はこの村の村長であり、一番の年長者であった。
 その為に、誰もが村長の話しを聞き大人しく集まる。

 「集まってくれた事、感謝する。 先程紹介があった様に、俺は欲望と狭間の魔王セムネイルと云う。 お前達を此処に閉じ込めた魔王アスモと同じ魔族だ。 早速だが、現実を叩き付けさせてもらう。 この村に住む魔人達は、初めから見捨てる事を前提として作られている」

 殆どの魔人は既に理解しているのか、表情は暗い。

 「その証拠として、お前達の身体の中には結界を出たら即死する術式が組み込まれている。 それも、お前達本来の魔力を動力源に動く糞みたいな呪いだ。 このままだと、お前達は外の世界を見ずに長い寿命を消費するだけになる」

 セムネイルの話しをイマは驚いた顔で聞いていた。

 「イマは長く続けた魔人同士の交配の結果、魔王アスモの呪いが薄まり自然と消えていた様だな」

 「セムネイル様……つまり、儂等魔人同士が子供を作ると親が死ぬのも」

 「……そうだ。 魔王アスモは初めから魔人の繁栄を許していない」

 「……そんな」

 「お祖父ちゃん!?」

 見捨てられたと分かっていても、現実を突きつけられた祖父が崩れ落ちた。

 集まる魔人達は絶望し、泣き崩れる者もいるがセムネイルは話を続ける。

 「だが、俺は決してその様な事は許さん! 魔人達よ、俺の所に来い! 俺が作る4次元世界では、アスモ如きの呪いは届かん。 お前達が今まで生きてきたのは、今日この日に俺達と出会う為だ! アスモがお前達を殺そうとした時は守ってやる、これからは希望に満ちた日々を送らせてやる。 来い、俺の下に!」

 「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!」」」」」」

 セムネイルは4次元の扉を開き、演説を終えた。

 どうやら魔人達はセムネイルを受け入れ、付いていくこと決めたようだ。

 扉を出現させると、皆の顔に希望が灯った。

 「セムネイル様……本当に儂等は此処を出られるのですか?」

 「無論だ。 俺は、魔族を作り出した魔神の様な振る舞いをするアスモが許せん。 まぁ、俺のエゴだが……良かったら俺の下で平和に暮らしてくれ」

 「ありがとうございます、ありがとうございますじゃ! 何度、何度あの結界を越えようとしたか……孫の為に、今まで生きてきて良かったですじゃ」

 泣き崩れる祖父をイマは優しく抱きしめる。

 「よし、引っ越しだ!」

 セムネイルの号令で、魔人達は一斉に動き始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...