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第113話 魔人という存在

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 あれからセムネイル達は、イマの祖父に連れられ家へと案内されていた。

 「狭い家で申し訳ない……どうぞ、おかけになって下さいませ」

 セムネイルとグラは椅子に座り、イマはセリス達と楽しそうに手を繋いでいた。

 「セリス、すまん。 少し話しを聞きたいから、皆を頼む」

 「分かりましたわ、貴方様。 イマちゃん、貴女のお部屋で遊びませんか?」

 「え! いいの!? こっちこっち~!」

 イマに手を引かれ、セリス達は奥の部屋へと入って行った。

 「ほっほっほ、すみません。 もう、あの年頃の子はイマしかおりませんでな。 友達が出来た様ではしゃいでいるのでしょう」

 「構わん。 それより、聞きたい。 お前は今……幾つだ」

 セムネイルはイマの祖父に問い掛ける。 見た目の容姿は人間でいう所の老人だが、セムネイルやグラが感じる魔力の強さは異常だ。

 「正確かはわかりませんが……1000年程生きております」

 「へぇ……魔族だとしたらまだ若いわね」

 「そうだな。 だが、明らかに歳をとっている。 教えてくれ、魔人とは何だ? 俺達が知る限り、初めて聞く種族なんだ」

 「左様でございますか……では、本当にアスモ様とは御関係のない魔王様なのですな」

 項垂れ、落ち込む老人にセムネイルは答える。

 「正確には、俺達はアスモを知っている。 だが、それは神魔大戦と呼ばれる時代の頃だ。 その後に奴が生き残っていた事も何をしているかも知らんが……一応知り合いだな。 共に戦った事もあるぞ」

 「うん、私もあるよ。 正直……やり方は好きじゃなかったけど、それでも魔族達を1番に考えてる魔王だった」

 「ほっほっほ、なるほど。 それならば、何時かアスモ様がお見えになられた時にお叱りを受けぬ様にお答えすべきでしょうか」

 老人はポツリポツリと話し始めた。

 「私達魔人とは、アスモ様が魔族と人間が共生できるかの実験にて生み出されました。 私の父は魔族で、母が人間でした。 実験と言っても、少なくとも私の両親は深く愛し合った結果……魔族と人間のハーフ、魔人が誕生しました。 他にも、両親と同じ様に魔族様達と人間達が集められ魔人の数は増えていきました。 ですが……問題が多く発生したのです」

 老人の話しを聞くグラは、この里の状況を見てきて既に嫌な予感がしていた。 そして、その予感は的中する事になる。

 「魔人は、魔族様の様に長く生きますが代わりに成長が遅く。 更にある一定の期間、歳を重ねると一気に老けるのです。 アスモ様は、この村以外にも実験場を作り経過を観察されたそうですが……結果はご覧の通りです。 ほっほっほ……私も、長く生きています。 既にこの村は見捨てられたのですよ。 若い者は孫のイマのみ。 魔族様の片親は皆、アスモ様に付いて行き戻りませんでした……私の父も」

 老人はテーブルの上に置いた手を握りしめる。

 「母は老衰で大昔に死にました。 この村に居る者達の親達もそうです。 それに……最悪な事に、魔人同士が子を為すと寿命を消費するのか両親共が急死する事態になりましてな。 一番多い時では1000人近い魔人が住んでいたのに……今では100人程です」

 「途中ですまない、何故この村を出ないのだ? イマは外に居たぞ」

 「ほっほっほ、アレはお転婆ですからな。 アスモ様より、絶対に結界から出ないように言い付けられておりますのじゃ。 もし、出れば裏切りとしてお怒りを買うでしょう」

 乾いた笑いの老人を見て、セムネイルはいたたまれない気持ちになる。

 「ねぇ、確認何だけど……。 貴方もそうだけど、イマも凄い魔力を持ってるわよね? 私の知ってる普通の魔族よりも、貴方達の方が強い筈何だけど? アスモ達を怖がる必要其処まで無いんじゃないの?」

 グラの問に老人を目を見開いて首を振る。

 「い、いえ! そんな滅相もない、私達は戦いなど出来ませぬ。 畑を耕し、細々と暮らしているだけの魔人でございます……」

 グラは首を傾げ、セムネイルは理由を察して苦い顔をする。

 「なるほどな。 くそが! あのサディストが!!」

 セムネイルの怒号に驚き、イマ達も部屋から出て来る。

 「ど、どうしたのセムネイル様……お祖父ちゃんが何かしちゃった?」

 「すまん……イマの祖父は何も悪くない。 だが……最悪な事に気付いた」

 セムネイルは家を飛び出し、村を囲う結界を見に行く。 そして、使われている魔法の分析を終わらし舌打ちをした。

 「ちっ……やっぱりか」

 「ねぇ、セムネイル。 どうしたのよ」

 「グラ、アスモは魔族と人間の共生を考える様な奴じゃないよな」

 「そうね、それは同感よ」

 セムネイルはグラの耳元でこの村の状況を告げる。

 「この村を出たら、魔人は全員死ぬ様に作られている。 恐らく、イマが特別なのだろう。 初めから、この村は捨て石の実験場だ」
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