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第98話 雑魚ばかり
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セムネイル達は南へと道を進んでいた。
セムネイルは何時もの服装に腰に魔剣を差して、グラは身軽なローブに魔剣に変形するブレスレットのみ。
リンとノラはセムネイルから貰った服と武器を装備だけという、とても身軽な格好での旅である。
本来であれば、大きな荷物を背負っての行進になるのだが、セムネイルには何時でも物を取り出せる4次元に家へと繋がる門を出せる為に物見遊山の様な一行になっていた。
「結構、商人が通るんだな」
セムネイル達が、南への道を行く中で商人が率いるキャラバンと幾度も擦れ違う。
「街の皆さんに聞きましたが、他の街や村からは奇跡の街だと言われているそうですよ?」
「ん? セリス、何が奇跡なんだ?」
「ふふ、街どころか国が滅ぶような災厄に見舞われたのに生還したからだそうですわ」
「ふ~ん、アレぐらいで国が滅ぶのか。 ある意味凄いな」
セムネイルは先の知恵をつけた魔物達の襲撃を思い出す。
「ねぇ、セムネイル。 もし、他の街にも発見から未踏破のダンジョンがあったら攻略したげたら?」
「何故だ? グラはそんなに人間が好きだったか?」
「はぁ……馬鹿ね。 そりゃ、私達が居た時代からかなり経ってるけど……この世界の幾人かの人間は遠からず薄からず、生き残った貴方の女達の子孫よ? 血は繋がってなくとも、縁はあるんじゃないかしら?」
グラの返答に、セムネイルは目を見開く。
「そうか……確かにな! ふむ、なら仕方ないか。 分かった、もし踏破せねば危険なダンジョンがあるなら攻略しよう」
「私も賛成ですわ、貴方様。 悪人も多い世の中ですが、ブルムフの街に住む多くの人々は善人でした。 あの様な災厄が起こり、また善良な人々が襲われるのは嫌です」
「私も……あんなに可愛い子供達が酷い目にあうのは嫌です」
「おう! 俺もだ! あいつ等元気かなー?」
セムネイルはセリス達の頭を撫でながら、嬉しそうに微笑んだ。
「ふはははは! そうだな。 ……ん? セリス」
しかし、遠くの道に見えた商人のキャラバンが騒がしい事に気付きセリスに問い掛ける。 直ぐに意図を察したセリスは、気配察知を発動させた。
「はい! ……商人とその護衛達が襲われています! 魔物の数は30匹、種類は……すみません分かりませんわ」
「お~、セリスちゃん気配察知使えるの? やるじゃん。 魔物の種類は、一度戦ったら分かるようになるよ。 アレはゴブリンだね」
「うむ、流石だなセリス。 しかし、雑魚だな。 だが、今の冒険者達の弱さはかなり異常だ……仕方ない死人が出る前に終わらすか」
セムネイル達は襲われているキャラバンに向けて走り出した。
◆◇◆
「くそ! 何て数だ!」 「リーダー、逃げよう!」 「馬鹿野郎! 俺達、狼の牙が逃げてたまるか!」
キャラバンを護衛していた3人の冒険者パーティーは、囲んできたゴブリン達と必死に攻防戦を繰り広げていた。
「ひぃぃぃい! は、早く倒して下さい!」
商人は荷馬車の荷台に隠れ、悲鳴を上げている。
数匹を斬り殺しても、無数のゴブリン達が直ぐ様襲い掛かって来るせいで休む事はおろか逃げ出す事も不可能だ。
「仕方ない! おい、積み荷を投げて気を引くぞ! 囲いが解けたら、馬を走らせ離脱しよう!」
「「おう!」」
冒険者のリーダーが指示をしたが、商人は焦る。
「私の積み荷は工芸品ですよ!? ゴブリンの気を引けるのですか?」
「マジかよ! クソッ!?」
悪態をついたリーダーに、錆びた短剣を手にしたゴブリンが飛び掛かった。
「ゲギャギャギャギャ!」
緑色の薄汚い小鬼が笑いながら短剣を突き立てようとしたその時、風切り音と共に矢が飛来しゴブリンの頭を吹き飛ばした。
「ぎゃぁぁぁ……あ? 助かった?」
直後、キャラバンの左側に向かったセムネイルがゴブリン達に接近し蹴り殺す。 右側に向かったグラも道に落ちていた木の枝でゴブリンを斬り裂いた。
「おー! 喰らえぇぇぇ! 狼流奥義三連斬り!」
そして、正面を囲い背中をガラ空きにしていたゴブリン達をノラが戦技で細切れにする。
ノラの背後からは、リンによる長距離狙撃によって冒険者達や商人に近付こうとするゴブリン達を射抜いていた。
僅か数分でゴブリンは全滅し、当たり一面には緑色の肉片が散乱する。
「はぁ……雑魚ばっかりだったな」
セムネイルのため息と呟きを聞いた冒険者パーティー狼の牙は顔を引き攣らせるのであった。
セムネイルは何時もの服装に腰に魔剣を差して、グラは身軽なローブに魔剣に変形するブレスレットのみ。
リンとノラはセムネイルから貰った服と武器を装備だけという、とても身軽な格好での旅である。
本来であれば、大きな荷物を背負っての行進になるのだが、セムネイルには何時でも物を取り出せる4次元に家へと繋がる門を出せる為に物見遊山の様な一行になっていた。
「結構、商人が通るんだな」
セムネイル達が、南への道を行く中で商人が率いるキャラバンと幾度も擦れ違う。
「街の皆さんに聞きましたが、他の街や村からは奇跡の街だと言われているそうですよ?」
「ん? セリス、何が奇跡なんだ?」
「ふふ、街どころか国が滅ぶような災厄に見舞われたのに生還したからだそうですわ」
「ふ~ん、アレぐらいで国が滅ぶのか。 ある意味凄いな」
セムネイルは先の知恵をつけた魔物達の襲撃を思い出す。
「ねぇ、セムネイル。 もし、他の街にも発見から未踏破のダンジョンがあったら攻略したげたら?」
「何故だ? グラはそんなに人間が好きだったか?」
「はぁ……馬鹿ね。 そりゃ、私達が居た時代からかなり経ってるけど……この世界の幾人かの人間は遠からず薄からず、生き残った貴方の女達の子孫よ? 血は繋がってなくとも、縁はあるんじゃないかしら?」
グラの返答に、セムネイルは目を見開く。
「そうか……確かにな! ふむ、なら仕方ないか。 分かった、もし踏破せねば危険なダンジョンがあるなら攻略しよう」
「私も賛成ですわ、貴方様。 悪人も多い世の中ですが、ブルムフの街に住む多くの人々は善人でした。 あの様な災厄が起こり、また善良な人々が襲われるのは嫌です」
「私も……あんなに可愛い子供達が酷い目にあうのは嫌です」
「おう! 俺もだ! あいつ等元気かなー?」
セムネイルはセリス達の頭を撫でながら、嬉しそうに微笑んだ。
「ふはははは! そうだな。 ……ん? セリス」
しかし、遠くの道に見えた商人のキャラバンが騒がしい事に気付きセリスに問い掛ける。 直ぐに意図を察したセリスは、気配察知を発動させた。
「はい! ……商人とその護衛達が襲われています! 魔物の数は30匹、種類は……すみません分かりませんわ」
「お~、セリスちゃん気配察知使えるの? やるじゃん。 魔物の種類は、一度戦ったら分かるようになるよ。 アレはゴブリンだね」
「うむ、流石だなセリス。 しかし、雑魚だな。 だが、今の冒険者達の弱さはかなり異常だ……仕方ない死人が出る前に終わらすか」
セムネイル達は襲われているキャラバンに向けて走り出した。
◆◇◆
「くそ! 何て数だ!」 「リーダー、逃げよう!」 「馬鹿野郎! 俺達、狼の牙が逃げてたまるか!」
キャラバンを護衛していた3人の冒険者パーティーは、囲んできたゴブリン達と必死に攻防戦を繰り広げていた。
「ひぃぃぃい! は、早く倒して下さい!」
商人は荷馬車の荷台に隠れ、悲鳴を上げている。
数匹を斬り殺しても、無数のゴブリン達が直ぐ様襲い掛かって来るせいで休む事はおろか逃げ出す事も不可能だ。
「仕方ない! おい、積み荷を投げて気を引くぞ! 囲いが解けたら、馬を走らせ離脱しよう!」
「「おう!」」
冒険者のリーダーが指示をしたが、商人は焦る。
「私の積み荷は工芸品ですよ!? ゴブリンの気を引けるのですか?」
「マジかよ! クソッ!?」
悪態をついたリーダーに、錆びた短剣を手にしたゴブリンが飛び掛かった。
「ゲギャギャギャギャ!」
緑色の薄汚い小鬼が笑いながら短剣を突き立てようとしたその時、風切り音と共に矢が飛来しゴブリンの頭を吹き飛ばした。
「ぎゃぁぁぁ……あ? 助かった?」
直後、キャラバンの左側に向かったセムネイルがゴブリン達に接近し蹴り殺す。 右側に向かったグラも道に落ちていた木の枝でゴブリンを斬り裂いた。
「おー! 喰らえぇぇぇ! 狼流奥義三連斬り!」
そして、正面を囲い背中をガラ空きにしていたゴブリン達をノラが戦技で細切れにする。
ノラの背後からは、リンによる長距離狙撃によって冒険者達や商人に近付こうとするゴブリン達を射抜いていた。
僅か数分でゴブリンは全滅し、当たり一面には緑色の肉片が散乱する。
「はぁ……雑魚ばっかりだったな」
セムネイルのため息と呟きを聞いた冒険者パーティー狼の牙は顔を引き攣らせるのであった。
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