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第93話 Cランク昇格手続き
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「サシャ、説明は以上だ。 自分の部屋や、鍵の掛けられる場所で4次元の扉を開く様にだけ注意してくれ」
セムネイルは、宿屋の受付でサシャの左手薬指に指輪を嵌めていた。
「お兄さん……凄く綺麗で嬉しいよ。 でも……って事はこの街を出るのかい?」
寂しそうにサシャは呟く。
「くっくっくっ、流石に鋭いなサシャは……そうだ。 準備ができ次第、この街を暫く出る事になるだろう。 そんな寂しそうな顔をする必要は無いぞ? さっきも説明した筈だ。 この指輪が有れば、4次元の家で何時でも会えるし俺はサシャに宿屋を辞めろ等と絶対に言わん」
「ふふ……ありがとう、お兄さん。 大好きだよ」
「ふっ、俺もだサシャ。 それと、これは俺のエゴだがさせて欲しい。 欲望と狭間の魔王セムネイルの名に掛けて此処に制約を受ける。 サシャを生涯愛し、暴力を振るわず、大切にし、嘘を付かず、守りきる事を誓う」
魔法を唱え終えると、セムネイルとサシャの前に制約魔法の羊皮紙が現れ、躊躇なくサインした。
「今のは……なんだい?」
サシャは目の前で起きた光景に理解が追い付かずに、呆然とする。
「今のは制約魔法という物だ。 この契約は絶対に破られる事は無い。 まぁ……何だ。 俺から妻達への愛の証みたいなもんだな」
少し照れるセムネイルにサシャは抱きつき、口づけを交わす。
「ありがとう、お兄さん。 凄く嬉しい♡」
「喜んでもらえたなら何よりだ。 じゃあ、この後はローズ達を連れて冒険者ギルドに行ってくる。 サシャも無理せず働くんだぞ? 変な客が来たら、直ぐに4次元に逃げるんだぞ?」
「ふふ、分かってるよ」
セムネイルは再度サシャを抱きしめて、一旦4次元へと戻った。
◆◇◆
場面は変わり、セムネイルはローズ達を連れて冒険者ギルドへとやって来た。
「よし、ローズよろしく頼む」
「お任せ下さい! じゃあ、セムネイル様にセリスちゃん、リンちゃん、ノラちゃんのCランク昇格の手続きを致しますね。 タグをお預かりします。 それと……グラさんはどうされます?」
セムネイル達からタグを回収するローズに問われ、グラは苦笑いを浮かべる。
「あはは……私はセムネイルの側に居たいだけだからな~。 どうしよっかな……」
チラチラとグラに見られたセムネイルは笑う。
「くっくっくっ、グラ。 俺と冒険者をやろう」
「セムネイルが其処まで言うなら~……えへへ、よろしくねローズちゃん」
可愛らしいグラの様子に、ローズは思わずはにかむ。
「ふふ、畏まりました。 それでは、セムネイル様と同じCランクで登録出来ないかギルマスに確認して来ますね」
ローズはタグと書類を持ち、2階へと向かう。
「さて、少しの間待っとくか。 リン、ノラ、クエストボードにどんな依頼があるか見てきてくれ」
「良いのですか?」 「俺達、止められたりしないか?」
「ん? 大丈夫だろ。 2人の強さを知らない冒険者はこの街にはもう居ないだろうしな。 だが、念の為だ。 グラ、頼む」
「はいはい、妻姉妹では下だけど年齢は1番上だからね~。 私に任せて! ほら、リンちゃん、ノラちゃん見に行こ~」
グラに手を引かれ、リンとノラは嬉しそうにクエストボードへと向かった。
セムネイルの視力だと受付の椅子からでもクエストボードの依頼は一言一句読めるのだが、妻達が暇しない様にするセムネイルなりの気遣いなのだ。
3人を見送ったセムネイルは、隣の受付でパーティーの名前を変更する手続きをしているタリア達を見る。
受付嬢はローズの後輩でもあるフィオだ。
「あ、あの……皆さんは、神の使徒として有名なSランクパーティーなのでギルドとしては、パーティーの名前を変更するのはあまり……お薦めしてなくてですね」
「「名声等、どうでも良いのです。 私達は神の使徒では既に非ず。 今は魔王セムネイル様を信仰する者達です」」
「えぇ……? えっと……はぁ」
双子のシスターカリンとコリンに詰められるフィオは、2人が何を言っているのかさっぱり理解出来ていない様子だ。
「ごめんね、受付嬢さん。 私は、神に選ばれた勇者タリアと申します。 ですが先日、神に選ばれた勇者を辞めまして……」
「えぇ?! タリアさん、勇者辞めたんですか!? 聖エオルニア教国の勇者タリアと云えば、近隣諸国では知らない冒険者ですよ!?」
フィオは目を見開き、驚愕する。
ギルドに居た冒険者達も、騒ぎを聞きつけ野次馬となり始めた。
「い、いえ。 勇者は辞めて無いんですけど……その、この度私は魔王の勇者になりまして……。 だから、パーティー名は魔王の使徒でお願いします」
「えぇ?? あれ? さっき、そちらの双子さんが……魔王セムネイルって」
フィオはパニック状態だ。 新人には荷が勝ちすぎる状況に、セムネイルは頬杖を付きながら笑う。
「ちょっと、タリアにカリンコリン! 受付嬢さんが困ってるだろ? すまんね、シンプルにいこう。 私達は聖エオルニア教国所属の冒険者を辞めて、この王国所属になる。 だから、パーティー名も変更する。 此処までは良いか?」
見かねたアヤメに説明され、フィオは頷く。
「よし、じゃあ手続きをお願いできる?」
「は、はい! 分かりました。 少々お待ち下さい」
フィオは書類を準備する為に、奥へと向かった。
やっと話が進んだ事にアヤメは安堵し、ふと隣を見ると最愛の男に見られている事に気付いた。
「アヤメ、流石だな。 見てたぞ」
褒められたアヤメは耳まで赤くし、嬉しそうに微笑むのであった。
セムネイルは、宿屋の受付でサシャの左手薬指に指輪を嵌めていた。
「お兄さん……凄く綺麗で嬉しいよ。 でも……って事はこの街を出るのかい?」
寂しそうにサシャは呟く。
「くっくっくっ、流石に鋭いなサシャは……そうだ。 準備ができ次第、この街を暫く出る事になるだろう。 そんな寂しそうな顔をする必要は無いぞ? さっきも説明した筈だ。 この指輪が有れば、4次元の家で何時でも会えるし俺はサシャに宿屋を辞めろ等と絶対に言わん」
「ふふ……ありがとう、お兄さん。 大好きだよ」
「ふっ、俺もだサシャ。 それと、これは俺のエゴだがさせて欲しい。 欲望と狭間の魔王セムネイルの名に掛けて此処に制約を受ける。 サシャを生涯愛し、暴力を振るわず、大切にし、嘘を付かず、守りきる事を誓う」
魔法を唱え終えると、セムネイルとサシャの前に制約魔法の羊皮紙が現れ、躊躇なくサインした。
「今のは……なんだい?」
サシャは目の前で起きた光景に理解が追い付かずに、呆然とする。
「今のは制約魔法という物だ。 この契約は絶対に破られる事は無い。 まぁ……何だ。 俺から妻達への愛の証みたいなもんだな」
少し照れるセムネイルにサシャは抱きつき、口づけを交わす。
「ありがとう、お兄さん。 凄く嬉しい♡」
「喜んでもらえたなら何よりだ。 じゃあ、この後はローズ達を連れて冒険者ギルドに行ってくる。 サシャも無理せず働くんだぞ? 変な客が来たら、直ぐに4次元に逃げるんだぞ?」
「ふふ、分かってるよ」
セムネイルは再度サシャを抱きしめて、一旦4次元へと戻った。
◆◇◆
場面は変わり、セムネイルはローズ達を連れて冒険者ギルドへとやって来た。
「よし、ローズよろしく頼む」
「お任せ下さい! じゃあ、セムネイル様にセリスちゃん、リンちゃん、ノラちゃんのCランク昇格の手続きを致しますね。 タグをお預かりします。 それと……グラさんはどうされます?」
セムネイル達からタグを回収するローズに問われ、グラは苦笑いを浮かべる。
「あはは……私はセムネイルの側に居たいだけだからな~。 どうしよっかな……」
チラチラとグラに見られたセムネイルは笑う。
「くっくっくっ、グラ。 俺と冒険者をやろう」
「セムネイルが其処まで言うなら~……えへへ、よろしくねローズちゃん」
可愛らしいグラの様子に、ローズは思わずはにかむ。
「ふふ、畏まりました。 それでは、セムネイル様と同じCランクで登録出来ないかギルマスに確認して来ますね」
ローズはタグと書類を持ち、2階へと向かう。
「さて、少しの間待っとくか。 リン、ノラ、クエストボードにどんな依頼があるか見てきてくれ」
「良いのですか?」 「俺達、止められたりしないか?」
「ん? 大丈夫だろ。 2人の強さを知らない冒険者はこの街にはもう居ないだろうしな。 だが、念の為だ。 グラ、頼む」
「はいはい、妻姉妹では下だけど年齢は1番上だからね~。 私に任せて! ほら、リンちゃん、ノラちゃん見に行こ~」
グラに手を引かれ、リンとノラは嬉しそうにクエストボードへと向かった。
セムネイルの視力だと受付の椅子からでもクエストボードの依頼は一言一句読めるのだが、妻達が暇しない様にするセムネイルなりの気遣いなのだ。
3人を見送ったセムネイルは、隣の受付でパーティーの名前を変更する手続きをしているタリア達を見る。
受付嬢はローズの後輩でもあるフィオだ。
「あ、あの……皆さんは、神の使徒として有名なSランクパーティーなのでギルドとしては、パーティーの名前を変更するのはあまり……お薦めしてなくてですね」
「「名声等、どうでも良いのです。 私達は神の使徒では既に非ず。 今は魔王セムネイル様を信仰する者達です」」
「えぇ……? えっと……はぁ」
双子のシスターカリンとコリンに詰められるフィオは、2人が何を言っているのかさっぱり理解出来ていない様子だ。
「ごめんね、受付嬢さん。 私は、神に選ばれた勇者タリアと申します。 ですが先日、神に選ばれた勇者を辞めまして……」
「えぇ?! タリアさん、勇者辞めたんですか!? 聖エオルニア教国の勇者タリアと云えば、近隣諸国では知らない冒険者ですよ!?」
フィオは目を見開き、驚愕する。
ギルドに居た冒険者達も、騒ぎを聞きつけ野次馬となり始めた。
「い、いえ。 勇者は辞めて無いんですけど……その、この度私は魔王の勇者になりまして……。 だから、パーティー名は魔王の使徒でお願いします」
「えぇ?? あれ? さっき、そちらの双子さんが……魔王セムネイルって」
フィオはパニック状態だ。 新人には荷が勝ちすぎる状況に、セムネイルは頬杖を付きながら笑う。
「ちょっと、タリアにカリンコリン! 受付嬢さんが困ってるだろ? すまんね、シンプルにいこう。 私達は聖エオルニア教国所属の冒険者を辞めて、この王国所属になる。 だから、パーティー名も変更する。 此処までは良いか?」
見かねたアヤメに説明され、フィオは頷く。
「よし、じゃあ手続きをお願いできる?」
「は、はい! 分かりました。 少々お待ち下さい」
フィオは書類を準備する為に、奥へと向かった。
やっと話が進んだ事にアヤメは安堵し、ふと隣を見ると最愛の男に見られている事に気付いた。
「アヤメ、流石だな。 見てたぞ」
褒められたアヤメは耳まで赤くし、嬉しそうに微笑むのであった。
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