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第88話 料理長キュイジーヌ
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セムネイルは厨房に案内され、中を覗く。
厨房では4人のシェフ達が忙しなく料理の仕込みをしている最中であった。
「ふむ、今だと邪魔になるな……どうするか」
セムネイルがどうするか迷っていると、見知った顔のウェイターが出て来た。
「あれ? セムネイルさん! どうされたんですか?」
「おぉ、前に世話になったウェイターだな。 すまん、実はシェフが必要になってな。 前に聞いた話しが生きてるなら、ぜひスカウトしたいと思って来たんだが」
「そうなんですね! なら、きっと料理長のキュイジーヌさんも喜びますよ。 どうぞどうぞ、入って下さい。 キュイジーヌさーん! セムネイルさんが雇いたいって来てますよー!」
話を聞いたウェイターは、セムネイルの手を引き厨房へと入る。
「んぁ? おぉ、前の気前の良いお兄さんだな。 遂に料理人が必要になったのか?! うははは! 覚えててくれたとは、嬉しいねぇ!」
料理長と呼ばれ、反応したのは長い茶髪に褐色肌で姉御気質そうな凛々しい女性だった。 名前をキュイジーヌと云うらしい。
「セムネイルだ。 いきなり来てすまん。 実は、亜人達の食事の事で問題が発生してな。 きちんとした料理を種族別に作れる有能な料理人が必要なんだ」
「へぇ! 面白そうな話じゃないか! アタイがその有能な料理人さ! 勿論、お給金は貰うけど……どれぐらい出せるんだい?」
キュイジーヌは乗り気の様だが、有能な仕事には対価を要求するのは当然だ。 セムネイルは厨房をくまなく見て回り、キュイジーヌの仕事振りは完璧だと把握した。
「俺は金に疎くてな。 これぐらいで足りるか?」
セムネイルは4次元から金貨を100枚出し、キュイジーヌの目の前には積んだ。
「……いや、え? これは……つまり年俸って事だよな?」
「ん? いや、違うぞ月々の金だ」
「月に!? 月に金貨100枚でアタイを雇うって!?」
キュイジーヌは凄まじい剣幕でセムネイルに擦り寄る。
「お、おう。 それで、どうだ? 俺の所に来てくれるか?」
「ふっ、ふふふ! あはははは! 勿論さ! ギルマスに辞表書いたら直ぐに向かうよ。 何処に行けば良いのさ」
「すまん、助かる。 宿屋が建ち並ぶエリアにサシャの宿屋が有るんだが分かるか?」
「んー? あぁ、確かに治癒の女神様を信仰してる宿屋だよな。 分かる分かる。 其処に行けば良いのか?」
「その宿屋のサシャにセムネイルに雇われたから、扉に案内してくれと伝えてくれ。 俺も食材を買ったら直ぐに戻る」
セムネイルがキュイジーヌに説明したが、キュイジーヌは目付きを変えた。
「ちょっと待ってくれ。 食材を買うならアタイも行くよ! 自分で作る料理の食材はなるべく自分の目で見たいんでね! よし、なら決まりだ! 辞表をギルマスの部屋に叩き付けてくるから、受付で待っててくんな!」
キュイジーヌは颯爽と厨房を後にし、元同僚の残された3人のシェフは呆然としていた。
「……すまん」
セムネイルは厨房の全てを記憶した後に、受付へと向かった。
「セムネイルさん、キュイジーヌさんの事……よろしくお願いします」
別れ際にウェイターから頼まれたセムネイルは、キュイジーヌが料理人としても人としても有能である事を察し頷いた。
「あぁ、俺の元で暮らす奴には必ず幸せになってもらうからな。 安心してくれ」
ウェイターが仕事に戻り、セムネイルは1人で待つ。
ギルドの中は、笑顔の冒険者達で溢れ酒場で宴会を開いていた。
生き残れた祝いと、死んだ仲間の弔いなのだろうか。
セムネイルがその光景を見つめていると、先程助けた受付嬢のフィオが話し掛けてきた。
「あ、あの……セムネイルさん。 もしかして、本当にキュイジーヌさんをスカウトしたんですか?」
「ん? あぁ、フィオか。 勿論だ、その為に来たんだからな」
「す、凄いですね。 キュイジーヌさんって、王都で有名なレストランでシェフをしてたらしいですよ? それで、この街に来てギルドの料理人として雇われる時も要求したお給金が凄かったって先輩方が言ってました。 何でも……月に金貨1枚要求したとか。 セムネイルさんは、幾らで雇ったんですか?」
「月に金貨100枚だ。 お、来たな。 じゃあ、フィオまたな」
「待たせたな! そんじゃ、行こうか!」
セムネイルは2階から降りてきたキュイジーヌと合流し、ギルドを出て行った。
残されたフィオは目が点になり、二人が去ってから暫してようやく復活した。
「き、金貨……100枚? あ、あはは、あはははは……ローズ先輩の旦那様、凄すぎ……です」
厨房では4人のシェフ達が忙しなく料理の仕込みをしている最中であった。
「ふむ、今だと邪魔になるな……どうするか」
セムネイルがどうするか迷っていると、見知った顔のウェイターが出て来た。
「あれ? セムネイルさん! どうされたんですか?」
「おぉ、前に世話になったウェイターだな。 すまん、実はシェフが必要になってな。 前に聞いた話しが生きてるなら、ぜひスカウトしたいと思って来たんだが」
「そうなんですね! なら、きっと料理長のキュイジーヌさんも喜びますよ。 どうぞどうぞ、入って下さい。 キュイジーヌさーん! セムネイルさんが雇いたいって来てますよー!」
話を聞いたウェイターは、セムネイルの手を引き厨房へと入る。
「んぁ? おぉ、前の気前の良いお兄さんだな。 遂に料理人が必要になったのか?! うははは! 覚えててくれたとは、嬉しいねぇ!」
料理長と呼ばれ、反応したのは長い茶髪に褐色肌で姉御気質そうな凛々しい女性だった。 名前をキュイジーヌと云うらしい。
「セムネイルだ。 いきなり来てすまん。 実は、亜人達の食事の事で問題が発生してな。 きちんとした料理を種族別に作れる有能な料理人が必要なんだ」
「へぇ! 面白そうな話じゃないか! アタイがその有能な料理人さ! 勿論、お給金は貰うけど……どれぐらい出せるんだい?」
キュイジーヌは乗り気の様だが、有能な仕事には対価を要求するのは当然だ。 セムネイルは厨房をくまなく見て回り、キュイジーヌの仕事振りは完璧だと把握した。
「俺は金に疎くてな。 これぐらいで足りるか?」
セムネイルは4次元から金貨を100枚出し、キュイジーヌの目の前には積んだ。
「……いや、え? これは……つまり年俸って事だよな?」
「ん? いや、違うぞ月々の金だ」
「月に!? 月に金貨100枚でアタイを雇うって!?」
キュイジーヌは凄まじい剣幕でセムネイルに擦り寄る。
「お、おう。 それで、どうだ? 俺の所に来てくれるか?」
「ふっ、ふふふ! あはははは! 勿論さ! ギルマスに辞表書いたら直ぐに向かうよ。 何処に行けば良いのさ」
「すまん、助かる。 宿屋が建ち並ぶエリアにサシャの宿屋が有るんだが分かるか?」
「んー? あぁ、確かに治癒の女神様を信仰してる宿屋だよな。 分かる分かる。 其処に行けば良いのか?」
「その宿屋のサシャにセムネイルに雇われたから、扉に案内してくれと伝えてくれ。 俺も食材を買ったら直ぐに戻る」
セムネイルがキュイジーヌに説明したが、キュイジーヌは目付きを変えた。
「ちょっと待ってくれ。 食材を買うならアタイも行くよ! 自分で作る料理の食材はなるべく自分の目で見たいんでね! よし、なら決まりだ! 辞表をギルマスの部屋に叩き付けてくるから、受付で待っててくんな!」
キュイジーヌは颯爽と厨房を後にし、元同僚の残された3人のシェフは呆然としていた。
「……すまん」
セムネイルは厨房の全てを記憶した後に、受付へと向かった。
「セムネイルさん、キュイジーヌさんの事……よろしくお願いします」
別れ際にウェイターから頼まれたセムネイルは、キュイジーヌが料理人としても人としても有能である事を察し頷いた。
「あぁ、俺の元で暮らす奴には必ず幸せになってもらうからな。 安心してくれ」
ウェイターが仕事に戻り、セムネイルは1人で待つ。
ギルドの中は、笑顔の冒険者達で溢れ酒場で宴会を開いていた。
生き残れた祝いと、死んだ仲間の弔いなのだろうか。
セムネイルがその光景を見つめていると、先程助けた受付嬢のフィオが話し掛けてきた。
「あ、あの……セムネイルさん。 もしかして、本当にキュイジーヌさんをスカウトしたんですか?」
「ん? あぁ、フィオか。 勿論だ、その為に来たんだからな」
「す、凄いですね。 キュイジーヌさんって、王都で有名なレストランでシェフをしてたらしいですよ? それで、この街に来てギルドの料理人として雇われる時も要求したお給金が凄かったって先輩方が言ってました。 何でも……月に金貨1枚要求したとか。 セムネイルさんは、幾らで雇ったんですか?」
「月に金貨100枚だ。 お、来たな。 じゃあ、フィオまたな」
「待たせたな! そんじゃ、行こうか!」
セムネイルは2階から降りてきたキュイジーヌと合流し、ギルドを出て行った。
残されたフィオは目が点になり、二人が去ってから暫してようやく復活した。
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