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第74話 タナカの店で宴会と新たな面倒事
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「遅くなりすみません、ご報告したい事が色々とあります」
サシャの宿屋前で待っていると、ローズがタリア達を連れてようやく戻り、セムネイルは妻達を連れてタナカの店へと向かう事にした。
「お疲れ、ローズ。 とりあえずこのままタナカの店へ行こうか。 ダンジョン踏破の祝いをしないとな。 報告はその時に教えてくれ」
「はい、行きましょう!」 「ローズ姉様、手を繋いで行きましょ~」 「ふふ、私も良いですか?」 「む! セムネイル、おんぶしろー!」 「へ~、じゃあ私はセムネイルと手を繋ぎたいな~」 「わ、私も……良いかな」 「「アヤメ……抜け駆けするのは酷い!」」
ローズは妻妹のセリスとリンに甘えられ、嬉しそうに3人で手を繋ぐ。 ローズにもう繋げられる手が無いのを見たノラはセムネイルの背中に飛び乗り、面白そうに笑うグラと頬を赤く染めるアヤメがセムネイルと手を繋いだ。
出遅れたカリンとコリンは拗ねながら後ろを付いて来ていた。
「ふはははは!! 皆の仲が良くて俺は嬉しいぞ。 カリン、コリン。 服の裾で良かったら空いてるぞ?」
「「っ!! ありがとうございます!」」
セムネイルの許可を得た双子のシスターは嬉しそうに服の裾を掴んで歩く。
「……これが大家族の光景なら微笑ましいのに、全員が奥さんとか……破廉恥!!」
タリアだけは少し離れた所で何やら叫んでいるが、内心ではその中に入れない事に寂しさと嫉妬を感じていた。
「ん? おーい、タリア。 何してるんだ、今日は家族で宴会何だからさっさと来い」
振り返ったセムネイルに言われたタリアは驚いた後、頬を染めながら後を追い掛けた。
◆◇◆
「いらっしゃーい! あ、お兄さん来てくれたんだね。 奥の大きいテーブル席を空けてあるよ~」
タナカの店を訪れると多くの客が訪れ、食事を楽しんでいた。 店の外まで客が並び、セムネイル達も並ぼうとしたが見たことの無い店員がタナカに知らせ先に案内してくれたのだ。
「忙しい人時にすまん、ありがとう。 それと、今店に居る客と並んでる客の会計は全部俺に回してくれ。 迷惑を掛けた分払う」
「ふふ、相変わらず粋なお兄さんだ。 分かったよ、そうさせてもらうね」
セムネイルはタナカに礼を言い、奥のテーブルに座る。 しかし、何かに気付いたセムネイルは顔を顰める。
「ちっ……面倒事か。 よし、好きなのを頼め! グラやアヤメ達は初めてだよな? ローズ、すまんが説明してやってくれ。 俺は少し外に出てから直ぐに戻るからな」
「え? は、はい。 お任せ下さい。 えっとですね……先ず」
ローズがグラやアヤメ達に説明を始めたのを聞きながら、セムネイルは店の外へと向かう。
「タナカ、すまん。 面倒事の様だ、片付けてくるから安心して料理をしててくれ」
「分かったよ~、お兄さんなら何が有っても平気だよね」
セムネイルはタナカに手を上げて返事をしながら外へと出る。
気配察知に反応が有った集団が真っ直ぐタナカの店へとやって来た。
約100名の騎士達だ。 馬に騎乗し、手に持つのは槍と盾だ。
盾の紋章には見覚えが有り、確か衛兵達が持つ盾にも同じ紋章があったのを思い出す。
「お前等、何の用だ」
セムネイルが立ちはだかった事で、騎士達はセムネイルを囲み槍を突きつける。
「無礼な!! 我等はボフムズ王国騎士団なり! 平民より下の忌み子無勢が、我等の任務を邪魔立てするか! その命、奪っても構わんのだぞ!!」
騎士達の隊長らしき男が、セムネイルの目と鼻の先に槍を構える。
「もう一度だけ聞いてやる。 何の用だ」
セムネイルから本気の殺気が放たれ、100名の騎士が乗る乗馬は怯え騎士達を振り落とす。
「ぐあっ?!」 「何が起きた!」 「ひっ!? こ……こいつ何なんだよ!」 「息が……出来なっ?!」 「がっ……」
乗馬は逃げ出し、落とされた騎士達は余りにも強い殺気に呑まれ呼吸困難に陥る。
身体がこれ以上生きるのを拒否しているのだ。
セムネイルの殺気から逃れる為に、騎士達の身体は死を選ぼうとしていた。
「がっ……分かった、分かった! すまん!!」
隊長が謝罪した瞬間、殺気は幻の様に消え騎士達は息を吸える事に感謝した。
「もし、次……同じ様な態度を取った時。 生きていられるとは思わない事だ」
「……肝に銘じるとしよう。 私はボブムズ王国騎士団百人隊長のドムだ。 この殺気の強さ……貴方がセムネイル殿だな」
「そうだが、何故俺の名を? 誰が話した」
滲み始める殺気に騎士達は怯える。
「き、聞いてくれ! 衛兵長達の報告と民達の話が食い違っていた為に調査をしていたのだ。 その際に、今回の災厄で活躍した筈のSランク冒険者竜の尻尾に話を聞きに行くと……セムネイルという人物が街を救ったと聞かされたのだ。 宿屋の女主人に居場所を聞き、此方へ越させていただいた……本当だ」
セムネイルはドムの話を聞き終え、天を仰いだ。
「はぁ……やっぱり面倒臭い奴等だったか」
サシャの宿屋前で待っていると、ローズがタリア達を連れてようやく戻り、セムネイルは妻達を連れてタナカの店へと向かう事にした。
「お疲れ、ローズ。 とりあえずこのままタナカの店へ行こうか。 ダンジョン踏破の祝いをしないとな。 報告はその時に教えてくれ」
「はい、行きましょう!」 「ローズ姉様、手を繋いで行きましょ~」 「ふふ、私も良いですか?」 「む! セムネイル、おんぶしろー!」 「へ~、じゃあ私はセムネイルと手を繋ぎたいな~」 「わ、私も……良いかな」 「「アヤメ……抜け駆けするのは酷い!」」
ローズは妻妹のセリスとリンに甘えられ、嬉しそうに3人で手を繋ぐ。 ローズにもう繋げられる手が無いのを見たノラはセムネイルの背中に飛び乗り、面白そうに笑うグラと頬を赤く染めるアヤメがセムネイルと手を繋いだ。
出遅れたカリンとコリンは拗ねながら後ろを付いて来ていた。
「ふはははは!! 皆の仲が良くて俺は嬉しいぞ。 カリン、コリン。 服の裾で良かったら空いてるぞ?」
「「っ!! ありがとうございます!」」
セムネイルの許可を得た双子のシスターは嬉しそうに服の裾を掴んで歩く。
「……これが大家族の光景なら微笑ましいのに、全員が奥さんとか……破廉恥!!」
タリアだけは少し離れた所で何やら叫んでいるが、内心ではその中に入れない事に寂しさと嫉妬を感じていた。
「ん? おーい、タリア。 何してるんだ、今日は家族で宴会何だからさっさと来い」
振り返ったセムネイルに言われたタリアは驚いた後、頬を染めながら後を追い掛けた。
◆◇◆
「いらっしゃーい! あ、お兄さん来てくれたんだね。 奥の大きいテーブル席を空けてあるよ~」
タナカの店を訪れると多くの客が訪れ、食事を楽しんでいた。 店の外まで客が並び、セムネイル達も並ぼうとしたが見たことの無い店員がタナカに知らせ先に案内してくれたのだ。
「忙しい人時にすまん、ありがとう。 それと、今店に居る客と並んでる客の会計は全部俺に回してくれ。 迷惑を掛けた分払う」
「ふふ、相変わらず粋なお兄さんだ。 分かったよ、そうさせてもらうね」
セムネイルはタナカに礼を言い、奥のテーブルに座る。 しかし、何かに気付いたセムネイルは顔を顰める。
「ちっ……面倒事か。 よし、好きなのを頼め! グラやアヤメ達は初めてだよな? ローズ、すまんが説明してやってくれ。 俺は少し外に出てから直ぐに戻るからな」
「え? は、はい。 お任せ下さい。 えっとですね……先ず」
ローズがグラやアヤメ達に説明を始めたのを聞きながら、セムネイルは店の外へと向かう。
「タナカ、すまん。 面倒事の様だ、片付けてくるから安心して料理をしててくれ」
「分かったよ~、お兄さんなら何が有っても平気だよね」
セムネイルはタナカに手を上げて返事をしながら外へと出る。
気配察知に反応が有った集団が真っ直ぐタナカの店へとやって来た。
約100名の騎士達だ。 馬に騎乗し、手に持つのは槍と盾だ。
盾の紋章には見覚えが有り、確か衛兵達が持つ盾にも同じ紋章があったのを思い出す。
「お前等、何の用だ」
セムネイルが立ちはだかった事で、騎士達はセムネイルを囲み槍を突きつける。
「無礼な!! 我等はボフムズ王国騎士団なり! 平民より下の忌み子無勢が、我等の任務を邪魔立てするか! その命、奪っても構わんのだぞ!!」
騎士達の隊長らしき男が、セムネイルの目と鼻の先に槍を構える。
「もう一度だけ聞いてやる。 何の用だ」
セムネイルから本気の殺気が放たれ、100名の騎士が乗る乗馬は怯え騎士達を振り落とす。
「ぐあっ?!」 「何が起きた!」 「ひっ!? こ……こいつ何なんだよ!」 「息が……出来なっ?!」 「がっ……」
乗馬は逃げ出し、落とされた騎士達は余りにも強い殺気に呑まれ呼吸困難に陥る。
身体がこれ以上生きるのを拒否しているのだ。
セムネイルの殺気から逃れる為に、騎士達の身体は死を選ぼうとしていた。
「がっ……分かった、分かった! すまん!!」
隊長が謝罪した瞬間、殺気は幻の様に消え騎士達は息を吸える事に感謝した。
「もし、次……同じ様な態度を取った時。 生きていられるとは思わない事だ」
「……肝に銘じるとしよう。 私はボブムズ王国騎士団百人隊長のドムだ。 この殺気の強さ……貴方がセムネイル殿だな」
「そうだが、何故俺の名を? 誰が話した」
滲み始める殺気に騎士達は怯える。
「き、聞いてくれ! 衛兵長達の報告と民達の話が食い違っていた為に調査をしていたのだ。 その際に、今回の災厄で活躍した筈のSランク冒険者竜の尻尾に話を聞きに行くと……セムネイルという人物が街を救ったと聞かされたのだ。 宿屋の女主人に居場所を聞き、此方へ越させていただいた……本当だ」
セムネイルはドムの話を聞き終え、天を仰いだ。
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